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苦手克服を失敗しちゃった3
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身体の中から一気に、温度が失っていくのを感じた。
音を立てて崩れるってこういう感じなんだ。
ガラガラ
と崩れる何かを俺は、心の中で、冷静に見つめることができた。
―そうか、こいつも、他の奴らと、結局、同じだったんだ…
信用していたその信頼も、俺の一方的な物。
そうだと、分かったのなら、俺はこの目の前の男を切り離さなければならない。
そうして、今までも同じように、心を許せたと思った人間と距離を置いてきた。
ぐっと胸が苦しくなる。
切ないというべきなのだろう。
でも、何度も同じ事を繰り返す自分に情けなさを感じてしまう。
一人…失ってしまった…
でも、待てよ?!
目の前の女装グッズはどう関係するんだ?
俺の冷静な分析などを気にすることなく、こいつは会話を続けていく。
「奇跡だ! なあ、そうだろ?」
―おいおい、勇者顔のそこの君!
暴走してるではないか。
俺の様子を見て、少しは空気を読んでもいいと思うんだが...
読んではいなさそうだ。
とりあえず、会話を続けようと
「...何が?」
と問う。
すると、奴の顔が喜びに満ちている。
―何で?
「お前と俺、誕生日が1日違うだろ?」
―それが、どうした?
「ちゃんと、おねえさんから助言を貰ってる。
だから、安心しろ!」
―ん?
全く話が見えない。
「だから、ほれ、着てみせろ」
と言われても、今までなら
―うん、わかったぁ
と応えていたかもしれない。
でも今は、言うはずがない。
俺は、一旦頭を整理した。
...俺は正常だ。
「つまりだな。
この際、俺がお前の嫁になるっ!
だから、俺は、青葉家の人間になるってことだ」
・・・
目の前の男は、いつからだろう…
俺の気づかないうちに、壊れてしまったのだ。
早く気づいていれば、治せたのかもしれない。
でも、手遅れに近いこの発言。
俺は、スマホで検索し、目の前の奴に見せる。
「ここで、しっかりと頭の中を見てもらうといい。
怖いか?
…大丈夫。
心細いなら、俺が付き添ってもいい…」
パニックにならないように、病院へ行ってもらえたらと思う。
この男とは、まだ親友でいたい。
大切な友人だ。
「…もう、これを見ろ…」
奴は俺の前にある書類を出す。
養子縁組についての詳細ハート
・・・・
すごく大切なことなのに、どうして合わない記号がでているのだ。
そして、この書類は、なぜ、青葉家の重要書類の用紙でできているのだっ!
読んでいる俺の鼻の穴は、大きく開いているだろう。
あぁ、ある意味、怒りが湧いてくる。
書類を持つ手が震えている。
俺は、スマホの画面を電話モードに切り替えて母に電話をした。
『もしもし』
いつもながら、子どもが6人いるとは思えないぐらい若い声をしている。
「母さん、今、時間を頂けますか?」
母の了承を得て、俺は事情を話した。
「今、俺の家で飲んでるんだけど…。
ちょっと、確かめたいんだ。
俺に、兄がいるのか?」
俺の声が強張っているのを母は気づいている。
『あら、もしかしてそこに、お兄さんがいるのかしら。
やっと話をしたのね。
いい?
あなたには、本当に可哀想なことをしたと思っているのよ。
女に囲まれて家庭の事情で予期せぬ出来事で女性不信、いいえ。
人間不信にまでなってしまったのも、申し訳ないと思っているわ。
本来なら、長男が次の担い手を繋いでいくのが筋なのでしょうね。
でも、私たちは、それをあなたに強制するつもりはないの。
もう、孫はたくさんいるもの。
だから、あなたには、少しでも幸せを与えたいと思っているの』
静かに話を聞いているけれども、俺は、母の想いを初めて知った。
なんていい話なんだ。
だが、疑問はある。
「だからと言って、俺にはいつから兄がいたんだ?」
ただいま、混乱モードに突入中だ。
『クスクス…
私、知っているのよ。
あなたが、高校から数多くの友人を家族に紹介していることを。
でも、一人だけしていないわよね。
どうしてかしら…』
――――!!
背中からぞくりと悪寒がした。
どうしてそれを知っているのか…
音を立てて崩れるってこういう感じなんだ。
ガラガラ
と崩れる何かを俺は、心の中で、冷静に見つめることができた。
―そうか、こいつも、他の奴らと、結局、同じだったんだ…
信用していたその信頼も、俺の一方的な物。
そうだと、分かったのなら、俺はこの目の前の男を切り離さなければならない。
そうして、今までも同じように、心を許せたと思った人間と距離を置いてきた。
ぐっと胸が苦しくなる。
切ないというべきなのだろう。
でも、何度も同じ事を繰り返す自分に情けなさを感じてしまう。
一人…失ってしまった…
でも、待てよ?!
目の前の女装グッズはどう関係するんだ?
俺の冷静な分析などを気にすることなく、こいつは会話を続けていく。
「奇跡だ! なあ、そうだろ?」
―おいおい、勇者顔のそこの君!
暴走してるではないか。
俺の様子を見て、少しは空気を読んでもいいと思うんだが...
読んではいなさそうだ。
とりあえず、会話を続けようと
「...何が?」
と問う。
すると、奴の顔が喜びに満ちている。
―何で?
「お前と俺、誕生日が1日違うだろ?」
―それが、どうした?
「ちゃんと、おねえさんから助言を貰ってる。
だから、安心しろ!」
―ん?
全く話が見えない。
「だから、ほれ、着てみせろ」
と言われても、今までなら
―うん、わかったぁ
と応えていたかもしれない。
でも今は、言うはずがない。
俺は、一旦頭を整理した。
...俺は正常だ。
「つまりだな。
この際、俺がお前の嫁になるっ!
だから、俺は、青葉家の人間になるってことだ」
・・・
目の前の男は、いつからだろう…
俺の気づかないうちに、壊れてしまったのだ。
早く気づいていれば、治せたのかもしれない。
でも、手遅れに近いこの発言。
俺は、スマホで検索し、目の前の奴に見せる。
「ここで、しっかりと頭の中を見てもらうといい。
怖いか?
…大丈夫。
心細いなら、俺が付き添ってもいい…」
パニックにならないように、病院へ行ってもらえたらと思う。
この男とは、まだ親友でいたい。
大切な友人だ。
「…もう、これを見ろ…」
奴は俺の前にある書類を出す。
養子縁組についての詳細ハート
・・・・
すごく大切なことなのに、どうして合わない記号がでているのだ。
そして、この書類は、なぜ、青葉家の重要書類の用紙でできているのだっ!
読んでいる俺の鼻の穴は、大きく開いているだろう。
あぁ、ある意味、怒りが湧いてくる。
書類を持つ手が震えている。
俺は、スマホの画面を電話モードに切り替えて母に電話をした。
『もしもし』
いつもながら、子どもが6人いるとは思えないぐらい若い声をしている。
「母さん、今、時間を頂けますか?」
母の了承を得て、俺は事情を話した。
「今、俺の家で飲んでるんだけど…。
ちょっと、確かめたいんだ。
俺に、兄がいるのか?」
俺の声が強張っているのを母は気づいている。
『あら、もしかしてそこに、お兄さんがいるのかしら。
やっと話をしたのね。
いい?
あなたには、本当に可哀想なことをしたと思っているのよ。
女に囲まれて家庭の事情で予期せぬ出来事で女性不信、いいえ。
人間不信にまでなってしまったのも、申し訳ないと思っているわ。
本来なら、長男が次の担い手を繋いでいくのが筋なのでしょうね。
でも、私たちは、それをあなたに強制するつもりはないの。
もう、孫はたくさんいるもの。
だから、あなたには、少しでも幸せを与えたいと思っているの』
静かに話を聞いているけれども、俺は、母の想いを初めて知った。
なんていい話なんだ。
だが、疑問はある。
「だからと言って、俺にはいつから兄がいたんだ?」
ただいま、混乱モードに突入中だ。
『クスクス…
私、知っているのよ。
あなたが、高校から数多くの友人を家族に紹介していることを。
でも、一人だけしていないわよね。
どうしてかしら…』
――――!!
背中からぞくりと悪寒がした。
どうしてそれを知っているのか…
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