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連載
騒がしい始まり⑭
書籍を購入していただいたと報告を受ける度に感謝感謝です。ありがとうございます。
先日、滅多に行かない、遠方のショッピングモールに行きました。そこの本屋さんの新刊コーナーの上段にあり、感無量でした。やっぱり実物が並んでいると感慨深いものがあります。
振り返ったホークさんの目に動揺が浮かんでいる。隣に立つチュアンさんもだ。私は大丈夫だと、頷いてみせる。二人の間を抜けて、前に出る。しっかりビアンカとルージュが張り付いてくれる。
ワゾーさんは白髪混じりの茶色髪の頭を下げたままの体勢で固まっている。
私が前に出てきたのを感じたのか、もと剣士らしい、分厚い肩が微かに揺れる。
『ユイ、こちらに向かってくる複数の気配があるのです。敵意はないのです』
『一匹、飛び抜けて強い雄がいるけど、大丈夫よ、問題なく消せるわ』
何を? 息の根?
ダメよ、と目で伝える。
私はワゾーさんの前に、そして両膝を付く。周りが、ざわっとするが気にしない。ビアンカとルージュが直ぐ側でお座りするのを感じる。
「貴方がワゾーさんですか?」
「はっ」
まるで軍隊みたいなお返事してくる。
「ワゾーさん、貴方の人柄はホークさん達、鷹の目の皆さんから伺っています。そして、大変お世話になったと」
周りが微かにざわめき立つ。
「私は貴方には感謝しています。今、鷹の目の皆さんが無事にいられるのは、貴方の采配であったと。そのお陰で、水澤家は、鷹の目の皆さんを受け入れる事が出来た。本当に感謝しています」
『この雄、戸惑っているのです』
きっと、ホークさんに譲り渡した鎧が、ホークさんとエマちゃんを守ったことを知らないのかも。ホークさんはワイン護送の件は一度手紙で知らせて入るが、簡単な経緯と、自分達は私の戦闘奴隷として、何の問題なく生活できている事だけを記していたからね。
『ユイ、もうすぐ、こちらに向かう気配達が到着するわよ』
敵意がないのなら、ほっといてもよか。
「シーラは奴隷に対してシビアだと伺っています。こちらがお願いしたくらいでは、先程の罵声を制限出来ないほどに」
さーっ、と気まずい、みたいな顔をする人達が現れる。ま、気まずい、と思えるならまだマシかな。
「そんな中で、ワゾーさんだけが、ドラゴンポーションを待つ人達の為に、頭を下げている。私は私の戦闘奴隷、『鷹の目』の恩人であり、たった一人で私達の前に膝をついた貴方の顔を立てましょう」
家族会議で決まった事ではないが、ワゾーさんにはホークさん達が大変お世話がになっているからね。
「初回、『試練のダンジョン』に挑んだ際に出たドロップ品だけは、ギルドに卸しましょう。ただし、この初回アタックで、竜種が手に入らないとしても、私達を責めないで頂きたいのです」
「はっ、ありがとうございますっ。ありがとうございますっ」
肩を一瞬震わして、ワゾーさんが繰り返す。あ、見守っていたイーゴリさんが安心して、くらっ、としている。慌てて、ジョレスさんが支えている。
さて、これで、この場はよかね。あくまで、『試練のダンジョン』の初回アタックのドロップ品だけだから、スライムダンジョンやルーティのダンジョンのドロップ品を下ろすつもりはない。帰りにもう一度、首都やマーファで相談しよう。
あ、ミゲル君のご実家どうしよう、変な風評被害が起きなきゃいいけど。どうしたものか?
「あの、ミズサワ殿、少し宜しいでしょうか?」
おずおずと、ボスザさんが声をかけてくる。私はワゾーさんに顔を上げてくださいと、声をかけてから立ち上がる。あ、ホークさん達も膝をついていたみたいで、一緒に立ち上がる。
「実はですな。首都にお泊りになるならと、ある御方が宿の手配をしておりして。この様な事態なると思わず、後手に回り申し訳ない」
「宿、ですか?」
「はい、従魔殿が見事な体躯と伺い、選んだ宿だそうです。もちろん安全面も保証されています」
うーん、どうしよっかなあ。
『嘘でないのですね』
『そうね』
うーん。
「その宿に、特定の誰かを招き入れることは可能ですか?」
「はい。ミズサワ殿が問題ないと言われるのでしたら。それにこれだけの従魔殿達だ、悪意を持って貴女には近づけますまい」
それはそうやね。
よし、お言葉に甘えて。私はボスザさんに断り、緊急ミニ家族会議。
「宿借りようと思う。マデリーンさんのお姉さんばワゾーさんに連れてきてもらおうと思うけど」
「わいはいいと思うよ。やけど、ミゲル君のご家族は厳しくない?」
ミゲル君のご家族は、奴隷に対する考えはシーラ寄りだろうしね。申し訳なか。
「お父さんはどうすると?」
抱っこ紐の花を抱え直す母。
「ん? 残らんよ。流石、こんな状況で技術指導なんて無理や」
父は技術指導のお願いされていたけど、予め話していたように、技術指導提起をやめるみたい。
私が、初回のドロップ品を卸す事に関しては、ワゾーさんの顔を立てることに納得してくれた。ほっ。
『ユイ、ユイ、そろそろ来るのですよ』
『心配ないわ、消せるから』
だから、何を? 息の根?
私はボスザさんにどのタイミングで宿を件を話そうか悩んでいると、ギルド入口が、ざわついた。
先日、滅多に行かない、遠方のショッピングモールに行きました。そこの本屋さんの新刊コーナーの上段にあり、感無量でした。やっぱり実物が並んでいると感慨深いものがあります。
振り返ったホークさんの目に動揺が浮かんでいる。隣に立つチュアンさんもだ。私は大丈夫だと、頷いてみせる。二人の間を抜けて、前に出る。しっかりビアンカとルージュが張り付いてくれる。
ワゾーさんは白髪混じりの茶色髪の頭を下げたままの体勢で固まっている。
私が前に出てきたのを感じたのか、もと剣士らしい、分厚い肩が微かに揺れる。
『ユイ、こちらに向かってくる複数の気配があるのです。敵意はないのです』
『一匹、飛び抜けて強い雄がいるけど、大丈夫よ、問題なく消せるわ』
何を? 息の根?
ダメよ、と目で伝える。
私はワゾーさんの前に、そして両膝を付く。周りが、ざわっとするが気にしない。ビアンカとルージュが直ぐ側でお座りするのを感じる。
「貴方がワゾーさんですか?」
「はっ」
まるで軍隊みたいなお返事してくる。
「ワゾーさん、貴方の人柄はホークさん達、鷹の目の皆さんから伺っています。そして、大変お世話になったと」
周りが微かにざわめき立つ。
「私は貴方には感謝しています。今、鷹の目の皆さんが無事にいられるのは、貴方の采配であったと。そのお陰で、水澤家は、鷹の目の皆さんを受け入れる事が出来た。本当に感謝しています」
『この雄、戸惑っているのです』
きっと、ホークさんに譲り渡した鎧が、ホークさんとエマちゃんを守ったことを知らないのかも。ホークさんはワイン護送の件は一度手紙で知らせて入るが、簡単な経緯と、自分達は私の戦闘奴隷として、何の問題なく生活できている事だけを記していたからね。
『ユイ、もうすぐ、こちらに向かう気配達が到着するわよ』
敵意がないのなら、ほっといてもよか。
「シーラは奴隷に対してシビアだと伺っています。こちらがお願いしたくらいでは、先程の罵声を制限出来ないほどに」
さーっ、と気まずい、みたいな顔をする人達が現れる。ま、気まずい、と思えるならまだマシかな。
「そんな中で、ワゾーさんだけが、ドラゴンポーションを待つ人達の為に、頭を下げている。私は私の戦闘奴隷、『鷹の目』の恩人であり、たった一人で私達の前に膝をついた貴方の顔を立てましょう」
家族会議で決まった事ではないが、ワゾーさんにはホークさん達が大変お世話がになっているからね。
「初回、『試練のダンジョン』に挑んだ際に出たドロップ品だけは、ギルドに卸しましょう。ただし、この初回アタックで、竜種が手に入らないとしても、私達を責めないで頂きたいのです」
「はっ、ありがとうございますっ。ありがとうございますっ」
肩を一瞬震わして、ワゾーさんが繰り返す。あ、見守っていたイーゴリさんが安心して、くらっ、としている。慌てて、ジョレスさんが支えている。
さて、これで、この場はよかね。あくまで、『試練のダンジョン』の初回アタックのドロップ品だけだから、スライムダンジョンやルーティのダンジョンのドロップ品を下ろすつもりはない。帰りにもう一度、首都やマーファで相談しよう。
あ、ミゲル君のご実家どうしよう、変な風評被害が起きなきゃいいけど。どうしたものか?
「あの、ミズサワ殿、少し宜しいでしょうか?」
おずおずと、ボスザさんが声をかけてくる。私はワゾーさんに顔を上げてくださいと、声をかけてから立ち上がる。あ、ホークさん達も膝をついていたみたいで、一緒に立ち上がる。
「実はですな。首都にお泊りになるならと、ある御方が宿の手配をしておりして。この様な事態なると思わず、後手に回り申し訳ない」
「宿、ですか?」
「はい、従魔殿が見事な体躯と伺い、選んだ宿だそうです。もちろん安全面も保証されています」
うーん、どうしよっかなあ。
『嘘でないのですね』
『そうね』
うーん。
「その宿に、特定の誰かを招き入れることは可能ですか?」
「はい。ミズサワ殿が問題ないと言われるのでしたら。それにこれだけの従魔殿達だ、悪意を持って貴女には近づけますまい」
それはそうやね。
よし、お言葉に甘えて。私はボスザさんに断り、緊急ミニ家族会議。
「宿借りようと思う。マデリーンさんのお姉さんばワゾーさんに連れてきてもらおうと思うけど」
「わいはいいと思うよ。やけど、ミゲル君のご家族は厳しくない?」
ミゲル君のご家族は、奴隷に対する考えはシーラ寄りだろうしね。申し訳なか。
「お父さんはどうすると?」
抱っこ紐の花を抱え直す母。
「ん? 残らんよ。流石、こんな状況で技術指導なんて無理や」
父は技術指導のお願いされていたけど、予め話していたように、技術指導提起をやめるみたい。
私が、初回のドロップ品を卸す事に関しては、ワゾーさんの顔を立てることに納得してくれた。ほっ。
『ユイ、ユイ、そろそろ来るのですよ』
『心配ないわ、消せるから』
だから、何を? 息の根?
私はボスザさんにどのタイミングで宿を件を話そうか悩んでいると、ギルド入口が、ざわついた。
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