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九. 蝉の卵
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トヤーがモンゴルに帰ってから、完治するとは思えない手術を2か月の間に2度行った。放射線治療や抗がん剤も服用しながらのことで、もう頭髪も復活するとは思えなかった。それでも、まだ3か月以上は延命できるとのことだった。
ただ、苦しく激痛、鈍痛を繰り返すだけの体をベッドに横たえているだけで、生きている意味などないように思えた。お見舞いに訪れる友人、知人、親族の人たちは、一生懸命励ましてくれる。医者や看護師も再発しなければ、治るような言葉を診察の度にかけてくれる。しかし、少なくとも1週間前の自分の状態と比べると、明らかに肉体が衰弱していくのがわかる。他人には、わからないだろうけれど。
そんな状態で、トヤーから突然、パソコンごしに希望の光なのか、許されることではないのかもしれない言葉が放たれた。
「コウイチ、喜んで。アナタの、アナタの生きた証しが、私のお腹に宿ったのよ」
「・・・」
言葉を返そうとするが、インパクトが強すぎて、何も返せなかった。
止まりかかっているはずの心臓の鼓動が高鳴った。
トヤーは何のためらいもなく当然のように、言い切った。
「だからコウイチ、ワタシたちの子供のためにも、がんばって生きるのよ」
オレは、本心、嬉しかったが、トヤーの一生を考えると、やめてほしかった。
しかし、トヤーの鬼気迫る表情に返す言葉もなく、意識を失ったフリをするだけだった。
ただ、苦しく激痛、鈍痛を繰り返すだけの体をベッドに横たえているだけで、生きている意味などないように思えた。お見舞いに訪れる友人、知人、親族の人たちは、一生懸命励ましてくれる。医者や看護師も再発しなければ、治るような言葉を診察の度にかけてくれる。しかし、少なくとも1週間前の自分の状態と比べると、明らかに肉体が衰弱していくのがわかる。他人には、わからないだろうけれど。
そんな状態で、トヤーから突然、パソコンごしに希望の光なのか、許されることではないのかもしれない言葉が放たれた。
「コウイチ、喜んで。アナタの、アナタの生きた証しが、私のお腹に宿ったのよ」
「・・・」
言葉を返そうとするが、インパクトが強すぎて、何も返せなかった。
止まりかかっているはずの心臓の鼓動が高鳴った。
トヤーは何のためらいもなく当然のように、言い切った。
「だからコウイチ、ワタシたちの子供のためにも、がんばって生きるのよ」
オレは、本心、嬉しかったが、トヤーの一生を考えると、やめてほしかった。
しかし、トヤーの鬼気迫る表情に返す言葉もなく、意識を失ったフリをするだけだった。
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