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連載
確保と依頼⑥
マーファの春の祭りが始まり、明日はバザーの出店だ。
母とミゲル君が手掛けた服やヘアゴムを確認。結構色々出来ている。ぺんたごんの生地で出来たお手頃な物から、冷蔵庫ダンジョンから出たシルク地の物から様々だ。
今回の目玉は鮮やかな藍色のグラデーションのワンピースだ。うーん、マデリーンさんが似合いそうだなあ。
当日はまず私と母とルージュ、ミゲル君だけが向かい、パーカーさん達と合流する。今回仔達はお留守番だ。去年より明らかに大きくなっているからね。晃太とホークさんがビアンカを連れて後から合流だ。パーティーハウスでルームを開けっ放しにして、父やチュアンさん達に残ってもらう。前日にはちゃんと家鴨部屋でしっかり戦闘させているから、大人しいはず。もし、手に負えなければ、テオ君かエマちゃんに報せに来てもらうことになる。
よしよし、大丈夫かな。
お昼ご飯の準備もばっちりしたしね。
明日の為に、早めに寝るかね。
「おはようございます」
朝早く、パーティーハウスを出て、バザー会場に向かう。仔達はまだ寝てる。基本早起きの父と鷹の目の皆さんに後を託した。
「ああ、ミズサワさん、おはようございます」
設営してくれているパーカーさん達と合流する。ジョシュアさんとパトリックさんともご挨拶する。両隣のテントの方ともご挨拶する。どちらも職人ギルドの新人さん達だ。後でお買い物しよ。今回も運動会テント2つ分。奥は待機スペースだ。
「ルージュ、朝早くからありがとうね。奥で寝とって」
『これくらいいいわよ。奥ね、分かったわ』
ルージュは奥でゴロリ。
私達は手分けして、トルソーに服を着せたり、ハンガーラックにかけたり、ヘアゴムを並べたりと忙しく動く。
今年も私は母が作ったワンピースだ。腰に紐付き、ウエストの調整可能。
「なすび体型でも大丈夫」
おのれ。
ミゲル君は濃紺のベストとズボンだ。なかなか似合っているやん。
目玉のワンピースはテントから見える、ちょっと奥に設置。このグラデーションワンピース、冷蔵庫ダンジョンのご褒美部屋から出たシルク地を使用しているため、原価が高い。なので、販売価格もびっくり35万。他にもなかなか高価な物が数点あるが、こちらはすべてテント内に並べ、数点トルソーに着せる。高価な服だけど、うちには優秀な警備員がいますからね。おほほ。
「売れますかね?」
自分が手掛けた子供服を並べながら、ミゲル君が不安そう。
「大丈夫やない。去年は完売したし。ミゲル君、上手に出来とるやん」
このオーバーオールもかわいかし、胸元は白でスカートは花柄のワンピースだってかわいかしね。
「そ、そうですかね」
私が言うと、少し安心したようだ。
売れなくても、残りはすべてパーカーさんのお店に並べてくれるそうだし。
母とパーカーさんが思案しながら、テント内の配置を微妙に変える。並べ終えた頃に、バザーが開始され、どっと人が流れてくる。よし、セールスセールス。
私は笑顔を張り付かせる。
すぐに数人のご婦人達がやって来てくれた。パーカーさんのお店に並ぶ母の服を購入したことがある方達だそうだ。表に置いたお手頃な服ではなく、テント内のお高めの服を手に取っている。
「まあ、こちらのスカート、あしらわれているレースが素敵だわ」
「ブラウスの袖がふわっとして生地もなんて柔らかいのかしら。私、気に入ったわ、頂けます?」
「このワンピース、とても色合いが素晴らしいけど、さすがに高価ね」
パーカーさんがにこやかに対応する。試着室は待ち状態、等身大の鏡の前では、悩むご婦人達。
テント内も忙しいが、表の私達もバタバタと忙しい。
ご婦人達がまっすぐテントに入って行ったので、釣られて何人か覗いてくれる。
かわいか子供服を手にするお母さん達。パトリックさんはパーカーさんのお手伝い、ジョシュアさんは会計に回る。
私とミゲル君はせっせとセールス。ぼちぼち売れる。ヘアゴムがまず売れて、一度考えると言ったお母さん達が結局数人戻って来てくれた。ミゲル君の子供服も無事に売れていく。良かった良かった。
途中でフィナさんがダイアナちゃんを連れてやって来た。
「あ、お姉ちゃん」
ぱ、と走って来て、きゅうと抱きついて来た。かわいか。
「こらダイアナ、大人しくしていなさい」
「はーい」
ダイアナちゃんは待機スペースに向かい、ルージュにぴったり張り付く。
『まあ、これくらいならかわいいものよ』
孤児院の子供達に、わちゃわちゃと群がられるからね。
フィナさんも販売員になってくれて、会計にも入ってくれる。
しばらくして、ざわざわと人垣が割れる。晃太とホークさん、ビアンカがやって来た。
「どうね?」
「ぼちぼちやね」
晃太達は裏手から待機スペースに移動する。ホークさんフル装備なので、販売員には向かない。晃太は会計や包装に入ってくれる。
お昼を交代で取る。去年同様にサンドイッチだ。ダイアナちゃんも気に入ってくれて、ビアンカとルージュと並んでもりもりと食べている。
一段落して、お客さんが引き、ジョシュアさんが気を使ってくれて、バザーを回る事になる。ホークさんが付いてきてくれた。ビアンカとルージュもついて来ようしてくれたけど、騒ぎになるかもしれないからね。
ぐるり、と回る。ふーん、色々ある。
「あ」
私はある品物に目が止まる。
キラキラした細工物、螺鈿細工だ。
ふーん、こっちにもこういうのがあるんだ。小物入れや櫛なんかが並ぶ。へー綺麗だなあ。だけど、そこそこする。あ、この置きタイプの鏡いいなあ。蝶と花の柄で、素敵。
「お気に召しましたか?」
ニコニコした中年の男性店員さんが声をかけてきた。丁寧に説明してくれるけど、うーん、結構するんだよね。向こうでも鏡持っていたけど、100均のだったし。買っちゃおうかなー、どうしようかなあ。私には、高価かな。
悩んでいると、
「これ、ください」
ホークさんが男性店員さんに告げる。え? ホークさんが買うの?
「ありがとうございます」
てきぱきと鏡を包む店員さん。あ、エマちゃんにだね。そっかあ、優しいなあ。
丁寧に包んでくれて、ホークさんは自分の冒険者ギルドカードでお支払い。
「優しい旦那様ですね」
はい、久しぶりの勘違い。エマちゃんにだよね。会釈して、螺鈿細工のお店を後にする。
「はい、ユイさん」
と、私に包みを差し出すホークさん。
「え?」
「どうぞ。いつもお世話になりすぎていますから」
「え? え?」
これ、結構したよ。エマちゃんにじゃないの? 包みを差し出すホークさんは、ちょっと照れ笑いな、困った顔。
い、いいのかな? いいのかな? そりゃ欲しかったけど。えっと、いいのかな。ホークさんの月の収入の何倍もするのに、申し訳ないけど、だけど、なんだか、凄く、嬉しくなって来た。嬉しくなって来た。いいのかな?
ちょっと考えて、うん、ホークさんのご厚意だし、うん、ご厚意だし。うん、うん、うん。嬉しくなって来た。心がぽっぽしだした。ぽっぽぽっぽと温かくなる。
「あ、ありがとうございます」
私は差し出された包みを受けとる。
うわあ、嬉しいっ。こんなふうに、誰かに貰うって、こんなに嬉しいものなんだね。なんだか、誕生日に友達が、プレゼントくれた時とはちょっと違う嬉しさ。なんだろ。何が違うのかな? でも、嬉しい。本当に嬉しい。心がぽっぽする。不思議とぽっぽと暖かい。
私は大事に包みを抱える。
「ありがとうございます、ホークさん」
「いいえ、喜んで貰えて良かった」
私が包みを受けとったので、ホークさんも安心した様子。
うふふふん、嬉しか。ルームの自室に置こう。仔達が間違って落として割ったら大変だしね。
それからもバザー会場を回り、職人ギルドの新人さんのお店で、革の小銭入れを5つ購入。木製のお皿で、仔達にちょうどいいのがあった。大きめの木製のお椀だ、足の部分がしっかりしているから、顔を突っ込んで食べても、溢れないかな。こちらも5個購入。こんなもんかな。
よほどにまにましていたのか、戻ると晃太が、ちょっと引きぎみだった。
母とミゲル君が手掛けた服やヘアゴムを確認。結構色々出来ている。ぺんたごんの生地で出来たお手頃な物から、冷蔵庫ダンジョンから出たシルク地の物から様々だ。
今回の目玉は鮮やかな藍色のグラデーションのワンピースだ。うーん、マデリーンさんが似合いそうだなあ。
当日はまず私と母とルージュ、ミゲル君だけが向かい、パーカーさん達と合流する。今回仔達はお留守番だ。去年より明らかに大きくなっているからね。晃太とホークさんがビアンカを連れて後から合流だ。パーティーハウスでルームを開けっ放しにして、父やチュアンさん達に残ってもらう。前日にはちゃんと家鴨部屋でしっかり戦闘させているから、大人しいはず。もし、手に負えなければ、テオ君かエマちゃんに報せに来てもらうことになる。
よしよし、大丈夫かな。
お昼ご飯の準備もばっちりしたしね。
明日の為に、早めに寝るかね。
「おはようございます」
朝早く、パーティーハウスを出て、バザー会場に向かう。仔達はまだ寝てる。基本早起きの父と鷹の目の皆さんに後を託した。
「ああ、ミズサワさん、おはようございます」
設営してくれているパーカーさん達と合流する。ジョシュアさんとパトリックさんともご挨拶する。両隣のテントの方ともご挨拶する。どちらも職人ギルドの新人さん達だ。後でお買い物しよ。今回も運動会テント2つ分。奥は待機スペースだ。
「ルージュ、朝早くからありがとうね。奥で寝とって」
『これくらいいいわよ。奥ね、分かったわ』
ルージュは奥でゴロリ。
私達は手分けして、トルソーに服を着せたり、ハンガーラックにかけたり、ヘアゴムを並べたりと忙しく動く。
今年も私は母が作ったワンピースだ。腰に紐付き、ウエストの調整可能。
「なすび体型でも大丈夫」
おのれ。
ミゲル君は濃紺のベストとズボンだ。なかなか似合っているやん。
目玉のワンピースはテントから見える、ちょっと奥に設置。このグラデーションワンピース、冷蔵庫ダンジョンのご褒美部屋から出たシルク地を使用しているため、原価が高い。なので、販売価格もびっくり35万。他にもなかなか高価な物が数点あるが、こちらはすべてテント内に並べ、数点トルソーに着せる。高価な服だけど、うちには優秀な警備員がいますからね。おほほ。
「売れますかね?」
自分が手掛けた子供服を並べながら、ミゲル君が不安そう。
「大丈夫やない。去年は完売したし。ミゲル君、上手に出来とるやん」
このオーバーオールもかわいかし、胸元は白でスカートは花柄のワンピースだってかわいかしね。
「そ、そうですかね」
私が言うと、少し安心したようだ。
売れなくても、残りはすべてパーカーさんのお店に並べてくれるそうだし。
母とパーカーさんが思案しながら、テント内の配置を微妙に変える。並べ終えた頃に、バザーが開始され、どっと人が流れてくる。よし、セールスセールス。
私は笑顔を張り付かせる。
すぐに数人のご婦人達がやって来てくれた。パーカーさんのお店に並ぶ母の服を購入したことがある方達だそうだ。表に置いたお手頃な服ではなく、テント内のお高めの服を手に取っている。
「まあ、こちらのスカート、あしらわれているレースが素敵だわ」
「ブラウスの袖がふわっとして生地もなんて柔らかいのかしら。私、気に入ったわ、頂けます?」
「このワンピース、とても色合いが素晴らしいけど、さすがに高価ね」
パーカーさんがにこやかに対応する。試着室は待ち状態、等身大の鏡の前では、悩むご婦人達。
テント内も忙しいが、表の私達もバタバタと忙しい。
ご婦人達がまっすぐテントに入って行ったので、釣られて何人か覗いてくれる。
かわいか子供服を手にするお母さん達。パトリックさんはパーカーさんのお手伝い、ジョシュアさんは会計に回る。
私とミゲル君はせっせとセールス。ぼちぼち売れる。ヘアゴムがまず売れて、一度考えると言ったお母さん達が結局数人戻って来てくれた。ミゲル君の子供服も無事に売れていく。良かった良かった。
途中でフィナさんがダイアナちゃんを連れてやって来た。
「あ、お姉ちゃん」
ぱ、と走って来て、きゅうと抱きついて来た。かわいか。
「こらダイアナ、大人しくしていなさい」
「はーい」
ダイアナちゃんは待機スペースに向かい、ルージュにぴったり張り付く。
『まあ、これくらいならかわいいものよ』
孤児院の子供達に、わちゃわちゃと群がられるからね。
フィナさんも販売員になってくれて、会計にも入ってくれる。
しばらくして、ざわざわと人垣が割れる。晃太とホークさん、ビアンカがやって来た。
「どうね?」
「ぼちぼちやね」
晃太達は裏手から待機スペースに移動する。ホークさんフル装備なので、販売員には向かない。晃太は会計や包装に入ってくれる。
お昼を交代で取る。去年同様にサンドイッチだ。ダイアナちゃんも気に入ってくれて、ビアンカとルージュと並んでもりもりと食べている。
一段落して、お客さんが引き、ジョシュアさんが気を使ってくれて、バザーを回る事になる。ホークさんが付いてきてくれた。ビアンカとルージュもついて来ようしてくれたけど、騒ぎになるかもしれないからね。
ぐるり、と回る。ふーん、色々ある。
「あ」
私はある品物に目が止まる。
キラキラした細工物、螺鈿細工だ。
ふーん、こっちにもこういうのがあるんだ。小物入れや櫛なんかが並ぶ。へー綺麗だなあ。だけど、そこそこする。あ、この置きタイプの鏡いいなあ。蝶と花の柄で、素敵。
「お気に召しましたか?」
ニコニコした中年の男性店員さんが声をかけてきた。丁寧に説明してくれるけど、うーん、結構するんだよね。向こうでも鏡持っていたけど、100均のだったし。買っちゃおうかなー、どうしようかなあ。私には、高価かな。
悩んでいると、
「これ、ください」
ホークさんが男性店員さんに告げる。え? ホークさんが買うの?
「ありがとうございます」
てきぱきと鏡を包む店員さん。あ、エマちゃんにだね。そっかあ、優しいなあ。
丁寧に包んでくれて、ホークさんは自分の冒険者ギルドカードでお支払い。
「優しい旦那様ですね」
はい、久しぶりの勘違い。エマちゃんにだよね。会釈して、螺鈿細工のお店を後にする。
「はい、ユイさん」
と、私に包みを差し出すホークさん。
「え?」
「どうぞ。いつもお世話になりすぎていますから」
「え? え?」
これ、結構したよ。エマちゃんにじゃないの? 包みを差し出すホークさんは、ちょっと照れ笑いな、困った顔。
い、いいのかな? いいのかな? そりゃ欲しかったけど。えっと、いいのかな。ホークさんの月の収入の何倍もするのに、申し訳ないけど、だけど、なんだか、凄く、嬉しくなって来た。嬉しくなって来た。いいのかな?
ちょっと考えて、うん、ホークさんのご厚意だし、うん、ご厚意だし。うん、うん、うん。嬉しくなって来た。心がぽっぽしだした。ぽっぽぽっぽと温かくなる。
「あ、ありがとうございます」
私は差し出された包みを受けとる。
うわあ、嬉しいっ。こんなふうに、誰かに貰うって、こんなに嬉しいものなんだね。なんだか、誕生日に友達が、プレゼントくれた時とはちょっと違う嬉しさ。なんだろ。何が違うのかな? でも、嬉しい。本当に嬉しい。心がぽっぽする。不思議とぽっぽと暖かい。
私は大事に包みを抱える。
「ありがとうございます、ホークさん」
「いいえ、喜んで貰えて良かった」
私が包みを受けとったので、ホークさんも安心した様子。
うふふふん、嬉しか。ルームの自室に置こう。仔達が間違って落として割ったら大変だしね。
それからもバザー会場を回り、職人ギルドの新人さんのお店で、革の小銭入れを5つ購入。木製のお皿で、仔達にちょうどいいのがあった。大きめの木製のお椀だ、足の部分がしっかりしているから、顔を突っ込んで食べても、溢れないかな。こちらも5個購入。こんなもんかな。
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※小説家になろう様にも投稿しています※