1 / 2
September.すべての序章
prologue
しおりを挟む
「これから、僕の……」
5ヶ月に言われることになる、運命の言葉。
あの時思いいたらなかったら、諦めてたら……すべてはここから始まる気がする。
「小柳さん、本当にこれだけ?」
チラシの切れはしに書いて提出した休み希望を見て、同期の同僚兼チーフ代行の石場さんに呼び出される。
「お盆があってもたくさん希望出すなって言ったの、石場さんじゃん」
「そうだけど…」
私が書いた希望は、
『誕生日の23日かその前後1日だけ有休消化したい』
だったのだが。7月の彼岸にも引っかかってないはずだし。
「バイトちゃんだって夏休みも用事あるだろうし、お盆は子供いる人が休みたいだろうし、私みたいな親元独身は働けばいいんだよ」
「だって…1日だけって。恋人とかいないの?」
またそれか。石場さんだってDV元夫から逃げてるってこっちは知ってるのに。
「いる訳ないでしょう?土日仕事だし、今年40歳になる女に言い寄る男は身体目的しかいないって!」
小柳ゆき、もうすぐ40歳。
職業、スーパー勤務ただしパート社員。つまりのフリーター。
実際は月30時間くらい働いてるけど雇用保険は入ってない、何故なら契約は週16時間だから。
広大な土地に建てられた新興住宅地の中のバスセンターの前にあるスーパーのオープニングスタッフとして、約5年働いてる。
こんな契約でも働いてるのは、オープンして間もなく隠していたことがバレた。さらに当時の店長はその手の偏見が強い人だった。
「精神科に通ってる」ーーーこれだけで、自主退職を促された。
だが、私の職歴、退職理由は似て非なるものばかりだ。ここもハズレ、と書いても良かったんだが。
それはおかしくありませんか店長ーー異議を唱えてくれたひとりが、この石場さんだ。
結局勧めで本部の相談室に掛け合ったところ白紙にはなったが、代わりにやってきたのが雇用保険に加入できない契約という訳で。
『なんで辞めた時のことばかりいうの?』
私を説得したのは副店長だが、今まで働くか、失業保険をもらうか…そんな人生だったから、なんで一度クビになりかけた私にそんなこと簡単に言えるんだろうと不思議だった。
かけもちバイトした先で雇用保険に入ることも考えたが、精神科通院は事実なのだ。できる職種も限られてるし、実際何社か受けてみたがダメだった。
だったら辞めても前よりは有利に…2年目に車の免許を、3年目以降は諦めていた大学の通信教育課程に入ってみた。
だが親がお金を貸してくれる訳でもなく、元々貯金はできても10万が関の山。教習所と学資ローンが重なって、大学部への編入は諦めた。
38歳で婚活を始めてみた。某大手ポータルサイトが運営するお見合いサイト。
何人かアプローチが来て実際会ってみた。だが結果だけいうと、必ず3回目の後に振られた。原因はわかる。話題が続かないから。
そりゃそうだよ。平均月収10万たって、3割ほど深夜手当でもってるものだし、バイトちゃんが深夜入れる学校が休みの月は7万にまで下がる。しかもぽっちゃり体型で有名ブランド物はサイズがない。
化粧もスーパー勤務という職業柄制限があり、余計なアイテムは持たないことにしてる、からナチュラル通り過ぎてすっぴんメイクだ。これが理由で振られた時は、ネット友に「そんな男私も嫌だ」と言われたが。
そんな私でも1ヶ月以上続いた彼氏が2人いる。
1人目は、元々20代後半から入ってたメンタル系SNSの男性。私も知ってる女性と結婚…したが、病気を理由にリストラされた。さらに奥様の持病がそれで悪化し亡くなられた。
私が一番近かったのもあり、ゴミ屋敷と化してた部屋を片付けに通ってるうちにそういうことになった。
ある程度片付けて、テーブルで食事ができる頃に一変する。
彼にいきなり言われたのだ。何しに通ってるんだ、と。そして無理矢理ーー。
その後のメールで確信した、この男のせいで妻だった女性は本当に亡くなったのだと。
仲裁に入ってくれた、現在唯一の友人は「多分そういう男だと思ってた、ゆきちゃんが変えてくれるのを望んでいたんだけど」と言われ…。
その後何となく再開した婚活サイトで、母親を精神病で亡くされた男性と知り合い付き合い始めた。
乗り心地が良いとはいえないスポーツカー、ショッピングモールで感じる物の価値観の違いに違和感はあったものの、交際を断る理由ではなかった…が、やはりホテル直行みたいな、身体目的の付き合いになってきて。
初めは年齢的にそういうものかな~?としか感じなかったが、次第に肩こりが酷く喉も痛くなって病院へ…
「性病持ってる男性と交際してない?」
行きつけの咽喉科でそう言われ…。
宣言してたのだ、彼の息子は手術しなきゃいけないレベルだと。さらに肩こり首こりの原因も調べて…。
…ハイ、思いっきり振ってやりました。お金の使いどころ間違ってない?ちゃんと手術して安心できる車の運転に矯正して下さい、さよなら!って。
それから婚活サイトも退会。ひとり生活を謳歌してます。
最近は雇用保険をもらえない条件まで調べて。両親もまだ元気だけど、介護に専念するともらえないのか、じゃあそれでも、とか、今友達と呼べる人は全部SNSで知り合った人たちだからすぐに会える環境でなく、メッセージ機能とかで会話すれば良いし。
例のメンタル系のSNSは結局なくなった…けど、何かあっても土日じゃ仕事で行けないし、いいや~ってなって。
結局、有休は誕生日の7月23日プラス1日もらいました。
どこも出かける予定はなかったけどね。
…なかったんだけど、ね……。
5ヶ月に言われることになる、運命の言葉。
あの時思いいたらなかったら、諦めてたら……すべてはここから始まる気がする。
「小柳さん、本当にこれだけ?」
チラシの切れはしに書いて提出した休み希望を見て、同期の同僚兼チーフ代行の石場さんに呼び出される。
「お盆があってもたくさん希望出すなって言ったの、石場さんじゃん」
「そうだけど…」
私が書いた希望は、
『誕生日の23日かその前後1日だけ有休消化したい』
だったのだが。7月の彼岸にも引っかかってないはずだし。
「バイトちゃんだって夏休みも用事あるだろうし、お盆は子供いる人が休みたいだろうし、私みたいな親元独身は働けばいいんだよ」
「だって…1日だけって。恋人とかいないの?」
またそれか。石場さんだってDV元夫から逃げてるってこっちは知ってるのに。
「いる訳ないでしょう?土日仕事だし、今年40歳になる女に言い寄る男は身体目的しかいないって!」
小柳ゆき、もうすぐ40歳。
職業、スーパー勤務ただしパート社員。つまりのフリーター。
実際は月30時間くらい働いてるけど雇用保険は入ってない、何故なら契約は週16時間だから。
広大な土地に建てられた新興住宅地の中のバスセンターの前にあるスーパーのオープニングスタッフとして、約5年働いてる。
こんな契約でも働いてるのは、オープンして間もなく隠していたことがバレた。さらに当時の店長はその手の偏見が強い人だった。
「精神科に通ってる」ーーーこれだけで、自主退職を促された。
だが、私の職歴、退職理由は似て非なるものばかりだ。ここもハズレ、と書いても良かったんだが。
それはおかしくありませんか店長ーー異議を唱えてくれたひとりが、この石場さんだ。
結局勧めで本部の相談室に掛け合ったところ白紙にはなったが、代わりにやってきたのが雇用保険に加入できない契約という訳で。
『なんで辞めた時のことばかりいうの?』
私を説得したのは副店長だが、今まで働くか、失業保険をもらうか…そんな人生だったから、なんで一度クビになりかけた私にそんなこと簡単に言えるんだろうと不思議だった。
かけもちバイトした先で雇用保険に入ることも考えたが、精神科通院は事実なのだ。できる職種も限られてるし、実際何社か受けてみたがダメだった。
だったら辞めても前よりは有利に…2年目に車の免許を、3年目以降は諦めていた大学の通信教育課程に入ってみた。
だが親がお金を貸してくれる訳でもなく、元々貯金はできても10万が関の山。教習所と学資ローンが重なって、大学部への編入は諦めた。
38歳で婚活を始めてみた。某大手ポータルサイトが運営するお見合いサイト。
何人かアプローチが来て実際会ってみた。だが結果だけいうと、必ず3回目の後に振られた。原因はわかる。話題が続かないから。
そりゃそうだよ。平均月収10万たって、3割ほど深夜手当でもってるものだし、バイトちゃんが深夜入れる学校が休みの月は7万にまで下がる。しかもぽっちゃり体型で有名ブランド物はサイズがない。
化粧もスーパー勤務という職業柄制限があり、余計なアイテムは持たないことにしてる、からナチュラル通り過ぎてすっぴんメイクだ。これが理由で振られた時は、ネット友に「そんな男私も嫌だ」と言われたが。
そんな私でも1ヶ月以上続いた彼氏が2人いる。
1人目は、元々20代後半から入ってたメンタル系SNSの男性。私も知ってる女性と結婚…したが、病気を理由にリストラされた。さらに奥様の持病がそれで悪化し亡くなられた。
私が一番近かったのもあり、ゴミ屋敷と化してた部屋を片付けに通ってるうちにそういうことになった。
ある程度片付けて、テーブルで食事ができる頃に一変する。
彼にいきなり言われたのだ。何しに通ってるんだ、と。そして無理矢理ーー。
その後のメールで確信した、この男のせいで妻だった女性は本当に亡くなったのだと。
仲裁に入ってくれた、現在唯一の友人は「多分そういう男だと思ってた、ゆきちゃんが変えてくれるのを望んでいたんだけど」と言われ…。
その後何となく再開した婚活サイトで、母親を精神病で亡くされた男性と知り合い付き合い始めた。
乗り心地が良いとはいえないスポーツカー、ショッピングモールで感じる物の価値観の違いに違和感はあったものの、交際を断る理由ではなかった…が、やはりホテル直行みたいな、身体目的の付き合いになってきて。
初めは年齢的にそういうものかな~?としか感じなかったが、次第に肩こりが酷く喉も痛くなって病院へ…
「性病持ってる男性と交際してない?」
行きつけの咽喉科でそう言われ…。
宣言してたのだ、彼の息子は手術しなきゃいけないレベルだと。さらに肩こり首こりの原因も調べて…。
…ハイ、思いっきり振ってやりました。お金の使いどころ間違ってない?ちゃんと手術して安心できる車の運転に矯正して下さい、さよなら!って。
それから婚活サイトも退会。ひとり生活を謳歌してます。
最近は雇用保険をもらえない条件まで調べて。両親もまだ元気だけど、介護に専念するともらえないのか、じゃあそれでも、とか、今友達と呼べる人は全部SNSで知り合った人たちだからすぐに会える環境でなく、メッセージ機能とかで会話すれば良いし。
例のメンタル系のSNSは結局なくなった…けど、何かあっても土日じゃ仕事で行けないし、いいや~ってなって。
結局、有休は誕生日の7月23日プラス1日もらいました。
どこも出かける予定はなかったけどね。
…なかったんだけど、ね……。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる