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苦手克服を失敗しちゃった9
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「いやぁっ!めでたい!」
一族の集まるこの席で俺は、なぜか嫁扱いだ。
「侑ちゃん、いいお嫁さんになるのよ?」
マダムたちの助言を引き攣った顔で受け止める。
「すみません、侑さんは恥ずかしがりやなのです」
サラッと、決め台詞を言ってくる倉一を、マダムは呆けた顔で見ている。
あ、想い出した。
高校の時、こいつ、勇者って名前もついてたけど…マダムキラーだった。
保護者がこいつに夢中になってたんだっけ…
成長して男の色気を振りまくけど、そのすべては俺に向けられているらしい。
マダムを虜にする文句も、俺を守るための使える駒を増やすためらしい。
聴いたときには驚いたが、母曰く、
「青葉家の一人息子を守り抜くには、あんたが知らないような顔を持っているとだけ、覚えておきなさい」
だって、怖いっ!
切れ者の姉たちに囲まれても、堂々とその会話に付いて行っている。
これ、とてもすごいことだ。
だって、日本語じゃないんだ。
「侑ちゃ~んっ!!」
姪が俺の名前を呼ぶ。
ゾクゾクと走る悪寒。
あ、あれ?
俺、結局、苦手だった女性を克服してないじゃんっ!!
あ、倉一と目があった。
すぐに俺のところに来てくれる。
「…どうしました?」
他の奴らには砕けた話を聞かれたくないっていうから、そんな言葉だけど、目は心配している。
俺は、倉一の耳に
「今、気付いたんだけど…
俺、結局、女を克服できてないじゃんっ!!」
その言葉を俺は、とても重要事項の様に必死に訴えかける。
ふわぁ
っと、倉一が柔らかく笑う。
キュウウウウン…
あ、その笑っているところも、好きかも…
俺の気持ちが一瞬、倉一に向いた瞬間だった。
「侑は、ずっと俺だけでいいんだよ」
キョトン
と目を開いて驚いてしまう。
なに?
その、束縛てんこ盛り予報の言葉。
でも、嬉しいかも…
そう思っていたら、視界が暗くなり、唇に温かさが広がった。
「「きゃ~ん」」
見られているのに、倉一の想いを受け止めたくて、離したくなくて応える。
ホウ…
と、俺はとけてしまい、ボウッとしていると、母が来た。
「はいはい、もういいわ。
帰りなさい」
へ?
一族の集まりは、最後までいることが慣習だ。
だからその言葉が意外過ぎた。
「みんなの心臓に悪いわ」
そう言われて、辺りを見る。
ワクワクとしている者もいれば、ため息をついている者もいる。
そんな様子を見ていると、横から倉一が
「では、お先に、失礼します。
皆さま、ごきげんよう…」
―マスターしている青葉家の捨て台詞。
こうして俺は、すんなりと倉一との関係を認められることとなった。
青葉家も安泰らしい…
結局、苦手を克服できなかったが、まぁ、仕方がないかなって思っている。
一族の集まるこの席で俺は、なぜか嫁扱いだ。
「侑ちゃん、いいお嫁さんになるのよ?」
マダムたちの助言を引き攣った顔で受け止める。
「すみません、侑さんは恥ずかしがりやなのです」
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あ、想い出した。
高校の時、こいつ、勇者って名前もついてたけど…マダムキラーだった。
保護者がこいつに夢中になってたんだっけ…
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「青葉家の一人息子を守り抜くには、あんたが知らないような顔を持っているとだけ、覚えておきなさい」
だって、怖いっ!
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これ、とてもすごいことだ。
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「侑ちゃ~んっ!!」
姪が俺の名前を呼ぶ。
ゾクゾクと走る悪寒。
あ、あれ?
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すぐに俺のところに来てくれる。
「…どうしました?」
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「今、気付いたんだけど…
俺、結局、女を克服できてないじゃんっ!!」
その言葉を俺は、とても重要事項の様に必死に訴えかける。
ふわぁ
っと、倉一が柔らかく笑う。
キュウウウウン…
あ、その笑っているところも、好きかも…
俺の気持ちが一瞬、倉一に向いた瞬間だった。
「侑は、ずっと俺だけでいいんだよ」
キョトン
と目を開いて驚いてしまう。
なに?
その、束縛てんこ盛り予報の言葉。
でも、嬉しいかも…
そう思っていたら、視界が暗くなり、唇に温かさが広がった。
「「きゃ~ん」」
見られているのに、倉一の想いを受け止めたくて、離したくなくて応える。
ホウ…
と、俺はとけてしまい、ボウッとしていると、母が来た。
「はいはい、もういいわ。
帰りなさい」
へ?
一族の集まりは、最後までいることが慣習だ。
だからその言葉が意外過ぎた。
「みんなの心臓に悪いわ」
そう言われて、辺りを見る。
ワクワクとしている者もいれば、ため息をついている者もいる。
そんな様子を見ていると、横から倉一が
「では、お先に、失礼します。
皆さま、ごきげんよう…」
―マスターしている青葉家の捨て台詞。
こうして俺は、すんなりと倉一との関係を認められることとなった。
青葉家も安泰らしい…
結局、苦手を克服できなかったが、まぁ、仕方がないかなって思っている。
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