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「…まぁ、毎回、病院には付いて行きたいんだけど、俺はまだ、新卒だからさ、休めないね。
それに、俺を思い出すのは、いいんだけど、それを誰かに見られているのかと思うと…
見えない敵に、敵意をむけたくなる…
かわいいことをいうんだから、隼人は相変わらずだね」
そう言って、子どもを抱きしめるように背中をポンポンと手でリズムよく叩く。
篤紀の肩に、軽く顎を乗せて、俺は、窓にうつる自分を見つめていた。
「…なぁ。
もしさ、身体が治ったら、その時、何が…いいや、いい。
何もない」
俺は何を言いかけたのか、自分でもよくわからない。
けれど、それを言葉にすることは、まだ、勇気がなかった。
そして…
資格試験を無事に受けることができた俺は、病院で新薬の投薬治療を受けた。
「君は、若いからね、年輩の人よりは、薬の影響がすぐにでてくるだろうね。
でも、しばらくは、それでも今まで通りに過ごしてもらわないといけない。
まぁ、多感な時期を過ぎたとしても、色々としたくなる気持ちは、わかる。
同じ男だから、君の忍耐には、尊敬するぐらいだ。
でもね、年寄りにも、病人にも、性欲ってあるからね。
そうだなぁ…
経過を見てだけど、早くて半年。
でも、それはうまく身体が適応すればの話だ。
それまでの辛抱、頑張ってね。」
いつもなら、看護士や、事務の人がいる診察室でのやりとりも、今日は違う。
篤紀や彼のご両親の配慮で、俺は贅沢にも個室を使わせてもらっている。
自分でそれぐらいのお金は出せると思っていたのだが、彼らは色々と考えてくれていたようだ。
「せめて、薬の治療を受けて終わった日ぐらいゆっくりとしてほしいんだ」
「私たちはね、君の我慢強い信念や根気に敬意を示したいんだよ。
受け取ってもらえたら、いいと思うんだけど、隼人君、どう?」
目の前で、「YES」の言葉だけしか返ってこないようにしている彼らに「NO」は言えなかった。
それに、俺を思い出すのは、いいんだけど、それを誰かに見られているのかと思うと…
見えない敵に、敵意をむけたくなる…
かわいいことをいうんだから、隼人は相変わらずだね」
そう言って、子どもを抱きしめるように背中をポンポンと手でリズムよく叩く。
篤紀の肩に、軽く顎を乗せて、俺は、窓にうつる自分を見つめていた。
「…なぁ。
もしさ、身体が治ったら、その時、何が…いいや、いい。
何もない」
俺は何を言いかけたのか、自分でもよくわからない。
けれど、それを言葉にすることは、まだ、勇気がなかった。
そして…
資格試験を無事に受けることができた俺は、病院で新薬の投薬治療を受けた。
「君は、若いからね、年輩の人よりは、薬の影響がすぐにでてくるだろうね。
でも、しばらくは、それでも今まで通りに過ごしてもらわないといけない。
まぁ、多感な時期を過ぎたとしても、色々としたくなる気持ちは、わかる。
同じ男だから、君の忍耐には、尊敬するぐらいだ。
でもね、年寄りにも、病人にも、性欲ってあるからね。
そうだなぁ…
経過を見てだけど、早くて半年。
でも、それはうまく身体が適応すればの話だ。
それまでの辛抱、頑張ってね。」
いつもなら、看護士や、事務の人がいる診察室でのやりとりも、今日は違う。
篤紀や彼のご両親の配慮で、俺は贅沢にも個室を使わせてもらっている。
自分でそれぐらいのお金は出せると思っていたのだが、彼らは色々と考えてくれていたようだ。
「せめて、薬の治療を受けて終わった日ぐらいゆっくりとしてほしいんだ」
「私たちはね、君の我慢強い信念や根気に敬意を示したいんだよ。
受け取ってもらえたら、いいと思うんだけど、隼人君、どう?」
目の前で、「YES」の言葉だけしか返ってこないようにしている彼らに「NO」は言えなかった。
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