プルートの逆襲

LongingMoon

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二十六. 再びアステロイドベルト

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 木星から火星へは、往路でも通過したアステロイドベルトを通っていかねばならなかった。往路では敵の妨害工作を危機一髪のところ逃げきることができた。しかし、敵も今度こそ、ここでカズたちを葬り去るために全力をあげてくることが予想された。そこで、じいさんは一計を案じていた。
 「ここで、やつらは、絶対失敗するわけにはいかないので、かなり準備をしてきているはずじゃ。このまま、アステロイドベルトにつっこむのは非常に危険じゃ。わしはそのために、木星でセバスチャンと策を考えてきた。やつらは、わしらが火星に向かっているとよんでいるはずじゃ。そこで、わしらは、直接地球へ向かう進路をとる。すると、やつらは火星へ向かう進路の方から現れるはずじゃ。それで、わしらは少し軌道を修正し、小惑星のユーフロシーネに向かうんじゃ。そこで、ユーフロシーネにある使い物にならなくなった廃船があるので、そいつをダミー機として発射し、やっこさんたちをまいてしまうんじゃ。その整備は、昔の仲間に依頼済みじゃ」といいながら、小惑星マップの一点を指さした。そして続けた。
「無論ユーフロシーネには、燃料補給ができるように、往路で昔の仲間に頼んで
おいた」
セバスチャンはカズと視線を合わせて言い放った。
「カズ、そういうことだ。このミッションは、3つのポイントがある。
・一つ目は、やっこさんたちを適度な距離までひきつけてくること。
・二つ目は、ユーフロシーネの裏側にうまく回り込んで、着陸すると同時に、
ダミー機を発射すること。
・三つ目は、敵をやり過ごしたあと、気づかれないだけの時間経過後、出発すること。
以上だ。
ミロネシアは、これから13時間後に、アステロイドベルトの軌道空間に突入する」
カズは、少し緊張した様子で答えた。
「ラジャー。地球に向けて加速開始」
 ミロメシアは地球へ向けて加速を開始した。そして2日間加速後、減速運転で航行していた。ミロメシアのレーダーに3隻の宇宙船らしき物体が火星方面から映しだされた。
 「よし、きたな。ユーフロシーネへ向けて軌道修正だ」と、セバスチャンが言った。
「ユーフロシーネへ向けて軌道修正」
カズが復唱。
それから、半日ほどして、ミロメシアはユーフロシーネの重力影響範囲にはいった。敵機は、ミロメシアへ追い着くのに6時間くらいのところまで来ていた。ミロメシアは、ユーフロシーネに着陸し、じいさんの昔の仲間が、廃船を発射した。ミロメシアは、ユーフロシーネの地下ドックに格納され、あらゆる電気系統をストップさせた。むろん、廃船は無人ではあるが、ロケットエンジンで、加速し続けるよう自動運転設定されている。敵機は、ユーフロシーネ付近で減速し、怪しんでいるようではあったがミロメシアの影も形もなく、廃船の追尾を開始した。
 それから、丸1日が経った。
「じいさんも、なかなかのペテン師だなあ」
 クリスが言った。
「何を言っとるんじゃ。おまえさんといっしょにするな。策士と呼べ」
そう言いながら、じいさんはニヤリと笑った。
ミロメシアとクルー達は、丸1日の休養を終えてリフレッシュしていた。しかし、じいさんは明らかにこの宇宙の旅で憔悴しきっていた。
そして、ミロメシアは火星に向かって離陸した。往路での火星までの行程は、未経験の者にとってははるか彼方への行程に思えたが、長旅を終えての「アステロイドベルトから火星」や「火星から地球」までの行程は、かなり短いものに感じられた。太陽から地球までの距離を1(AU)とすると、地球からアステロイドベルトまでは3AUくらいで、アステロイドベルトや木星の外側は十数AU単位の旅をしなければ、別の天体へ行きつくことができなかったからである。
じいさんは、もう重力1Gの状態ですら、普通に歩くことができない程、疲れきって、ベッドに横たわっていた。
「ミスターミハエル、私は医者として、これ以上あなたに無理をさせるわけにはいきません」
ドクターが言った。
じいさんは、目を瞑り考え込んでいる様子だった。
「私の友人で、火星のコロニーで開業している腕利きの医者がいます。そこで、療養してください」
ドクターが言った。
 しばらく、ミロメシアのエンジン鼓動だけが微かに聞こえる静寂の空気が流れた。
 ドクターにとっては、とてつもなく長い時間に感じられた。
 じいさんは目を開いた。
「よし、わかった。それでは、セバスチャンとカズを呼んできてくれ」
 しばらくすると、2人がじいさんの傍らにやってきた。
 「見てのとおり、わしの体はもうこれ以上動かんようじゃ。わしは、火星でミロメシアを降りることにした」
じいさんは、2人の顔を交互に見ながら言った。
カズが、困惑の表情で反応した。
 「ええっ。そっそっ。いや、そうだよね。じいさんのおかげで、ボクらはここまでやってこれた。
これからは、ボクらがじいさんの分まで、最後までがんばって必ず地球で苦しんでいる人達を助けてみせるよ」
「カズ、よく言った。その通りだ。ご老体には休んでもらって火星で吉報を受け取ってもらうことにしよう」
 セバスチャンは自信にみなぎった表情を見せた。
 「いや。わしは、火星で動ける体に回復したら、月に戻ろうと思っている。そこでじゃ。まず、火星についたら、・・・」
じいさんは、次の作戦について話し始めた。
それから、3日後の到着を目指してミロメシアは火星に2つある衛星のうちダイモスのラグランジュポイントにあるコロニーを目指した。
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