206 / 876
連載
首都へ②
「すまんな。大勢で来て、すぐ帰るから」
「いえいえ」
神様降臨ポイントポイント。ぐふふふふふ。は、いかん。これじゃ、期待しているビアンカとルージュにとやかく言えない。
視界の隅で、尻尾をバタバタしているビアンカと目を全開にしているルージュが。気づかれていないようや。
しかし、今日は大所帯だ。
はじめての神様もいらっしゃる。皆、女神様だね。
魔法の三柱神様、闘神様、薬の神様は、わーい、と走り回る。かわいかね。雨の女神様が、優しくダメよ、と言ってる。
「俺達が来たら恩恵あるって聞いたからな。だが、まず」
はい、ポイントポイント。ぐふふふふふ。
時空神様に押し出されたのは、商いの神様と鍛冶の神様。2人ともばつの悪そうな顔だ。
「先日はご迷惑をおかけしました」
「おかけしました」
反省している。なんか、見たことあるよ、お猿さんみたいな。
「いいんですよ、神様」
以前来て頂いた時の恩恵が凄かったしね。パンケーキくらい安いもんだ。
そうだ、エマちゃん達のケガの件を相談しようかな? でも、恐らく『神への祈り』を使えば同じことかな? あ、それよりも、マジックバッグコンビの視線が突き刺さる。
「あ、今、お茶を準備しますね」
ぱぁ、と商いの神様と鍛冶の神様の顔が輝く。
「いや。今日は他の神を紹介したら帰るから」
とたんに、風船みたいに萎むマジックバッグコンビ。ちゃんとお土産持たせますがな。
「こちらに」
「「「はい」」」
時空神様に呼ばれたのは3人の女の子。女神様だよね。
「大地の女神です。いつも美味しいお食事ありがとうございます」
上品にご挨拶したのは、深い茶色の髪の女神様。女子高生くらいだが、清楚を形にしたような美少女だ。雨の女神様の面影がある。まるで姉妹のようだ。美少女コンテストとかに出たら、受賞ものの美少女だ。
「灯の女神です。お菓子、ありがとうございます」
はきはきご挨拶したのは、赤い髪の女神様。こちらは女子中学生くらいかな。いかにもスポーツしてます、健康美少女って感じだ。こちらは、時空神様の面影がある。
「樹の女神です。カレーが好きです」
最後にご挨拶したのは、髪が柳の葉っぱみたいな女の子。かわいか。照れてる。10歳くらいかな。薬の神様と似ているようだけど。
「ご丁寧にありがとうございます。女神様」
私もご挨拶する。
ご挨拶しながら、見てしまった。魔法の三柱神様と闘神様が、ビアンカとルージュをぺしぺししている。
………………………ギャーッ、余計な事をーッ
口には出さないよ。ただ、触っているだけかもしれないし、ね。そう、きっと触っているだけのはず。ふかふかやからね。
だが、案の定、ビアンカとルージュの背中の毛が総立ちしてる。しかも商いの神様と鍛冶の神様まで触ろうとして、晃太がどうしたものかと、私に視線を投げ掛けてくる。
「あの、時空神様……………」
止めて頂こうと、声をかけようとすると。私は時空神様にダイニングキッチンの隅に連行される。
え? なんやなんや?
「静かに」
「はい?」
時空神様が私の耳元に口を寄せる。
………………………ギャーッ、超絶イッケメンがーッ。息がかかってまずがなーッ。
パニックを起こしかけた私の耳元で、時空神様がゴニョゴニョ。
「はい?」
最後に、始祖神様には内緒だぞ。と、言って離れていく。
私は深呼吸して、落ち着く。
わざわざ、このゴニョゴニョの為に来てくれたんだ。
ふー、落ち着けー、ふー。
ゴニョゴニョ内容は、始祖神様に内緒って、言ってたし、ばれないように、他の神様連れてきたのかな。
よし、気を取り直して。景気よく行きましょう。おそらく神様降臨ポイントが凄かことになるはず。
私は液晶画面をタップタップタップタップタップタップタップ。
紫竜のオードブルを3つ。JOY-Pの出前メニューからこちらもオードブルを3つ、マヨコーンピザとマルゲリータを5枚ずつ。サンサンサンが開いていたら、更にオードブル追加したんだけど、オーダーストップになってた。さくら庵のお持ち帰りの和三盆ロールケーキを、えーっと3つ。抹茶と栗のロールケーキも、と。あ、濃厚プリンがある。人数分と。
「時空神様、どうぞお土産です」
「「ありがとうございますッ」」
一番に反応したのはマジックバッグコンビだ。
小さな神様達も、わー、と集まってきた。
「こらっ、すまん、ちょっと来ただけなのに」
「いいんですよ、こちらも恩恵がありますから。朝のお供え、あれでは足りませんよね?」
「いや、十分だ。本来なら手に入らない物を、お前が供えてくれているんだ。その気持ちだけで十分だ」
「そうですか」
いいのかな?
すると、足に衝撃が。
魔法の三柱神様だ。
「お芋さん食べたいッ」
「カレー食べたいッ」
「アイス食べたいッ」
ぐはあっ、かわいかあっ。
私を見上げる、かわいか瞳が、三十路女の思考を破壊する。
「お、お芋さんはですね、オードブルの中にありますよー。カレーはまた作りましょうねー。アイス、買って来ましょうねー」
小銭入れを握りしめる。いまならディレックス開いている。
「こら、神が、要求してはいけませんよ」
雨の女神様が回収してくれる。
それを聞いて、今度は時空神様がばつの悪そうな顔だ。
早速オードブルの蓋を開け、ぱくりぱくりするマジックバッグコンビを大地の女神様が、鳩尾に一発入れる。
………………………え? 清楚を形にしたような美少女が、一発入れたよ。え? まさかの格闘系美少女? いや、商いの神様と鍛冶の神様、まだ、見た目子供なんやなけど、大丈夫なん? 一発入れてるけど。あ、きっと手加減したんやね。
「おほほ、はしたなくってごめんなさい」
と、上品に微笑むけど、その足元で、踞るマジックバッグコンビ。なんやねん。プルプルしてるけど、いや、きっと手加減してるよね。
「ほら、せっかく頂いたんだ。皆で持て」
「「「はーい」」」
魔法の三柱神様、闘神様、薬の神様はロールケーキの箱を1つずつ。後は手分けして持っている。
「そうだ。奴隷を購入するんだったな?」
紫竜のオードブルを持った時空神様が、振り返る。そして気合いで復活したマジックバッグコンビがピザの箱を抱える。
「あ、はい」
「その奴隷がお前達に長く仕える気があるなら、俺達を呼べ」
「はい。分かりました」
「では、な」
そう言って、神様達は消えていった。
てってれってー
【時空神 雨の女神 大地の女神 灯の女神 商いの神 鍛冶の神 樹の女神 闘神 薬の神 魔法の三柱神 降臨確認 ボーナスポイント250000追加されます 主要女神降臨確認 特別ボーナスオプション追加されます 主要十神降臨確認 特別ボーナスオプション・ボーナスポイント1000000追加されます】
ぐらり、と軽い地震が起きる。
咄嗟にテーブルをつかむも、すぐに落ち着いたので、辺りを確認。ポイントが恐ろしい程加算された。毎日オードブル献上しても足りないかも。
ダイニングキッチンはかわりなし。そして、サブ・ドアの横に、新たなドアが出現している。新しいサブ・ドアだ。父に鑑定してもらおう。ルームは1.5倍、従魔の部屋が倍以上の広さになり、そして中庭だ。もう、草原と呼べる程広くなってる。これならノワールも問題なく走り回れるかな。
で、最後に確認。
「ビアンカさん。ルージュさん。大丈夫ね」
毛が総立ちしているビアンカとルージュに、そっと声をかける。
ふわあ、と立ち上がるビアンカとルージュ。嫌な予感。
『『ユイ』』
「なんね?」
『魔境に行きたいのですッ』
『ダンジョン上層階に行きたいわッ』
目が血走ってますがなッ。
「やっぱりッ。魔境ってなんやねん。とにかくやめて、今は首都に行くんやから」
『なら、その後に行くのです』
『帰ったら行きましょう』
すりすり、きゅるんきゅるん。鼻息荒かあ。
「そんな血走った目でされてもね。とりあえず、首都から帰ってからね。よかね? 帰ってからよ」
首都に行くのが目的なんやから。今回、鷹の目の皆さんが最優先よ。
『分かったのです』
『いいわ』
ワクワクしているビアンカとルージュ。もう、かわいかね。
「とりあえず、どの神様のブースト頂いたの?」
把握しておかないと。
『私は、真ん中の魔法神様、闘神様と商いの神様なのです』
『私は右の魔法神様と左の魔法神様、鍛冶の神様よ』
「商いの神様と鍛冶の神様のブーストってなんやろうね」
「あ、わいが聞いたよ」
晃太が聞いておいてくれたようだ。
「商いの神様はな、ビアンカがボス部屋開けると、ドロップ品が5割増し。鍛冶の神様はルージュが開けると、出てくる宝箱の武器や宝飾品が5割増し」
「大盤振る舞いやね」
大地の女神様が一発入れてたけど、凄かブーストが。
また、お供えしようかね。
「いえいえ」
神様降臨ポイントポイント。ぐふふふふふ。は、いかん。これじゃ、期待しているビアンカとルージュにとやかく言えない。
視界の隅で、尻尾をバタバタしているビアンカと目を全開にしているルージュが。気づかれていないようや。
しかし、今日は大所帯だ。
はじめての神様もいらっしゃる。皆、女神様だね。
魔法の三柱神様、闘神様、薬の神様は、わーい、と走り回る。かわいかね。雨の女神様が、優しくダメよ、と言ってる。
「俺達が来たら恩恵あるって聞いたからな。だが、まず」
はい、ポイントポイント。ぐふふふふふ。
時空神様に押し出されたのは、商いの神様と鍛冶の神様。2人ともばつの悪そうな顔だ。
「先日はご迷惑をおかけしました」
「おかけしました」
反省している。なんか、見たことあるよ、お猿さんみたいな。
「いいんですよ、神様」
以前来て頂いた時の恩恵が凄かったしね。パンケーキくらい安いもんだ。
そうだ、エマちゃん達のケガの件を相談しようかな? でも、恐らく『神への祈り』を使えば同じことかな? あ、それよりも、マジックバッグコンビの視線が突き刺さる。
「あ、今、お茶を準備しますね」
ぱぁ、と商いの神様と鍛冶の神様の顔が輝く。
「いや。今日は他の神を紹介したら帰るから」
とたんに、風船みたいに萎むマジックバッグコンビ。ちゃんとお土産持たせますがな。
「こちらに」
「「「はい」」」
時空神様に呼ばれたのは3人の女の子。女神様だよね。
「大地の女神です。いつも美味しいお食事ありがとうございます」
上品にご挨拶したのは、深い茶色の髪の女神様。女子高生くらいだが、清楚を形にしたような美少女だ。雨の女神様の面影がある。まるで姉妹のようだ。美少女コンテストとかに出たら、受賞ものの美少女だ。
「灯の女神です。お菓子、ありがとうございます」
はきはきご挨拶したのは、赤い髪の女神様。こちらは女子中学生くらいかな。いかにもスポーツしてます、健康美少女って感じだ。こちらは、時空神様の面影がある。
「樹の女神です。カレーが好きです」
最後にご挨拶したのは、髪が柳の葉っぱみたいな女の子。かわいか。照れてる。10歳くらいかな。薬の神様と似ているようだけど。
「ご丁寧にありがとうございます。女神様」
私もご挨拶する。
ご挨拶しながら、見てしまった。魔法の三柱神様と闘神様が、ビアンカとルージュをぺしぺししている。
………………………ギャーッ、余計な事をーッ
口には出さないよ。ただ、触っているだけかもしれないし、ね。そう、きっと触っているだけのはず。ふかふかやからね。
だが、案の定、ビアンカとルージュの背中の毛が総立ちしてる。しかも商いの神様と鍛冶の神様まで触ろうとして、晃太がどうしたものかと、私に視線を投げ掛けてくる。
「あの、時空神様……………」
止めて頂こうと、声をかけようとすると。私は時空神様にダイニングキッチンの隅に連行される。
え? なんやなんや?
「静かに」
「はい?」
時空神様が私の耳元に口を寄せる。
………………………ギャーッ、超絶イッケメンがーッ。息がかかってまずがなーッ。
パニックを起こしかけた私の耳元で、時空神様がゴニョゴニョ。
「はい?」
最後に、始祖神様には内緒だぞ。と、言って離れていく。
私は深呼吸して、落ち着く。
わざわざ、このゴニョゴニョの為に来てくれたんだ。
ふー、落ち着けー、ふー。
ゴニョゴニョ内容は、始祖神様に内緒って、言ってたし、ばれないように、他の神様連れてきたのかな。
よし、気を取り直して。景気よく行きましょう。おそらく神様降臨ポイントが凄かことになるはず。
私は液晶画面をタップタップタップタップタップタップタップ。
紫竜のオードブルを3つ。JOY-Pの出前メニューからこちらもオードブルを3つ、マヨコーンピザとマルゲリータを5枚ずつ。サンサンサンが開いていたら、更にオードブル追加したんだけど、オーダーストップになってた。さくら庵のお持ち帰りの和三盆ロールケーキを、えーっと3つ。抹茶と栗のロールケーキも、と。あ、濃厚プリンがある。人数分と。
「時空神様、どうぞお土産です」
「「ありがとうございますッ」」
一番に反応したのはマジックバッグコンビだ。
小さな神様達も、わー、と集まってきた。
「こらっ、すまん、ちょっと来ただけなのに」
「いいんですよ、こちらも恩恵がありますから。朝のお供え、あれでは足りませんよね?」
「いや、十分だ。本来なら手に入らない物を、お前が供えてくれているんだ。その気持ちだけで十分だ」
「そうですか」
いいのかな?
すると、足に衝撃が。
魔法の三柱神様だ。
「お芋さん食べたいッ」
「カレー食べたいッ」
「アイス食べたいッ」
ぐはあっ、かわいかあっ。
私を見上げる、かわいか瞳が、三十路女の思考を破壊する。
「お、お芋さんはですね、オードブルの中にありますよー。カレーはまた作りましょうねー。アイス、買って来ましょうねー」
小銭入れを握りしめる。いまならディレックス開いている。
「こら、神が、要求してはいけませんよ」
雨の女神様が回収してくれる。
それを聞いて、今度は時空神様がばつの悪そうな顔だ。
早速オードブルの蓋を開け、ぱくりぱくりするマジックバッグコンビを大地の女神様が、鳩尾に一発入れる。
………………………え? 清楚を形にしたような美少女が、一発入れたよ。え? まさかの格闘系美少女? いや、商いの神様と鍛冶の神様、まだ、見た目子供なんやなけど、大丈夫なん? 一発入れてるけど。あ、きっと手加減したんやね。
「おほほ、はしたなくってごめんなさい」
と、上品に微笑むけど、その足元で、踞るマジックバッグコンビ。なんやねん。プルプルしてるけど、いや、きっと手加減してるよね。
「ほら、せっかく頂いたんだ。皆で持て」
「「「はーい」」」
魔法の三柱神様、闘神様、薬の神様はロールケーキの箱を1つずつ。後は手分けして持っている。
「そうだ。奴隷を購入するんだったな?」
紫竜のオードブルを持った時空神様が、振り返る。そして気合いで復活したマジックバッグコンビがピザの箱を抱える。
「あ、はい」
「その奴隷がお前達に長く仕える気があるなら、俺達を呼べ」
「はい。分かりました」
「では、な」
そう言って、神様達は消えていった。
てってれってー
【時空神 雨の女神 大地の女神 灯の女神 商いの神 鍛冶の神 樹の女神 闘神 薬の神 魔法の三柱神 降臨確認 ボーナスポイント250000追加されます 主要女神降臨確認 特別ボーナスオプション追加されます 主要十神降臨確認 特別ボーナスオプション・ボーナスポイント1000000追加されます】
ぐらり、と軽い地震が起きる。
咄嗟にテーブルをつかむも、すぐに落ち着いたので、辺りを確認。ポイントが恐ろしい程加算された。毎日オードブル献上しても足りないかも。
ダイニングキッチンはかわりなし。そして、サブ・ドアの横に、新たなドアが出現している。新しいサブ・ドアだ。父に鑑定してもらおう。ルームは1.5倍、従魔の部屋が倍以上の広さになり、そして中庭だ。もう、草原と呼べる程広くなってる。これならノワールも問題なく走り回れるかな。
で、最後に確認。
「ビアンカさん。ルージュさん。大丈夫ね」
毛が総立ちしているビアンカとルージュに、そっと声をかける。
ふわあ、と立ち上がるビアンカとルージュ。嫌な予感。
『『ユイ』』
「なんね?」
『魔境に行きたいのですッ』
『ダンジョン上層階に行きたいわッ』
目が血走ってますがなッ。
「やっぱりッ。魔境ってなんやねん。とにかくやめて、今は首都に行くんやから」
『なら、その後に行くのです』
『帰ったら行きましょう』
すりすり、きゅるんきゅるん。鼻息荒かあ。
「そんな血走った目でされてもね。とりあえず、首都から帰ってからね。よかね? 帰ってからよ」
首都に行くのが目的なんやから。今回、鷹の目の皆さんが最優先よ。
『分かったのです』
『いいわ』
ワクワクしているビアンカとルージュ。もう、かわいかね。
「とりあえず、どの神様のブースト頂いたの?」
把握しておかないと。
『私は、真ん中の魔法神様、闘神様と商いの神様なのです』
『私は右の魔法神様と左の魔法神様、鍛冶の神様よ』
「商いの神様と鍛冶の神様のブーストってなんやろうね」
「あ、わいが聞いたよ」
晃太が聞いておいてくれたようだ。
「商いの神様はな、ビアンカがボス部屋開けると、ドロップ品が5割増し。鍛冶の神様はルージュが開けると、出てくる宝箱の武器や宝飾品が5割増し」
「大盤振る舞いやね」
大地の女神様が一発入れてたけど、凄かブーストが。
また、お供えしようかね。
あなたにおすすめの小説
「三番以下を取りなさい」と五年言われ続けたので、公開試験で本気を出しました
歩人
ファンタジー
王立魔法学院、入学時首席のリュシエンヌは、婚約者レイナルト公爵令息から五年間「女は三番以下を取れ」と命じられてきた。学院の序列は国家序列の縮図。レイナルトは常に一位に居続けた。婚約披露を控えた十九歳の春、レイナルトが新しい婚約者を連れて告げる。「お前では並び立てぬ。学力も身分も、足りなすぎる」——リュシエンヌは微笑んで、その翌日の年次公開試験で、五年封じてきた本気を出した。国王臨席の場で、史上最高点。魔法局長官が教授陣に命じる。「過去五年間の彼女の実測点と、もし本気で受けていたら出せた推計点を、公表したまえ」。教授陣は震える手で数字を並べた。レイナルトの「首席」は、全て彼女が譲った場所だった。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
夫の不倫相手に「妻の座を譲れ」と言われたので、譲る代わりに全部置いていきます 〜行き先は老舗旅館。追いかけてきても、もう遅いです〜
なつめ
恋愛
夫の愛人に「妻の座を譲れ」と言い渡された主人公は、怒鳴り返すこともしがみつくこともせず、ただ静かに頷いた。
家のこと、食事のこと、社交のこと、義実家のこと、会社の裏方のこと。 誰も価値を知らなかった“妻の座”の中身を、そっくりそのまま置いて家を出る。
向かった先は、かつて傷ついた自分を受け入れてくれた老舗旅館。 再建に奔走する若旦那とともに働く中で、主人公は初めて「役に立つから愛される」のではなく、「あなた自身がいてほしい」と言われる温かさを知っていく。
一方、主人公を軽んじた元夫の家では、生活も体裁も仕事もじわじわと崩壊を始める。 これは、何も持たずに出ていったはずの女が、自分の人生を取り戻し、最後には新しい恋と居場所を手に入れる再生の物語。
見た目の良すぎる双子の兄を持った妹は、引きこもっている理由を不細工だからと勘違いされていましたが、身内にも誤解されていたようです
珠宮さくら
恋愛
ルベロン国の第1王女として生まれたシャルレーヌは、引きこもっていた。
その理由は、見目の良い両親と双子の兄に劣るどころか。他の腹違いの弟妹たちより、不細工な顔をしているからだと噂されていたが、実際のところは全然違っていたのだが、そんな片割れを心配して、外に出そうとした兄は自分を頼ると思っていた。
それが、全く頼らないことになるどころか。自分の方が残念になってしまう結末になるとは思っていなかった。
夫が私にそっくりな下の娘ばかりをかわいがるのですけど!
山科ひさき
恋愛
「子供達をお願い」 そう言い残して、私はこの世を去った。愛する夫が子供達に私の分も愛情を注いでくれると信じていたから、不安はなかった。けれど死後の世界から見ている夫は下の娘ばかりをかわいがり、上の娘をないがしろにしている。許せない。そんな時、私に不思議な声が呼びかけてきて……。
「お前の泥だらけの手で触るな、気持ち悪い」と追放された令嬢——王宮の食器が一枚も焼けなくなった
歩人
ファンタジー
「お前の泥だらけの手で触るな、気持ち悪い」——王宮御用達の食器を焼く伯爵令嬢エルザは、婚約者の第二王子に手の荒れを嗤われて追放された。十二歳から十年間、王宮の全ての食器を手ずから焼いてきた。彼女の食器は特殊な土と焼成技術で魔力を通し、毒に触れると色が変わる。料理の温度も保つ。追放から三ヶ月後、晩餐会で新しい食器を使ったところ、毒が検知されず隣国の大使が倒れた。外交問題に発展する中、第二王子が「食器くらい誰でも焼ける」と窯に立った結果、出来上がったのは歪んだ灰色の皿だった。
元の世界に帰らせていただきます!
にゃみ3
恋愛
淡い夢物語のように、望む全てが叶うとは限らない。
そう分かっていたとしても、私は敵ばかりの世界で妬まれ、嫌われ、疎まれることに、耐えられなかったの。
「ごめんね、バイバイ……」
限界なので、元いた世界に帰らせていただきます。
・・・
数話で完結します、ハピエン!
「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした
しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」
十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。
会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。
魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。
※小説家になろう様にも投稿しています※