22 / 56
スクナビコナとおむすびころりん⑥―スクナビコナとアマノジャクついに出会う!切っても切れない腐れ縁の始まり!!―
しおりを挟む
「ふう、やっと着いたぞ」
『みんな大丈夫かな……』
アマノジャクたちを追うスクナビコナとチュルヒコは、ようやくネズミの穴の入り口へとたどり着く。
「さあ、早く中に入ろうぜ」
『うん、…って、うわーっ!』
「なっ!」
「ギャーッ!」
『ギョエーッ!』
スクナビコナとチュルヒコが穴の中に入ろうとしたとき、突然見知らぬ一人の小鬼と一匹のネズミが中から飛び出してくる。
「な…、なんだお前ら!」
「それはこっちのセリフだ!」
その全く予期せぬ出会いは双方を驚かせる。
「…ひょっとしてお前ら…、アマノジャクとドブヒコか!」
『そうか、こいつらが、クエビコ様が言っていた……』
「ふん、その通りだ!俺の名はアマノジャク!この辺りを縄張りにしている小鬼だ!」
『俺の名はドブヒコ!アマノジャク一の子分のドブネズミよ!』
「お前たち!なんでさっきこの穴から出てきた!」
『そうだよ!もしお前たちがネズミたちに変なことをしてたら承知しないぞ!』
スクナビコナたちとアマノジャクたちはたちまち険悪な雰囲気になる。
「俺がネズミたちに…、ハンッ!」
「しらばくれる気か!」
「しらばくれる?俺が?言っておくがな……」
アマノジャクはその言葉に怒りを込めながら言う。
「俺は〝カガイシャ〟じゃない、〝ヒガイシャ〟だ!」
アマノジャクが叫んだ言葉の内容に意表を突かれたスクナビコナとチュルヒコはあ然とする。
『全くその通りですぜ!ちなみに俺は〝ヒガイシャ〟ではなく〝ヒガイネズミ〟ですぜ!』
アマノジャクに続いてドブヒコも自分は被害を受けた側だと主張する。
「…えっと、…つまりお前たちはネズミをやっつけた側ではなく、むしろやっつけられた側だってことか……?」
「その通りだ!」
『その通りですぜ!』
スクナビコナの言葉をアマノジャクとドブヒコは異口同音に肯定する。
「…そ、そうか……」
「もっとも俺たちがこんな目にあったのは全部お前たちのせいだけどな!」
『全くその通りですぜ!』
「…僕たちのせい?」
『…なんで?』
スクナビコナもチュルヒコもアマノジャクたちの言おうとしていることの意味がわからず、呆然とする。
「とぼけるな!俺たちがこんなに酷い目にあったのはこっちがお前たちのやり方をまねたからだ!」
『その通りですぜ!お前たちは俺たちがわざと失敗するように罠にはめたんだ!』
アマノジャクたちはスクナビコナたちに怒りをぶちまける。
「…なあ、チュルヒコ。お前にはこいつらが何を言いたいのか意味がわかるか?」
『…いいや、わからない……』
スクナビコナもチュルヒコもアマノジャクたちの言葉にただただあ然とすることしかできない。
「ふん、どうやらお前たちはあまりにも頭が悪すぎてこちらの話が通じないみたいだな」
『まったくだ、こんなバカどもとこれ以上話をするのは時間の無駄ですぜ』
アマノジャクとチュルヒコは自分たちの話が通じないことをスクナビコナたちのせいにする。
「いいか、お前たち。このアマノジャク、この身に受けた恨みと屈辱は永遠に忘れん!必ず復讐してやるからおぼえておけ!」
『ですぜ!』
アマノジャクたちはスクナビコナたちに捨てゼリフを吐くと、すさまじい速さでこの場から走り去る。
「…なんか僕たち、自分たちでもわからないうちに恨みを買っちゃったみたいだぞ」
スクナビコナは去っていくアマノジャクたちを見送ったあと、つぶやくように言う。
『…そうだね。っていうかそもそも僕たちここにわざわざ急いで来る必要もなかったよね』
「ああ、でもせっかくここまで来たんだからネズミたちに会っていこうぜ。今の僕たちにはまだ住む場所もないから、できればここに住ませてもらえると嬉しいしな」
『うん、確かにそうだ。ハツカさんにそう頼んでみようよ』
「よし、じゃあ決まりだ。さあ、ハツカ殿たちの元へ行くぞ」
『わかった』
こうしてスクナビコナとチュルヒコは穴の中のハツカノミコトの元へと向かう。
そして彼から穴の中に一室を与えられ、そこに住むことを認められるのだった。
なお、アマノジャクたちによって盗まれたおむすびはクエビコの心づかいによって、結局ネズミたちの食料になったとのことである。
めでたし、めでたし。
『みんな大丈夫かな……』
アマノジャクたちを追うスクナビコナとチュルヒコは、ようやくネズミの穴の入り口へとたどり着く。
「さあ、早く中に入ろうぜ」
『うん、…って、うわーっ!』
「なっ!」
「ギャーッ!」
『ギョエーッ!』
スクナビコナとチュルヒコが穴の中に入ろうとしたとき、突然見知らぬ一人の小鬼と一匹のネズミが中から飛び出してくる。
「な…、なんだお前ら!」
「それはこっちのセリフだ!」
その全く予期せぬ出会いは双方を驚かせる。
「…ひょっとしてお前ら…、アマノジャクとドブヒコか!」
『そうか、こいつらが、クエビコ様が言っていた……』
「ふん、その通りだ!俺の名はアマノジャク!この辺りを縄張りにしている小鬼だ!」
『俺の名はドブヒコ!アマノジャク一の子分のドブネズミよ!』
「お前たち!なんでさっきこの穴から出てきた!」
『そうだよ!もしお前たちがネズミたちに変なことをしてたら承知しないぞ!』
スクナビコナたちとアマノジャクたちはたちまち険悪な雰囲気になる。
「俺がネズミたちに…、ハンッ!」
「しらばくれる気か!」
「しらばくれる?俺が?言っておくがな……」
アマノジャクはその言葉に怒りを込めながら言う。
「俺は〝カガイシャ〟じゃない、〝ヒガイシャ〟だ!」
アマノジャクが叫んだ言葉の内容に意表を突かれたスクナビコナとチュルヒコはあ然とする。
『全くその通りですぜ!ちなみに俺は〝ヒガイシャ〟ではなく〝ヒガイネズミ〟ですぜ!』
アマノジャクに続いてドブヒコも自分は被害を受けた側だと主張する。
「…えっと、…つまりお前たちはネズミをやっつけた側ではなく、むしろやっつけられた側だってことか……?」
「その通りだ!」
『その通りですぜ!』
スクナビコナの言葉をアマノジャクとドブヒコは異口同音に肯定する。
「…そ、そうか……」
「もっとも俺たちがこんな目にあったのは全部お前たちのせいだけどな!」
『全くその通りですぜ!』
「…僕たちのせい?」
『…なんで?』
スクナビコナもチュルヒコもアマノジャクたちの言おうとしていることの意味がわからず、呆然とする。
「とぼけるな!俺たちがこんなに酷い目にあったのはこっちがお前たちのやり方をまねたからだ!」
『その通りですぜ!お前たちは俺たちがわざと失敗するように罠にはめたんだ!』
アマノジャクたちはスクナビコナたちに怒りをぶちまける。
「…なあ、チュルヒコ。お前にはこいつらが何を言いたいのか意味がわかるか?」
『…いいや、わからない……』
スクナビコナもチュルヒコもアマノジャクたちの言葉にただただあ然とすることしかできない。
「ふん、どうやらお前たちはあまりにも頭が悪すぎてこちらの話が通じないみたいだな」
『まったくだ、こんなバカどもとこれ以上話をするのは時間の無駄ですぜ』
アマノジャクとチュルヒコは自分たちの話が通じないことをスクナビコナたちのせいにする。
「いいか、お前たち。このアマノジャク、この身に受けた恨みと屈辱は永遠に忘れん!必ず復讐してやるからおぼえておけ!」
『ですぜ!』
アマノジャクたちはスクナビコナたちに捨てゼリフを吐くと、すさまじい速さでこの場から走り去る。
「…なんか僕たち、自分たちでもわからないうちに恨みを買っちゃったみたいだぞ」
スクナビコナは去っていくアマノジャクたちを見送ったあと、つぶやくように言う。
『…そうだね。っていうかそもそも僕たちここにわざわざ急いで来る必要もなかったよね』
「ああ、でもせっかくここまで来たんだからネズミたちに会っていこうぜ。今の僕たちにはまだ住む場所もないから、できればここに住ませてもらえると嬉しいしな」
『うん、確かにそうだ。ハツカさんにそう頼んでみようよ』
「よし、じゃあ決まりだ。さあ、ハツカ殿たちの元へ行くぞ」
『わかった』
こうしてスクナビコナとチュルヒコは穴の中のハツカノミコトの元へと向かう。
そして彼から穴の中に一室を与えられ、そこに住むことを認められるのだった。
なお、アマノジャクたちによって盗まれたおむすびはクエビコの心づかいによって、結局ネズミたちの食料になったとのことである。
めでたし、めでたし。
0
あなたにおすすめの小説
クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
藤永ゆいか
児童書・童話
中学2年生になったある日、澄野星奈に許嫁がいることが判明する。
相手は、頭が良くて運動神経抜群のイケメン御曹司で、訳あって現在絶交中の幼なじみ・一之瀬陽向。
さらに、週末限定で星奈は陽向とふたり暮らしをすることになって!?
「俺と許嫁だってこと、絶対誰にも言うなよ」
星奈には、いつも冷たくてそっけない陽向だったが……。
「星奈ちゃんって、ほんと可愛いよね」
「僕、せーちゃんの彼氏に立候補しても良い?」
ある時から星奈は、バスケ部エースの水上虹輝や
帰国子女の秋川想良に甘く迫られるようになり、徐々に陽向にも変化が……?
「星奈は可愛いんだから、もっと自覚しろよ」
「お前のこと、誰にも渡したくない」
クールな幼なじみとの、逆ハーラブストーリー。
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。
猫菜こん
児童書・童話
小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。
中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!
そう意気込んでいたのに……。
「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」
私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。
巻き込まれ体質の不憫な中学生
ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主
咲城和凜(さきしろかりん)
×
圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良
和凜以外に容赦がない
天狼絆那(てんろうきずな)
些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。
彼曰く、私に一目惚れしたらしく……?
「おい、俺の和凜に何しやがる。」
「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」
「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」
王道で溺愛、甘すぎる恋物語。
最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
異世界子供会:呪われたお母さんを助ける!
克全
児童書・童話
常に生死と隣り合わせの危険魔境内にある貧しい村に住む少年は、村人を助けるために邪神の呪いを受けた母親を助けるために戦う。村の子供会で共に学び育った同級生と一緒にお母さん助けるための冒険をする。
星降る夜に落ちた子
千東風子
児童書・童話
あたしは、いらなかった?
ねえ、お父さん、お母さん。
ずっと心で泣いている女の子がいました。
名前は世羅。
いつもいつも弟ばかり。
何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。
ハイキングなんて、来たくなかった!
世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。
世羅は滑るように落ち、気を失いました。
そして、目が覚めたらそこは。
住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。
気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。
二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。
全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。
苦手な方は回れ右をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
ノースキャンプの見張り台
こいちろう
児童書・童話
時代劇で見かけるような、古めかしい木づくりの橋。それを渡ると、向こう岸にノースキャンプがある。アーミーグリーンの北門と、その傍の監視塔。まるで映画村のセットだ。
進駐軍のキャンプ跡。周りを鉄さびた有刺鉄線に囲まれた、まるで要塞みたいな町だった。進駐軍が去ってからは住宅地になって、たくさんの子どもが暮らしていた。
赤茶色にさび付いた監視塔。その下に広がる広っぱは、子どもたちの最高の遊び場だ。見張っているのか、見守っているのか、鉄塔の、あのてっぺんから、いつも誰かに見られているんじゃないか?ユーイチはいつもそんな風に感じていた。
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる