文字の大きさ
大
中
小
60 / 878
連載
すべきこと⑨
院長先生が応接室に通してくれた。
子供達の歓声がここまで聞こえる。ロッシュさんとハジェル君はドアで待機。
別のシスターがハーブティーを淹れてくれる。
「本当にありがとうございます」
「いいえ、予断は許しませんよ。他の子供達にはうがい、手洗いは?」
「それは徹底しています」
話を聞きながら応接室を見渡す。ぼろぼろな建物だなあ。今は初夏だからいいけど、冬とかどうなるんだろう。
「あの、失礼を承知で伺いますが」
経営状況は?
院長先生はため息をつく。
「かつかつです。食べさせるので一杯一杯で。伯爵様やギルドにも援助頂いていますが」
院長先生の話を聞く。
どこの孤児院もそうだが、かつかつの状況。僅かな寄付や、領主からの資金で遣り繰りしていると。
「まだ、マーファはいい方です。伯爵様もかなり予算を割いてくれてます。ギルドにもです」
ギルドには10~12歳から見習いが出来るように、受け入れ体制を作ってくれている。成人後に孤児院を出なくてはならないため、路頭に迷わないようにだ。ユリアレーナでは各地このような体制だと。孤児院でも、最低限の読み書きと計算を教えていると。院長先生やシスター達では手が回らないために、ギルドから人も回してもらっている。引退したギルド職員さんに、安い賃金だが、誰かしら来てもらっている。
「ただ、今は子供の数が多すぎて。定員オーバーが続いているんです」
なんでも、15年程前に廃村になった村があった。それも続けてあり、廃村の村の人達は、ここマーファを治めていた伯爵様が引き取ったらしい。何とか生計を立てられた人もいたが、やはり困難を極めた人達は、泣く泣く子供達を孤児院に預けたと。それで、一気に子供が増えた。
「ハジェルもその一人です。兄と姉と共に、ここの前に置き去りにされていました」
当時ハジェル君は2歳にもなってなくて、お兄さんとお姉さんに抱き締められて泣いていたそうだ。
ただ、ハジェル君を見てると、大事に育ててもらったんだろうと思う。今でも孤児院を気にしている。あのデニス君だって、顔見知りのはず。そのデニス君が苦しんで、お世話になった院長先生が困っているのを見て、私に相談して来たんだろうし。
「その受け入れた子供達が無事に独り立ちしたことがどう伝わったのか、わざわざ、ここに子供を置き去りにしていくのが絶えなくて。それでこの状況です」
伯爵様も考慮してくれているけど、やはり子供が多いと、必要なのは食費、そして風邪が流行ると一気に罹患。漢方薬代がかなりかかるため、建物を改築したくてもできない予算不足な状況だと。
うーん、何とかならんかなあ? お金は余裕はあるが、寄付だけではダメな気がする。だが、応急処置はしよう。
父とこそっと家族会議。
「お父さん、いくら持っとう? 私は現金10万くらい」
私のお金はほとんど冒険者カード内だ。
「20万くらいある」
よし、ならば。
アイテムボックスから30万揃えて出す。
「剥き出しですみませんが、どうぞ、子供達の食費にしてください」
「デニスにお薬を頂いたのに」
「いいからいいから」
押し付ける。
「あ、ありがとうございます。ありがとうございます」
院長先生がしきりに感謝している。
「少し、建物を見せてもらってもよろしいですか?」
「はい、もちろん」
父が院長先生と建物を見てまわる間、私はハジェル君に案内されて、赤ちゃん部屋を覗いてみた。首も据わってないような小さな赤ちゃんや何とか寝返りを打つ子。私を見ると泣く子もいるが、にこお、と笑顔を浮かべる子。みんな、みんな、かわいか。きっとこの子達の親は泣く泣くここに連れて来たんだろうな。ここなら、独り立ちさせてもらえるって思ったんだろうな。ただ、赤ちゃん部屋もぼろぼろ、赤ちゃん達が着てる服も、くたびれている。シーツも、洗ってはいるけど、落ちきれない染みがついている。
本当に、寄付だけでは、ダメな気がしてきた。
庭にいるビアンカとルージュと合流。
「こら、引っ張ってはいけませんっ」
「背中に登ってはいけませんっ」
シスター達が必死に注意している。
当のビアンカとルージュは大人しくお座りしている。なんか、無表情だ。子供達がわらわらとビアンカとルージュに集まっている。
『あ、ユイ、そろそろ帰りたいのです』
『帰りたいわ。この童、私の尻尾を引っ張るのよ』
「あはは、そうね、お疲れ様」
さすがのビアンカとルージュも、元気な子供達相手に疲れた様子。
私にも子供達が寄ってきた。
「ウルフとジャガーのご主人様?」
「そうね。まあ、主人と言うより、家族かな」
「従魔なのに、変~」
素直や。
みんな、かわいか。
敷地内を案内してくれた。子供達が管理している畑もある。食費を少しでも浮かそうと考慮しているんだろう。後は冷蔵庫ダンジョンでハーブを採って乾燥処理してまとめて販売。わずかだけど、貴重な収入。
すぐ隣は教会。院長先生は教会の牧師だと。上司に神官長がいるが高齢で最近足が悪く、子供達の読み書き中心に関わっていると。
畑以外は藪だけど。
「結構広い敷地ですね」
「はい、子供達で管理出来る範囲はこれが限界です」
自主性や管理力の為に畑管理は子供達に委ねているそうだ。
付いてきたシスターが説明してくれた。
なんか、あの藪、勿体なかなあ。
「優衣、帰ろうか」
父が院長先生と一緒に来た。
「分かった。ビアンカ、ルージュ帰るばい」
『ああ、やっとなのです』
『解放されるわ』
ビアンカとルージュがとことこ来る。子供達が必死にしがみつく。シスターが慌てる。やだやだとぐずる子供達。あはははん、大変だ、こりゃ。
見送られて孤児院を出る。ダンジョンから戻ったら、デニス君の容態を聞きに来ないと。
パーティーハウスに着いて、ロッシュさんとハジェル君が帰って行く。私はその前に、ロッシュさんを呼び止めた。
「何でしょう?」
「ハジェル君をあまり叱らないであげてください」
「ああ、それは、ちょっと」
「本人もさっきのげんこつで反省してますよ。なので、お願いします」
ロッシュさんは仕方ない、と息をつく。ただ、優しい息のつき方だ。
「分かりました。そのようにします」
「お願いします」
ロッシュさんとハジェル君を見送って、パーティーハウスに入る。
ルージュに魔法のカーテンを広げてもらい、ルームに入る。
ビアンカとルージュが中庭で、のんびり寛いでいる。元気達は走り回る。
私達ダイニングキッチンで、会議開始。
「あのね、ここ最近、凄い金額が転がり来んで来たやん? あればね使う時やと思うんよ。せめて衣食住のどれかのお世話をせんと」
私が議題を出す。
私達の収入の半分はルームのおかげ。時空神様のおかげだ。だから、この世界に少しくらい還元してもいいはず。ビアンカとルージュが稼いだお金は食費や貯金に回すが、ある程度なら使ってと言ってくれた。ビアンカとルージュが直にお金のやり取りは出来ないし、十分食べさせてくれば問題ないと、太っ腹な事を言ってくれた。
「そやなあ、2億くらいあるもんなあ。なんか怖かしなあ」
晃太も頷く。
「で、今日ね、孤児院に行ったんやけど。建物ぼろぼろたい。改修工事が必要やと思うんよ。ただ、寄付するより形に出来るもんば」
「いや、建て替えくらいの勢いや」
建物内を見てきた父が腕組みしながら言う。
「なら、それにこのお金使えんかね? 明日からのダンジョンでも、かなりの額が入って来ると思うんよね」
「そうやけど、誰に頼むん? 職人ギルド?」
母が膝の花を抱き直す。
「そうなるね。後は、必要なのって服とか食費とか」
私は今日見た赤ちゃん部屋の説明。子供達も元気だったが、着てる服は、つんつるてんにつぎはぎだらけだ。
「柱も根本が腐っとるのもあったし、魔石もいる。風呂場と台所の魔石が切れかかっているみたいや」
建物内を見てきた父も、必要な物を挙げる。
「やけど、もし今回はうまく行って改修できても、その後はどうするん? かつかつ経済なんやろ? 孤児院でも何とかして収入源があるようにせんと」
晃太も意見を出す。
まとまらん。
「とにかく、出来る範囲から手を出そう」
まず、ディレックスともへじ生活で、大量の買い物をした。ディレックスで野菜、豆類、お肉、果物、ウインナー、冷凍肉団子、スープの素、シチューの素、赤ちゃんのミルク、哺乳瓶。哺乳瓶はゴムだが、魔物素材でよくわからないと誤魔化そう。リンゴジュースにオレンジジュース、スポーツ飲料水。もへじ生活では赤ちゃん用の肌着やタオル、子供達の肌着、着替え、靴、サイズ違いで出来るだけ手に入れた。母が私達がダンジョンに潜っている間に、子供達のサイズを改めて測ると。もちろん、炊き出し用のスープ持参で行くと。ハジェル君に、繋ぎをお願いしないと。
まだ、不足分がある。食器はあるとして、台所内もぼろぼろで、包丁や鍋もかなりガタが来ていた。これは鍛治師さんにお願いしよう。棚もぐらぐらしてる。これは家具職人さんだね。ロッシュさんに聞いてみよう。
シーツに関しては、ぺんたごんのナチュラルコットン生地があり、あるだけ買った。ゴムも買う。赤ちゃんの布団サイズを測ってから母が作成となる。
とりあえず、今は、これが手に届く分だけ。
「なら、明日からダンジョンや。しっかりドロップ品ば拾うよ」
軍手、トングオッケー。長靴もオッケー。今回は1週間予定だ。
よし、今日はビアンカとルージュにお肉をたくさん焼いてあげよう。
子供達の歓声がここまで聞こえる。ロッシュさんとハジェル君はドアで待機。
別のシスターがハーブティーを淹れてくれる。
「本当にありがとうございます」
「いいえ、予断は許しませんよ。他の子供達にはうがい、手洗いは?」
「それは徹底しています」
話を聞きながら応接室を見渡す。ぼろぼろな建物だなあ。今は初夏だからいいけど、冬とかどうなるんだろう。
「あの、失礼を承知で伺いますが」
経営状況は?
院長先生はため息をつく。
「かつかつです。食べさせるので一杯一杯で。伯爵様やギルドにも援助頂いていますが」
院長先生の話を聞く。
どこの孤児院もそうだが、かつかつの状況。僅かな寄付や、領主からの資金で遣り繰りしていると。
「まだ、マーファはいい方です。伯爵様もかなり予算を割いてくれてます。ギルドにもです」
ギルドには10~12歳から見習いが出来るように、受け入れ体制を作ってくれている。成人後に孤児院を出なくてはならないため、路頭に迷わないようにだ。ユリアレーナでは各地このような体制だと。孤児院でも、最低限の読み書きと計算を教えていると。院長先生やシスター達では手が回らないために、ギルドから人も回してもらっている。引退したギルド職員さんに、安い賃金だが、誰かしら来てもらっている。
「ただ、今は子供の数が多すぎて。定員オーバーが続いているんです」
なんでも、15年程前に廃村になった村があった。それも続けてあり、廃村の村の人達は、ここマーファを治めていた伯爵様が引き取ったらしい。何とか生計を立てられた人もいたが、やはり困難を極めた人達は、泣く泣く子供達を孤児院に預けたと。それで、一気に子供が増えた。
「ハジェルもその一人です。兄と姉と共に、ここの前に置き去りにされていました」
当時ハジェル君は2歳にもなってなくて、お兄さんとお姉さんに抱き締められて泣いていたそうだ。
ただ、ハジェル君を見てると、大事に育ててもらったんだろうと思う。今でも孤児院を気にしている。あのデニス君だって、顔見知りのはず。そのデニス君が苦しんで、お世話になった院長先生が困っているのを見て、私に相談して来たんだろうし。
「その受け入れた子供達が無事に独り立ちしたことがどう伝わったのか、わざわざ、ここに子供を置き去りにしていくのが絶えなくて。それでこの状況です」
伯爵様も考慮してくれているけど、やはり子供が多いと、必要なのは食費、そして風邪が流行ると一気に罹患。漢方薬代がかなりかかるため、建物を改築したくてもできない予算不足な状況だと。
うーん、何とかならんかなあ? お金は余裕はあるが、寄付だけではダメな気がする。だが、応急処置はしよう。
父とこそっと家族会議。
「お父さん、いくら持っとう? 私は現金10万くらい」
私のお金はほとんど冒険者カード内だ。
「20万くらいある」
よし、ならば。
アイテムボックスから30万揃えて出す。
「剥き出しですみませんが、どうぞ、子供達の食費にしてください」
「デニスにお薬を頂いたのに」
「いいからいいから」
押し付ける。
「あ、ありがとうございます。ありがとうございます」
院長先生がしきりに感謝している。
「少し、建物を見せてもらってもよろしいですか?」
「はい、もちろん」
父が院長先生と建物を見てまわる間、私はハジェル君に案内されて、赤ちゃん部屋を覗いてみた。首も据わってないような小さな赤ちゃんや何とか寝返りを打つ子。私を見ると泣く子もいるが、にこお、と笑顔を浮かべる子。みんな、みんな、かわいか。きっとこの子達の親は泣く泣くここに連れて来たんだろうな。ここなら、独り立ちさせてもらえるって思ったんだろうな。ただ、赤ちゃん部屋もぼろぼろ、赤ちゃん達が着てる服も、くたびれている。シーツも、洗ってはいるけど、落ちきれない染みがついている。
本当に、寄付だけでは、ダメな気がしてきた。
庭にいるビアンカとルージュと合流。
「こら、引っ張ってはいけませんっ」
「背中に登ってはいけませんっ」
シスター達が必死に注意している。
当のビアンカとルージュは大人しくお座りしている。なんか、無表情だ。子供達がわらわらとビアンカとルージュに集まっている。
『あ、ユイ、そろそろ帰りたいのです』
『帰りたいわ。この童、私の尻尾を引っ張るのよ』
「あはは、そうね、お疲れ様」
さすがのビアンカとルージュも、元気な子供達相手に疲れた様子。
私にも子供達が寄ってきた。
「ウルフとジャガーのご主人様?」
「そうね。まあ、主人と言うより、家族かな」
「従魔なのに、変~」
素直や。
みんな、かわいか。
敷地内を案内してくれた。子供達が管理している畑もある。食費を少しでも浮かそうと考慮しているんだろう。後は冷蔵庫ダンジョンでハーブを採って乾燥処理してまとめて販売。わずかだけど、貴重な収入。
すぐ隣は教会。院長先生は教会の牧師だと。上司に神官長がいるが高齢で最近足が悪く、子供達の読み書き中心に関わっていると。
畑以外は藪だけど。
「結構広い敷地ですね」
「はい、子供達で管理出来る範囲はこれが限界です」
自主性や管理力の為に畑管理は子供達に委ねているそうだ。
付いてきたシスターが説明してくれた。
なんか、あの藪、勿体なかなあ。
「優衣、帰ろうか」
父が院長先生と一緒に来た。
「分かった。ビアンカ、ルージュ帰るばい」
『ああ、やっとなのです』
『解放されるわ』
ビアンカとルージュがとことこ来る。子供達が必死にしがみつく。シスターが慌てる。やだやだとぐずる子供達。あはははん、大変だ、こりゃ。
見送られて孤児院を出る。ダンジョンから戻ったら、デニス君の容態を聞きに来ないと。
パーティーハウスに着いて、ロッシュさんとハジェル君が帰って行く。私はその前に、ロッシュさんを呼び止めた。
「何でしょう?」
「ハジェル君をあまり叱らないであげてください」
「ああ、それは、ちょっと」
「本人もさっきのげんこつで反省してますよ。なので、お願いします」
ロッシュさんは仕方ない、と息をつく。ただ、優しい息のつき方だ。
「分かりました。そのようにします」
「お願いします」
ロッシュさんとハジェル君を見送って、パーティーハウスに入る。
ルージュに魔法のカーテンを広げてもらい、ルームに入る。
ビアンカとルージュが中庭で、のんびり寛いでいる。元気達は走り回る。
私達ダイニングキッチンで、会議開始。
「あのね、ここ最近、凄い金額が転がり来んで来たやん? あればね使う時やと思うんよ。せめて衣食住のどれかのお世話をせんと」
私が議題を出す。
私達の収入の半分はルームのおかげ。時空神様のおかげだ。だから、この世界に少しくらい還元してもいいはず。ビアンカとルージュが稼いだお金は食費や貯金に回すが、ある程度なら使ってと言ってくれた。ビアンカとルージュが直にお金のやり取りは出来ないし、十分食べさせてくれば問題ないと、太っ腹な事を言ってくれた。
「そやなあ、2億くらいあるもんなあ。なんか怖かしなあ」
晃太も頷く。
「で、今日ね、孤児院に行ったんやけど。建物ぼろぼろたい。改修工事が必要やと思うんよ。ただ、寄付するより形に出来るもんば」
「いや、建て替えくらいの勢いや」
建物内を見てきた父が腕組みしながら言う。
「なら、それにこのお金使えんかね? 明日からのダンジョンでも、かなりの額が入って来ると思うんよね」
「そうやけど、誰に頼むん? 職人ギルド?」
母が膝の花を抱き直す。
「そうなるね。後は、必要なのって服とか食費とか」
私は今日見た赤ちゃん部屋の説明。子供達も元気だったが、着てる服は、つんつるてんにつぎはぎだらけだ。
「柱も根本が腐っとるのもあったし、魔石もいる。風呂場と台所の魔石が切れかかっているみたいや」
建物内を見てきた父も、必要な物を挙げる。
「やけど、もし今回はうまく行って改修できても、その後はどうするん? かつかつ経済なんやろ? 孤児院でも何とかして収入源があるようにせんと」
晃太も意見を出す。
まとまらん。
「とにかく、出来る範囲から手を出そう」
まず、ディレックスともへじ生活で、大量の買い物をした。ディレックスで野菜、豆類、お肉、果物、ウインナー、冷凍肉団子、スープの素、シチューの素、赤ちゃんのミルク、哺乳瓶。哺乳瓶はゴムだが、魔物素材でよくわからないと誤魔化そう。リンゴジュースにオレンジジュース、スポーツ飲料水。もへじ生活では赤ちゃん用の肌着やタオル、子供達の肌着、着替え、靴、サイズ違いで出来るだけ手に入れた。母が私達がダンジョンに潜っている間に、子供達のサイズを改めて測ると。もちろん、炊き出し用のスープ持参で行くと。ハジェル君に、繋ぎをお願いしないと。
まだ、不足分がある。食器はあるとして、台所内もぼろぼろで、包丁や鍋もかなりガタが来ていた。これは鍛治師さんにお願いしよう。棚もぐらぐらしてる。これは家具職人さんだね。ロッシュさんに聞いてみよう。
シーツに関しては、ぺんたごんのナチュラルコットン生地があり、あるだけ買った。ゴムも買う。赤ちゃんの布団サイズを測ってから母が作成となる。
とりあえず、今は、これが手に届く分だけ。
「なら、明日からダンジョンや。しっかりドロップ品ば拾うよ」
軍手、トングオッケー。長靴もオッケー。今回は1週間予定だ。
よし、今日はビアンカとルージュにお肉をたくさん焼いてあげよう。
感想 867
あなたにおすすめの小説
「今日限りで君を解雇する」――20年仕えた地味なメイドですが、料理も手紙も暗殺者対策も私がやっていました
「エナメル。今日限りで君を解雇する」
20年仕えた屋敷をクビになった、地味なエルフのメイド・エナメル。
だが、晩餐会の料理も、侯爵への手紙も、調度品の手配も、屋敷を狙う暗殺者の処理も――すべて彼女が陰で支えていたものだった。
エナメルが去ったあと、屋敷は少しずつ綻び始める。
一方の本人は、そんなことも知らず。
「さて。次はどこで雇っていただきましょう」
地味で目立たないベテランメイド・エナメルの、新しい奉公先探しが始まる。
※本作は『メイドのエナメルは今日も静かにお仕えします』シリーズの第1作です。本作単体でもお楽しみいただけます。
異世界転移した僕と彼のスキルは「貯金箱」と「犬」だったので即追放。でもこれが意外と強かった
高校の英語の授業中、勇者召喚で僕たちクラスメイト7名は異世界にやって来た。
目的は魔王討伐では無くて、高難易度ダンジョンの封印?!
でも僕ユイトのスキルは「貯金箱」、エイジは「犬」。
役立たず認定で、二人とも城を追放されてしまった。
のんびり暮らそうとしたけどそうもいかなくなって。
僕たちは奇妙なスキルを駆使して異世界で生き延びる。
緩~いファンタージ物語です。のんびりと書いていきます。
本文はなるべく簡潔に、サクサク進むようにしています。
暇つぶしに読んでいただいて、楽しんでくださると嬉しいです。
なろう様にも投稿。
捨てられた幼女ですが、公爵家に拾われたら家族みんなの愛が重すぎました
幼い頃に母親に捨てられ、孤児院で暮らしていた少女リリア。
「役に立たなければ、また捨てられる」
そう思い、いつも“いい子”でいようとしていた彼女は、ある日、公爵家の馬車を助けたことをきっかけに屋敷へ招かれる。
そこで待っていたのは、娘に甘すぎる公爵夫妻に、妹を構いたがるレオン、そしてリリアを甘やかしたい使用人たち。
戸惑いながらも、少しずつ公爵家に居場所を見つけていくリリア。やがて夫妻から「私たちの娘になってほしい」と告げられて――。
これは、捨てられないために“いい子”でいようとしていた少女が、重すぎるほどの愛情に包まれ、本当の家族を見つけていく物語。
初夜のあとに愛する人がいると言われたので祝福で身体の時間を一日戻しました
夫婦となって初めて迎えた夜、セレンティアは夫リオールから「俺には、愛する人がいる」と告げられる。
彼が初夜を済ませた理由は、三年後に白い結婚として婚姻無効を申し立てられないようにするためだった。
けれどリオールは知らなかった。セレンティアの祝福《一日回帰》が、自分自身の身体にも使えることを。
セレンティアは自分の身体の時間を一日前へ戻し、三年間、侯爵家の妻として務めを果たすことを決める。
夫に愛されるためではない。三年後、白い結婚としてこの家を出ていくために。
番の証が出ないと捨てられたので、神様に確かめてもらいます
「番の証が出ぬからだ」
和平のために獣人国へ嫁いで四年。獣王ガイウス様との儀式は三度、三度とも証は出ませんでした。「人間の娘では神は認めぬ」——そう言われて、離宮へ。
雨漏りの下で眠り、井戸をさらい、畑を耕して。泣かなかったのは強いからではありません。獣人には、匂いでわかってしまうから。
嫁ぐ前に三年かけて読み込んだ婚姻法典。その第四章に、こうありました。
『既に誓いを結びたる者が、重ねて他者と誓いを立てんとする時、神は後の誓いを認めず』
——証が出なかったのは、わたしが人間だからではない。
長老会に申し立てたのは、解釈の確認だけ。わたしは悪くない、とは一言も書きませんでした。
遡誓の儀で神殿に浮かんだのは、六年前の秋の「成立」と、わたしの三度の「不成立(重複)」でした。
飛べないと捨てられたので、竜ごと出て行きます
「お前は竜に乗れもしない、ただの妻だろう」
竜騎士団長の夫はそう言って、飛べる従騎士の娘を選びましたわ。
ええ、わたくしは飛べません。十二年、地上におりました。
夜明け前に三十一頭の寝息を数え、歯を磨き、爪の砂を取り、冬に毛布を掛け、契約を編んで。——この国でただひとりの「調律者」として。
竜は、人を乗せない生き物ですのよ。竜自身が「乗せてもいい」と決めない限り。そして竜が誰の言葉で頷いてきたか、あの方は十二年、一度もお考えにならなかった。
離縁されて、わたくしは竜舎を出ました。
三日後から、竜は一頭も飛ばなくなりましたの。
怒っているのではありませんのよ。竜は報復をしませんもの。ただ——寂しいのです。
そして来月は、三年に一度の、契約更新日ですわ。
土下座する王妃の座などいらないので、冒険者に転職します。
「私が愛しているのはエルナ。君だけだ」
エルナは自分の夫でありハーメルン王国の国王であるカメルを愛していた。
彼がどれほど自分より隣国の聖女を優先しようとも。
結婚して二年が経っても初夜を迎えたことがなかろうとも。
しかし。
「エルナ。君に失望した。聖女を陥れていじめるとはな。罪を認め、ひざまずいて謝罪するように」
一年に一度の建国記念宴会であり結婚記念日に、カメルはすべての貴族や外国の使節団が見ている前で、エルナに身に覚えのない罪を認めろと断罪した。
愛が壊れるのは一瞬。
だからこそ、エルナはその場でひざまずいた。頭を地面にこすりつけて謝罪した。
「聖女を陰謀にかけた大罪人エルナは、この時間をもって王妃の座から退き、平民となりますことをお許しください。聖女様とどうかお幸せに」
*ゆるい設定です。不快に思われる方はブラウザバックをお願いします。
婚約破棄を受け入れた瞬間、王太子殿下が青ざめました
王都でもっとも華やかな春の夜会。その中央で、王太子エドワードは冷ややかな目を婚約者へ向けていた。
「リリアーナ・フォン・アルベルト公爵令嬢。君との婚約を、ここで破棄する」
会場が一瞬で静まり返る。
リリアーナは淡い金髪を揺らし、静かに王太子を見つめ返した。
「理由を、お聞きしてもよろしいでしょうか」
「理由など明白だ。君は嫉妬深く、心が狭い。それに比べ、私は真実の愛を見つけた」
そう言ってエドワードが隣へ引き寄せたのは、男爵令嬢のセシリアだった。