61 / 876
連載
手土産①
『戦闘モード 風乙女(シルフィリア)』
どかかかぁぁぁぁんっ
どかかかぁぁぁぁんっ
どっかぁぁぁぁぁんっ
『終わったようよ』
「はいはい。行くよ晃太」
「ん」
軍手装備し、トングに籠を持ちボス部屋へ。
冷蔵庫ダンジョン2日目。
転がるドロップ品。目玉の入った瓶を拾う。これで目のことで悩んでいる人が救われるなら、何てことない。と、思うけど、直視せずせっせと拾う。晃太もその話を聞いてから、渋い顔はするが、せっせと拾っている。
最後に出てきた宝箱をルージュにチェックしてもらう。
『ユイ、これは宝箱ではないわ、ちょっと待って』
ルージュがジャガーパンチ一発。
木が嫌な音を立てて割けるような音と共に、宝箱が消える。
「なんやったん?」
『擬態魔物よ。こうやって油断させて、相手に噛みつくの』
「怖っ」
擬態魔物の後に、やっと出てきた宝箱。ルージュのチェック。罠なし。
「どうぞ、晃太」
「ん」
この宝箱開ける瞬間のわくわくは、いまだに続いている。
ビロードの箱。
晃太が開けると、小粒のダイヤモンドが飾られた指輪とブレスレット、ネックレスだ。まあ、エレガント。
「晃太、目玉だけで、いくつね?」
他はよか。
「えっとなあ、325や」
「結構集まったね。そろそろ21階に行ってみる?」
『そうなのです。蛇はもういいのです』
『そうね、飽きたわ』
それではと、21階へ。階段を昇る。
21階も草原だが、あちこち木が生えている。実のなる木が。
カリン、レモン、プラム、ブルーベリー、イチジク等々。季節感なし。
「いっぱい実なっとうやん。お土産に持って帰らん?」
「そやな」
蛇がいないかチェックしてもらい、果物を籠に入れる。元気が飛びかかるので、ビアンカにリードを持ってもらう。
「あ、なあ、姉ちゃん」
「なんね?」
急に思い付いたように、晃太が言う。
「この木ばさ、孤児院の庭に植え替えれんね?」
「え。あ、そうやな。でも、大丈夫かね? ほら、寄生虫とか、土問題とか」
「あ、そうやね、誰かに聞かんとなあ」
晃太の考えはいいと思うけど、誰に聞こうにも、ここはダンジョンだしなあ。
うーん。
とりあえず、果物を晃太のアイテムボックスに入れる。
再び移動開始、猪やら角の生えたウサギが来たけど、我等のビアンカとルージュに勝てるわけない。
果物回収したので、ボス部屋には2時間で到着。
『私が行くわ』
『いいのです』
「決まった?」
『ええ、私が行くわ』
ルージュがドアの前に移動し、魔法発動。
『戦闘モード 光の貴婦人(リュミライトレディ)』
ドガガガガガガガガガガァァァァァンッ
ドガガガガガガガガガガァァァァァンッ
『終わったようなのです』
「早かねえ」
相変わらず。
ボス部屋覗くと転がるドロップ品。
「チーズがあるって事は牛?」
『ええ、そうよ』
「ルージュ、お疲れ様。休んどって、晃太お茶ば」
「ん」
せっせと拾う。大きいのは晃太に直接アイテムボックスに入れてもらう。丸太みたいなチーズはとてもじゃないけど、持ち上げることはできない。しれっとモッツァレラ食べてるビアンカとルージュ。良か、たくさんあるし。お肉も大量だ。ただ、今までの牛のドロップ品とは違い、角がやたら綺麗だ。まるでガラスみたい。全部拾います。
で、最後に出てきた宝箱。ちょっと大きな宝箱。ルージュにチェックしてもらう。罠はない。
今度は私が開ける。
「あ、バイオリンやない?」
「そやね、2台もあるよ」
「姉ちゃん、バイオリンは2丁や。あ、奥になんかあるばい」
「あ、本当や。これは」
小さなビロードの箱だ。私が開ける。
小粒の石の指輪だ。
「小さいなあ」
贅沢な事を口にしてしまう。だが、換金して、ビアンカとルージュのご飯に。
『ユイ、待ってなのです』
『それから魔力を感じるわ』
「え? これ?」
「なんやろうなあ。親父に見てもらうな? 良ければ姉ちゃんすればいいやん」
「そやね」
とりあえずすべて晃太のアイテムボックスに。
この次は確か、海フィールドのはず。
「どうする? この上は海ばい。今日はボス部屋前でルーム開けるね? 22階まで上がるの?」
相談し、ボス部屋前でルームを開ける。
元気達が中庭で駆け回るのを、確認して、夕御飯の準備。
「何にするん?」
「そやねえ」
屋台で買っておいた、大量のケバブと、野菜たっぷりトルティーヤ、焼き小籠包もつける。
「で、どう?」
「よかよ。今日、わい、ビールにする」
「軽くにしてよ。ビアンカとルージュが食後の運動とか言いそうやけん」
「あ、そうやったな」
さて、夕御飯の準備、と。あ、その前に、お地蔵に向かって手を合わせてみる。
神様、ダンジョンの木を持ち帰っても大丈夫でしょうか?
……………………………………
返事はなし。
まあ、そうやね。
「姉ちゃん、姉ちゃん」
「なんね? おうっ」
「お嬢さん方、久し振りじゃの」
わざわざ、来ていただきました。
始祖神様がっ。後は5歳くらいの黒髪の女の子。わあ、かわいかっ。
「始祖神様、わざわざ、ありがとうございます。お座りください。晃太、お茶お茶。姉ちゃん、ちょっと、行ってくるけん」
「あ、あ、あ、分かった」
挙動不審の晃太にお茶を任せて、私はダッシュで銀の槌へ。
お待たせするわけにはいかない。
「すみませんっ、全種類1個ずつくださいっ、あ、フルーツケーキとプリンを3つください」
ホールケーキも含めて、合計8050なり。
白い箱を合計3つ、大きなビニール袋に入れてもらい、銀の槌を出る。あ、ポイントカード。次回でよか。
ルームでは、中庭の窓からビアンカとルージュがこちらを見ている。口で、ごめん、待っとって。
ダイニングキッチンでは、既に晃太がリンゴジュースを出し、お皿とフォークも出してる。
「お待たせしました、始祖神様、どうぞお好きなものを」
ホールケーキ以外を開けると、女の子の顔が輝く。
手を出そうとした女の子を、優しく止める始祖神様。
「これ、まずは、なんと言うんだ?」
「えっと、ありがとうございます」
かわいか。
「はい、どうぞ、お好きなものを」
「これが、いいです」
と、指したのはあまおうが乗った色鮮やかなタルト。ケーキのなかで一番高いの選んだね。さすが。
私がお皿に移す。
「いただきます」
「はい、どうぞ。始祖神様はどれにされます」
「ごちそうになるぞ。毎日供え物、本当にありがとうお嬢さん方。ほっほっほっ、こんなにあると迷うなあ。では、儂はそれを」
始祖神様はオレンジのムースだ。
「いやあ、本当に旨いなあ」
好評で良かった。
残りのケーキ、ホールケーキ、フルーツケーキ、プリンはお持ち帰りで。
「まず、お嬢さん方に改めて礼を」
「え、何でしょう?」
お供えのお礼なら、さっき聞いたけど。
「あのダイアナという娘のことだ」
「ダイアナちゃん?」
「そうだ。儂らは地上に介入はできん。極々限られた者の限られたスキルで、僅かな力を与えられるがな。お嬢さんの『神への祈り』のようにな。儂らはスキルの管理、魂の保護、それらは地上を見守ることしかできん。だがな、人々の祈りは届くのだよ」
始祖神様は視線を落とす。
「我が子を救ってください、と親の痛みを含んだ祈りは、儂に届くがどうもしてやれなくてなあ。いつもいつも、胸が苦しくなる。だが、お嬢さん達のお陰で、あの家族は救われた。我が世界の住人を助けたのだ、始祖神として感謝する」
「そんな、私達はできる事をしただけです。それも全部神様から頂いたスキルがあってこそです」
これは本当だ。
私のルーム、父の鑑定、母の生活魔法。これが揃わなくては、ダイアナちゃんは治らなかったと思う。
「本当に惜しいな。いや、逆によかったかもしれん」
?
どかかかぁぁぁぁんっ
どかかかぁぁぁぁんっ
どっかぁぁぁぁぁんっ
『終わったようよ』
「はいはい。行くよ晃太」
「ん」
軍手装備し、トングに籠を持ちボス部屋へ。
冷蔵庫ダンジョン2日目。
転がるドロップ品。目玉の入った瓶を拾う。これで目のことで悩んでいる人が救われるなら、何てことない。と、思うけど、直視せずせっせと拾う。晃太もその話を聞いてから、渋い顔はするが、せっせと拾っている。
最後に出てきた宝箱をルージュにチェックしてもらう。
『ユイ、これは宝箱ではないわ、ちょっと待って』
ルージュがジャガーパンチ一発。
木が嫌な音を立てて割けるような音と共に、宝箱が消える。
「なんやったん?」
『擬態魔物よ。こうやって油断させて、相手に噛みつくの』
「怖っ」
擬態魔物の後に、やっと出てきた宝箱。ルージュのチェック。罠なし。
「どうぞ、晃太」
「ん」
この宝箱開ける瞬間のわくわくは、いまだに続いている。
ビロードの箱。
晃太が開けると、小粒のダイヤモンドが飾られた指輪とブレスレット、ネックレスだ。まあ、エレガント。
「晃太、目玉だけで、いくつね?」
他はよか。
「えっとなあ、325や」
「結構集まったね。そろそろ21階に行ってみる?」
『そうなのです。蛇はもういいのです』
『そうね、飽きたわ』
それではと、21階へ。階段を昇る。
21階も草原だが、あちこち木が生えている。実のなる木が。
カリン、レモン、プラム、ブルーベリー、イチジク等々。季節感なし。
「いっぱい実なっとうやん。お土産に持って帰らん?」
「そやな」
蛇がいないかチェックしてもらい、果物を籠に入れる。元気が飛びかかるので、ビアンカにリードを持ってもらう。
「あ、なあ、姉ちゃん」
「なんね?」
急に思い付いたように、晃太が言う。
「この木ばさ、孤児院の庭に植え替えれんね?」
「え。あ、そうやな。でも、大丈夫かね? ほら、寄生虫とか、土問題とか」
「あ、そうやね、誰かに聞かんとなあ」
晃太の考えはいいと思うけど、誰に聞こうにも、ここはダンジョンだしなあ。
うーん。
とりあえず、果物を晃太のアイテムボックスに入れる。
再び移動開始、猪やら角の生えたウサギが来たけど、我等のビアンカとルージュに勝てるわけない。
果物回収したので、ボス部屋には2時間で到着。
『私が行くわ』
『いいのです』
「決まった?」
『ええ、私が行くわ』
ルージュがドアの前に移動し、魔法発動。
『戦闘モード 光の貴婦人(リュミライトレディ)』
ドガガガガガガガガガガァァァァァンッ
ドガガガガガガガガガガァァァァァンッ
『終わったようなのです』
「早かねえ」
相変わらず。
ボス部屋覗くと転がるドロップ品。
「チーズがあるって事は牛?」
『ええ、そうよ』
「ルージュ、お疲れ様。休んどって、晃太お茶ば」
「ん」
せっせと拾う。大きいのは晃太に直接アイテムボックスに入れてもらう。丸太みたいなチーズはとてもじゃないけど、持ち上げることはできない。しれっとモッツァレラ食べてるビアンカとルージュ。良か、たくさんあるし。お肉も大量だ。ただ、今までの牛のドロップ品とは違い、角がやたら綺麗だ。まるでガラスみたい。全部拾います。
で、最後に出てきた宝箱。ちょっと大きな宝箱。ルージュにチェックしてもらう。罠はない。
今度は私が開ける。
「あ、バイオリンやない?」
「そやね、2台もあるよ」
「姉ちゃん、バイオリンは2丁や。あ、奥になんかあるばい」
「あ、本当や。これは」
小さなビロードの箱だ。私が開ける。
小粒の石の指輪だ。
「小さいなあ」
贅沢な事を口にしてしまう。だが、換金して、ビアンカとルージュのご飯に。
『ユイ、待ってなのです』
『それから魔力を感じるわ』
「え? これ?」
「なんやろうなあ。親父に見てもらうな? 良ければ姉ちゃんすればいいやん」
「そやね」
とりあえずすべて晃太のアイテムボックスに。
この次は確か、海フィールドのはず。
「どうする? この上は海ばい。今日はボス部屋前でルーム開けるね? 22階まで上がるの?」
相談し、ボス部屋前でルームを開ける。
元気達が中庭で駆け回るのを、確認して、夕御飯の準備。
「何にするん?」
「そやねえ」
屋台で買っておいた、大量のケバブと、野菜たっぷりトルティーヤ、焼き小籠包もつける。
「で、どう?」
「よかよ。今日、わい、ビールにする」
「軽くにしてよ。ビアンカとルージュが食後の運動とか言いそうやけん」
「あ、そうやったな」
さて、夕御飯の準備、と。あ、その前に、お地蔵に向かって手を合わせてみる。
神様、ダンジョンの木を持ち帰っても大丈夫でしょうか?
……………………………………
返事はなし。
まあ、そうやね。
「姉ちゃん、姉ちゃん」
「なんね? おうっ」
「お嬢さん方、久し振りじゃの」
わざわざ、来ていただきました。
始祖神様がっ。後は5歳くらいの黒髪の女の子。わあ、かわいかっ。
「始祖神様、わざわざ、ありがとうございます。お座りください。晃太、お茶お茶。姉ちゃん、ちょっと、行ってくるけん」
「あ、あ、あ、分かった」
挙動不審の晃太にお茶を任せて、私はダッシュで銀の槌へ。
お待たせするわけにはいかない。
「すみませんっ、全種類1個ずつくださいっ、あ、フルーツケーキとプリンを3つください」
ホールケーキも含めて、合計8050なり。
白い箱を合計3つ、大きなビニール袋に入れてもらい、銀の槌を出る。あ、ポイントカード。次回でよか。
ルームでは、中庭の窓からビアンカとルージュがこちらを見ている。口で、ごめん、待っとって。
ダイニングキッチンでは、既に晃太がリンゴジュースを出し、お皿とフォークも出してる。
「お待たせしました、始祖神様、どうぞお好きなものを」
ホールケーキ以外を開けると、女の子の顔が輝く。
手を出そうとした女の子を、優しく止める始祖神様。
「これ、まずは、なんと言うんだ?」
「えっと、ありがとうございます」
かわいか。
「はい、どうぞ、お好きなものを」
「これが、いいです」
と、指したのはあまおうが乗った色鮮やかなタルト。ケーキのなかで一番高いの選んだね。さすが。
私がお皿に移す。
「いただきます」
「はい、どうぞ。始祖神様はどれにされます」
「ごちそうになるぞ。毎日供え物、本当にありがとうお嬢さん方。ほっほっほっ、こんなにあると迷うなあ。では、儂はそれを」
始祖神様はオレンジのムースだ。
「いやあ、本当に旨いなあ」
好評で良かった。
残りのケーキ、ホールケーキ、フルーツケーキ、プリンはお持ち帰りで。
「まず、お嬢さん方に改めて礼を」
「え、何でしょう?」
お供えのお礼なら、さっき聞いたけど。
「あのダイアナという娘のことだ」
「ダイアナちゃん?」
「そうだ。儂らは地上に介入はできん。極々限られた者の限られたスキルで、僅かな力を与えられるがな。お嬢さんの『神への祈り』のようにな。儂らはスキルの管理、魂の保護、それらは地上を見守ることしかできん。だがな、人々の祈りは届くのだよ」
始祖神様は視線を落とす。
「我が子を救ってください、と親の痛みを含んだ祈りは、儂に届くがどうもしてやれなくてなあ。いつもいつも、胸が苦しくなる。だが、お嬢さん達のお陰で、あの家族は救われた。我が世界の住人を助けたのだ、始祖神として感謝する」
「そんな、私達はできる事をしただけです。それも全部神様から頂いたスキルがあってこそです」
これは本当だ。
私のルーム、父の鑑定、母の生活魔法。これが揃わなくては、ダイアナちゃんは治らなかったと思う。
「本当に惜しいな。いや、逆によかったかもしれん」
?
あなたにおすすめの小説
「三番以下を取りなさい」と五年言われ続けたので、公開試験で本気を出しました
歩人
ファンタジー
王立魔法学院、入学時首席のリュシエンヌは、婚約者レイナルト公爵令息から五年間「女は三番以下を取れ」と命じられてきた。学院の序列は国家序列の縮図。レイナルトは常に一位に居続けた。婚約披露を控えた十九歳の春、レイナルトが新しい婚約者を連れて告げる。「お前では並び立てぬ。学力も身分も、足りなすぎる」——リュシエンヌは微笑んで、その翌日の年次公開試験で、五年封じてきた本気を出した。国王臨席の場で、史上最高点。魔法局長官が教授陣に命じる。「過去五年間の彼女の実測点と、もし本気で受けていたら出せた推計点を、公表したまえ」。教授陣は震える手で数字を並べた。レイナルトの「首席」は、全て彼女が譲った場所だった。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
夫の不倫相手に「妻の座を譲れ」と言われたので、譲る代わりに全部置いていきます 〜行き先は老舗旅館。追いかけてきても、もう遅いです〜
なつめ
恋愛
夫の愛人に「妻の座を譲れ」と言い渡された主人公は、怒鳴り返すこともしがみつくこともせず、ただ静かに頷いた。
家のこと、食事のこと、社交のこと、義実家のこと、会社の裏方のこと。 誰も価値を知らなかった“妻の座”の中身を、そっくりそのまま置いて家を出る。
向かった先は、かつて傷ついた自分を受け入れてくれた老舗旅館。 再建に奔走する若旦那とともに働く中で、主人公は初めて「役に立つから愛される」のではなく、「あなた自身がいてほしい」と言われる温かさを知っていく。
一方、主人公を軽んじた元夫の家では、生活も体裁も仕事もじわじわと崩壊を始める。 これは、何も持たずに出ていったはずの女が、自分の人生を取り戻し、最後には新しい恋と居場所を手に入れる再生の物語。
見た目の良すぎる双子の兄を持った妹は、引きこもっている理由を不細工だからと勘違いされていましたが、身内にも誤解されていたようです
珠宮さくら
恋愛
ルベロン国の第1王女として生まれたシャルレーヌは、引きこもっていた。
その理由は、見目の良い両親と双子の兄に劣るどころか。他の腹違いの弟妹たちより、不細工な顔をしているからだと噂されていたが、実際のところは全然違っていたのだが、そんな片割れを心配して、外に出そうとした兄は自分を頼ると思っていた。
それが、全く頼らないことになるどころか。自分の方が残念になってしまう結末になるとは思っていなかった。
夫が私にそっくりな下の娘ばかりをかわいがるのですけど!
山科ひさき
恋愛
「子供達をお願い」 そう言い残して、私はこの世を去った。愛する夫が子供達に私の分も愛情を注いでくれると信じていたから、不安はなかった。けれど死後の世界から見ている夫は下の娘ばかりをかわいがり、上の娘をないがしろにしている。許せない。そんな時、私に不思議な声が呼びかけてきて……。
「お前の泥だらけの手で触るな、気持ち悪い」と追放された令嬢——王宮の食器が一枚も焼けなくなった
歩人
ファンタジー
「お前の泥だらけの手で触るな、気持ち悪い」——王宮御用達の食器を焼く伯爵令嬢エルザは、婚約者の第二王子に手の荒れを嗤われて追放された。十二歳から十年間、王宮の全ての食器を手ずから焼いてきた。彼女の食器は特殊な土と焼成技術で魔力を通し、毒に触れると色が変わる。料理の温度も保つ。追放から三ヶ月後、晩餐会で新しい食器を使ったところ、毒が検知されず隣国の大使が倒れた。外交問題に発展する中、第二王子が「食器くらい誰でも焼ける」と窯に立った結果、出来上がったのは歪んだ灰色の皿だった。
「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした
しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」
十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。
会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。
魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。
※小説家になろう様にも投稿しています※
私を追い出した結果、飼っていた聖獣は誰にも懐かないようです
天宮有
恋愛
子供の頃、男爵令嬢の私アミリア・ファグトは助けた小犬が聖獣と判明して、飼うことが決まる。
数年後――成長した聖獣は家を守ってくれて、私に一番懐いていた。
そんな私を妬んだ姉ラミダは「聖獣は私が拾って一番懐いている」と吹聴していたようで、姉は侯爵令息ケドスの婚約者になる。
どうやらラミダは聖獣が一番懐いていた私が邪魔なようで、追い出そうと目論んでいたようだ。
家族とゲドスはラミダの嘘を信じて、私を蔑み追い出そうとしていた。