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治験始動③
そのガーガリア妃がセザール様とフェリアレーナ様の結婚を2度も妨害。自分でマーファに嫁げって言っておいて。
1度目は5年前。その時既にフェリアレーナ様は、マーファのハルスフォン家で1年間、家風やマーファの習わし等のお勉強は済み、後は結婚式を挙げるだけになっていた時。自国が日照りとなったと言って、結婚式の延期を要求。しかし調べたらマーファの天災までではなく、帝国では、一部地域で雨が1ヶ月降らなかったそうで、乾燥の時期にはよくあることらしい。だけど、先代皇帝が行った援助を振りかざし、向こうからの駐在員みたいのまで乗り出し断念。
そして、2年前。
「結婚式前日、王家の人々が花嫁衣装を前に、穏やかに過ごしていた時に、いきなり割り込んで来て花嫁衣装に火をつけたのです」
花嫁衣装はあっという間に焼け、必死に避難をする中でガーガリア妃は狂ったように笑っていたそうだ。
「しかも、そこはマーファのハルスフォン家の中、下手したら大惨事なのに。すべてはフェリアレーナ様とカトリーナ様が悪いのだ、幸せな結婚式などさせてなるものかとまさに狂人だったと。そこには王や先代王妃様もいたのにです」
立派な犯罪者やん。
あまりのガーガリア妃の狂人振りに結婚式は延期。せっかくの花嫁衣装が焼けてしまったしね。
火は延焼しなかったからいいようなものの、下手したら大惨事。ガーガリア妃は今では年に1度の年始の挨拶以外、顔を出さず、王宮の奥に軟禁中。まあ、当然だね。もともと公務にきちんと顔を出すことはなかったらしいが、それでも発言力はあるそうだ。手に負えない人だね。
「そのガーガリア妃の出身国は、何も言わないんですか?」
「先代皇帝が生きていたら、ここまではならなかったと思いますが。いかんせん、現在の皇帝がガーガリア妃の肩を持つんです。何かあるとはと思いますがね。帝国も援助の件を振りかざしています。帝国は東大陸最強ですからね。こちらも強く言えない、向こうはそれが分かっているんです。せめて、援助分を返済出来れば、ガーガリア妃を帝国に返せるのですが。それで今でもセザール様はフェリアレーナ様を迎えられないのです」
さっき見た、イケメンセザール様、苦労しているんだね。
なんでもアルティーナ帝国は、ユリアレーナ王国の国土は10倍。国力も相応になり。国内事情も良質な鉱山をいくつも抱え、広大な農耕地帯もあり、軍隊も強く東大陸6割は帝国領。他の東大陸の国々とも、うまく付き合っているが、国力が半端ないから従っているのが実情。今は安全牌のガーガリア妃がこちらにいるのと、先代皇帝の威光や条約などで、ユリアレーナとは比較的穏やかなのだそうだ。
「大変な人が妃ですね」
話を聞いただけでの感想がポロリとでた。ただ、そのガーガリア妃に私が同情したのは、先の話となる。
「はい。せめてもの救いはセザール様とフェリアレーナ様がお互いを大事に想われていることです。今回のこの件が上手く行けば、フェリアレーナ様を迎える事に問題はないかと」
今でも色々ガーガリア妃は、フェリアレーナ様や、マーファに難癖つけているらしい。国王様、フェリアレーナ様のお父様は次こそは何があっても嫁がせる気でいる。色々あって、フェリアレーナ様は今年で25歳。早婚のこの世界では立派な行き遅れ。面倒な事に女性貴族や女性の王族の行き遅れは、手に職がなければ、ほとんどが修道院にいくと。リミットは30歳。
「そうですか。上手くいくといいですね」
「ええ、そう願います」
「でもリティアさん、ずいぶん詳しいですね」
特に放火の件とか、伏せられていると思うけど。いくら妃とはいえ、放火って重罪よね。今でも年始の挨拶して妃の座にいるなら、罪に問われてないわけよね。その帝国の圧力でそうなっているんだろうけど。自分の夫と義理の母親がいる前で火をつけたんだから。
「大概の事は知ってますよ。姉が先代王妃の侍女をしていますから。それに姪がフェリアレーナ様の侍女をしています。まあ、私だけではありません。この話はギルドの上の方なら大概知ってますよ。ガーガリア妃からの指示を受けないように、暗黙のルールを張ってますから」
へえ。
『ユイ、まだ、かかるのですか?』
『お腹空いたわ。コハク達のお乳も上げないと』
「あ、そうやね。そろそろ失礼します。じゃない、後もうひとつご相談が」
ビアンカとルージュにちょっと待ってね、と言って、宥める。
「実は」
ぼろぼろの孤児院の件だ。
「改修もしくは建て直ししてもらえる職人さんの紹介をしてほしくて。あ、それと果樹のお世話の仕方を教えてくれる方を紹介していただけると」
リティアさんは快く聞いてくれた。
「そうでございますか。私の一存ではできませんので、上の者と相談させてください。そうですね、来週の水曜日までに大工工房の選出、それからいくつかの案と、ある程度概算を出します」
「はい、お願いします」
来週ね。こちらの曜日は向こうと同じ、日、月、火、水、木、金、土だ。
その時に、蜂蜜なんかの買い取りもお願いしたら、これも快く受けてくれた。今は、私達が持ち込んだドロップ品の販売やらなんやらで忙しいはずだからね。
それから私達のランクが上がった。何もしてないのに。私はE、晃太がF。何にもしてないのに。
リティアさんによると、ビアンカとルージュがいる時点で、私の冒険者としてのランクは高いらしい。ただ、一般人以下の私が、いきなり従魔を得ただけで、高ランクになると色々周りがうるさいらしく。こうやって依頼をこなして、ランクアップした方が後々いいそうだ。別にランクはいいんだけどなあ。まあ、義務期間が長くなると思おう。
私達はリティアさんに挨拶してギルドを後にした。
「すみません、お待たせして」
「いいえ、大丈夫ですよ」
ドアで待機してくれていたロッシュさんとシュタインさんは、イヤな顔ひとつせず、パーティーハウスまで付き添ってくれた。
結構時間がかかってお昼近くになっていた。
お昼の後にパーカーさんのお店に行くことになる。企画書の作成に知恵を借りたし、セザール様と薬師ギルドがしてくれる事になった件を報告しないといけないしね。ロッシュさんとシュタインさんが同行してくれると言ってくれた。今、マーファにはあちこちの商人や貴族が集まって来ているので、狙うとしたら私らしい。まあ、ビアンカとルージュ欲しさにだろうけど。御用聞きと言えば、よほどのバカではない限り引いてくれるらしい。
ロッシュさんとシュタインさんが帰る時に、私はちょっと待ってもらって麦美ちゃんに行く。お世話になってるから、これくらいはしないと。お惣菜パン。カツサンド×2、エビカツサンド、照り焼きチキンサンド×3、たまごとチーズのサンド、カレーパン×2。菓子パン。クリームパン×3、メロンパン×2、ブルーベリーとクリームチーズ。ハード系パン。ドライトマトとバジル、ラズベリーとナッツ×2、チェダーチーズを購入。本当ならもっと種類と数があるんだけど、今の私のレベルではこれが限界。成人男性5人、足りるかな? 腹の足しにはなるかな?
「良かったら、皆さんで召し上がってください」
「そんな、頂けませんよ」
ロッシュさんが遠慮したけど、紙袋を渡す。花がひゃんひゃん言ってロッシュさんの足にすがり付く。元気とコハクも飛びかかりそうだ。ビアンカとルージュが押さえてる。
「冷蔵庫ダンジョンに潜っていたとき、両親が色々お世話になりましたし。お昼からもお願いしますから」
「あ、ありがとうございますミズサワさん」
ちょっと強面のロッシュさんが、嬉しそうに受け取ってくれた。
のたうち回る花を抱えて、見送って私達もいざお昼。
ルームを開けて入ると、早速おねだりビームが飛ぶ。
キラキラな目で訴えて、すりすり、ごろにゃん。
『ユイ、さっきあの雄にあげたいい匂いのが、いいのです』
『私もそれがいいわ』
「よかよ、ちょっと待ってね」
悪い飼い主はあっさり陥落。
私はせっせと麦美ちゃんに通った。
1度目は5年前。その時既にフェリアレーナ様は、マーファのハルスフォン家で1年間、家風やマーファの習わし等のお勉強は済み、後は結婚式を挙げるだけになっていた時。自国が日照りとなったと言って、結婚式の延期を要求。しかし調べたらマーファの天災までではなく、帝国では、一部地域で雨が1ヶ月降らなかったそうで、乾燥の時期にはよくあることらしい。だけど、先代皇帝が行った援助を振りかざし、向こうからの駐在員みたいのまで乗り出し断念。
そして、2年前。
「結婚式前日、王家の人々が花嫁衣装を前に、穏やかに過ごしていた時に、いきなり割り込んで来て花嫁衣装に火をつけたのです」
花嫁衣装はあっという間に焼け、必死に避難をする中でガーガリア妃は狂ったように笑っていたそうだ。
「しかも、そこはマーファのハルスフォン家の中、下手したら大惨事なのに。すべてはフェリアレーナ様とカトリーナ様が悪いのだ、幸せな結婚式などさせてなるものかとまさに狂人だったと。そこには王や先代王妃様もいたのにです」
立派な犯罪者やん。
あまりのガーガリア妃の狂人振りに結婚式は延期。せっかくの花嫁衣装が焼けてしまったしね。
火は延焼しなかったからいいようなものの、下手したら大惨事。ガーガリア妃は今では年に1度の年始の挨拶以外、顔を出さず、王宮の奥に軟禁中。まあ、当然だね。もともと公務にきちんと顔を出すことはなかったらしいが、それでも発言力はあるそうだ。手に負えない人だね。
「そのガーガリア妃の出身国は、何も言わないんですか?」
「先代皇帝が生きていたら、ここまではならなかったと思いますが。いかんせん、現在の皇帝がガーガリア妃の肩を持つんです。何かあるとはと思いますがね。帝国も援助の件を振りかざしています。帝国は東大陸最強ですからね。こちらも強く言えない、向こうはそれが分かっているんです。せめて、援助分を返済出来れば、ガーガリア妃を帝国に返せるのですが。それで今でもセザール様はフェリアレーナ様を迎えられないのです」
さっき見た、イケメンセザール様、苦労しているんだね。
なんでもアルティーナ帝国は、ユリアレーナ王国の国土は10倍。国力も相応になり。国内事情も良質な鉱山をいくつも抱え、広大な農耕地帯もあり、軍隊も強く東大陸6割は帝国領。他の東大陸の国々とも、うまく付き合っているが、国力が半端ないから従っているのが実情。今は安全牌のガーガリア妃がこちらにいるのと、先代皇帝の威光や条約などで、ユリアレーナとは比較的穏やかなのだそうだ。
「大変な人が妃ですね」
話を聞いただけでの感想がポロリとでた。ただ、そのガーガリア妃に私が同情したのは、先の話となる。
「はい。せめてもの救いはセザール様とフェリアレーナ様がお互いを大事に想われていることです。今回のこの件が上手く行けば、フェリアレーナ様を迎える事に問題はないかと」
今でも色々ガーガリア妃は、フェリアレーナ様や、マーファに難癖つけているらしい。国王様、フェリアレーナ様のお父様は次こそは何があっても嫁がせる気でいる。色々あって、フェリアレーナ様は今年で25歳。早婚のこの世界では立派な行き遅れ。面倒な事に女性貴族や女性の王族の行き遅れは、手に職がなければ、ほとんどが修道院にいくと。リミットは30歳。
「そうですか。上手くいくといいですね」
「ええ、そう願います」
「でもリティアさん、ずいぶん詳しいですね」
特に放火の件とか、伏せられていると思うけど。いくら妃とはいえ、放火って重罪よね。今でも年始の挨拶して妃の座にいるなら、罪に問われてないわけよね。その帝国の圧力でそうなっているんだろうけど。自分の夫と義理の母親がいる前で火をつけたんだから。
「大概の事は知ってますよ。姉が先代王妃の侍女をしていますから。それに姪がフェリアレーナ様の侍女をしています。まあ、私だけではありません。この話はギルドの上の方なら大概知ってますよ。ガーガリア妃からの指示を受けないように、暗黙のルールを張ってますから」
へえ。
『ユイ、まだ、かかるのですか?』
『お腹空いたわ。コハク達のお乳も上げないと』
「あ、そうやね。そろそろ失礼します。じゃない、後もうひとつご相談が」
ビアンカとルージュにちょっと待ってね、と言って、宥める。
「実は」
ぼろぼろの孤児院の件だ。
「改修もしくは建て直ししてもらえる職人さんの紹介をしてほしくて。あ、それと果樹のお世話の仕方を教えてくれる方を紹介していただけると」
リティアさんは快く聞いてくれた。
「そうでございますか。私の一存ではできませんので、上の者と相談させてください。そうですね、来週の水曜日までに大工工房の選出、それからいくつかの案と、ある程度概算を出します」
「はい、お願いします」
来週ね。こちらの曜日は向こうと同じ、日、月、火、水、木、金、土だ。
その時に、蜂蜜なんかの買い取りもお願いしたら、これも快く受けてくれた。今は、私達が持ち込んだドロップ品の販売やらなんやらで忙しいはずだからね。
それから私達のランクが上がった。何もしてないのに。私はE、晃太がF。何にもしてないのに。
リティアさんによると、ビアンカとルージュがいる時点で、私の冒険者としてのランクは高いらしい。ただ、一般人以下の私が、いきなり従魔を得ただけで、高ランクになると色々周りがうるさいらしく。こうやって依頼をこなして、ランクアップした方が後々いいそうだ。別にランクはいいんだけどなあ。まあ、義務期間が長くなると思おう。
私達はリティアさんに挨拶してギルドを後にした。
「すみません、お待たせして」
「いいえ、大丈夫ですよ」
ドアで待機してくれていたロッシュさんとシュタインさんは、イヤな顔ひとつせず、パーティーハウスまで付き添ってくれた。
結構時間がかかってお昼近くになっていた。
お昼の後にパーカーさんのお店に行くことになる。企画書の作成に知恵を借りたし、セザール様と薬師ギルドがしてくれる事になった件を報告しないといけないしね。ロッシュさんとシュタインさんが同行してくれると言ってくれた。今、マーファにはあちこちの商人や貴族が集まって来ているので、狙うとしたら私らしい。まあ、ビアンカとルージュ欲しさにだろうけど。御用聞きと言えば、よほどのバカではない限り引いてくれるらしい。
ロッシュさんとシュタインさんが帰る時に、私はちょっと待ってもらって麦美ちゃんに行く。お世話になってるから、これくらいはしないと。お惣菜パン。カツサンド×2、エビカツサンド、照り焼きチキンサンド×3、たまごとチーズのサンド、カレーパン×2。菓子パン。クリームパン×3、メロンパン×2、ブルーベリーとクリームチーズ。ハード系パン。ドライトマトとバジル、ラズベリーとナッツ×2、チェダーチーズを購入。本当ならもっと種類と数があるんだけど、今の私のレベルではこれが限界。成人男性5人、足りるかな? 腹の足しにはなるかな?
「良かったら、皆さんで召し上がってください」
「そんな、頂けませんよ」
ロッシュさんが遠慮したけど、紙袋を渡す。花がひゃんひゃん言ってロッシュさんの足にすがり付く。元気とコハクも飛びかかりそうだ。ビアンカとルージュが押さえてる。
「冷蔵庫ダンジョンに潜っていたとき、両親が色々お世話になりましたし。お昼からもお願いしますから」
「あ、ありがとうございますミズサワさん」
ちょっと強面のロッシュさんが、嬉しそうに受け取ってくれた。
のたうち回る花を抱えて、見送って私達もいざお昼。
ルームを開けて入ると、早速おねだりビームが飛ぶ。
キラキラな目で訴えて、すりすり、ごろにゃん。
『ユイ、さっきあの雄にあげたいい匂いのが、いいのです』
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