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スクナビコナとネズミ馬⑧―スクナビコナ、必死のナス捜索!必ずチュルヒコを元に戻せると信じて!!―
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「…ない…、…ない……」
スクナビコナは相変わらず〝七つのナスの実が全部東を向いてなっている茎〟を探している。
すでに周囲は完全に暗闇に包まれている。
スクナビコナは夜目がある程度は利いたが、それでも昼よりは視界は悪くなる。
そんな状況でナスの茎を一本一本、どれだけの実がなっているのかを調べるのはかなりの手間である。
そんな悪条件でもはや探し始めてからどれほどの時間がたったのかもわからない。時間の感覚などとっくの昔に完全に失ってしまった。
だがそれでも七つも実がなっている茎は決して見つかることはない。
今まで調べたどの茎も一本の茎に四つ、五つ、六つしかなっていないのである。
その割には一つの畑の茎を全部調べ終わっても、そのすぐ隣にはまた別の畑が〝出現〟する。
もはやスクナビコナにとってもこの作業は永遠に終わらないのではないか、とさえ思えてくるほどである。
もう肉体的にも精神的にもとっくに限界は超えている。
実際、今までだって何度も途中で止めたいと思ったものだ。
だがそのたびにスクナビコナは気持ちを奮い立たせる。
確かに自分も苦しい状況だが、チュルヒコだって自分と同じか、あるいはそれ以上に辛い思いをしているに違いない。
そんなチュルヒコをもし自分がここで諦めてしまったら、いったい誰が救い出すというのか?
チュルヒコを助け出せるのは間違いなく自分以外におらず、チュルヒコも自分が救いに来てくれるのを信じて待っているに違いないのである。
それを思えば決して投げ出すわけには行かない。
自分がナスを探すのを諦めることはチュルヒコを助け出すのを諦めることに他ならないのである。
必ず、必ず〝七つのナスの実が全部東を向いてなっている茎〟は見つかる。
そう信じて、スクナビコナはただひたすらに畑のナスの茎を一本一本調べていくのだった。
いったい探し始めてからどれほどの時間がたったのだろうか?
それは長いようでもあり、短いようでもある時間である。
とにかくスクナビコナは夜を徹して〝七つのナスの実が全部東を向いてなっている茎〟を探し続けている。
だがない!
相変わらず〝新たな畑〟は出現し続け、調べるナスの茎に困ることはない。
しかしそれでも決してスクナビコナが探し求めているナスは見つかることはないのである。
この終わらない〝単調作業の無限ループ〟はもはやスクナビコナに課せられた〝永遠の責め苦〟のようなものである。
だがそれでもスクナビコナは無心でナスの茎を調べ続ける。
その先にいつか〝終わり〟があると信じて。
そしてまた再びチュルヒコとの元通りの日々を取り戻せると信じて。
そのときである。
「…うわっ、まぶしい……」
突然スクナビコナの視線の先に光が差す。その先には光り輝く太陽が。
「…朝が来たんだ……」
あまりにも長時間に及んだスクナビコナの〝単純作業〟はついに夜を明けさせてしまったのである。
「…さあ、やるぞ!」
朝日に再び力を与えられたスクナビコナは作業を再開させる。すると―
「…これは……?」
スクナビコナは目の前にある一本のナスの茎を凝視する。そして改めて茎にいくつのナスの実がなっているか数えてみる。
「…一つ、二つ、三つ……」
スクナビコナはナスの実の数を慎重に数え始める。
「…五つ、六つ、七つ……!」
スクナビコナは数え終わると、大きく目を見開きながら、何度も実の数を確認する。
「七つだ!間違いない!ちゃんと七つあるぞ!」
スクナビコナは喜びのあまり、大声で叫びながら飛び跳ねる。
「しかも全ての実が東を向いてるぞ!」
スクナビコナが見つけた茎はちゃんとなっている七つのナスの実が、今顔を出したばかりの太陽のほうを向いているのである。
「よしっ、ナスを取るぞ!」
そう言うと、スクナビコナはナスの茎に飛びつき、ナスがなっている茎の元の部分を巧みに折る。
「よっしゃあ、取れた!」
こうしてスクナビコナは七つのナスの実がついている茎を背負って、地面に引きずりながらも、老婆の家へと向かうのだった。
「さあ、着いたぞ」
スクナビコナは老婆の家と馬小屋が同時に見渡せる位置までやってくる。
もはや太陽はある程度の高さに昇り、周囲はすっかり明るくなっている。もう完全に午前中と言っていい時間帯である。
「…うん、ナスのほうは傷ついたりしてないかな?」
スクナビコナはここまで地面を引きずりながら持ってこざるを得なかった、ナスの実が傷んでいないか確認してみる。
無論、スクナビコナとしては可能な限りナスを傷つけないように気をつけたつもりではある。
しかし七つのナスの実がついている茎は小さなスクナビコナの体よりも大きかったため、どうしても地面に引きずりながらここまで持ってこざるを得なかったのである。
「…大丈夫だ。傷一つないぞ…。このナス、すごいな……」
スクナビコナはずいぶん地面に引きずったはずだったにもかかわらず、一切傷がないナスの実に驚く。食べればチュルヒコが元の姿に戻るというナスは、やはり何か特別なもののようである。
「…さてと、どうしようかな……?」
スクナビコナはこのあとどうすべきかを考える。
「…しばらくは様子を見たほうがいいかな……?」
なるべく早くチュルヒコを救い出したいのはやまやまだが、何しろこの時間帯はまだ明るい。
老婆がこの時間に何をやっているのか分からない以上、こちらがむやみに動けば見つかってしまう危険性もある。
ここはひとまず、老婆の家と馬小屋の様子をうかがうべきである。
それが、スクナビコナが出した結論であった。
スクナビコナは相変わらず〝七つのナスの実が全部東を向いてなっている茎〟を探している。
すでに周囲は完全に暗闇に包まれている。
スクナビコナは夜目がある程度は利いたが、それでも昼よりは視界は悪くなる。
そんな状況でナスの茎を一本一本、どれだけの実がなっているのかを調べるのはかなりの手間である。
そんな悪条件でもはや探し始めてからどれほどの時間がたったのかもわからない。時間の感覚などとっくの昔に完全に失ってしまった。
だがそれでも七つも実がなっている茎は決して見つかることはない。
今まで調べたどの茎も一本の茎に四つ、五つ、六つしかなっていないのである。
その割には一つの畑の茎を全部調べ終わっても、そのすぐ隣にはまた別の畑が〝出現〟する。
もはやスクナビコナにとってもこの作業は永遠に終わらないのではないか、とさえ思えてくるほどである。
もう肉体的にも精神的にもとっくに限界は超えている。
実際、今までだって何度も途中で止めたいと思ったものだ。
だがそのたびにスクナビコナは気持ちを奮い立たせる。
確かに自分も苦しい状況だが、チュルヒコだって自分と同じか、あるいはそれ以上に辛い思いをしているに違いない。
そんなチュルヒコをもし自分がここで諦めてしまったら、いったい誰が救い出すというのか?
チュルヒコを助け出せるのは間違いなく自分以外におらず、チュルヒコも自分が救いに来てくれるのを信じて待っているに違いないのである。
それを思えば決して投げ出すわけには行かない。
自分がナスを探すのを諦めることはチュルヒコを助け出すのを諦めることに他ならないのである。
必ず、必ず〝七つのナスの実が全部東を向いてなっている茎〟は見つかる。
そう信じて、スクナビコナはただひたすらに畑のナスの茎を一本一本調べていくのだった。
いったい探し始めてからどれほどの時間がたったのだろうか?
それは長いようでもあり、短いようでもある時間である。
とにかくスクナビコナは夜を徹して〝七つのナスの実が全部東を向いてなっている茎〟を探し続けている。
だがない!
相変わらず〝新たな畑〟は出現し続け、調べるナスの茎に困ることはない。
しかしそれでも決してスクナビコナが探し求めているナスは見つかることはないのである。
この終わらない〝単調作業の無限ループ〟はもはやスクナビコナに課せられた〝永遠の責め苦〟のようなものである。
だがそれでもスクナビコナは無心でナスの茎を調べ続ける。
その先にいつか〝終わり〟があると信じて。
そしてまた再びチュルヒコとの元通りの日々を取り戻せると信じて。
そのときである。
「…うわっ、まぶしい……」
突然スクナビコナの視線の先に光が差す。その先には光り輝く太陽が。
「…朝が来たんだ……」
あまりにも長時間に及んだスクナビコナの〝単純作業〟はついに夜を明けさせてしまったのである。
「…さあ、やるぞ!」
朝日に再び力を与えられたスクナビコナは作業を再開させる。すると―
「…これは……?」
スクナビコナは目の前にある一本のナスの茎を凝視する。そして改めて茎にいくつのナスの実がなっているか数えてみる。
「…一つ、二つ、三つ……」
スクナビコナはナスの実の数を慎重に数え始める。
「…五つ、六つ、七つ……!」
スクナビコナは数え終わると、大きく目を見開きながら、何度も実の数を確認する。
「七つだ!間違いない!ちゃんと七つあるぞ!」
スクナビコナは喜びのあまり、大声で叫びながら飛び跳ねる。
「しかも全ての実が東を向いてるぞ!」
スクナビコナが見つけた茎はちゃんとなっている七つのナスの実が、今顔を出したばかりの太陽のほうを向いているのである。
「よしっ、ナスを取るぞ!」
そう言うと、スクナビコナはナスの茎に飛びつき、ナスがなっている茎の元の部分を巧みに折る。
「よっしゃあ、取れた!」
こうしてスクナビコナは七つのナスの実がついている茎を背負って、地面に引きずりながらも、老婆の家へと向かうのだった。
「さあ、着いたぞ」
スクナビコナは老婆の家と馬小屋が同時に見渡せる位置までやってくる。
もはや太陽はある程度の高さに昇り、周囲はすっかり明るくなっている。もう完全に午前中と言っていい時間帯である。
「…うん、ナスのほうは傷ついたりしてないかな?」
スクナビコナはここまで地面を引きずりながら持ってこざるを得なかった、ナスの実が傷んでいないか確認してみる。
無論、スクナビコナとしては可能な限りナスを傷つけないように気をつけたつもりではある。
しかし七つのナスの実がついている茎は小さなスクナビコナの体よりも大きかったため、どうしても地面に引きずりながらここまで持ってこざるを得なかったのである。
「…大丈夫だ。傷一つないぞ…。このナス、すごいな……」
スクナビコナはずいぶん地面に引きずったはずだったにもかかわらず、一切傷がないナスの実に驚く。食べればチュルヒコが元の姿に戻るというナスは、やはり何か特別なもののようである。
「…さてと、どうしようかな……?」
スクナビコナはこのあとどうすべきかを考える。
「…しばらくは様子を見たほうがいいかな……?」
なるべく早くチュルヒコを救い出したいのはやまやまだが、何しろこの時間帯はまだ明るい。
老婆がこの時間に何をやっているのか分からない以上、こちらがむやみに動けば見つかってしまう危険性もある。
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