文字の大きさ
大
中
小
305 / 877
連載
結婚式まで⑨
「よかやん、テオ君。良く似合うやん」
フロイスさんの工房。無事にテオ君の鎧が出来た。うん、いい感じやん。正に冒険者って感じや。右肩に桜の刻印あり。
「へへ……」
テオ君が照れてる。
フロイスさんが細かくサイズと稼働のチェック。ミゲル君も出来上がった剣を見ている。シーサーペントの鱗は黒っぽいから、刀身も黒っぽい。滑らかな輝きを持つ刀身。切れ味鋭そう。鞘にも小さく桜の彫刻入り。
「いいようですな。シーサーペントの鱗を使用しておりますから、強度と魔法防御は十分。鞘でも十分武器として通ります。後は付与はどうされますか?」
「そうですね。衝撃吸収と、重量軽減を出来るだけ。あ、追加の魔法補助も、スライ厶のコア要ります?」
「手に入りますか?」
「もちろん」
ちょっといったらいくつでも手に入れられるよ。
「でしたら鎧の方に衝撃吸収を主にして、重量軽減、そうですなクラウンスライ厶のコアなら3割は行けましょう。ああ、風魔法補助を付けられます。剣には土と水属性の補助を追加、衝撃吸収、重量軽減を2割」
「フロイスさんにお任せします」
ついでにチュアンさんのベストや籠手にも衝撃吸収と無と土魔法補助もお願いした。但し、王冠スライムコアの使用前提だ。
それからの数日間、なんだかんだと忙しい日々を送る。
スライム部屋に行ったり、査定を受け取ったり、出来上がった孤児院を見せてもらったり。査定はやっぱり億を越えたし、新しい孤児院は木の温もりを感じるような内装だった。新しい家具も順次運び込まれる予定だと。
パーカーさんのお店にいって、ダイアナちゃんと遊んだりもした。お姉ちゃん言われたから嬉しかった。きゅう、と抱きついてきたので、きゅう、と抱き締めた。思い出す、従姉妹のかわいい娘。
マーファの東にある海に面した町アノに、両親も連れて観光と魚介類の買い出しに行ったり。ブルーオイスターや鯵等大量購入した。鯵フライ、鯵フライ、鯵フライ。タルタルソースの鯵フライ。
『『鯵フライ、鯵フライ、鯵フライ、タルタルソースの鯵フライ』』
口に出てたのか、ビアンカとルージュが大合唱。
「わんわん」
「がうがう」
『あじふらぁい~』
『たるゅたるゅ~』
『そーすのあじふらい~』
仔達も合唱。
「やめて、優衣、変な歌、歌わんと」
母が注意してきたが、しばらく大合唱が続いた。その日の夜、鯵フライになりました。
そんな感じに数日後、マーファは再び歓迎ムードになる。王族の皆さんがマーファに入った。私達は多分大騒ぎになるだろうからと、パーティーハウスで大人しく過ごす。結婚式は明明後日だ。
マーファの教会で式を挙げて、ハルスフォン伯爵家までパレードだ。道端でお見送りだね。何着ようかな? 顔パックしよ。あ、コラーゲン鍋にしてもらわんと。
「見送るだけやん」
夢も希望もない晃太のセリフ。
身嗜みやねん。こんな機会がないと、こんな格好できんのやけん。私はパーカーさんに作ってもらったワンピースを出して、ルンルンと悩む。2着しかないけどね。あ、今度新しいワンピース、作ってもらっちゃおうかなあ。ピアスは真珠かな。ルンルン。
その日の夜、来客が。
ビアンカとルージュが察知していたから、慌てて着替える。パジャマだったから。鷹の目の皆さんもバタバタ装備している。
来客はサエキ様だった。あ、後ろの馬車に、護衛の騎士の中にオスヴァルトさんがいる。白いマントの騎士の中でも、赤いマントのオスヴァルトさんだけど、本日一際凄みがあるようだ。
「突然、夜分にすみません。今日のこの時間しか取れずに。すぐにお暇します」
申し訳なさそうなサエキ様。
「いえ、どうされましたか? どうぞ中に」
「ありがとうございます。実は同行者がおりますが。無理でしたら、そのまま帰ります」
「サエキ様が大丈夫と言う方なら、問題はありません」
なんとなく、お断りしてはいけない気がした。勘だけど。
「感謝します」
サエキ様が合図を送る。さ、と白いマントの騎士が馬車のドアを開ける。
中から4人降りてきた。あ、エレオノーラ様や。
………………………………………
え、エレオノーラ様? あら、あの茶色の髪の女性、綺麗や、あ、フェ、フェリアレーナ様に似てる。え、まさかカトリーナ様やないよね。だって、あの茶色の髪の人、正にフェリアレーナ様が美しいまま歳を取った感じだけど。え、カトリーナ様? それから金髪の素敵なおじさまが、高齢女性の手を引いて降りてきた。
「サ、サエキ様、まさかあの方達は?」
「はい、ユリアレーナの王族の皆様ですよ。貴女にどうしてもお礼が言いたいと」
わぁぁぁぁーっ。
ど、どうしよう。後ろの晃太とホークさんも戸惑ってる。
どうぞした以上、案内しないわけにはいかない。わたわたしながら、どうぞどうぞ。両親も目が点だ。
「わんわんっ」
「は、いかん」
花が吠える。いかん、いかん。
仔達は従魔の部屋で寝てるし、花はチュアンさんに託し、エマちゃんとテオ君、ミゲル君にルームに行ってもらう。
プチパニックの私達、わたわたしながら居間にご案内。お茶は取り敢えずさくら庵の日本産の紅茶をタップしておいたけど。飲まないよね。王族の方ですもん。あ、この格好失礼じゃないかな? あ、こんな時の為のワンピースなのにっ。わぁぁぁ、すっぴんやねんっ。基本的に日焼け止めで、ほぼ化粧はしないけど、寝る前だから余計すっぴん。母なんて、眉がないっ。
『何を焦っているのです?』
『大丈夫よユイ、敵意はないわよ』
「いやそうやなくてね」
わたわた。わたわた。
王族の皆様を、いいのかな? 居間にご案内。サエキ様だけ付いてきた。ホークさんとマデリーンさんは居間の外の廊下で待機している。
ソファーを勧め、私はどうしたものかと迷う。
「すぐにお暇します。ミズサワ殿、ユリアレーナ国王、セレドニア陛下です」
サエキ様が素敵な金髪のおじさまをご紹介してくれた。やっぱり国王様やったっ。あ、膝突かんといかんやつやっ。私は両膝を突く。両親と晃太も慌てて膝を突く。
「ミズサワ殿、まずは急にお訪ねした失礼をお詫びします」
「イ、イエ」
言葉がおかしくなる。声も素敵。
「ミズサワ様、どうかお立ちください」
エレオノーラ様が、私の手を取り、立ち上がらせてくれる。相変わらずお美しい、女優のYさんや。そこに私の前にセレドニア陛下が。あわわわわ、素敵なおじさまー。
「我が娘フェリアレーナを守って頂いたこと、感謝の言葉がありません」
「イエ、ソンナ」
素敵なおじさまー。
一般人が、こんな間近に国王様の近くにいて良かったっけ? いかん、正常な判断ができん、正に夢見心地や。
フェリアレーナ様に似た女性が私の前に。そっと私の手を握る。あわわわん、綺麗な人やー。晃太が後ろで綺麗な人やー、と呟く。いや、エレオノーラ様もこちらの方も綺麗で、目がちかちかしてきた。あ、フェリアレーナ様と同じオレンジ色の瞳は、優しい色だ。
「ミズサワ殿、フェリアレーナ王女殿下の母君、カトリーナ様です」
サエキ様の説明。あ、やっぱりー。あわわん、綺麗な人ー。
「ミズサワ様、フェリアレーナを守っていただきありがとうございます。これでやっと娘を送り出せます。ありがとうございます」
そう言ったカトリーナ様のオレンジ色の瞳に、涙が浮かぶ。
…………………………………………
王族だって、構えたけど。普通にお母さんや。娘の無事な結婚を喜んで感謝しているお母さんや。
「私達だけの力ではありません。色んな人が尽力したからです。私はちょっとだけ最後に加わっただけです」
「それでも感謝しています」
そこに高齢女性が少し足を引きずりながら、私の前に。わあ、上品な女性だあ。
「ミッシェル王太后様です」
サエキ様のご紹介。
お辞儀するミッシェル王太后様。あわわん。私もお辞儀。
「孫娘フェリアレーナが無事に嫁ぐ事ができました。そして、ガーガリア様が無事にマクレデーナ様の元に帰ることができました。貴女がすべての起点なのですよ」
そ、そうなの? 思い当たるのは転移門しかないけど。まあ、ガーガリア元妃が無事にお母さんの元に帰れたんだね。良かった。
「私も生きている間に初孫の結婚式に出る事ができました」
「良かったです」
上品に微笑むミッシェル王太后様。優しいおばあちゃんや。孫娘の結婚式を喜んでいるおばあちゃんや。
それから少しだけお話、やっぱり結婚式は無理でも披露宴にと言われた。
「貴女から寄贈して頂いた生地で素晴らしい花嫁衣装ができました。是非にそれを纏ったフェリアレーナを見て欲しいのです」
と、カトリーナ様。
そりゃ、見たいけど。色んな偉い人が来るんでしょ? 嫌な予感しかせん。
「あまりの美しさに、私昇天しそうですから」
ふふふ、と上品に笑うカトリーナ様。
サエキ様がちゃんとガードしてくれると言うが、着ていく服がないから、遠くからお見送りします、とお伝えする。
ならば、前日にハルスフォン伯爵家にお泊まりを、と。フェリアレーナ様はハルスフォン伯爵家から準備して出るから。セレドニア陛下達はちゃんと王族の別邸があってそちらに滞在している。それも申し訳ないからとお断りしたかったけど、色んな迫力に負けて頷いてしまった。私だけ、お泊まり。ハルスフォン伯爵家の敷地内に別邸があるので、そちらにお泊まりだ。ビアンカとルージュだけは付いてきてオッケーとなる。いいのかな? いいのかな? でも、見たい、フェリアレーナ王女様の花嫁姿。
お泊まりセットを準備せんと。ビアンカとルージュのご飯の準備せんと。あ、ルームあるから大丈夫かね。
「ミズサワ殿」
「あ、はい」
お泊まりセットを考えていると、セレドニア陛下が素敵な声で話しかけてきた。
「貴女はフェリアレーナの恩人です。そしてこのユリアレーナとアルティーナの均衡を守ってくれた恩人。父親として、国王として、感謝します。何かあれば、私達ユリアレーナ王家は貴女の為に出来るだけの力を尽くしましょう」
「ありがとうございます陛下」
ありがたやー。ありがたやー。
最後にエレオノーラ様が申し訳なさそうな表情。
「姪が貴女にご迷惑をおかけしました。申し訳ありません」
「姪? ああ、あの。気にしていません。ギルドや色んな人が味方になってくれていますから。私は気にしていませんので」
実質被害受けた気がしてないし。
エレオノーラ様は少し安心したような顔だ。
それからセレドニア陛下ご一行をお見送り。そっとカトリーナ様が私の手を握る。
「本当にありがとうございます」
「私は当然の事をしただけです」
そう、それだけ。最後にちょっと加勢しただけで、実際私はなんの役にも立ってない。
最後に出るサエキ様が、私に振り返る。
「前日に迎えにオスヴァルトを寄越しますので」
「はい、サエキ様」
私達はパーティーハウスから出て、馬車をお見送り。オスヴァルトさんが軽く会釈して、颯爽と馬車に並走する為に馬に乗って去って行った。
フロイスさんの工房。無事にテオ君の鎧が出来た。うん、いい感じやん。正に冒険者って感じや。右肩に桜の刻印あり。
「へへ……」
テオ君が照れてる。
フロイスさんが細かくサイズと稼働のチェック。ミゲル君も出来上がった剣を見ている。シーサーペントの鱗は黒っぽいから、刀身も黒っぽい。滑らかな輝きを持つ刀身。切れ味鋭そう。鞘にも小さく桜の彫刻入り。
「いいようですな。シーサーペントの鱗を使用しておりますから、強度と魔法防御は十分。鞘でも十分武器として通ります。後は付与はどうされますか?」
「そうですね。衝撃吸収と、重量軽減を出来るだけ。あ、追加の魔法補助も、スライ厶のコア要ります?」
「手に入りますか?」
「もちろん」
ちょっといったらいくつでも手に入れられるよ。
「でしたら鎧の方に衝撃吸収を主にして、重量軽減、そうですなクラウンスライ厶のコアなら3割は行けましょう。ああ、風魔法補助を付けられます。剣には土と水属性の補助を追加、衝撃吸収、重量軽減を2割」
「フロイスさんにお任せします」
ついでにチュアンさんのベストや籠手にも衝撃吸収と無と土魔法補助もお願いした。但し、王冠スライムコアの使用前提だ。
それからの数日間、なんだかんだと忙しい日々を送る。
スライム部屋に行ったり、査定を受け取ったり、出来上がった孤児院を見せてもらったり。査定はやっぱり億を越えたし、新しい孤児院は木の温もりを感じるような内装だった。新しい家具も順次運び込まれる予定だと。
パーカーさんのお店にいって、ダイアナちゃんと遊んだりもした。お姉ちゃん言われたから嬉しかった。きゅう、と抱きついてきたので、きゅう、と抱き締めた。思い出す、従姉妹のかわいい娘。
マーファの東にある海に面した町アノに、両親も連れて観光と魚介類の買い出しに行ったり。ブルーオイスターや鯵等大量購入した。鯵フライ、鯵フライ、鯵フライ。タルタルソースの鯵フライ。
『『鯵フライ、鯵フライ、鯵フライ、タルタルソースの鯵フライ』』
口に出てたのか、ビアンカとルージュが大合唱。
「わんわん」
「がうがう」
『あじふらぁい~』
『たるゅたるゅ~』
『そーすのあじふらい~』
仔達も合唱。
「やめて、優衣、変な歌、歌わんと」
母が注意してきたが、しばらく大合唱が続いた。その日の夜、鯵フライになりました。
そんな感じに数日後、マーファは再び歓迎ムードになる。王族の皆さんがマーファに入った。私達は多分大騒ぎになるだろうからと、パーティーハウスで大人しく過ごす。結婚式は明明後日だ。
マーファの教会で式を挙げて、ハルスフォン伯爵家までパレードだ。道端でお見送りだね。何着ようかな? 顔パックしよ。あ、コラーゲン鍋にしてもらわんと。
「見送るだけやん」
夢も希望もない晃太のセリフ。
身嗜みやねん。こんな機会がないと、こんな格好できんのやけん。私はパーカーさんに作ってもらったワンピースを出して、ルンルンと悩む。2着しかないけどね。あ、今度新しいワンピース、作ってもらっちゃおうかなあ。ピアスは真珠かな。ルンルン。
その日の夜、来客が。
ビアンカとルージュが察知していたから、慌てて着替える。パジャマだったから。鷹の目の皆さんもバタバタ装備している。
来客はサエキ様だった。あ、後ろの馬車に、護衛の騎士の中にオスヴァルトさんがいる。白いマントの騎士の中でも、赤いマントのオスヴァルトさんだけど、本日一際凄みがあるようだ。
「突然、夜分にすみません。今日のこの時間しか取れずに。すぐにお暇します」
申し訳なさそうなサエキ様。
「いえ、どうされましたか? どうぞ中に」
「ありがとうございます。実は同行者がおりますが。無理でしたら、そのまま帰ります」
「サエキ様が大丈夫と言う方なら、問題はありません」
なんとなく、お断りしてはいけない気がした。勘だけど。
「感謝します」
サエキ様が合図を送る。さ、と白いマントの騎士が馬車のドアを開ける。
中から4人降りてきた。あ、エレオノーラ様や。
………………………………………
え、エレオノーラ様? あら、あの茶色の髪の女性、綺麗や、あ、フェ、フェリアレーナ様に似てる。え、まさかカトリーナ様やないよね。だって、あの茶色の髪の人、正にフェリアレーナ様が美しいまま歳を取った感じだけど。え、カトリーナ様? それから金髪の素敵なおじさまが、高齢女性の手を引いて降りてきた。
「サ、サエキ様、まさかあの方達は?」
「はい、ユリアレーナの王族の皆様ですよ。貴女にどうしてもお礼が言いたいと」
わぁぁぁぁーっ。
ど、どうしよう。後ろの晃太とホークさんも戸惑ってる。
どうぞした以上、案内しないわけにはいかない。わたわたしながら、どうぞどうぞ。両親も目が点だ。
「わんわんっ」
「は、いかん」
花が吠える。いかん、いかん。
仔達は従魔の部屋で寝てるし、花はチュアンさんに託し、エマちゃんとテオ君、ミゲル君にルームに行ってもらう。
プチパニックの私達、わたわたしながら居間にご案内。お茶は取り敢えずさくら庵の日本産の紅茶をタップしておいたけど。飲まないよね。王族の方ですもん。あ、この格好失礼じゃないかな? あ、こんな時の為のワンピースなのにっ。わぁぁぁ、すっぴんやねんっ。基本的に日焼け止めで、ほぼ化粧はしないけど、寝る前だから余計すっぴん。母なんて、眉がないっ。
『何を焦っているのです?』
『大丈夫よユイ、敵意はないわよ』
「いやそうやなくてね」
わたわた。わたわた。
王族の皆様を、いいのかな? 居間にご案内。サエキ様だけ付いてきた。ホークさんとマデリーンさんは居間の外の廊下で待機している。
ソファーを勧め、私はどうしたものかと迷う。
「すぐにお暇します。ミズサワ殿、ユリアレーナ国王、セレドニア陛下です」
サエキ様が素敵な金髪のおじさまをご紹介してくれた。やっぱり国王様やったっ。あ、膝突かんといかんやつやっ。私は両膝を突く。両親と晃太も慌てて膝を突く。
「ミズサワ殿、まずは急にお訪ねした失礼をお詫びします」
「イ、イエ」
言葉がおかしくなる。声も素敵。
「ミズサワ様、どうかお立ちください」
エレオノーラ様が、私の手を取り、立ち上がらせてくれる。相変わらずお美しい、女優のYさんや。そこに私の前にセレドニア陛下が。あわわわわ、素敵なおじさまー。
「我が娘フェリアレーナを守って頂いたこと、感謝の言葉がありません」
「イエ、ソンナ」
素敵なおじさまー。
一般人が、こんな間近に国王様の近くにいて良かったっけ? いかん、正常な判断ができん、正に夢見心地や。
フェリアレーナ様に似た女性が私の前に。そっと私の手を握る。あわわわん、綺麗な人やー。晃太が後ろで綺麗な人やー、と呟く。いや、エレオノーラ様もこちらの方も綺麗で、目がちかちかしてきた。あ、フェリアレーナ様と同じオレンジ色の瞳は、優しい色だ。
「ミズサワ殿、フェリアレーナ王女殿下の母君、カトリーナ様です」
サエキ様の説明。あ、やっぱりー。あわわん、綺麗な人ー。
「ミズサワ様、フェリアレーナを守っていただきありがとうございます。これでやっと娘を送り出せます。ありがとうございます」
そう言ったカトリーナ様のオレンジ色の瞳に、涙が浮かぶ。
…………………………………………
王族だって、構えたけど。普通にお母さんや。娘の無事な結婚を喜んで感謝しているお母さんや。
「私達だけの力ではありません。色んな人が尽力したからです。私はちょっとだけ最後に加わっただけです」
「それでも感謝しています」
そこに高齢女性が少し足を引きずりながら、私の前に。わあ、上品な女性だあ。
「ミッシェル王太后様です」
サエキ様のご紹介。
お辞儀するミッシェル王太后様。あわわん。私もお辞儀。
「孫娘フェリアレーナが無事に嫁ぐ事ができました。そして、ガーガリア様が無事にマクレデーナ様の元に帰ることができました。貴女がすべての起点なのですよ」
そ、そうなの? 思い当たるのは転移門しかないけど。まあ、ガーガリア元妃が無事にお母さんの元に帰れたんだね。良かった。
「私も生きている間に初孫の結婚式に出る事ができました」
「良かったです」
上品に微笑むミッシェル王太后様。優しいおばあちゃんや。孫娘の結婚式を喜んでいるおばあちゃんや。
それから少しだけお話、やっぱり結婚式は無理でも披露宴にと言われた。
「貴女から寄贈して頂いた生地で素晴らしい花嫁衣装ができました。是非にそれを纏ったフェリアレーナを見て欲しいのです」
と、カトリーナ様。
そりゃ、見たいけど。色んな偉い人が来るんでしょ? 嫌な予感しかせん。
「あまりの美しさに、私昇天しそうですから」
ふふふ、と上品に笑うカトリーナ様。
サエキ様がちゃんとガードしてくれると言うが、着ていく服がないから、遠くからお見送りします、とお伝えする。
ならば、前日にハルスフォン伯爵家にお泊まりを、と。フェリアレーナ様はハルスフォン伯爵家から準備して出るから。セレドニア陛下達はちゃんと王族の別邸があってそちらに滞在している。それも申し訳ないからとお断りしたかったけど、色んな迫力に負けて頷いてしまった。私だけ、お泊まり。ハルスフォン伯爵家の敷地内に別邸があるので、そちらにお泊まりだ。ビアンカとルージュだけは付いてきてオッケーとなる。いいのかな? いいのかな? でも、見たい、フェリアレーナ王女様の花嫁姿。
お泊まりセットを準備せんと。ビアンカとルージュのご飯の準備せんと。あ、ルームあるから大丈夫かね。
「ミズサワ殿」
「あ、はい」
お泊まりセットを考えていると、セレドニア陛下が素敵な声で話しかけてきた。
「貴女はフェリアレーナの恩人です。そしてこのユリアレーナとアルティーナの均衡を守ってくれた恩人。父親として、国王として、感謝します。何かあれば、私達ユリアレーナ王家は貴女の為に出来るだけの力を尽くしましょう」
「ありがとうございます陛下」
ありがたやー。ありがたやー。
最後にエレオノーラ様が申し訳なさそうな表情。
「姪が貴女にご迷惑をおかけしました。申し訳ありません」
「姪? ああ、あの。気にしていません。ギルドや色んな人が味方になってくれていますから。私は気にしていませんので」
実質被害受けた気がしてないし。
エレオノーラ様は少し安心したような顔だ。
それからセレドニア陛下ご一行をお見送り。そっとカトリーナ様が私の手を握る。
「本当にありがとうございます」
「私は当然の事をしただけです」
そう、それだけ。最後にちょっと加勢しただけで、実際私はなんの役にも立ってない。
最後に出るサエキ様が、私に振り返る。
「前日に迎えにオスヴァルトを寄越しますので」
「はい、サエキ様」
私達はパーティーハウスから出て、馬車をお見送り。オスヴァルトさんが軽く会釈して、颯爽と馬車に並走する為に馬に乗って去って行った。
感想 854
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたので、王都の端で小さな香水店を開きます 〜「匂いしか分からない無能令嬢」と捨てられましたが、実は人の嘘と運命を嗅ぎ分ける王国唯
鳳凰院暁月刃夜婚約破棄されたので、王都の端で小さな香水店を開きます
〜「匂いしか分からない無能令嬢」と捨てられましたが、実は人の嘘と運命を嗅ぎ分ける王国唯一の調香師でした〜
☆あらすじ☆
王太子から婚約破棄され、家族にも見捨てられた公爵令嬢リリアーナ。
妹をいじめた悪女。
匂いしか分からない無能令嬢。
王妃にふさわしくない女。
夜会場でそう笑われた彼女は、すべてを失った――はずだった。
けれどリリアーナの嗅覚は、ただ香りを嗅ぎ分けるだけのものではない。
人の嘘。
隠された悪意。
病の兆し。
呪いの残り香。
そして、運命の匂いまで嗅ぎ分ける、王国唯一の異能だった。
公爵家を出たリリアーナは、亡き祖母が残した王都の端の小さな香水店「夜明けの瓶」を開く。
最初は誰にも見向きされない店だった。
けれど、眠れない少女を救い、毒を盛られた貴婦人を助け、夫婦の嘘をほどいていくうちに、店は王都中の秘密が集まる場所になっていく。
そんな彼女の前に現れたのは、冷血公爵と恐れられる辺境公爵ヴァルト。
彼は王宮由来の呪いに蝕まれていた。
リリアーナは彼の呪いを解くため、契約婚約を結ぶことになる。
不器用すぎる公爵に守られ、時に振り回されながら、彼女は王宮に隠された大きな嘘へと近づいていく。
なぜ王太子は婚約破棄を急いだのか。
なぜ妹は姉を憎み続けるのか。
なぜ王宮には、焦げた薔薇の匂いが漂っているのか。
無能と捨てられた令嬢は、もう誰かの言いなりにはならない。
「私は、私の鼻で生きていきます」
香水店から始まる、婚約破棄令嬢の逆転恋愛ファンタジー。
ざまぁあり、契約婚約あり、冷血公爵の不器用な溺愛あり。
最後には、彼女を捨てた者たちが気づくことになる。
本当に失ってはいけなかったのは、彼女だったのだと。
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまうリリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、悪役令嬢として断罪された少女が、「誰かの物語の脇役」ではなく、自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
【完結済】ワザと醜い令嬢をしていた令嬢一家華麗に亡命する
satomi醜く自らに魔法をかけてケルリール王国王太子と婚約をしていた侯爵家令嬢のアメリア=キートウェル。フェルナン=ケルリール王太子から醜いという理由で婚約破棄を言い渡されました。
もう王太子は能無しですし、ケルリール王国から一家で亡命してしまう事にしちゃいます!
【完結】妹は庶子、文句があるか? 常識なんてぶっ飛ばせ!
青空一夏(ざまぁ×癒し×溺愛)
庶子として公爵家に引き取られたアメリアは、
王立学園で冷たい視線に晒されながらも、ほんの少しの希望を胸に通っていた。
――だが、彼女はまだ知らなかった。
「庶子」の立場が、どれほど理不尽な扱いを受けるものかを。
心が折れかけたそのとき。
彼女を迎えに現れたのは、兄――オルディアーク公爵、レオニルだった。
「大丈夫。……次は、俺が一緒に通うから」
妹を守るためなら、学園にだって入る!
冷酷なはずの公爵閣下は、妹にだけとことん甘くて最強です。
※兄が妹を溺愛するお話しです。
※ざまぁはありますが、それがメインではありません。
※某サイトコンテスト用なので、いつもと少し雰囲気が違いますが、楽しんでいただけたら嬉しいです。
王妃教育を辞退したら「困る」と国王陛下が直接迎えに来ました ~婚約破棄された私に、王太子ではなく国王陛下が求婚してきます〜
由香【全一話完結】
王太子の心変わりによって婚約を破棄された侯爵令嬢リリアーナ。
十年以上受け続けた王妃教育も辞退し、ようやく自由になれると思っていた。
ところが数日後、侯爵家を訪れたのは国王陛下本人。
「王妃教育を辞退されると困る。私の妃になってほしい」
努力を踏みにじった王太子はすべてを失い、選ばれたのは誠実に生きてきた彼女だった。
これは、年上国王に溺愛されながら、世界一幸せな王妃になるまでの逆転ラブストーリー。
異世界から本物の聖女が来たからと、追い出された聖女は自由に生きたい! (完結)
深月カナメ十歳から十八歳まで聖女として、国の為に祈り続けた、白銀の髪、グリーンの瞳、伯爵令嬢ヒーラギだった。
そんなある日、異世界から聖女ーーアリカが降臨した。一応アリカも聖女だってらしく傷を治す力を持っていた。
この世界には珍しい黒髪、黒い瞳の彼女をみて、自分を嫌っていた王子、国王陛下、王妃、騎士など周りは本物の聖女が来たと喜ぶ。
聖女で、王子の婚約者だったヒーラギは婚約破棄されてしまう。
ヒーラギは新しい聖女が現れたのなら、自分の役目は終わった、これからは美味しいものをたくさん食べて、自由に生きると決めた。
聖女って無給で無休なんですか?じゃあやらないです
こじまき異世界に聖女として召喚されたイラストレーターのチヒロ。しかし聖女には給料も休みもないことを知って「じゃあやらないです」と聖女就任を断る。
「国と人を救う崇高な仕事には、私どもからの感謝を捧げよう」
「心底いらないです」
異世界でまで、やりがい搾取されてたまるかよ。
※小説家になろうにも投稿しています
おばさんは、ひっそり暮らしたい
蝋梅30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。