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ローレシアン王国編

余計なインタビュー その3(読み飛ばし推奨)

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但馬やミーシャたちがリームスと会っている状況で時が止まった。

セーラー服の少女はうんざりした顔でため息を吐いているアルデハイトへと
文句がありそうな表情で歩み寄っていき
「あのさー……もうこのくだりは無限に見ましたけどー。
 何度見ても、控えめに言っても、すっごい悪質な作戦よねぇ?
 虚無の王の考えそのものって感じー」
アルデハイトは黙って室内のソファへと座った。
「私は制約の中、生身として出来うることをやったまでですよ。
 あのようになるように因果を弾いたのはあなたでは?」
セーラー服の少女は顔を歪めながらデーブルを挟んだ椅子へと深々と座り
「……魔族皇ちゃんが因果を弾くのを妨害するようにリングリングちゃんが因果を操って
 両者のバランスを正義のナカランが拒絶粒子で操ってたのを
 さらに但馬が因果を歪めて、自分の方に自然とよせていたのを
 上から監視してただけよ。
 私が居ない状態の"窓"へのメインの見世物をいじりたくないんでねー」
「……はぁ、まあ今更どうでもいいですが、やはり真の虚無はあなたですね」
少女はそれには答えずに、つまらなさそうに立ち上がると
時が停止している但馬の近くへと近寄っていき
「あーやっぱり違うんだよなぁ。
 ごくわずかな違いだけど、私の但馬じゃない」
アルデハイトはため息を吐いて
「そろそろ良いのでは?」
少女の目を見ずに言う。少女は鼻で嗤いながら
「無限にある並列の時の中で、僅かに試してるだけだからね。
 ちゃんと、あんたにも付き合ってもらいますよー」
アルデハイトも立ち上がり、時間停止したまま胸を張るミーシャに近寄ると
「ちなみに、この瞬間、この時間軸のあなたの人格は何を考えていましたか?」
少女は呆れた顔をして両手を広げ首をかしげると
「ネトラレに目覚めつつあった……?っていうか?」
「ああ……大事な人を取られるという状況をマゾヒズム的に愉しむことができるというアレですか。
 やはり、虚無そのものですね」
「……全宇宙、五千億のネトラレ性癖の生命体に今すぐ謝りなさい。
 いいこと?みんながみんな愛する人とは付き合えないの。ネトラレは素晴らしいものよ……」
少女は目を合わさずにアルデハイトを恫喝する。
彼は飽き飽きした顔で
「まぁ、いつか、結ばれることがあればよいですね」
棒読みで少女に呟く。
「はいはい。まぁ、見てなさいってどうにかして
 愛しい人をかーなーらーずー探しだーしーまーすーかーらー」
時間が動き出し、少女は消えた。
アルデハイトもいつの間にか、最初の位置に戻っている。


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