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スクナビコナとろくろ首⑥―チュルヒコ、家の中で五体の死体を発見!…それはいったい何を意味するのか?―
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「…さてと、そろそろいいかな……」
そうつぶやくと、スクナビコナはおもむろに灰の中から抜け出し、立ち上がる。
するとそのときである。
『スクナ!』
『スクナ殿!』
すぐにチュルヒコとハツカノミコトがスクナビコナの元に駆け寄ってくる。
「ん?タケルにハツカ殿…、よくここに来れたな」
『うん、家の戸も、この部屋の戸も両方開けっ放しになってたから』
『我々はここまで簡単に入ってくることができたというわけです』
「そうか…、でもタケルとハツカ殿がここに来たってことは……」
『うん、あいつらが全員家の外に出て行ったよ!』
「やっぱり、そうか!」
『しかもあの者たちときたらとんでもない姿をしておりましたぞ!』
「とんでもない姿!どんな?」
『首だけで空を飛びながら家から飛び出していったんだ!あんなの生まれて初めて見たよ!』
『しかも五つもです!』
チュルヒコもハツカノミコトも興奮しながら言う。
「…首だけ…、これがクエビコ様も言ってた〝ろくろ首〟ってやつか……」
『うんっ!絶対にそうだよ!…ってことは……』
「ああ、ここからは最後の仕上げだ!計画通りに僕は馬小屋のほうに向かう!」
『じゃあ僕たちも予定通りに動くね!』
「ああ、そっちは任せたぞ!」
そう言うと、スクナビコナは家を飛び出して馬小屋へと向かう。
『頑張って!』
『お気をつけて!』
家の外へと疾走するスクナビコナの背中にチュルヒコとハツカノミコトが声をかけるのだった。
『…うーむ。…タケル殿これは……』
『…うーん、…家の戸が全部開いている……?』
チュルヒコとハツカノミコトは家の入り口から入ったばかりの部屋で、開いている戸の先を見つめながら言う。
部屋の中からでもかなり奥にある部屋まで戸が開いているのがわかる。
『…おそらくいくつもの戸がこうして開けっ放しになっているのは〝首の通り道〟をあらかじめ用意しておく必要があったためだ……』
『…ということはこの奥には……』
チュルヒコはこの奥にあるものを心の中で想像して息をのむ。
『…とりあえず奥に行ってみよう。話はそれからだ』
『…そうですな……』
チュルヒコとハツカノミコトは意を決して、戸の隙間から部屋の奥へと進んでいく。そんな二匹の後ろからは大勢のネズミたちが続くのだった。
『…これは……!』
『…ついにあったか……!』
戸が開いている先の最も奥の部屋に入ったチュルヒコとハツカノミコトは、部屋の中に広がっている異様な光景を見て、一瞬これは現実なのかと我が目を疑う。
部屋にあとから入ってきたネズミたちも、信じられない、何これ、などとつぶやきながら〝それら〟を見る。
しかし無論これは夢の中の景色などではない。
『…首のない人間の死体が五つ……』
部屋の中には首のない五つの体が仰向けのまま横たわっている。
五つの体はそれぞれ老婆、中年の男、中年の女、若い男、若い女、と思われるものである。
『…とりあえず近づいて調べてみようよ……』
『…はい……』
チュルヒコとハツカノミコトは慎重に〝死体〟のそばに近寄ってみる。他のネズミたちもその後に続く。
『…いきなり動き出したりはしないと思うけど……』
チュルヒコはまず〝死体〟の首のそばに向かう。
『…首の根もとは傷口もないし、血もついてないな……』
『…殺されたりしたわけではないということでしょうか?』
『うん、殺されたわけじゃないだろうね。…よし、この〝死体〟が生きてるのかどうか調べてみよう……』
そう言うと、チュルヒコは試しに〝死体〟のうちの一つに登り始める。
『…タケル殿、大丈夫ですか……?』
ハツカノミコト以下、他のネズミたちはそんなチュルヒコの様子を不安げに見守る。
チュルヒコは〝死体〟の左胸辺りに歩いて行き、耳をつけて〝音〟がしているのかを調べる。
『…この体、心臓が動いてる!生きてる!生きてるよ!』
チュルヒコは興奮しながら叫ぶ。
その言葉を聞いた四匹のネズミが、それぞれ他の四体の〝首なし死体〟の上に登り始める。
そして四匹のネズミたちもそれぞれに〝死体〟の〝生存〟を確認する。
『…なんと、…この者たちは首がない状態で生き続けている……?』
ハツカノミコトは信じられない、といった様子で言う。
『…体から首を自由に切り離し、飛び回ることができる。これはクエビコ様が言っていた〝ろくろ首〟の特徴だ』
チュルヒコは他のネズミたちに〝ろくろ首〟のことを説明する。
『…ということは先ほど我々がこの家の入り口の前で目撃した五つの空飛ぶ首たちは……?』
ハツカノミコトは恐る恐るチュルヒコに尋ねる。
『うん、ここにある胴体から首だけが離れて飛んで行った。それがこの状況と僕たちが見たものから導き出せるもっとも〝合理的な説明〟だ』
『…体から首だけが離れて自由に空中を飛び回る。…とんでもない怪物がこの世にはいるものだ……』
チュルヒコの話を聞いて、ハツカノミコトは驚愕する。
『…タケル様!そんな化け物をどうやって退治すればいいんですか?』
ネズミのうちの一匹がチュルヒコに質問する。
『うん、そのことなんだけど……』
チュルヒコが説明を始める。
『…クエビコ様によれば〝ろくろ首〟にはある〝弱点〟があるらしいんだ』
『弱点?』
『それはどんなものなんです?』
ネズミたちが口々にチュルヒコに尋ねる。
『…〝ろくろ首〟はね、首と胴体が離れている間に胴体を別の場所に動かしてしまうともう首が元に戻れなくなってしまうみたいなんだよ』
『首と胴体が離れている間に―』
『胴体を別の場所に動かすと―』
『首が元に戻れなくなる―』
『…ということは……?』
ネズミたちは口々にチュルヒコの言った説明を復唱しながら、考え込むようなしぐさを見せる。
『…ここにある胴体をどこか別の場所に動かしてしまえばいい、ということではありませんかな!』
ハツカノミコトが〝答え〟を言う。
『うん、そういうことだ!』
『ははっ、〝正解〟のようですな!』
ハツカノミコトは自分が〝答え〟を言い当てたことを、少しだけ自慢げに誇る。
『よしっ、これからみんなで力を合わせてここにある五つの胴体を全部家の外に運び出してしまおう』
チュルヒコはネズミたちに今後の〝方針〟を示す。
『しかし家の戸は皆少ししか開いておりません』
『胴体を外に運び出すには途中にある戸を全て全開にする必要があります』
ネズミたちがチュルヒコの〝計画〟の問題点を指摘する。
『うん、確かにそうだな。だったら胴体を運び出す前に、この部屋から家の外に行くまでの間にある戸を全部先に全開にしてしまおう』
チュルヒコの言葉を聞いてネズミたちは、わかりました、はいっ、などと口々に返事する。
『よし、じゃあ、まずはこの部屋の戸からいこう!』
チュルヒコはそう言うと、この部屋の戸へと向かって歩き始める。その後ろからはハツカノミコト以下、全てのネズミたちが続くのだった。
そうつぶやくと、スクナビコナはおもむろに灰の中から抜け出し、立ち上がる。
するとそのときである。
『スクナ!』
『スクナ殿!』
すぐにチュルヒコとハツカノミコトがスクナビコナの元に駆け寄ってくる。
「ん?タケルにハツカ殿…、よくここに来れたな」
『うん、家の戸も、この部屋の戸も両方開けっ放しになってたから』
『我々はここまで簡単に入ってくることができたというわけです』
「そうか…、でもタケルとハツカ殿がここに来たってことは……」
『うん、あいつらが全員家の外に出て行ったよ!』
「やっぱり、そうか!」
『しかもあの者たちときたらとんでもない姿をしておりましたぞ!』
「とんでもない姿!どんな?」
『首だけで空を飛びながら家から飛び出していったんだ!あんなの生まれて初めて見たよ!』
『しかも五つもです!』
チュルヒコもハツカノミコトも興奮しながら言う。
「…首だけ…、これがクエビコ様も言ってた〝ろくろ首〟ってやつか……」
『うんっ!絶対にそうだよ!…ってことは……』
「ああ、ここからは最後の仕上げだ!計画通りに僕は馬小屋のほうに向かう!」
『じゃあ僕たちも予定通りに動くね!』
「ああ、そっちは任せたぞ!」
そう言うと、スクナビコナは家を飛び出して馬小屋へと向かう。
『頑張って!』
『お気をつけて!』
家の外へと疾走するスクナビコナの背中にチュルヒコとハツカノミコトが声をかけるのだった。
『…うーむ。…タケル殿これは……』
『…うーん、…家の戸が全部開いている……?』
チュルヒコとハツカノミコトは家の入り口から入ったばかりの部屋で、開いている戸の先を見つめながら言う。
部屋の中からでもかなり奥にある部屋まで戸が開いているのがわかる。
『…おそらくいくつもの戸がこうして開けっ放しになっているのは〝首の通り道〟をあらかじめ用意しておく必要があったためだ……』
『…ということはこの奥には……』
チュルヒコはこの奥にあるものを心の中で想像して息をのむ。
『…とりあえず奥に行ってみよう。話はそれからだ』
『…そうですな……』
チュルヒコとハツカノミコトは意を決して、戸の隙間から部屋の奥へと進んでいく。そんな二匹の後ろからは大勢のネズミたちが続くのだった。
『…これは……!』
『…ついにあったか……!』
戸が開いている先の最も奥の部屋に入ったチュルヒコとハツカノミコトは、部屋の中に広がっている異様な光景を見て、一瞬これは現実なのかと我が目を疑う。
部屋にあとから入ってきたネズミたちも、信じられない、何これ、などとつぶやきながら〝それら〟を見る。
しかし無論これは夢の中の景色などではない。
『…首のない人間の死体が五つ……』
部屋の中には首のない五つの体が仰向けのまま横たわっている。
五つの体はそれぞれ老婆、中年の男、中年の女、若い男、若い女、と思われるものである。
『…とりあえず近づいて調べてみようよ……』
『…はい……』
チュルヒコとハツカノミコトは慎重に〝死体〟のそばに近寄ってみる。他のネズミたちもその後に続く。
『…いきなり動き出したりはしないと思うけど……』
チュルヒコはまず〝死体〟の首のそばに向かう。
『…首の根もとは傷口もないし、血もついてないな……』
『…殺されたりしたわけではないということでしょうか?』
『うん、殺されたわけじゃないだろうね。…よし、この〝死体〟が生きてるのかどうか調べてみよう……』
そう言うと、チュルヒコは試しに〝死体〟のうちの一つに登り始める。
『…タケル殿、大丈夫ですか……?』
ハツカノミコト以下、他のネズミたちはそんなチュルヒコの様子を不安げに見守る。
チュルヒコは〝死体〟の左胸辺りに歩いて行き、耳をつけて〝音〟がしているのかを調べる。
『…この体、心臓が動いてる!生きてる!生きてるよ!』
チュルヒコは興奮しながら叫ぶ。
その言葉を聞いた四匹のネズミが、それぞれ他の四体の〝首なし死体〟の上に登り始める。
そして四匹のネズミたちもそれぞれに〝死体〟の〝生存〟を確認する。
『…なんと、…この者たちは首がない状態で生き続けている……?』
ハツカノミコトは信じられない、といった様子で言う。
『…体から首を自由に切り離し、飛び回ることができる。これはクエビコ様が言っていた〝ろくろ首〟の特徴だ』
チュルヒコは他のネズミたちに〝ろくろ首〟のことを説明する。
『…ということは先ほど我々がこの家の入り口の前で目撃した五つの空飛ぶ首たちは……?』
ハツカノミコトは恐る恐るチュルヒコに尋ねる。
『うん、ここにある胴体から首だけが離れて飛んで行った。それがこの状況と僕たちが見たものから導き出せるもっとも〝合理的な説明〟だ』
『…体から首だけが離れて自由に空中を飛び回る。…とんでもない怪物がこの世にはいるものだ……』
チュルヒコの話を聞いて、ハツカノミコトは驚愕する。
『…タケル様!そんな化け物をどうやって退治すればいいんですか?』
ネズミのうちの一匹がチュルヒコに質問する。
『うん、そのことなんだけど……』
チュルヒコが説明を始める。
『…クエビコ様によれば〝ろくろ首〟にはある〝弱点〟があるらしいんだ』
『弱点?』
『それはどんなものなんです?』
ネズミたちが口々にチュルヒコに尋ねる。
『…〝ろくろ首〟はね、首と胴体が離れている間に胴体を別の場所に動かしてしまうともう首が元に戻れなくなってしまうみたいなんだよ』
『首と胴体が離れている間に―』
『胴体を別の場所に動かすと―』
『首が元に戻れなくなる―』
『…ということは……?』
ネズミたちは口々にチュルヒコの言った説明を復唱しながら、考え込むようなしぐさを見せる。
『…ここにある胴体をどこか別の場所に動かしてしまえばいい、ということではありませんかな!』
ハツカノミコトが〝答え〟を言う。
『うん、そういうことだ!』
『ははっ、〝正解〟のようですな!』
ハツカノミコトは自分が〝答え〟を言い当てたことを、少しだけ自慢げに誇る。
『よしっ、これからみんなで力を合わせてここにある五つの胴体を全部家の外に運び出してしまおう』
チュルヒコはネズミたちに今後の〝方針〟を示す。
『しかし家の戸は皆少ししか開いておりません』
『胴体を外に運び出すには途中にある戸を全て全開にする必要があります』
ネズミたちがチュルヒコの〝計画〟の問題点を指摘する。
『うん、確かにそうだな。だったら胴体を運び出す前に、この部屋から家の外に行くまでの間にある戸を全部先に全開にしてしまおう』
チュルヒコの言葉を聞いてネズミたちは、わかりました、はいっ、などと口々に返事する。
『よし、じゃあ、まずはこの部屋の戸からいこう!』
チュルヒコはそう言うと、この部屋の戸へと向かって歩き始める。その後ろからはハツカノミコト以下、全てのネズミたちが続くのだった。
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