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弟ポジション5
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珍しく藤咲 央が朝礼ギリギリで登校した様子を廊下で見守って違和感を感じた桐嶋 朔は後悔の中にいた。
前日に無防備なのに弱音を吐こうとせず、それどころか自分の知らない時間を忙しさ理由に置き去りして放置していたことを悔やんでも悔やみきれない。
戻れることなら戻りたい。
違和感を拭えなかった自分をどこまで行動できるかわからない。
様子が伺える廊下にさり気なく出て、央の様子を見ていく。
耳元、赤くなっている。
痛くないのか?
あ、なんか教室から出てくる。
力があまり入っていないようだ。
どこに行く?また執務室?
こちらの方へくる。
視界に入らないようにして央が通りすぎるのを意識する。
…央、こっちに気づいてるのでしょう。
こちらからは近づきません。
あ、曲がった。
下に降りてどこへ?
追いかける?
でも…
ダダダダ、ダンダン
と、央の向かった階段で音がする。
急いで目にしたのは、階段の下踊り場で倒れている央。
動く気配がない。
脈を診ようと手首を触れたとき、その細さに心臓が鳴った。
なぜ?こんなに細い?
階下の人間たちも音のした様子を伺っている。
この状態なら目撃した人はいないな。
動かすには控えたほうがいいのか?
急いで、医務室の担当を呼ぶよう、動けそうな人間に指示をし、見世物ではないので使えそうな人間にうまいよう、人を散らすようにしていく。
その後、救急搬送をされたあと、その場所を見る。
血。
…役に立てなかった。
…守れなかった。
すぐにそばに行き、状態を確認したい。
無理を言って医務室の担当の先生に聞いてみるが、はっきりと応えてもらえなかった。
すこしでもと思ってメールも一応、送っておく。
自分の未熟さに嫌気がする。
央の分も、やっておかなくては。
イベント間近に役員の怪我。
普通なら責任問題を出してくる人間がいそうだが、人一倍、普段まじめにしているだけあってみんなからの人望は厚い。
上級生からも高評価をもらっている藤咲のあけた穴。
自然と協力し成功をおさめるのだが、それは結果。
様子の情報は一切入ってこず、メールの返信もなく他の役員も怪訝な様子である。
そして数日後、生徒会役員一同、集められた。
藤咲 央から役職を下りる意思を受けたそうだ。
みんな理由が知りたく顧問に問いてみたが、それは顧問も同じであった。
そこで、返信などが返ってきたものが誰もいないことを確認できた。
親しくしていたことは他の人間も知っているので届ける物などを率先して受け自宅に行く理由を取り付けた。
久しぶりに央と一緒にいた時に乗り合わせていた時刻の電車に乗って気づく。
周囲の学生や社会人がこちらを見ている。
央狙いの顔ぶれだ。
まさか自分のいなかった時にまた、怖がらせる原因を与えたのでは・・と思ったら、朔の表情は氷の如く目つきも鋭くなっていった。
居心地の悪い電車から降り、央の家へと向かう。
比較的人通りの多い場所を通って住宅街に入ったところに央の家はある。
ふと、数メートル先に他校の制服を着た女子高生がいた。
央の家の方に入って、カバンから取り出した鍵で入っていく。
家族なのか。
朔は自分の見た目が女子に好評なのを今回ばかりは行動を起こす起爆剤になったひとつともいえる。
彼女をどうにか自分とつながりを持てたら…学校でかぶっている優等生を演じて交渉開始。
藤咲家の家のインターホンを鳴らす。
…居留守使うか?
『はい。』
「こちら、藤咲央くんと同じ学校の桐嶋と申します。
学校の方から配布物を預かってきました。
急ぎではないのですが、央くんがいつも気にしているので寄らせていただきました」
『すみません、確認をとるのでしばらくお待ちください』
警戒されて当然だな。
このご時世、仕方がない。
玄関のドアが開き、こちらの様子を伺いながら近くまで出てきたのは、先ほど見かけた人だった。
改めて自分のことを知らせて警戒を解いてもらう。
央の妹であると知らせてもらう。
両親は不在の様子である。
央の様子をたずねてみたがやはり濁された。
一緒に登下校などしていて身近にいることをアピールしてみるが、思うようにこちらが求めているようにいかない。
「桐嶋さん、すみません。
せっかく来てもらったのに何も力になれなくて」
・・・
「わかりました。
明日も尋ねます。
すみません、大切な人なので…」
一応、納得した様子を見せるが、押してみる。
諦めない。
翌日も家をたずねると妹とお兄さんが出てきた。お兄さんもいることを初めて知る。
どうも普段は住んでいるところが違うため一緒には住んでいないが、ご両親の不在のため、付き添ったとのことだった。
大人の雰囲気のある落ち着いた人。
家なのに身だしなみにスキがなくかなり切れ者であるようだ。
表面は良いお兄さんのようだが、かなり人を見極めるのがうまいようだ。
央の様子を教えてもらう。
こちらも普段の学校での央の様子、こちらの親しいことなども知らせていく。
毎日の訪問、連絡先の交換を妹とし、帰路につく道中、お兄さんと一緒に話をした。
「桐嶋くん、本当は央を手に入れたいんだろ。」
押しすぎたか。
「いきなり何をおっしゃるのですか?」
「では、いらないんだね」
どういう意味だ。
「いらないと言われても、どういう意味でのいらないかがわからないのですが…」
「このままでは央は桐嶋くんから離れるようになるし、そのつもりでいるようだよ」
立ち止まって言われた意味を繰り返し、そんなことはさせない。
「それは困りましたね」
「そうだろうね、君の様子だと余裕そうだから一応、オニイサンからのアドバイスだよ」
この兄、かなり油断できない。
だが、味方をしてくれるようである。
「今日の様子を見て思ったのだけど、央は何かに怯えているね。
人にいきなり触れられるのを怯えている。
そのせいか、精神的に参っているようでね。
妹はこれから病院から帰ってくる両親から聞くだろうから気にしてないが、目が覚めてから分かったことはあるんだ。
…視力が戻ってないんだ。
手首や肘のあたりも捻挫や深めの傷があるんだけど、これは治るので心配はしていない。
ただ、視力の方はいろいろと検査をして異常はないけど原因があるなら心理的な負担の部分であると言われた。
このままでは通学もできないし、学校生活もできないだろう。
それに、将来のつく仕事にもかかわることで根本的に見直しておく必要がある。
…たぶん、転校の話はすぐに出てくるだろう。
そうなると、君がかかわりを持ちたくてもだんだんと疎遠になってくるだろうね。
君がもし、央の心理的なものをつきとめ解消していくなら改善していくのではないかな。
ただ、央はあまり弱音を吐かなくてね、家族でも難しい時があるんだよ。
別に俺にいちいち報告はしなくていい。
…ただ、央のそばで央を支えて欲しい」
最後に頭を下げてお願いされる。
「頭を上げてください。
お願いされる必要はないですが、オニイサンの気持ちは受け取らせてもらいました」
ある意味、遠慮をしなくてもいいのかもしれない。
「あ、卒業するまでは手をださないでね。
でないと、地味な嫌がらせをずっとするから」
手を出すとはどういうこと?キスはいい?
「俺も溺愛体質なんだけど腹黒いのも似てるから桐嶋くんのこと、応援する。
弟をよろしく」
そう言ってお兄さんは帰っていった。
普通、男に囚われそうな弟を守ったりすると思うのだが、違った。
央の良さは見た目の儚さやかわいらしさだけではない。
見た目で寄ってくる人間と同じに思われていなくてよかった。
それにしても、央の心理的な負担。
出会った頃の央は登下校の声掛け、勧誘などがあってそれがストレスに感じるようだった。
人間不信と言っているのにもそのあたりの経験が原因だろう。
この前の執務室での拒絶も、本人も自分の反応に驚いていたように思う。
体が反応してしまったのかもしれない。
目が見えていない。
…一人暮らしをするにあたって兄の所持している多くあるうちのマンションの一室に暮らしている。
駅を挟んでマンションが多くあるエリアと一軒家が並ぶエリアに分かれていて、買い物にも便利なため選んだのだが央との時間が増えるのは正直、うれしい。
一人暮らしにしては広めの部屋をつかわせてもらっているので寂しい時もある。
使っていない部屋もある。
いずれ、もっと親しくなる央と一緒に過ごす時間があっても楽しいだろうと思っていた。
お兄さんの話を聞いていると転校の話もすぐでるのかもしれない。
…どうするべきか。
藤咲の兄と話をした翌日から桐嶋朔の様子が変わった。
学校でいつも静かに最後までその日の業務を行っていたのに、休み時間や早めに登校して業務をこなしているようである。
放課後、朔は毎日のように央の様子を伺いに藤咲家に足を運んだ。
だんだんと家族とも打ち解け、だいぶ本音を聞けるようになってきていた。
「桐嶋君、央くんって忙しかったのかな?
病院に行く少し前かな?
いつもより早めに帰ってきたんだけどあまり体調がよくなかったみたいなの。
学校から帰るとき、だいぶ元気になってきてたのになんか高校に入ったときみたいなんだよね。
…で、この前、たまたまスマホのニュースを読んでて電車嫌いの一番の理由って痴漢被害なんだって。
当てはめてみたら、央くんも電車の話は好きではないみたい。
…これって、気にならない?
ちなみにBLって知ってるよね?」
「そんな話は今まで聞いたことがないですよ。
BLって漫画とか小説のやつですよね。
boys loveですね」
「そう、そのBLを読んでいて結構、狙われるのが儚げとか大人しめとか背が低いとかかわいいとか」
そばで聞いていたご両親も、
「そうなのよ、BLでは結構痴漢とか狙われるのよね。
そのあと、助けてもらったりしてドキドキするのよ。
…BLはファンタジーっていうじゃない?
でも、リアルの表現は結局リアルから生まれてくるものなのよ。
でも、央くんはBL脳があるわよね。
だって私たちの物を全部読んでたりするんだから。
…あは。バラしちゃった」
「か、かあさん。
父さんは、そんな趣味はないのだが、まぁ、制服を着ていると特に遭遇率はあがると聞いたことがある」
「…そうですか…」
「もし、央くんがあっても、自分からは言わないよね。
絶対に我慢すると思う。
頑固だよね。
視力もそこから来てたりして・・・。
桐嶋くん、ちょっと協力してほしいんだけど」
「わかりました。
あと、ご相談なんですが、お休みをしている間の授業などを私の家で勉強をすることで補えるように配慮してもらおうと思っています。
実は一人で暮らしている家ですが、空いている部屋がありますし、冬休みは何かと忙しいでしょう。
こちらは学生ですから自由に動けると思います。
もし、央さんの了解を得ることができたら許可していただきたいです。
もちろん、無理にとはいいませんが、毎日、お互いの家を通うこともできるのですが、央さんに一番必要なのは落ち着く環境だと思います。
家族には打ち明けることができないこともあるかもしれません。
…どうでしょう」
いきなりの申し出で戸惑うこともあるので、検討をすることを知らせて央の妹との話になった。
央の妹の話では、目が見えないので央自身の所有しているスマホは電源を落としてあるそうだ。
あと、制服のポケットの中に、使用されたハンカチと一緒に折りたたまれた紙を見つけたことを教えてもらった。
そのハンカチにはうっすらと血がついていたようである。
もしかしたら耳の血だろうか。
あと、紙を見て書かれているメッセージを読む。
「昨日、帰りの電車で会えなかったね。さみしかっただろう。君をまっているからね。」
「これをいつ、受け取ったのかわからないの。
とにかく様子が最近、変だったから。
お父さんたちといるときに、痴漢の話をしたでしょう?
あれって、実はうちの学校でもあるの。
男の子を狙ってるの。
女なら擁護する人は多いでしょうが、男の子はプライドとかあるんでしょうね。
…みんな言えないのよ。
このメッセージって狙いを定めた印象を持つものよね。
これをもし知らない人から受け取ったらとても怖いことだわ。
これを央くんに聞いてもいいんだけど、たぶん、知られたくないと思うの。
人によっては被害を受けているのに、加害者のように非難されるんじゃないのかって思うみたい。
一回負の考えをしてしまうとどんどん深くなるわ。
央くんが退院したら様子を見てそれとなく指摘してみようと思うの。
たくさん、話をしたけどどうかしら?
役員の仕事を下りることも気にはなるけど」
「役員のことは他の生徒も、みんな理由を知りたがっていました。
ただ、目のことを知らせていないから余計に納得がいかない人もいるみたいです。
お兄さんと帰るときに話をしました。
私は央さんのことが大切です。
独占欲なのかもしれません、でも、守りたい。
気づけなかった過去を少しでも忘れてもらえるようにしたいです。
素敵なお兄さんですね。
協力してくれるので心強いです。
あと、会長と副会長が病院に行って確かめたいと言ってました。
メールも返信がないのが気になるようです。
退院したら補助をしながらでも返すようにしてください。
手紙は気になりますね。
央さんも理由があるから持っているのでしょう」
会長や役員の誰かから必ず連絡を取るようメールが入っているだろう。
念のため、確認の時は一緒にいてもらうようにし、行動を知らせてもらう。
そして、央には悪いが、本音をだしそうな時には会話を聞かせてもらことも了承してもらった。
手紙は時期を見ながら。
そして、私のことは会ったことがないものとし話を通すことにしてもらった。
「あまり央さんをいじめないでくださいね。
こちらとしては、甘やかしたいのです」
「桐嶋君、だいぶ本音を言うようになってくれたのは良いんだけど、もしかしてもしかしての央くん、好きです。って感じ?」
「好きですではありません。
心を震わせる存在が藤咲央なのです。
愛でたいです…」
・・・
「…兄はなんと?」
「卒業するまでは手をだすなと…」
「ちなみに、今はどんな状態で?」
「応急処置でキスを。適切な処置ですよ」
「…」」
「反対されますか?
BLと現実は違いので冗談なんてものではありません」
・・・・
しばらく沈黙を置いて、少し待つように言われて彼女は部屋から出ていく。
両親と話をするのだろうか。
反対されても今、央を逃すと私は一生、抜け出せないつまらない人生を送るだろう。
戻ってきた彼女はある質問をしてきた。
「桐嶋蒔」
!!!
「この名前を知ってます?」
「桐嶋蒔とは、我が家桐嶋家の二番目の兄の名前です。
私は3番目です。
…どうして蒔を知っているのですか?」
どうして蒔の名前を知っているのか?
この妹は何を知りたい。
「ごめん、それは蒔さんに教えてもらったほうがいいよ。
ぜんぜん、似てないんだけど…」
蒔に会ったことがあるようで、昔からよく言われる言葉なのでこちらは慣れている。
「構いませんよ。
よく、昔からいらぬ疑いなどいろいろ聞いているのではっきり答えます。
私の祖父がフィンランドの人で孫の私だけその影響でしょう。
一応、調べたので何も、問題ありません」
「…ごめん、もう一回待っててくれる」
今度はなんだか部屋を出ていく足取りがフラフラである。
それから数分後、「えっ!」「あら、まぁ」など、聞こえてきた。
結局、蒔の話は自分で聞くように言われた。
帰って聞くしかない。
両親に挨拶をするため顔を出すと、お母さんはウキウキと楽しそう。
お父さんはこちらと目を合わせるとそらされる。
帰宅して自分からはあまり連絡を取らないが仕方がなく蒔に電話をしてみる。
『もしもし?朔?珍しいな。俺に何か?』
「探るのも面倒だから聞くけど、藤咲家とのかかわりは何?」
『あれ?
央くんから何も聞いてないの?
…そっかぁ、言ってないんだ…』
央とも関りがあることに驚くが、名前を呼ぶことが気に入らない。
それに、何かふくみを持った言い方。
「聞いてない、だから教えろ。
藤咲家の人には蒔に聞くように言われた」
『クックっ。
余裕ないね、朔。
いつもの肩が凝りそうな話し方じゃないな。
…お願いするときは?』
「・・・教えてください、お願いします」
『藤咲家の人に会ったの?』
さっきまでの人で遊ぶ話し方とは違い、いきなり穏やかな声になる。
それから話を聞いた。
『藤咲家の人はいい人ばかりだよ。
央くんにお兄さんがいるのは知ってる?
彼ね、俺とずっと付き合ってたんだけど関係はずっとこのままかなって思ってたの。
…そしたらこの前、プロポーズしてくれたんだ。
それで俺も一緒に両親に報告と挨拶をしに行った。
1日、泊まって帰ってきた。
…認めてもらった。
あいつ、実家に帰るとき「嫁をつれて帰る」って言ってたみたいで、俺は男だろ?
そしたら央くんが女の家って指摘し始めて面白い子だなって思っちゃった。
…藤咲家を俺は大切にしたい…」』
「・・・蒔、ゲイ?違うよな…」
『違うよ、男なら誰でもってわけじゃない』
わかるから混乱してる。
お兄さん!俺が弟って知ってるよな。
やられた。
「俺もその彼氏?
お兄さん?
旦那?
…この前、会って即バレした。
でも、応援してくれるっぽい」
『そっかぁ。
まあ、話したから後はお前が頑張れ。
じゃ』
桐嶋の兄弟は藤咲家と関わりすぎだろう。
前日に無防備なのに弱音を吐こうとせず、それどころか自分の知らない時間を忙しさ理由に置き去りして放置していたことを悔やんでも悔やみきれない。
戻れることなら戻りたい。
違和感を拭えなかった自分をどこまで行動できるかわからない。
様子が伺える廊下にさり気なく出て、央の様子を見ていく。
耳元、赤くなっている。
痛くないのか?
あ、なんか教室から出てくる。
力があまり入っていないようだ。
どこに行く?また執務室?
こちらの方へくる。
視界に入らないようにして央が通りすぎるのを意識する。
…央、こっちに気づいてるのでしょう。
こちらからは近づきません。
あ、曲がった。
下に降りてどこへ?
追いかける?
でも…
ダダダダ、ダンダン
と、央の向かった階段で音がする。
急いで目にしたのは、階段の下踊り場で倒れている央。
動く気配がない。
脈を診ようと手首を触れたとき、その細さに心臓が鳴った。
なぜ?こんなに細い?
階下の人間たちも音のした様子を伺っている。
この状態なら目撃した人はいないな。
動かすには控えたほうがいいのか?
急いで、医務室の担当を呼ぶよう、動けそうな人間に指示をし、見世物ではないので使えそうな人間にうまいよう、人を散らすようにしていく。
その後、救急搬送をされたあと、その場所を見る。
血。
…役に立てなかった。
…守れなかった。
すぐにそばに行き、状態を確認したい。
無理を言って医務室の担当の先生に聞いてみるが、はっきりと応えてもらえなかった。
すこしでもと思ってメールも一応、送っておく。
自分の未熟さに嫌気がする。
央の分も、やっておかなくては。
イベント間近に役員の怪我。
普通なら責任問題を出してくる人間がいそうだが、人一倍、普段まじめにしているだけあってみんなからの人望は厚い。
上級生からも高評価をもらっている藤咲のあけた穴。
自然と協力し成功をおさめるのだが、それは結果。
様子の情報は一切入ってこず、メールの返信もなく他の役員も怪訝な様子である。
そして数日後、生徒会役員一同、集められた。
藤咲 央から役職を下りる意思を受けたそうだ。
みんな理由が知りたく顧問に問いてみたが、それは顧問も同じであった。
そこで、返信などが返ってきたものが誰もいないことを確認できた。
親しくしていたことは他の人間も知っているので届ける物などを率先して受け自宅に行く理由を取り付けた。
久しぶりに央と一緒にいた時に乗り合わせていた時刻の電車に乗って気づく。
周囲の学生や社会人がこちらを見ている。
央狙いの顔ぶれだ。
まさか自分のいなかった時にまた、怖がらせる原因を与えたのでは・・と思ったら、朔の表情は氷の如く目つきも鋭くなっていった。
居心地の悪い電車から降り、央の家へと向かう。
比較的人通りの多い場所を通って住宅街に入ったところに央の家はある。
ふと、数メートル先に他校の制服を着た女子高生がいた。
央の家の方に入って、カバンから取り出した鍵で入っていく。
家族なのか。
朔は自分の見た目が女子に好評なのを今回ばかりは行動を起こす起爆剤になったひとつともいえる。
彼女をどうにか自分とつながりを持てたら…学校でかぶっている優等生を演じて交渉開始。
藤咲家の家のインターホンを鳴らす。
…居留守使うか?
『はい。』
「こちら、藤咲央くんと同じ学校の桐嶋と申します。
学校の方から配布物を預かってきました。
急ぎではないのですが、央くんがいつも気にしているので寄らせていただきました」
『すみません、確認をとるのでしばらくお待ちください』
警戒されて当然だな。
このご時世、仕方がない。
玄関のドアが開き、こちらの様子を伺いながら近くまで出てきたのは、先ほど見かけた人だった。
改めて自分のことを知らせて警戒を解いてもらう。
央の妹であると知らせてもらう。
両親は不在の様子である。
央の様子をたずねてみたがやはり濁された。
一緒に登下校などしていて身近にいることをアピールしてみるが、思うようにこちらが求めているようにいかない。
「桐嶋さん、すみません。
せっかく来てもらったのに何も力になれなくて」
・・・
「わかりました。
明日も尋ねます。
すみません、大切な人なので…」
一応、納得した様子を見せるが、押してみる。
諦めない。
翌日も家をたずねると妹とお兄さんが出てきた。お兄さんもいることを初めて知る。
どうも普段は住んでいるところが違うため一緒には住んでいないが、ご両親の不在のため、付き添ったとのことだった。
大人の雰囲気のある落ち着いた人。
家なのに身だしなみにスキがなくかなり切れ者であるようだ。
表面は良いお兄さんのようだが、かなり人を見極めるのがうまいようだ。
央の様子を教えてもらう。
こちらも普段の学校での央の様子、こちらの親しいことなども知らせていく。
毎日の訪問、連絡先の交換を妹とし、帰路につく道中、お兄さんと一緒に話をした。
「桐嶋くん、本当は央を手に入れたいんだろ。」
押しすぎたか。
「いきなり何をおっしゃるのですか?」
「では、いらないんだね」
どういう意味だ。
「いらないと言われても、どういう意味でのいらないかがわからないのですが…」
「このままでは央は桐嶋くんから離れるようになるし、そのつもりでいるようだよ」
立ち止まって言われた意味を繰り返し、そんなことはさせない。
「それは困りましたね」
「そうだろうね、君の様子だと余裕そうだから一応、オニイサンからのアドバイスだよ」
この兄、かなり油断できない。
だが、味方をしてくれるようである。
「今日の様子を見て思ったのだけど、央は何かに怯えているね。
人にいきなり触れられるのを怯えている。
そのせいか、精神的に参っているようでね。
妹はこれから病院から帰ってくる両親から聞くだろうから気にしてないが、目が覚めてから分かったことはあるんだ。
…視力が戻ってないんだ。
手首や肘のあたりも捻挫や深めの傷があるんだけど、これは治るので心配はしていない。
ただ、視力の方はいろいろと検査をして異常はないけど原因があるなら心理的な負担の部分であると言われた。
このままでは通学もできないし、学校生活もできないだろう。
それに、将来のつく仕事にもかかわることで根本的に見直しておく必要がある。
…たぶん、転校の話はすぐに出てくるだろう。
そうなると、君がかかわりを持ちたくてもだんだんと疎遠になってくるだろうね。
君がもし、央の心理的なものをつきとめ解消していくなら改善していくのではないかな。
ただ、央はあまり弱音を吐かなくてね、家族でも難しい時があるんだよ。
別に俺にいちいち報告はしなくていい。
…ただ、央のそばで央を支えて欲しい」
最後に頭を下げてお願いされる。
「頭を上げてください。
お願いされる必要はないですが、オニイサンの気持ちは受け取らせてもらいました」
ある意味、遠慮をしなくてもいいのかもしれない。
「あ、卒業するまでは手をださないでね。
でないと、地味な嫌がらせをずっとするから」
手を出すとはどういうこと?キスはいい?
「俺も溺愛体質なんだけど腹黒いのも似てるから桐嶋くんのこと、応援する。
弟をよろしく」
そう言ってお兄さんは帰っていった。
普通、男に囚われそうな弟を守ったりすると思うのだが、違った。
央の良さは見た目の儚さやかわいらしさだけではない。
見た目で寄ってくる人間と同じに思われていなくてよかった。
それにしても、央の心理的な負担。
出会った頃の央は登下校の声掛け、勧誘などがあってそれがストレスに感じるようだった。
人間不信と言っているのにもそのあたりの経験が原因だろう。
この前の執務室での拒絶も、本人も自分の反応に驚いていたように思う。
体が反応してしまったのかもしれない。
目が見えていない。
…一人暮らしをするにあたって兄の所持している多くあるうちのマンションの一室に暮らしている。
駅を挟んでマンションが多くあるエリアと一軒家が並ぶエリアに分かれていて、買い物にも便利なため選んだのだが央との時間が増えるのは正直、うれしい。
一人暮らしにしては広めの部屋をつかわせてもらっているので寂しい時もある。
使っていない部屋もある。
いずれ、もっと親しくなる央と一緒に過ごす時間があっても楽しいだろうと思っていた。
お兄さんの話を聞いていると転校の話もすぐでるのかもしれない。
…どうするべきか。
藤咲の兄と話をした翌日から桐嶋朔の様子が変わった。
学校でいつも静かに最後までその日の業務を行っていたのに、休み時間や早めに登校して業務をこなしているようである。
放課後、朔は毎日のように央の様子を伺いに藤咲家に足を運んだ。
だんだんと家族とも打ち解け、だいぶ本音を聞けるようになってきていた。
「桐嶋君、央くんって忙しかったのかな?
病院に行く少し前かな?
いつもより早めに帰ってきたんだけどあまり体調がよくなかったみたいなの。
学校から帰るとき、だいぶ元気になってきてたのになんか高校に入ったときみたいなんだよね。
…で、この前、たまたまスマホのニュースを読んでて電車嫌いの一番の理由って痴漢被害なんだって。
当てはめてみたら、央くんも電車の話は好きではないみたい。
…これって、気にならない?
ちなみにBLって知ってるよね?」
「そんな話は今まで聞いたことがないですよ。
BLって漫画とか小説のやつですよね。
boys loveですね」
「そう、そのBLを読んでいて結構、狙われるのが儚げとか大人しめとか背が低いとかかわいいとか」
そばで聞いていたご両親も、
「そうなのよ、BLでは結構痴漢とか狙われるのよね。
そのあと、助けてもらったりしてドキドキするのよ。
…BLはファンタジーっていうじゃない?
でも、リアルの表現は結局リアルから生まれてくるものなのよ。
でも、央くんはBL脳があるわよね。
だって私たちの物を全部読んでたりするんだから。
…あは。バラしちゃった」
「か、かあさん。
父さんは、そんな趣味はないのだが、まぁ、制服を着ていると特に遭遇率はあがると聞いたことがある」
「…そうですか…」
「もし、央くんがあっても、自分からは言わないよね。
絶対に我慢すると思う。
頑固だよね。
視力もそこから来てたりして・・・。
桐嶋くん、ちょっと協力してほしいんだけど」
「わかりました。
あと、ご相談なんですが、お休みをしている間の授業などを私の家で勉強をすることで補えるように配慮してもらおうと思っています。
実は一人で暮らしている家ですが、空いている部屋がありますし、冬休みは何かと忙しいでしょう。
こちらは学生ですから自由に動けると思います。
もし、央さんの了解を得ることができたら許可していただきたいです。
もちろん、無理にとはいいませんが、毎日、お互いの家を通うこともできるのですが、央さんに一番必要なのは落ち着く環境だと思います。
家族には打ち明けることができないこともあるかもしれません。
…どうでしょう」
いきなりの申し出で戸惑うこともあるので、検討をすることを知らせて央の妹との話になった。
央の妹の話では、目が見えないので央自身の所有しているスマホは電源を落としてあるそうだ。
あと、制服のポケットの中に、使用されたハンカチと一緒に折りたたまれた紙を見つけたことを教えてもらった。
そのハンカチにはうっすらと血がついていたようである。
もしかしたら耳の血だろうか。
あと、紙を見て書かれているメッセージを読む。
「昨日、帰りの電車で会えなかったね。さみしかっただろう。君をまっているからね。」
「これをいつ、受け取ったのかわからないの。
とにかく様子が最近、変だったから。
お父さんたちといるときに、痴漢の話をしたでしょう?
あれって、実はうちの学校でもあるの。
男の子を狙ってるの。
女なら擁護する人は多いでしょうが、男の子はプライドとかあるんでしょうね。
…みんな言えないのよ。
このメッセージって狙いを定めた印象を持つものよね。
これをもし知らない人から受け取ったらとても怖いことだわ。
これを央くんに聞いてもいいんだけど、たぶん、知られたくないと思うの。
人によっては被害を受けているのに、加害者のように非難されるんじゃないのかって思うみたい。
一回負の考えをしてしまうとどんどん深くなるわ。
央くんが退院したら様子を見てそれとなく指摘してみようと思うの。
たくさん、話をしたけどどうかしら?
役員の仕事を下りることも気にはなるけど」
「役員のことは他の生徒も、みんな理由を知りたがっていました。
ただ、目のことを知らせていないから余計に納得がいかない人もいるみたいです。
お兄さんと帰るときに話をしました。
私は央さんのことが大切です。
独占欲なのかもしれません、でも、守りたい。
気づけなかった過去を少しでも忘れてもらえるようにしたいです。
素敵なお兄さんですね。
協力してくれるので心強いです。
あと、会長と副会長が病院に行って確かめたいと言ってました。
メールも返信がないのが気になるようです。
退院したら補助をしながらでも返すようにしてください。
手紙は気になりますね。
央さんも理由があるから持っているのでしょう」
会長や役員の誰かから必ず連絡を取るようメールが入っているだろう。
念のため、確認の時は一緒にいてもらうようにし、行動を知らせてもらう。
そして、央には悪いが、本音をだしそうな時には会話を聞かせてもらことも了承してもらった。
手紙は時期を見ながら。
そして、私のことは会ったことがないものとし話を通すことにしてもらった。
「あまり央さんをいじめないでくださいね。
こちらとしては、甘やかしたいのです」
「桐嶋君、だいぶ本音を言うようになってくれたのは良いんだけど、もしかしてもしかしての央くん、好きです。って感じ?」
「好きですではありません。
心を震わせる存在が藤咲央なのです。
愛でたいです…」
・・・
「…兄はなんと?」
「卒業するまでは手をだすなと…」
「ちなみに、今はどんな状態で?」
「応急処置でキスを。適切な処置ですよ」
「…」」
「反対されますか?
BLと現実は違いので冗談なんてものではありません」
・・・・
しばらく沈黙を置いて、少し待つように言われて彼女は部屋から出ていく。
両親と話をするのだろうか。
反対されても今、央を逃すと私は一生、抜け出せないつまらない人生を送るだろう。
戻ってきた彼女はある質問をしてきた。
「桐嶋蒔」
!!!
「この名前を知ってます?」
「桐嶋蒔とは、我が家桐嶋家の二番目の兄の名前です。
私は3番目です。
…どうして蒔を知っているのですか?」
どうして蒔の名前を知っているのか?
この妹は何を知りたい。
「ごめん、それは蒔さんに教えてもらったほうがいいよ。
ぜんぜん、似てないんだけど…」
蒔に会ったことがあるようで、昔からよく言われる言葉なのでこちらは慣れている。
「構いませんよ。
よく、昔からいらぬ疑いなどいろいろ聞いているのではっきり答えます。
私の祖父がフィンランドの人で孫の私だけその影響でしょう。
一応、調べたので何も、問題ありません」
「…ごめん、もう一回待っててくれる」
今度はなんだか部屋を出ていく足取りがフラフラである。
それから数分後、「えっ!」「あら、まぁ」など、聞こえてきた。
結局、蒔の話は自分で聞くように言われた。
帰って聞くしかない。
両親に挨拶をするため顔を出すと、お母さんはウキウキと楽しそう。
お父さんはこちらと目を合わせるとそらされる。
帰宅して自分からはあまり連絡を取らないが仕方がなく蒔に電話をしてみる。
『もしもし?朔?珍しいな。俺に何か?』
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『あれ?
央くんから何も聞いてないの?
…そっかぁ、言ってないんだ…』
央とも関りがあることに驚くが、名前を呼ぶことが気に入らない。
それに、何かふくみを持った言い方。
「聞いてない、だから教えろ。
藤咲家の人には蒔に聞くように言われた」
『クックっ。
余裕ないね、朔。
いつもの肩が凝りそうな話し方じゃないな。
…お願いするときは?』
「・・・教えてください、お願いします」
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さっきまでの人で遊ぶ話し方とは違い、いきなり穏やかな声になる。
それから話を聞いた。
『藤咲家の人はいい人ばかりだよ。
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それで俺も一緒に両親に報告と挨拶をしに行った。
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あいつ、実家に帰るとき「嫁をつれて帰る」って言ってたみたいで、俺は男だろ?
そしたら央くんが女の家って指摘し始めて面白い子だなって思っちゃった。
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旦那?
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