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アップデート要因1
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自分の片想いに変化が訪れるなんて、僕自身、思っていなかったことだった。
何がダメだったのかわからない。
今でも、答えは見つからないままだ。
自分の気になる奴がみんな僕と同じ男で、そういうことに敏感な時期に気付いたことは、自分が、周囲には理解されがたい性志向を持っているということだった。
薄々は気づいていたけれど誰に気付かれないように上手く誤魔化してきたつもりだった。
一緒に過ごす友人も、中学や高校の時にいたけれど、バレずに過ごすことができた。
自分の気持ちを相手に伝えるということは、とてもリスクが高い。
自分の恋愛に正直、希望を持つことはしなかった。
それは、たぶん、自分を守る一番の方法。
誰も傷つかず、誰も悲しまない。
それが最善の方法だと短い人生の中で考えて学んできたことだ。
気持ちを伝えたいとまで想える人に、出会えていないということもあるかもしれないけれど、僕の人生は、これからもその“平穏”が続くと思っていた。
転機が訪れたのは、高校を卒業して地元を離れた大学でのことだった。
ヨシキとは、たまたま席が隣り合うという偶然が重なり、お互い知人や友人のいない大学生活を始めた者同士、友人となっていくのに時間はかからなかった。
僕の通っている大学は日本の中心にある大学。
僕は地元を離れたけれど、ヨシキは少し事情が違うようだ。
話を聞けば親が再婚し、自分より年上の兄が出来たという。
社会人だというその兄とは、ヨシキはあまりうまくいっていないようだった。
だから、地元だというのに一人暮らしをしていると聞いて、僕と同じだと笑いあったのを覚えている。
普通の友人として付き合うつもりだった。
ヨシキの傍にいれば、彼の明るさと優しそうな雰囲気で友人ができやすくあっという間に、楽しい大学生活へと変わっていった。
他愛もない話。
大学に入ってからデビューしたぜ?と、ドヤ顔をしてくる奴。部活に明け暮れてて少しはまじめに学生をするのだというヤツ。色んな人に出会えるのも楽しかった。
どういうわけか、ヨシキと僕は気が良くあった。
「ヨシキと一葉って、いつも一緒にいるな」
そう言われても笑うことができていた。
「一葉、お前なぁ…もう少し自分の容姿にあった服を着ろよなぁ」
?
そうヨシキに指摘されるまで自分が人からどんな印象を持たれているのか、僕は知らなかった。
「一葉は、なんかかわいいんだよな。だから、例えば…そう、こういう感じの服が似合う」
と、授業との休憩時間に二人で見ていたファッション雑誌を見ていたヨシキが言ってきた。
そこには、細身のデニムにゆるっとしたセーター、中には清潔感のある白のシャツを着ているモデルの子が写っていた。髪型がクルクルとしている。
「…僕に、似合う?」
僕が尋ねるとヨシキが
「うん、絶対に似合う」と言ってきた。
だから、それからは、そういう雰囲気になるように自分の服装とかを気を付けるようにしてみた。
元々、くせっけのある髪と色素が薄めの髪色で高校までは何回も職員室に呼び出されては誤指摘されていた。
だから、わざわざ人工的に手を加えることなく希望のイメージを纏うことができた。
何がダメだったのかわからない。
今でも、答えは見つからないままだ。
自分の気になる奴がみんな僕と同じ男で、そういうことに敏感な時期に気付いたことは、自分が、周囲には理解されがたい性志向を持っているということだった。
薄々は気づいていたけれど誰に気付かれないように上手く誤魔化してきたつもりだった。
一緒に過ごす友人も、中学や高校の時にいたけれど、バレずに過ごすことができた。
自分の気持ちを相手に伝えるということは、とてもリスクが高い。
自分の恋愛に正直、希望を持つことはしなかった。
それは、たぶん、自分を守る一番の方法。
誰も傷つかず、誰も悲しまない。
それが最善の方法だと短い人生の中で考えて学んできたことだ。
気持ちを伝えたいとまで想える人に、出会えていないということもあるかもしれないけれど、僕の人生は、これからもその“平穏”が続くと思っていた。
転機が訪れたのは、高校を卒業して地元を離れた大学でのことだった。
ヨシキとは、たまたま席が隣り合うという偶然が重なり、お互い知人や友人のいない大学生活を始めた者同士、友人となっていくのに時間はかからなかった。
僕の通っている大学は日本の中心にある大学。
僕は地元を離れたけれど、ヨシキは少し事情が違うようだ。
話を聞けば親が再婚し、自分より年上の兄が出来たという。
社会人だというその兄とは、ヨシキはあまりうまくいっていないようだった。
だから、地元だというのに一人暮らしをしていると聞いて、僕と同じだと笑いあったのを覚えている。
普通の友人として付き合うつもりだった。
ヨシキの傍にいれば、彼の明るさと優しそうな雰囲気で友人ができやすくあっという間に、楽しい大学生活へと変わっていった。
他愛もない話。
大学に入ってからデビューしたぜ?と、ドヤ顔をしてくる奴。部活に明け暮れてて少しはまじめに学生をするのだというヤツ。色んな人に出会えるのも楽しかった。
どういうわけか、ヨシキと僕は気が良くあった。
「ヨシキと一葉って、いつも一緒にいるな」
そう言われても笑うことができていた。
「一葉、お前なぁ…もう少し自分の容姿にあった服を着ろよなぁ」
?
そうヨシキに指摘されるまで自分が人からどんな印象を持たれているのか、僕は知らなかった。
「一葉は、なんかかわいいんだよな。だから、例えば…そう、こういう感じの服が似合う」
と、授業との休憩時間に二人で見ていたファッション雑誌を見ていたヨシキが言ってきた。
そこには、細身のデニムにゆるっとしたセーター、中には清潔感のある白のシャツを着ているモデルの子が写っていた。髪型がクルクルとしている。
「…僕に、似合う?」
僕が尋ねるとヨシキが
「うん、絶対に似合う」と言ってきた。
だから、それからは、そういう雰囲気になるように自分の服装とかを気を付けるようにしてみた。
元々、くせっけのある髪と色素が薄めの髪色で高校までは何回も職員室に呼び出されては誤指摘されていた。
だから、わざわざ人工的に手を加えることなく希望のイメージを纏うことができた。
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