もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~

鐘ケ江 しのぶ

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連載

騒がしい始まり⑰

 サエーキでお借りしたゲストハウスは、お屋敷感があったが、こちらは宮殿感がある。白を基調とした壁に、整えられた庭はガーデニングも素晴らしい。低い立ち木も整然と整えられて、これは入場料がいるんやない?
 すごかー。
「今までの中で一番高級そうやな」
 と、晃太がぽつり。
「わふーんっ」
『あっちまで競争やねんっ』
『ヒスイも行くー』
『ルリもー』
『クリスもー』
「くるっ」
 仔達が新しい場所だからとはしゃいで飛び出す体勢に。
「いかんよ。綺麗なお庭が壊れるけんね」
 母が制止して、仔達は素直に「はーい」とお返事している。
「ミズサワ殿、さあ、こちらに」
 わざわざザイーム殿下自らご案内してくれてるが、いいのかな? さっきのファングさんの態度もなんとなく分かるが、せっかく準備してもらった手前もある。素直に従った方がいいかなあ。
 まずは、ノワールを厩舎に移動する。イシスとオシリス、ホルスもついて行った。私達はぞろぞろと宮殿の様な宿に。
 わぁー、すごかー、天井たかーい。キラキラ輝くシャンデリアに、壁や廊下の飾りやらなんやらが素晴らしい。決して華美ではなく、品が良く統一感がある。壁にさり気なく入った殆どの柄は蔦模様で小さな花を咲かせている。マデリーンさんから後で教えてもらうと国花だと。
 宿内には数人、メイドやフットマンの格好をした方がいて、ズラリと並んでお出迎えしてくれる。
「彼等は滞在中の世話係です。なんなりと申し付けください」
 ありがたい、だが、ルームが使えないのでお断りしないと。
「ザイーム殿下、とてもありがたいのですが、このお屋敷内と厩舎の掃除、屋敷内の説明、後近くにある食品を扱い所に案内をお願いしたいのです。掃除も毎日でなくで大丈夫ですので」
 後ろで「アルス、ベタベタ触るなっ」てファングさんの小さな声。
「では、その様に致しましょう」
 ザイーム殿下が最前列にいたフットマンさんに目配せする。
「この屋敷内の説明したいのですが」
『やっぱり、ユイ、この雄、何か隠しているのですよ』
『悪意も敵意はないままだけど、ちょっと気になるわ』
 ぴったり私に張り付いていたビアンカとルージュが警告を出してくる。なんか、そんな空気は感じていたが。
「少々、お時間を頂けないでしょうか?」
 わざわざ、お断りを入れてくる。王族のザイーム殿下がわざわざ。何か、あるな。でも、これでもしかしたら、ミゲル君のご実家のお店を守るきっかけになるかもしれない。
「はい、分かりました」
 ザイーム殿下は笑顔で私達を案内してくれる。ザイーム殿下の前には、フットマンさん。長い廊下にはしっかりした絨毯が敷き詰められている。こちらも凝った模様だなあ。
 フットマンさんが重厚な扉を開けると、素晴らしい眺めの部屋、多分居間かな? 落ち着いた色合いのソファに、低いテーブルの天板はなんとガラス製。こちらに来て、初めて見た。レースのクロスも素敵。壁の棚に飾らた花瓶には、白を基調とした花が生けられ、ソファのクッションは、元気が咥えている。こらこらっ。慌てて取り上げる。
 良かった、破れてない。元気の牙、スゴカもんね。広い居間だが、流石に全員ではきつきつ。外はちょっと暑いから、しっかり冷房のある居間に入る。
 それぞれふかふかソファに座り、鷹の目皆さんは、ホークさんだけが、私達の後ろに立ち、チュアンさん達は部屋の隅に立つ。
 金の虎の皆さんはファングさんが「いてもいいのか?」みたいに聞いてきたが、ザイーム殿下に確認すると、私達と深い繋がりがあるならいいですよ、と。
 着席して、直ぐにザイーム殿下が切り出す。
「時間がなく、手短で申し訳ない。実は今夜、ある組織の壊滅作戦が立てられており、各ギルドマスター達が奔走しております」
 あ、さっきのギルドでの騒ぎ、ちょっと変やなって思ってた。なんでギルドマスター達出てこないんやろうって。あれだけの騒ぎだったのに。
「組織、ですか?」
 あんまり、良くないんやろうなあ。壊滅作戦なんて立てられるのであれば。
「ええ」
 ザイーム殿下が続ける。
「数年前にユリアレーナの首都にあった本部が、騎士団により壊滅し、僅かに散り散りとなった連中が今度は我が国に新たな拠点を作ったようで」
 へー。
 あら? なんや、引っかかる。
「かなり大きな組織でして、ここシーラだけでなく、クラインやユリアレーナ、サウザマーク、アスラ王国でも被害があっています」
 すう、とザイーム殿下が息を吸う。
「そう、北のカルーラから首都サエーキまでのワイン護送で、馬車に細工。将来有望な冒険者達を死に追いやり、そして書類偽装し、爆発で生き残った冒険者達を奴隷に落とした。数えればきりが無い程の事をしでかした連中です」
 私達、今、どんな顔しているやろう。
 すーっ、とお腹が冷えていくが、頭の何処かで、非常に冷静な部分がある。
「ザイーム殿下、その壊滅作戦、私達も参加できませんか?」
 私の口から、自然に言葉が出てきた。
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