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治験始動⑥
戦闘しています、ご注意ください。
ロッシュさんとマアデン君が、それぞれの武器を取り前に出る。
『引っ込んでいるのですっ』
『邪魔よっ』
「オブラートッ」
疾走してビアンカとルージュがノワールの元に。
ロッシュさん達には聞こえないだろうけど、私は突っ込む。
『戦闘モード 光の貴婦人(リュミライトレディ)』
まずはルージュが、ちゅどん、ちゅどん。
黒光りの鰐が、空を飛ぶ。
いや、あれ、デカイよ。多分5メートルとかありそうだけど。空を飛んでる。
『戦闘モード 風乙女(シルフィリア)』
ビアンカが駆け抜けると、ばっくりと鱗が切れる。あの、鱗、見ただけて固そうなんだけど。
「ブヒヒヒンッ」
そしてなぜかUターンしたノワールがジャンプ。あれだ、障害物とか飛ぶ形。え、何やってんの? 着地地点にひっくりかえってじたばたしている鰐のお腹。
着地地点の鰐は、ぐへえ、と牙が並んだ口を開けてぱたり。ばんえい馬並みにデカイノワールの一撃に、白目向く鰐。
「ノワールゥッ?」
あんたそんな戦闘狂みたいな事をっ。更にビアンカやルージュが飛ばしてくる鰐に、カウンターのようなノワールの強烈な蹴り入る。バキバキいってますがな。
それから、ちゅどん、どかん、バキバキ。
まあ、ロッシュさんとマアデン君の顔色の悪かこと。
「姉ちゃんっ、鰐やないのがおるよっ」
「はあ?」
黒光りの鰐に混じって、明らかに違うのが。爬虫類だろうけど、爬虫類なんだろうけど。
映画で、見たことあるよ。
ビアンカの数倍はありそうなそれは、映画に出てきたよ。
あれよ、あれ、ファンタジーのど定番。
『ふんッ』
ルージュが閃光を放ち着弾。巨体がよろめく。
『はあッ』
ビアンカが跳躍。首筋にかぶりつく。明らかに物量は向こうが勝っているのに、ビアンカを支点に巨体が宙を舞う。物理とか、重力とか無視。
ドガガァァァァァァァァンッ
轟音を立てて、ビアンカはそれを地面に叩きつけて沈黙させる。こちらにも響くような地響き。
『ふん、他愛ないのです』
『そうね。大したことないわね』
つんつん、と巨体をつつく2人。黒光りの鰐も動いているのはいない。ノワールはブヒヒヒン。転がる黒光り鰐、巨大爬虫類。相変わらず、現実味を帯びない。
「なあ、姉ちゃん」
「何ね?」
「あれ、あれやない?」
晃太が指差す先には、首がおかしな向きになってる、多分爬虫類。とにかくデカイ爬虫類。
「そやなあ」
あれだよ、あれ。
ドラゴンだよ、あれ。
冒険者ギルドの倉庫。
あれから鰐やらドラゴンを晃太のアイテムボックスへ入れて帰った。お金になり、ドラゴンはギルドに絶対報告。教えてくれたロッシュさんの顔色は冴えない。なんでもドラゴンはこんな人里近くに出ることはないが、一匹でも、大騒ぎもので、国が軍を挙げての討伐になると。そんな脅威なのだと。
ほぼ、一撃でしたがな。
うちのビアンカとルージュは、強か。そう、強か。きっとドラゴンは、お腹壊して調子が悪かったんやね。うん。
『ユイ、ユイ、ドラゴン焼いてなのです』
『鰐は硬いけど、ドラゴンは美味しいわ』
「ハム焼くみたいに言わんで。まあ食べれるなら、そうやね。でもね、私達は捌けんけん、ギルドにお願いするけん、ちょっと待ってね」
『『ドラゴンドラゴンドラゴン』』
るんるん、と合唱する2人。かわいか。だけど、バックの鰐とドラゴンが、ねえ。
てか、そんなドラゴンでさえ睨まれたら逃げ出す、2人のお母さんて何者なんやろう。やめよ、考えるの。
「はいはい」
ドラゴンのお肉は最高級品。皮も肝も血も魔物素材としては最高級品。でも、食べるのはちょっと抵抗がある。白目剥いてるのを見ちゃったし。
一旦ルームにいた母とノワールをパーティーハウスに戻して、ギルドに来た。ロッシュさんが小声で繋いでくれた。
騒然となる倉庫内。
黒光りした鰐にドラゴンがズラリと並ぶ。
「ミズサワ様、どうぞ此方に」
リティアさんがスマイル浮かべて、すっ飛んできた。
応接室に通される。ロッシュさんとマアデン君はドアの外で待機してくれる。ビアンカとルージュは慣れたもので、そこらで臥せている。
応接室には、すらっとした高齢男性。会社役員みたいな感じの人だ。初めてお会いする人だ。
「当冒険者ギルドのマスターです」
リティアさんが紹介してくれる。会釈するギルドマスターさん。
「冒険者ギルドマスター、ストヴィエと申します」
「あ、ミズサワです」
こちらもペコリ。
「どうぞ、お座りください」
「はい」
着席すると、ストヴィエさんが聞いてくる。
「単刀直入に。あのドラゴンはどこで?」
「マーファの北方面です」
「他にドラゴンがいる気配はありませんでしたか?」
「さあ。ねえ、ルージュ、他にドラゴンおった?」
『いなかったわ。恐らくあのドラゴンは、はぐれものか、何かの理由で棲みかを失ったと思うわ。鰐はあのドラゴンに追い立てられて来たみたいよ』
「そうね、ありがと」
私が通訳すると、ストヴィエさん、お茶を運んできたリティアさんもほっとした顔だ。
「貴女がいて本当に良かった。まさかこんな平地にドラゴンが出てくるとは。もしマーファが襲われたら、無事では済みますまい。犠牲者も数えきれん程に出たでしょう。本当に感謝の言葉しかありません」
丁寧にお礼を言ってくる冒険者ギルドマスター。しかし、さすがドラゴン、ファンタジーど定番。犠牲者の言葉に、ちら、と元気な孤児院の子供達や、屋台でよくしてくれる人達、パーカーさん一家、山風の皆さんの顔が浮かぶ。まあ、ビアンカとルージュのお陰で事なきを得たから、良か。ああ、良か。
「ビアンカとルージュのお陰ですので」
「それを使役しているのは、ミズサワさんですよ」
「使役、ですか」
あんまり好きな言葉じゃないけどなあ。曖昧に笑ってみた。
「恐らく今回の事で伯爵様から報償金が出ます。数日お待ちいただけますか?」
「はい、大丈夫です」
『ユイ、お肉、ドラゴンのお肉を聞いてなのです』
『いつ食べれるの?』
「はいはい。あのドラゴンのお肉、少し欲しいのですが」
『少しは嫌なのですっ』
『たくさん食べたいわっ』
「はいはい」
鼻面を押し付けてくるビアンカとルージュ。
「ミズサワさん、少しギルドに回して頂けないでしょうか?」
ストヴィエさんと話して、半分引き取る。解体には2日かかると。ドラゴンのお肉を引き取る際に、黒光り鰐の買い取り査定も出ると。あの黒光り鰐はシュバルツアリゲーターという種類で、皮が上質で、中堅冒険者さんが欲しがる鎧やブーツになると。鱗の美しい所は、高級バッグになる。ワニ革や。牙はサイズによって矢じりや、大きければ細身のナイフになると。お肉は固すぎて、歯が立たない。ビアンカとルージュが固い、言ってたから、人間の歯が立つわけない。基本的にはBランクの魔物だが、サイズによってはAランク。こちらもあまり見かけない魔物。山奥とかの沼とかに生息していると。
ドラゴン? 当然Sランク。
ストヴィエさん曰く、おそらく、かなりの額になると。
何日か前に、3億近く転がり込んで来たのに。それから今回のドラゴンの件は、ユリアレーナの冒険者ギルド本部に連絡が行き、当然国にも行く。まあ、当然かあ、本来は国の軍を挙げての討伐ものだしね。ただ、私達はあまり、目立ちたくないのだけど。ちら、と言うと、出来るだけ善処しますと。
「では、失礼します」
冒険者ギルドマスターストヴィエさんとリティアさんに挨拶してギルドを後にした。
ロッシュさんとマアデン君が、それぞれの武器を取り前に出る。
『引っ込んでいるのですっ』
『邪魔よっ』
「オブラートッ」
疾走してビアンカとルージュがノワールの元に。
ロッシュさん達には聞こえないだろうけど、私は突っ込む。
『戦闘モード 光の貴婦人(リュミライトレディ)』
まずはルージュが、ちゅどん、ちゅどん。
黒光りの鰐が、空を飛ぶ。
いや、あれ、デカイよ。多分5メートルとかありそうだけど。空を飛んでる。
『戦闘モード 風乙女(シルフィリア)』
ビアンカが駆け抜けると、ばっくりと鱗が切れる。あの、鱗、見ただけて固そうなんだけど。
「ブヒヒヒンッ」
そしてなぜかUターンしたノワールがジャンプ。あれだ、障害物とか飛ぶ形。え、何やってんの? 着地地点にひっくりかえってじたばたしている鰐のお腹。
着地地点の鰐は、ぐへえ、と牙が並んだ口を開けてぱたり。ばんえい馬並みにデカイノワールの一撃に、白目向く鰐。
「ノワールゥッ?」
あんたそんな戦闘狂みたいな事をっ。更にビアンカやルージュが飛ばしてくる鰐に、カウンターのようなノワールの強烈な蹴り入る。バキバキいってますがな。
それから、ちゅどん、どかん、バキバキ。
まあ、ロッシュさんとマアデン君の顔色の悪かこと。
「姉ちゃんっ、鰐やないのがおるよっ」
「はあ?」
黒光りの鰐に混じって、明らかに違うのが。爬虫類だろうけど、爬虫類なんだろうけど。
映画で、見たことあるよ。
ビアンカの数倍はありそうなそれは、映画に出てきたよ。
あれよ、あれ、ファンタジーのど定番。
『ふんッ』
ルージュが閃光を放ち着弾。巨体がよろめく。
『はあッ』
ビアンカが跳躍。首筋にかぶりつく。明らかに物量は向こうが勝っているのに、ビアンカを支点に巨体が宙を舞う。物理とか、重力とか無視。
ドガガァァァァァァァァンッ
轟音を立てて、ビアンカはそれを地面に叩きつけて沈黙させる。こちらにも響くような地響き。
『ふん、他愛ないのです』
『そうね。大したことないわね』
つんつん、と巨体をつつく2人。黒光りの鰐も動いているのはいない。ノワールはブヒヒヒン。転がる黒光り鰐、巨大爬虫類。相変わらず、現実味を帯びない。
「なあ、姉ちゃん」
「何ね?」
「あれ、あれやない?」
晃太が指差す先には、首がおかしな向きになってる、多分爬虫類。とにかくデカイ爬虫類。
「そやなあ」
あれだよ、あれ。
ドラゴンだよ、あれ。
冒険者ギルドの倉庫。
あれから鰐やらドラゴンを晃太のアイテムボックスへ入れて帰った。お金になり、ドラゴンはギルドに絶対報告。教えてくれたロッシュさんの顔色は冴えない。なんでもドラゴンはこんな人里近くに出ることはないが、一匹でも、大騒ぎもので、国が軍を挙げての討伐になると。そんな脅威なのだと。
ほぼ、一撃でしたがな。
うちのビアンカとルージュは、強か。そう、強か。きっとドラゴンは、お腹壊して調子が悪かったんやね。うん。
『ユイ、ユイ、ドラゴン焼いてなのです』
『鰐は硬いけど、ドラゴンは美味しいわ』
「ハム焼くみたいに言わんで。まあ食べれるなら、そうやね。でもね、私達は捌けんけん、ギルドにお願いするけん、ちょっと待ってね」
『『ドラゴンドラゴンドラゴン』』
るんるん、と合唱する2人。かわいか。だけど、バックの鰐とドラゴンが、ねえ。
てか、そんなドラゴンでさえ睨まれたら逃げ出す、2人のお母さんて何者なんやろう。やめよ、考えるの。
「はいはい」
ドラゴンのお肉は最高級品。皮も肝も血も魔物素材としては最高級品。でも、食べるのはちょっと抵抗がある。白目剥いてるのを見ちゃったし。
一旦ルームにいた母とノワールをパーティーハウスに戻して、ギルドに来た。ロッシュさんが小声で繋いでくれた。
騒然となる倉庫内。
黒光りした鰐にドラゴンがズラリと並ぶ。
「ミズサワ様、どうぞ此方に」
リティアさんがスマイル浮かべて、すっ飛んできた。
応接室に通される。ロッシュさんとマアデン君はドアの外で待機してくれる。ビアンカとルージュは慣れたもので、そこらで臥せている。
応接室には、すらっとした高齢男性。会社役員みたいな感じの人だ。初めてお会いする人だ。
「当冒険者ギルドのマスターです」
リティアさんが紹介してくれる。会釈するギルドマスターさん。
「冒険者ギルドマスター、ストヴィエと申します」
「あ、ミズサワです」
こちらもペコリ。
「どうぞ、お座りください」
「はい」
着席すると、ストヴィエさんが聞いてくる。
「単刀直入に。あのドラゴンはどこで?」
「マーファの北方面です」
「他にドラゴンがいる気配はありませんでしたか?」
「さあ。ねえ、ルージュ、他にドラゴンおった?」
『いなかったわ。恐らくあのドラゴンは、はぐれものか、何かの理由で棲みかを失ったと思うわ。鰐はあのドラゴンに追い立てられて来たみたいよ』
「そうね、ありがと」
私が通訳すると、ストヴィエさん、お茶を運んできたリティアさんもほっとした顔だ。
「貴女がいて本当に良かった。まさかこんな平地にドラゴンが出てくるとは。もしマーファが襲われたら、無事では済みますまい。犠牲者も数えきれん程に出たでしょう。本当に感謝の言葉しかありません」
丁寧にお礼を言ってくる冒険者ギルドマスター。しかし、さすがドラゴン、ファンタジーど定番。犠牲者の言葉に、ちら、と元気な孤児院の子供達や、屋台でよくしてくれる人達、パーカーさん一家、山風の皆さんの顔が浮かぶ。まあ、ビアンカとルージュのお陰で事なきを得たから、良か。ああ、良か。
「ビアンカとルージュのお陰ですので」
「それを使役しているのは、ミズサワさんですよ」
「使役、ですか」
あんまり好きな言葉じゃないけどなあ。曖昧に笑ってみた。
「恐らく今回の事で伯爵様から報償金が出ます。数日お待ちいただけますか?」
「はい、大丈夫です」
『ユイ、お肉、ドラゴンのお肉を聞いてなのです』
『いつ食べれるの?』
「はいはい。あのドラゴンのお肉、少し欲しいのですが」
『少しは嫌なのですっ』
『たくさん食べたいわっ』
「はいはい」
鼻面を押し付けてくるビアンカとルージュ。
「ミズサワさん、少しギルドに回して頂けないでしょうか?」
ストヴィエさんと話して、半分引き取る。解体には2日かかると。ドラゴンのお肉を引き取る際に、黒光り鰐の買い取り査定も出ると。あの黒光り鰐はシュバルツアリゲーターという種類で、皮が上質で、中堅冒険者さんが欲しがる鎧やブーツになると。鱗の美しい所は、高級バッグになる。ワニ革や。牙はサイズによって矢じりや、大きければ細身のナイフになると。お肉は固すぎて、歯が立たない。ビアンカとルージュが固い、言ってたから、人間の歯が立つわけない。基本的にはBランクの魔物だが、サイズによってはAランク。こちらもあまり見かけない魔物。山奥とかの沼とかに生息していると。
ドラゴン? 当然Sランク。
ストヴィエさん曰く、おそらく、かなりの額になると。
何日か前に、3億近く転がり込んで来たのに。それから今回のドラゴンの件は、ユリアレーナの冒険者ギルド本部に連絡が行き、当然国にも行く。まあ、当然かあ、本来は国の軍を挙げての討伐ものだしね。ただ、私達はあまり、目立ちたくないのだけど。ちら、と言うと、出来るだけ善処しますと。
「では、失礼します」
冒険者ギルドマスターストヴィエさんとリティアさんに挨拶してギルドを後にした。
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