役立たずと追い出されるはずがパーティーのリーダーに任命されました

モルガナ

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第1章 王国叙勲式

魔獣と魔族の実情

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俺は今、神の使いとも言われる神獣 フェンリルのレオンに乗りながら猛烈に後悔している。
なぜなら俺は絵本や童話に出てくる勇者のように勇猛果敢に敵に挑み、勝利を収め凱旋するとその先の未来は想像に難くないからだ。


童話などでは、1人の勇敢な若者が民を脅かす魔物をバッタバッタと勇者に相応しい業物である聖剣を片手になぎ倒し、最後は諸悪の根源である魔王を討ち滅ぼし、王国の姫を魔王城から救い2人は結婚してハッピーエンドを迎えるというものが通例だ。


だがそれは、人間に都合良く脚色されたものであることを俺は知っている。
なぜならこの世界には魔獣と魔物という似て非なる種族がそれぞれおり、魔獣は人間の身体にケモミミや尻尾が生えているだけで人間達と同じように生涯のパートナーである番(つがい)に求愛し繁殖行為を行う種族で自分達に敵意を向けられない限り、温厚で他者の種族を攻撃したりせず反対に弱っている者に対しても看病するなど優しい一族であるのだから。



反対に魔物達は、魔王をヒエラルキーのトップにした魔族の配下である。魔族は、魔力の源である空気中に漂う魔素やダンジョンなどに存在する魔石を利用して魔物を生み出す為の藁で編んだ人形や人型に切り出した紙(日本でいうところの式神の依り代のようなもの)をモンスターポット(魔物鍋)と言われる魔道具で材料さえあれば、繁殖行為を行わずとも無限に強弱様々な魔物を生み出すことができ、魔族は人間や魔獣達のように喜怒哀楽の表現をあまりせずただ領土拡大と魔王の名を世界に轟かせる為日夜活動をしており性格は、
残忍な者が多いそうだ。


俺がこの事実を知ったのは、俺が5歳になって初めて両親の傍から離れて、生まれ故郷のジュラフ村近くの新人冒険者のレベルアップの為の第1関門と言われているゼブラ大森林に遊びに行った時のことだ。



この世界には、人間だけでなく魔族、ドワーフ、エルフ、ビースト(獣人=ケモミミを持つ者の総称)、エレメンタル(精霊や妖精の総称)などいろいろな種族が住んでおり、様々な種族が自分の住みたい場所で生活している。


俺の暮らすジュラフ村は、様々な果樹が栽培されこの村でしか取れない特産品も多々ある。
また自然豊かなおかげで、魚や獣達、キノコなどの食料も多く取れる為、ジュラフ村の子供達は、代々親達から畜産や農耕、狩猟などを徹底的に叩きこまれる為皆、親が畜産や養蚕などの仕事に勤しむ間に狩猟やキノコや山菜などの採取をするのが日課になっていた。



俺の父親は、顔立ちは冷涼な美貌を持つ青年だったそうで剣の才能があったらしくたまたま村を通りかかったシルフォニア王国の王都で華々しく活躍している紅蓮(グレン)隊の団長に力量を認められ、定期的に王都まで行き、この村初の騎士団の一員として働いている。


俺の母親は村一番の美女だったそうで、高嶺の花だったらしいが、他の人には目もくれず美貌ではなく自分自身のことを見てくれる父の熱烈なプロポーズを受けて結婚を決意したそうで今でもラブラブだ。


とまぁ5歳の頃初めて腕試しがてらゼブラ大森林を流れるタートル川の魚やキノコなどを取りに行こうと川に近づくと3、4メートル先の開けた場所に魔獣か魔物を取り囲むように冒険者だろうか?……見た目にも分かるような重厚そうな鎧を着た男達が10人ほど2匹のフェンリル?らしきものを取り囲んでいた。

"へっへっへ、ついに追い詰めたぞ!観念しろ。"


'お前は武器として、子供は貴族の愛玩動物または他傷行為をするのが好きな好きものの貴族に可愛がられるだろうよ'

アイツら何をしようとしているんだ?って大きいフェンリルの方は既に手負いじゃないか!?



ジリジリと大小2匹のフェンリルを取り囲むように冒険者達が、武器を持って近寄ってくるのが見えたが、1人の剣士の刃が赤い血に染まっていた。


まさか…アイツらが傷付けたのか?


と影から見守ることにしかできない俺に助けを求める声が聞こえきた。


<ダレカ、ダレカ…カアサマヲタスケテ。コノママジャカアサマガコロサレテシマウ…


コイツラハタスケテアゲタノニウラギッタ>


おいおい!?マジかよ?この世界ではフェンリルは神の使いと言われており神聖なものとされているが、その価値の高さ故にフェンリルを運良く捕まえて奴隷にする従属の首輪で貴族の愛玩動物にされたり、殺されて解体されたあげく丈夫な骨や牙を冒険者の高位ハンター向けの武器として売買する輩が後を絶たないと前に父様が教えてくれた。


普通なら国がそういう輩を取り締まられねばならないが、今のシルフォニア王国は初代国王が堅実で人が良く様々な種族とも平等に接し交易していた偉大な勇者だった為、2代目、3代目と勇者の血脈が受け継がれていく度に少しずつ、王族達は他種族との交流や交易も上から見下すようになり少しずつ他種族から孤立して行きしまいには堕落して行き、自己中心的な人族至上主義の国家を形成していった為に人ではない、フェンリルの保護も放棄しむしろ推奨しているくらい今のシルフォニア王国は腐っているらしい…


俺はこのままではフェンリルが殺されて解体してしまうのを助ける為に赤ん坊の頃から聴こえた謎の声の主に導かれるままに今まで誰にも見せたことがなかったが密かに鍛錬をしてきた奥の手を使うことにした。



なぜかこの魔法を使うと普段の黒髪が金髪にアイスブルーの瞳が金色になるが、そんなこと今は構っていられない一刻を争うので

血まみれのお母さんフェンリルに襲い掛かろうとする冒険者達に向かって指を銃の形にロックするとすばやく

ライト スパーク(光よ 爆ぜろ)


と唱え1メートルほどの光の球体を魔法で出現させ同時に掛けておいた雷魔法で10人の冒険者の鎧に向かって狙い撃ちすると物の見事に策は成功し金属の鎧を纏った冒険者達は皆感電して気を失った。



俺はそっと様子を伺い2匹のフェンリルが無事であることを確認すると少しずつ近寄って行った。




お前ら大丈夫だったか?



<君が助けてくれたの?ありがとう!でもね…なんだか母様の様子がおかしいの!!>

とつぶらな可愛らしい瞳でこちらを見上げてくる子フェンリルが今にも大粒の涙を出しそうになっていた。


今様子を見てやるからな、ちょっと待ってろ!な?


とポンポンと頭を撫でて宥め、お母さんフェンリルに話しかけた。



お前は大丈夫か?今、怪我を治してやるからな…


とお母さんフェンリルに治癒魔法を掛ける為触ろうとしたが、


"ワ、レニサワルナッ……ハァハァグァァァァ…"

と牙を剥き威嚇したが既に誰かが捕まえる為に従魔の首輪をかけていたようで痛みに我を忘れ神聖な光が失われ黒いオーラを纏って子フェンリルを残して大森林を走り去ってしまったのだった。







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