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治験始動⑤
「あの、本当に自分でなんとかするっす」
「そうはいかんよ。元気が破ったんやから。さ、ハジェル君、脱いで。代わりば持って来るけん」
パーティーハウスに戻り、ハジェル君にバスタオルを渡す。
ハジェル君のズボンは、カーゴパンツみたいで、2個目のポケットの周囲は布が裂けてしまっていた。これは弁償ものだ。ビアンカも初めはわからない顔していたけど、毛を無理に短くした感じと言うと、申し訳なさそうにポケットの残骸を元気から取り上げていた。
寝室でズボンを脱ぎ、恥ずかしそうにバスタオルを巻いて出てくるハジェル君。おずおずと母に渡している。
花、元気達は庭、ビアンカとルージュ、晃太がついている。
母がズボンをチェック、私はハジェル君のウエストチェック。く、細い。
シュタインさんとバスタオルハジェル君に、居間で待ってもらい、母とルームに。
「すぐ直る?」
「うーん、1日はかかるなあ」
詳しくズボン見ている母。私は異世界のメニューを開き、CAFE&sandwich蒼空でケーキセットを2つ。本日のケーキは、ダークチェリーのタルトだ。ドリンクはアイスティー。お話し相手をしている父には麦茶。
遠慮する2人に、まあまあどうぞと勧めて、父に後を託す。
私は異世界への扉で、もへじ生活を選択。ズボンを探す。カーゴパンツタイプがなく、似たような色でカーキ色のストレッチパンツにした。値札を外して、と。
「ハジェル君、本当にごめんね。これ、代わりに穿いて」
居間に戻ると、幸せそうにタルトの最後の一口を食べているハジェル君。
「え、いいんすか? チャック着いてるから高いんじゃ?」
この世界にはチャックがあるが、ちょっと高級品。
「これね。実は安く手に入れたんよ。サイズ、合うか穿いてみて」
嬉しそうにズボンを持って寝室に向かうハジェル君。そしてストレッチパンツを穿いて、更に嬉しそうなハジェル君が出てきた。
「すごいっす。柔らかいし、穿きやすいし、動きやすいっす」
ストレッチだからね。
「サイズは?」
「大丈夫っす。本当にいいんすか?」
「よかよか、元気がごめんね。ハジェル君のポケットがよっぽど好きみたいで」
「いいんすよ。でも、ミズサワさん、言葉独特っすね」
あ、方言が。気をつけていたけど、出てしまっていた。山風の皆さんとはずいぶん長いお付き合いになっていたから、気が緩んだかな?
まあ、ばれたら仕方ない。まるで悪役のセリフみたいな事を思う。
「田舎の言葉なんよ。未だに抜けんでね」
「そうなんすね。でも、ミズサワさんが言うとあったかいっす」
「あら、嬉しかね」
話していると、母が破れたズボンを持って出てきた。
「明日1日で、直せると思うけん。明後日引き渡しで」
「ケイコお母さん、このズボンだけで十分なんすけど」
「そうはいかん」
きらり、と母の目が光る。
あ、火が着いた感じ。
「綺麗に直すけんね」
変な迫力のある母に圧され、ハジェル君はうなずく。
帰り際、ビアンカがハジェル君をベロリ。申し訳ないって思ったのかな。ただ、ハジェル君は固まってたけど。
次の日。
母はルームでハジェル君のズボンと格闘。
私達はノワールを、マーファの外で走らせる。
本日はロッシュさんとマアデン君だ。
「ブヒヒヒーンッ」
軽快に走るノワール。
楽しそうだけど、暑い。帽子被って、のんびりしていたけど暑い。
5匹はパーティーハウスで父が見ている。
ビアンカとルージュはどうかなって思ったけど、魔法で短時間ならどうにかなると。ビバ、魔法。私達にも、と思ったがそううまくいかない。人間の丁度いい空調にするには、加減するのは難しくて、後数日待ってほしいと言われた。しかし、暑か。
「ねえ、晃太、あんたの支援魔法で、耐熱性アップ出来んね?」
「そうやな」
額に汗を浮かべた晃太が、考え考え、支援魔法発動。
「アップ」
ふわ、と暑さが下がる感覚。少しだけど。
「さっきよりよかな。ロッシュさんとマアデン君にもしてん」
「そやな」
こちらも汗をかいてる2人。私達以上に汗をかいてる。鎧やら着てるからね。遠慮してたけど、晃太が支援魔法発動。
「支援魔法って、すごいですね」
ロッシュさんが感心したように言う。
「まだ、レベルが低いので、効果はいまいちですよ」
晃太が汗を拭きながら、答えている。
「ふふ、ご謙遜を。支援魔法を使える者は少ないんですよ。コウタさんも変な連中に声をかけられないように、注意してください」
「気を付けます」
それから、十分にノワールを走らせ、水分補給。
散歩というビアンカとルージュをなだめすかす。ノワールと並走だけで我慢してもらった。また、変なの捕ってこられたらそれはそれで大変だしね。今日はロッシュさん達がいるし。
「そう言えば、他のパーティーハウスの御用聞きは大丈夫なんですか?」
「はい」
マーファのパーティーハウスは3つ。1つは空き、1つは私達。残りの1つには複数の冒険者パーティーが借りていて、新人さん達に勉強のために雑用をさせているので、毎朝訪問しているが、基本的にお断りされていると。ただ、土地勘のない新人さんの時や、若い女の子1人の買い物の時は付き添っていると。ロッシュさんもそうやって新人の頃雑用して、今があると。冒険者になるときほとんどは成人してすぐに登録、パーティーを組める経験者に付き新人時代を過ごす。つまりエマちゃんやテオ君みたいな感じだね。それ以外は、アルブレンのリック君達みたいに新人で固まって行動するかだ。割合は半々。そして、経験者の元で過ごした冒険者は、自分がある程度の実力が着いた時点で、新人の面倒を見るのが暗黙のルールになっている。エマちゃんやテオ君みたいに、リーダーさんが叔父さん、みたいな伝はあまりなく、経験者に付きたい場合はギルドに相談すると紹介してくれる。ただ、それには試験とかがあり、クリアして、それから経験者を紹介される。
「それで、マアデンとハジェルを引き受けたんです」
「なるほど」
なら、いつか、マアデン君とハジェル君も新人さんのお世話するんだね。
ふむふむ。
『ユイ、ユイ』
『ねえ、ユイ』
水分補給後、ゴロゴロしていたビアンカとルージュが顔を上げる。
「ん、何ね?」
『ノワールが付きまとわれて困っているのです』
『狩ってもいいかしら?』
「付きまとわれてって、ストーカー?」
軽快に駆けて戻って来たノワール。
「ん? ん? わ、鰐ーッ。ビアンカッ、ルージュッ、ノワール救助ッ」
黒光りする鱗のこれまたデカイ鰐が、尻尾をくねらせてノワールの後ろに迫っていた。
たくさん。
「そうはいかんよ。元気が破ったんやから。さ、ハジェル君、脱いで。代わりば持って来るけん」
パーティーハウスに戻り、ハジェル君にバスタオルを渡す。
ハジェル君のズボンは、カーゴパンツみたいで、2個目のポケットの周囲は布が裂けてしまっていた。これは弁償ものだ。ビアンカも初めはわからない顔していたけど、毛を無理に短くした感じと言うと、申し訳なさそうにポケットの残骸を元気から取り上げていた。
寝室でズボンを脱ぎ、恥ずかしそうにバスタオルを巻いて出てくるハジェル君。おずおずと母に渡している。
花、元気達は庭、ビアンカとルージュ、晃太がついている。
母がズボンをチェック、私はハジェル君のウエストチェック。く、細い。
シュタインさんとバスタオルハジェル君に、居間で待ってもらい、母とルームに。
「すぐ直る?」
「うーん、1日はかかるなあ」
詳しくズボン見ている母。私は異世界のメニューを開き、CAFE&sandwich蒼空でケーキセットを2つ。本日のケーキは、ダークチェリーのタルトだ。ドリンクはアイスティー。お話し相手をしている父には麦茶。
遠慮する2人に、まあまあどうぞと勧めて、父に後を託す。
私は異世界への扉で、もへじ生活を選択。ズボンを探す。カーゴパンツタイプがなく、似たような色でカーキ色のストレッチパンツにした。値札を外して、と。
「ハジェル君、本当にごめんね。これ、代わりに穿いて」
居間に戻ると、幸せそうにタルトの最後の一口を食べているハジェル君。
「え、いいんすか? チャック着いてるから高いんじゃ?」
この世界にはチャックがあるが、ちょっと高級品。
「これね。実は安く手に入れたんよ。サイズ、合うか穿いてみて」
嬉しそうにズボンを持って寝室に向かうハジェル君。そしてストレッチパンツを穿いて、更に嬉しそうなハジェル君が出てきた。
「すごいっす。柔らかいし、穿きやすいし、動きやすいっす」
ストレッチだからね。
「サイズは?」
「大丈夫っす。本当にいいんすか?」
「よかよか、元気がごめんね。ハジェル君のポケットがよっぽど好きみたいで」
「いいんすよ。でも、ミズサワさん、言葉独特っすね」
あ、方言が。気をつけていたけど、出てしまっていた。山風の皆さんとはずいぶん長いお付き合いになっていたから、気が緩んだかな?
まあ、ばれたら仕方ない。まるで悪役のセリフみたいな事を思う。
「田舎の言葉なんよ。未だに抜けんでね」
「そうなんすね。でも、ミズサワさんが言うとあったかいっす」
「あら、嬉しかね」
話していると、母が破れたズボンを持って出てきた。
「明日1日で、直せると思うけん。明後日引き渡しで」
「ケイコお母さん、このズボンだけで十分なんすけど」
「そうはいかん」
きらり、と母の目が光る。
あ、火が着いた感じ。
「綺麗に直すけんね」
変な迫力のある母に圧され、ハジェル君はうなずく。
帰り際、ビアンカがハジェル君をベロリ。申し訳ないって思ったのかな。ただ、ハジェル君は固まってたけど。
次の日。
母はルームでハジェル君のズボンと格闘。
私達はノワールを、マーファの外で走らせる。
本日はロッシュさんとマアデン君だ。
「ブヒヒヒーンッ」
軽快に走るノワール。
楽しそうだけど、暑い。帽子被って、のんびりしていたけど暑い。
5匹はパーティーハウスで父が見ている。
ビアンカとルージュはどうかなって思ったけど、魔法で短時間ならどうにかなると。ビバ、魔法。私達にも、と思ったがそううまくいかない。人間の丁度いい空調にするには、加減するのは難しくて、後数日待ってほしいと言われた。しかし、暑か。
「ねえ、晃太、あんたの支援魔法で、耐熱性アップ出来んね?」
「そうやな」
額に汗を浮かべた晃太が、考え考え、支援魔法発動。
「アップ」
ふわ、と暑さが下がる感覚。少しだけど。
「さっきよりよかな。ロッシュさんとマアデン君にもしてん」
「そやな」
こちらも汗をかいてる2人。私達以上に汗をかいてる。鎧やら着てるからね。遠慮してたけど、晃太が支援魔法発動。
「支援魔法って、すごいですね」
ロッシュさんが感心したように言う。
「まだ、レベルが低いので、効果はいまいちですよ」
晃太が汗を拭きながら、答えている。
「ふふ、ご謙遜を。支援魔法を使える者は少ないんですよ。コウタさんも変な連中に声をかけられないように、注意してください」
「気を付けます」
それから、十分にノワールを走らせ、水分補給。
散歩というビアンカとルージュをなだめすかす。ノワールと並走だけで我慢してもらった。また、変なの捕ってこられたらそれはそれで大変だしね。今日はロッシュさん達がいるし。
「そう言えば、他のパーティーハウスの御用聞きは大丈夫なんですか?」
「はい」
マーファのパーティーハウスは3つ。1つは空き、1つは私達。残りの1つには複数の冒険者パーティーが借りていて、新人さん達に勉強のために雑用をさせているので、毎朝訪問しているが、基本的にお断りされていると。ただ、土地勘のない新人さんの時や、若い女の子1人の買い物の時は付き添っていると。ロッシュさんもそうやって新人の頃雑用して、今があると。冒険者になるときほとんどは成人してすぐに登録、パーティーを組める経験者に付き新人時代を過ごす。つまりエマちゃんやテオ君みたいな感じだね。それ以外は、アルブレンのリック君達みたいに新人で固まって行動するかだ。割合は半々。そして、経験者の元で過ごした冒険者は、自分がある程度の実力が着いた時点で、新人の面倒を見るのが暗黙のルールになっている。エマちゃんやテオ君みたいに、リーダーさんが叔父さん、みたいな伝はあまりなく、経験者に付きたい場合はギルドに相談すると紹介してくれる。ただ、それには試験とかがあり、クリアして、それから経験者を紹介される。
「それで、マアデンとハジェルを引き受けたんです」
「なるほど」
なら、いつか、マアデン君とハジェル君も新人さんのお世話するんだね。
ふむふむ。
『ユイ、ユイ』
『ねえ、ユイ』
水分補給後、ゴロゴロしていたビアンカとルージュが顔を上げる。
「ん、何ね?」
『ノワールが付きまとわれて困っているのです』
『狩ってもいいかしら?』
「付きまとわれてって、ストーカー?」
軽快に駆けて戻って来たノワール。
「ん? ん? わ、鰐ーッ。ビアンカッ、ルージュッ、ノワール救助ッ」
黒光りする鱗のこれまたデカイ鰐が、尻尾をくねらせてノワールの後ろに迫っていた。
たくさん。
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