353 / 867
連載
確保と依頼③
しおりを挟む
ううっ、寒かっ。
いくらダンジョン内が外より寒さが和らぐと聞いても寒かっ。しかも、今は、ノワールに乗っているから余計に。『彼女さん』に会いに行くには、魔の森を抜ける必要があるから、ダンジョン内の森を駆け抜けて実践訓練みたいなことをしてる。ホークさん一人なら多少の悪路でも平気だけど、私にはきつい。ずいぶん慣れて来てはいるけど、やはりぐらぐらしてしまう。多少のでこぼこ道はいいけど、隆起の激しい場所は、かなりホークさんの負担をかけてしまう。大丈夫ですよって言ってくれるけど、申し訳ない。
「ユイさん、少し休みましょう」
「はい」
いつもすみません、私はホークさんの首に腕を回す。毎回これだけは慣れない。はあ。
だけど、この急勾配をどうにかしないとたどり着けない。はあ、やっぱり体幹をどうにか鍛えんとなあ。毎回訓練でぷるぷるしているんやけど。
『ねえ、ユイ、そろそろボス部屋復活するのです』
『行きましょう』
「ブルブルッ」
「そうな? なら、行こうかね」
現在は26階にいる。
化粧品部屋の扉は閉まっている。ビアンカの言うように復活してる。
ホークさんとノワールが一休みして、いざ、ボス部屋に。
ビアンカが開けて、まずはルージュが炎の矢を連発。ホークさんが矢を放ち、マデリーンさんが光の矢、チュアンさんが土の塊を発射。仔達の魔法も連発してから、ノワールが風蹄(ヴァンオーブ)で飛び込んでいく。
私の出番はなく、ほどなく終了。支援を受けたノワールが快進撃や。せっせとドロップ品を拾う。最後に出てきた大きな宝箱。ルージュがチェックする。
『はい、罠は解除したわ』
「ありがとう、さ、開けましょう」
毎回これはわくわくだ。
ぱかり、と開けると、わあこれは初めて、レースの束だ。見た感じ、シルクのレースかな。うわあ、繊細なデザイン。色も他種類あり、デザインも何種類もある。
「綺麗やな」
覗き込んできた晃太もぽつり。
「どうする?」
「お母さんにまず見せるよ、それからパーカーさんかな。また、出んかなこれ?」
私が何気無く言った言葉がいけなかった。
『次、次なのですっ』
『やるわよっ』
「ブヒヒヒヒンッ」
稼ぎ頭達に火がついた。
はい、ちゅどん、ドカン、バキバキ。結局それから一週間後にやっとレースが出た。
それからも依頼のあったドロップ品狙って、ボス部屋に挑む。それから私の騎乗訓練が続く。鞍には手すりみたいなのがあって、必死に掴まる。何度後頭部をホークさんの顎にぶつけたことか。本当に、いかん、割れてしまうホークさんの顎が。
結局、完全にホークさんにお任せになる。始めは寄りかからないようにしていたけど、うまく行かず、餃子の具のように皮に包まるようにしていた。そう、ゆったり餃子の皮のホークさんが包んでくれていたのだが、それではどうしようもなくなったので、隙間なくぎっちりみっちり包まる作戦となる。完全密着だよ、は、恥ずか。心臓の音まで聞こえそうだよ。だけど、しょうがない。ビアンカとルージュ曰く、途中かなり傾斜のきつい場所もあるみたいだし。仕方ない。私は餃子の具。私は餃子の具。私は餃子の具。
26と27階は岩場があり実戦訓練にいい感じのようだ。適宜魔物も襲ってくるしね。ひーっ、真っ赤な毛並みの山羊が突撃してきたけど、ビアンカの鼻息で、首がちょん、と飛ぶ。恐ろしか。普通の魔法馬なら驚くが、うちのノワールはそれくらいで怯まない。日頃ブヒヒヒンッ言って色んな魔物を蹴り飛ばしているけど、たよりなる。
次回の冷蔵庫ダンジョンアタックは、訓練目的で入ることになった。
十分に私達に必要なフレアタートルの肝も手に入った最終日。出ましたご褒美部屋。6畳くらいの部屋だ。宝箱は5個。
ルージュが黒狩人(ネロハバス)でチェックしてくれる。
『部屋に罠はないわ。箱にあったけど、解除したわ。あと半刻で閉まるわよ』
「ありがとうルージュ。ではお願いします」
まずは一番大きな宝箱には晃太が中身を直接アイテムボックスに入れる。次に大きな宝箱には私が空のマジックバッグに入れる。中身はお馴染みビロードの箱、指輪サイズだ。全部入れる。次の宝箱にはホークさんとテオ君が対応。中身はポーション類だ。次の宝箱はチュアンさんが丁寧に取り出しているのは皮袋、なんだかびっしり詰まってそう、中身はなんだろ? 一番小さな宝箱にはエマちゃん。指輪サイズのビロードが1つ。
すべて回収し、ご褒美部屋を出る。ふう。
「お疲れ様、晃太中身は?」
「布やな、シルクにレースに、ビロードや」
「お母さんが喜びそうやな」
私が回収したビロードの箱は全部で96個もあり。中身は宝石が一粒ずつ入っていた。サイズもカットもバラバラだ。ホークさんとテオ君が担当した宝箱のポーション類は、特殊ポーションだ。石化や呪いや混乱だと。ちなみに魔法とかによる混乱は平手打ちでもすれば回復する事が多いので、あまり需要はないそうだ。ただ、石化はすごく貴重らしいので、下手したらドラゴンポーション並みの額がするそうだ。呪いに関しては神官クラスならほとんど対応可能。だけど、神官がいない町では、一本は確保しておきたいらしい。石化解除ポーションは10本あり、5本は引き取り、呪いはそんなのかかる前に敵を砕くとビアンカとルージュが言うので、混乱と共に卸すことにした。チュアンさんの担当した宝箱には、皮袋には、びっしりと魔石が詰まっていた。サイズはアーモンドくらいだ。
「サイズは小さいですが、これは質がいいですよ」
「そうですね。くすみもないですから」
「一粒、2、3万はしますよ」
と、ホークさん、チュアンさん、マデリーンさん。質のいい魔石なら、魔道具のいい燃料になる。
よし、これは孤児院に寄付しよ。あちこちに行った時にその都度渡そう。数えたら1000粒もあった。半分手元に置くことになる。
で、最後のエマちゃんが担当した宝箱。指輪サイズのビロードの箱。うーん、予想がつくー。キラキラやない? いや、ギラギラか?
開けると、案の定、キラキラ。ダイヤモンドやー。涙型にカットされたダイヤモンドが2つ。はい、買い取りに出そ。
さ、忘れ物はないかな?
「帰りましょう」
「「「「「「はい」」」」」」
ビアンカが元気のリードを咥えて脱出用魔法陣に魔力を流して脱出した。
寒いのに、リティアさんがいつものようにすっ飛んできた。晃太が先にギルドに向かう。ビアンカとチュアンさん、テオ君が着いてくれる。私達は先にパーティーハウスに戻り、ノワールと仔達をルームに誘導。花は変わらず、わがままボディでお出迎えしてくれた。あははん、もふもふ。
「お帰り、どうやったね?」
母が出てきて、仔達が群がる。
「問題はないよ。そうそう、布がでたんよ、見る?」
「そうやね、新しいの作りたいしね」
「晃太が全部持っとるよ」
「なら、帰ってから見せてもらおうかね」
私は一旦パーティーハウスを出て、ギルドに戻る。ルージュとホークさんに付き添われる。
ギルドに着くといつもの応接室に通され、すぐにお茶が出される。
タージェルさんが、すでに応接室にいて、早速宝飾品を見ている。
「お帰りなさいませ、ミズサワ様」
スマイルタージェルさん。
「宝飾品だけではなく、化粧品の材料までこんなにたくさん、本当にありがとうございます」
「いえいえ。ビアンカとルージュが優秀なので」
単に私がレースがまた出ないか、なんて言ったせいで、26階のボス部屋にかなり挑んだだけだし。お茶を頂いていると、リティアさんが書類の束を持ち、やって来た。
「お待たせしましたミズサワ様」
「いえいえ」
出される書類にサインと魔力を流す。同じ作業を繰り返す。ふう。
相変わらず多量だなあ。
……………………………ふう。終わった。
依頼に関してだけはすぐに依頼料が支払われる。脅威の2億越え。ドロップ品や宝箱の中身は後日となる。ご褒美部屋から出た宝石10個タージェルさんにチョイスしてもらう。グーテオークション用ね。
さて、終わったかな。サインが終わる頃には晃太も合流。お互いの冒険者ギルドカードに100万いれてもらう。
「あのミズサワ様」
帰ろとしたら、リティアさんが改まる。どうしたんやろ?
「はい」
「実は私事なのですが、来月、首都に行くことになりまして」
「栄転?」
「いえ、娘の成人式です」
あ、なんかそんなこと言ってた。確か、リティアさんによく似たザ・優等生な感じの、テレーザちゃんだっけ。日本なら地元でやるのだけど、こちらは違う。交通手段が馬車しかないしね。テレーザちゃんが首都の王立学園に通っているから、学園生はまとめてするそうだ。ただ、遠方のお家の人は大変。そこはちょっと援助が出るそうで、首都の宿泊施設を借り上げてくれると。なので交通費だけ。そこそこ余裕のある人達しか来ないけど、リティアさんと旦那さんはこのためにせっせと働いているそうだ。ちなみにミーミル学院とは日程をずらしてするんだって。
「そうですか。おめでとうございます。気を付けて行ってきてください」
「ありがとうございます。私が不在の時は別の職員が対応しますので」
「はい、私達も春祭りの後くらいには移動しようと思っていますので」
その頃には、ノワールの装備品も出来上がるし、晃太の支援魔法ランクも上がりそうだし。
「ミズサワ様もどちらかへ」
「はい、カルーラに。おそらく長期になると思うので、両親も連れていこうと思ってます」
リティアさんとタージェルさんがスマイル浮かべたまま固まってる。
『戸惑っているのです』
『焦ってもいるわ』
まあ、そうなるかなって思ってはいた。きっと私達はマーファのギルドにとっては貴重なドロップ品の搬入者だ。スカイランに行った時は、短期間で、両親をマーファに残していた。多分、両親がいるから必ず私達が帰って来ると言う安心があったと思う。今回はそれがない。だけど、流石に借り主の私が、予定では1年近く、下手したらそれを越す期間いないのに、パーティーハウスを借りられない。
「あ、ミズサワ様も大討伐にご参加を?」
オスヴァルトさんが言ってたやつね。この大討伐は、魔の森が近くにある街で定期的に行われる。いわゆる魔物の大量発生を防ぐための間引き作業なんだって。
「いえ。知り合いに会いに」
おほほ。ビアンカとルージュの知り合い魔境の管理者『彼女さん』に会いに行きます、なんて言えません。
「済んだら、帰って来るとは思います。ただ、いつ帰って来れるか分からないだけです」
私の『帰って来る』の言葉に、リティアさんとタージェルさんがホッとした顔。
「ではミズサワ様、向こうでもパーティーハウスをご希望されますか?」
と、リティアさん。察しがいいなあ。相談したかったことや。
「はい、できれば」
「向こうのギルドに連絡をしましょう。私がいない時は代理の職員が行います。出発する日が分かりましたら、お知らせください」
「ありがとうございます」
良かった、ちょっと心配だった。カルーラにリティアさんみたいな人がいるとは限らないしね。
心配事が1つ減って、私はリティアさんとタージェルさんに挨拶してギルドを後にした。
いくらダンジョン内が外より寒さが和らぐと聞いても寒かっ。しかも、今は、ノワールに乗っているから余計に。『彼女さん』に会いに行くには、魔の森を抜ける必要があるから、ダンジョン内の森を駆け抜けて実践訓練みたいなことをしてる。ホークさん一人なら多少の悪路でも平気だけど、私にはきつい。ずいぶん慣れて来てはいるけど、やはりぐらぐらしてしまう。多少のでこぼこ道はいいけど、隆起の激しい場所は、かなりホークさんの負担をかけてしまう。大丈夫ですよって言ってくれるけど、申し訳ない。
「ユイさん、少し休みましょう」
「はい」
いつもすみません、私はホークさんの首に腕を回す。毎回これだけは慣れない。はあ。
だけど、この急勾配をどうにかしないとたどり着けない。はあ、やっぱり体幹をどうにか鍛えんとなあ。毎回訓練でぷるぷるしているんやけど。
『ねえ、ユイ、そろそろボス部屋復活するのです』
『行きましょう』
「ブルブルッ」
「そうな? なら、行こうかね」
現在は26階にいる。
化粧品部屋の扉は閉まっている。ビアンカの言うように復活してる。
ホークさんとノワールが一休みして、いざ、ボス部屋に。
ビアンカが開けて、まずはルージュが炎の矢を連発。ホークさんが矢を放ち、マデリーンさんが光の矢、チュアンさんが土の塊を発射。仔達の魔法も連発してから、ノワールが風蹄(ヴァンオーブ)で飛び込んでいく。
私の出番はなく、ほどなく終了。支援を受けたノワールが快進撃や。せっせとドロップ品を拾う。最後に出てきた大きな宝箱。ルージュがチェックする。
『はい、罠は解除したわ』
「ありがとう、さ、開けましょう」
毎回これはわくわくだ。
ぱかり、と開けると、わあこれは初めて、レースの束だ。見た感じ、シルクのレースかな。うわあ、繊細なデザイン。色も他種類あり、デザインも何種類もある。
「綺麗やな」
覗き込んできた晃太もぽつり。
「どうする?」
「お母さんにまず見せるよ、それからパーカーさんかな。また、出んかなこれ?」
私が何気無く言った言葉がいけなかった。
『次、次なのですっ』
『やるわよっ』
「ブヒヒヒヒンッ」
稼ぎ頭達に火がついた。
はい、ちゅどん、ドカン、バキバキ。結局それから一週間後にやっとレースが出た。
それからも依頼のあったドロップ品狙って、ボス部屋に挑む。それから私の騎乗訓練が続く。鞍には手すりみたいなのがあって、必死に掴まる。何度後頭部をホークさんの顎にぶつけたことか。本当に、いかん、割れてしまうホークさんの顎が。
結局、完全にホークさんにお任せになる。始めは寄りかからないようにしていたけど、うまく行かず、餃子の具のように皮に包まるようにしていた。そう、ゆったり餃子の皮のホークさんが包んでくれていたのだが、それではどうしようもなくなったので、隙間なくぎっちりみっちり包まる作戦となる。完全密着だよ、は、恥ずか。心臓の音まで聞こえそうだよ。だけど、しょうがない。ビアンカとルージュ曰く、途中かなり傾斜のきつい場所もあるみたいだし。仕方ない。私は餃子の具。私は餃子の具。私は餃子の具。
26と27階は岩場があり実戦訓練にいい感じのようだ。適宜魔物も襲ってくるしね。ひーっ、真っ赤な毛並みの山羊が突撃してきたけど、ビアンカの鼻息で、首がちょん、と飛ぶ。恐ろしか。普通の魔法馬なら驚くが、うちのノワールはそれくらいで怯まない。日頃ブヒヒヒンッ言って色んな魔物を蹴り飛ばしているけど、たよりなる。
次回の冷蔵庫ダンジョンアタックは、訓練目的で入ることになった。
十分に私達に必要なフレアタートルの肝も手に入った最終日。出ましたご褒美部屋。6畳くらいの部屋だ。宝箱は5個。
ルージュが黒狩人(ネロハバス)でチェックしてくれる。
『部屋に罠はないわ。箱にあったけど、解除したわ。あと半刻で閉まるわよ』
「ありがとうルージュ。ではお願いします」
まずは一番大きな宝箱には晃太が中身を直接アイテムボックスに入れる。次に大きな宝箱には私が空のマジックバッグに入れる。中身はお馴染みビロードの箱、指輪サイズだ。全部入れる。次の宝箱にはホークさんとテオ君が対応。中身はポーション類だ。次の宝箱はチュアンさんが丁寧に取り出しているのは皮袋、なんだかびっしり詰まってそう、中身はなんだろ? 一番小さな宝箱にはエマちゃん。指輪サイズのビロードが1つ。
すべて回収し、ご褒美部屋を出る。ふう。
「お疲れ様、晃太中身は?」
「布やな、シルクにレースに、ビロードや」
「お母さんが喜びそうやな」
私が回収したビロードの箱は全部で96個もあり。中身は宝石が一粒ずつ入っていた。サイズもカットもバラバラだ。ホークさんとテオ君が担当した宝箱のポーション類は、特殊ポーションだ。石化や呪いや混乱だと。ちなみに魔法とかによる混乱は平手打ちでもすれば回復する事が多いので、あまり需要はないそうだ。ただ、石化はすごく貴重らしいので、下手したらドラゴンポーション並みの額がするそうだ。呪いに関しては神官クラスならほとんど対応可能。だけど、神官がいない町では、一本は確保しておきたいらしい。石化解除ポーションは10本あり、5本は引き取り、呪いはそんなのかかる前に敵を砕くとビアンカとルージュが言うので、混乱と共に卸すことにした。チュアンさんの担当した宝箱には、皮袋には、びっしりと魔石が詰まっていた。サイズはアーモンドくらいだ。
「サイズは小さいですが、これは質がいいですよ」
「そうですね。くすみもないですから」
「一粒、2、3万はしますよ」
と、ホークさん、チュアンさん、マデリーンさん。質のいい魔石なら、魔道具のいい燃料になる。
よし、これは孤児院に寄付しよ。あちこちに行った時にその都度渡そう。数えたら1000粒もあった。半分手元に置くことになる。
で、最後のエマちゃんが担当した宝箱。指輪サイズのビロードの箱。うーん、予想がつくー。キラキラやない? いや、ギラギラか?
開けると、案の定、キラキラ。ダイヤモンドやー。涙型にカットされたダイヤモンドが2つ。はい、買い取りに出そ。
さ、忘れ物はないかな?
「帰りましょう」
「「「「「「はい」」」」」」
ビアンカが元気のリードを咥えて脱出用魔法陣に魔力を流して脱出した。
寒いのに、リティアさんがいつものようにすっ飛んできた。晃太が先にギルドに向かう。ビアンカとチュアンさん、テオ君が着いてくれる。私達は先にパーティーハウスに戻り、ノワールと仔達をルームに誘導。花は変わらず、わがままボディでお出迎えしてくれた。あははん、もふもふ。
「お帰り、どうやったね?」
母が出てきて、仔達が群がる。
「問題はないよ。そうそう、布がでたんよ、見る?」
「そうやね、新しいの作りたいしね」
「晃太が全部持っとるよ」
「なら、帰ってから見せてもらおうかね」
私は一旦パーティーハウスを出て、ギルドに戻る。ルージュとホークさんに付き添われる。
ギルドに着くといつもの応接室に通され、すぐにお茶が出される。
タージェルさんが、すでに応接室にいて、早速宝飾品を見ている。
「お帰りなさいませ、ミズサワ様」
スマイルタージェルさん。
「宝飾品だけではなく、化粧品の材料までこんなにたくさん、本当にありがとうございます」
「いえいえ。ビアンカとルージュが優秀なので」
単に私がレースがまた出ないか、なんて言ったせいで、26階のボス部屋にかなり挑んだだけだし。お茶を頂いていると、リティアさんが書類の束を持ち、やって来た。
「お待たせしましたミズサワ様」
「いえいえ」
出される書類にサインと魔力を流す。同じ作業を繰り返す。ふう。
相変わらず多量だなあ。
……………………………ふう。終わった。
依頼に関してだけはすぐに依頼料が支払われる。脅威の2億越え。ドロップ品や宝箱の中身は後日となる。ご褒美部屋から出た宝石10個タージェルさんにチョイスしてもらう。グーテオークション用ね。
さて、終わったかな。サインが終わる頃には晃太も合流。お互いの冒険者ギルドカードに100万いれてもらう。
「あのミズサワ様」
帰ろとしたら、リティアさんが改まる。どうしたんやろ?
「はい」
「実は私事なのですが、来月、首都に行くことになりまして」
「栄転?」
「いえ、娘の成人式です」
あ、なんかそんなこと言ってた。確か、リティアさんによく似たザ・優等生な感じの、テレーザちゃんだっけ。日本なら地元でやるのだけど、こちらは違う。交通手段が馬車しかないしね。テレーザちゃんが首都の王立学園に通っているから、学園生はまとめてするそうだ。ただ、遠方のお家の人は大変。そこはちょっと援助が出るそうで、首都の宿泊施設を借り上げてくれると。なので交通費だけ。そこそこ余裕のある人達しか来ないけど、リティアさんと旦那さんはこのためにせっせと働いているそうだ。ちなみにミーミル学院とは日程をずらしてするんだって。
「そうですか。おめでとうございます。気を付けて行ってきてください」
「ありがとうございます。私が不在の時は別の職員が対応しますので」
「はい、私達も春祭りの後くらいには移動しようと思っていますので」
その頃には、ノワールの装備品も出来上がるし、晃太の支援魔法ランクも上がりそうだし。
「ミズサワ様もどちらかへ」
「はい、カルーラに。おそらく長期になると思うので、両親も連れていこうと思ってます」
リティアさんとタージェルさんがスマイル浮かべたまま固まってる。
『戸惑っているのです』
『焦ってもいるわ』
まあ、そうなるかなって思ってはいた。きっと私達はマーファのギルドにとっては貴重なドロップ品の搬入者だ。スカイランに行った時は、短期間で、両親をマーファに残していた。多分、両親がいるから必ず私達が帰って来ると言う安心があったと思う。今回はそれがない。だけど、流石に借り主の私が、予定では1年近く、下手したらそれを越す期間いないのに、パーティーハウスを借りられない。
「あ、ミズサワ様も大討伐にご参加を?」
オスヴァルトさんが言ってたやつね。この大討伐は、魔の森が近くにある街で定期的に行われる。いわゆる魔物の大量発生を防ぐための間引き作業なんだって。
「いえ。知り合いに会いに」
おほほ。ビアンカとルージュの知り合い魔境の管理者『彼女さん』に会いに行きます、なんて言えません。
「済んだら、帰って来るとは思います。ただ、いつ帰って来れるか分からないだけです」
私の『帰って来る』の言葉に、リティアさんとタージェルさんがホッとした顔。
「ではミズサワ様、向こうでもパーティーハウスをご希望されますか?」
と、リティアさん。察しがいいなあ。相談したかったことや。
「はい、できれば」
「向こうのギルドに連絡をしましょう。私がいない時は代理の職員が行います。出発する日が分かりましたら、お知らせください」
「ありがとうございます」
良かった、ちょっと心配だった。カルーラにリティアさんみたいな人がいるとは限らないしね。
心配事が1つ減って、私はリティアさんとタージェルさんに挨拶してギルドを後にした。
2,947
あなたにおすすめの小説
異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~
ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。
しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。
やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。
そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。
そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。
これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
母は何処? 父はだぁれ?
穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。
産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。
妹も、実妹なのか不明だ。
そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。
父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。
母は、どこへ行ってしまったんだろう!
というところからスタートする、
さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。
変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、
家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。
意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。
前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。
もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。
単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。
また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。
「小説家になろう」で連載していたものです。
手放したのは、貴方の方です
空月そらら
恋愛
侯爵令嬢アリアナは、第一王子に尽くすも「地味で華がない」と一方的に婚約破棄される。
侮辱と共に隣国の"冷徹公爵"ライオネルへの嫁入りを嘲笑されるが、その公爵本人から才能を見込まれ、本当に縁談が舞い込む。
隣国で、それまで隠してきた類稀なる才能を開花させ、ライオネルからの敬意と不器用な愛を受け、輝き始めるアリアナ。
一方、彼女という宝を手放したことに気づかず、国を傾かせ始めた元婚約者の王子。
彼がその重大な過ちに気づき後悔した時には、もう遅かった。
手放したのは、貴方の方です――アリアナは過去を振り切り、隣国で確かな幸せを掴んでいた。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。