文字の大きさ
大
中
小
453 / 878
連載
変わらないもの③
倒れるように現れた子供は、父の言うように、狼の獣人なんやろう。
だけど、それを表す耳、右がひどく損傷している。古いキズではない、赤く膿を持っている。そして元の顔が分からないくらい、腫れ上がり、左の瞼は目を覆うほどに腫れ上がっている。微かに見えた口内も、歯が欠けている。服もぼろぼろ、あちこちぼろぼろ。
倒れた身体を私は抱き止める。細い、折れるように細い。先程の子供達と同じような強烈な臭いが鼻を付く。
ひどくない? どうみても中学生くらいの子が、何で、こんな目に?
「ここで治療します」
ケルンさんはすぐさま魔法を開始、チュアンさんもだ。
きっと助かる、良かった、ああ、良かった。
だけど、一向によくなる気配がない。顔は腫れたままだ。
すう、とケルンさんが魔法を止める。
え? 何で?
「ミズサワ殿、この子は、もう治療魔法に反応出来ないようです」
…………………………え? え? え? 何で? 何で?
罰の悪そうなケルンさんの顔が、視界の中で歪む。まだ、私の腕の中で、この子は息をしているのに?
まだ、生きてるよ、この子。
まだ、生きているんよ。必死に息をしているのに。
私は咄嗟にアイテムボックスからエリクサーを取り出す。口で蓋を開けて、まず、いきなり口に突っ込めず、手のキズにかけてみたが、うんともすんとも言わない。
ああ、どうしよう、どうしようっ。
「神様」
私は子供を抱き締める。
「神様、神様」
視界が歪み、目から、溢れる。
「神様、神様、この子を助けてください。魔法やポーションが効くくらいまででいいです」
涙が、腫れ上がった顔に落ちる。
まだ、生きようとしているこの子は、何か悪いことしたんやろうか? こんなに顔が腫れ上がる程になるまでな目に合わないといけんことがあったんやろうか? まだ、どうみても中学生くらいなのに。
日本でも、こちらでも、まだ庇護下にある子供なのに。
「神様、この子を助けてください」
ふわあっ、と魔力が流れ出す。
あ、これは、『神への祈り』が発動したんやっ。
キラキラ、キラキラ……………
光輝く雨が、馬車内で降り注ぐ。
今だけ、私の力を授けましょう
ああ、雨の女神様の声や。
ありがとうございます。
私は少しでも金色の雨が当たるように、身体を動かす。
金色の雨は、子供の身体に染み込んでいく。
千切れたような耳の傷口が、赤みが取れ、膿が消えていく。腫れていた顔が、僅かだが生々しさが消えていく。
光の雨が止まる。
これで、そのエリクサーも効くわ
ありがとうございます。
確かに呼吸がしっかりし始めている。そして強烈だった臭いもましになってる。
私はエリクサーを心配そうに見ていたチュアンさんに渡す。次に取り出したのは、以前使用したスポイト。
ちゅっ、と吸い上げて、慎重に口の隙間に差し込む。ゆっくり、ゆっくり、エリクサーを入れていく。
噎せないか、注意しながら、ゆっくり、ゆっくり。
私はしっかり細い肩を抱き、ゆっくり、ゆっくり、繰り返す。
「ユイさん、代わります」
「大丈夫です、チュアンさん、そろそろ魔法が効くんやないですかね」
「試してみます」
チュアンさんが治療魔法を開始、ケルンさんもだ。
エリクサーと併用した為か、顔立ちがはっきりしてくる。おおっ、なかなか男前っ。白っぽい髪もキラキラやし、睫も長い。耳も綺麗に再生している。
ピクッ、と睫が動く。
「あっ」
瞼が上がる。うわあ、宝石みたい、アクアマリンみたいや。アルスさんとちょっと違うけど、キラキラや。
顔の腫れがほとんど引いて、耳も完全に再生している。
「優衣」
そっと名前を呼ばれる。馬車の入り口を見ると、父が入ってきた。入り口にはホークさんとエドワルドさんが立ち、外からの視線を遮断している。
「危機は脱しとるよ。身体の内臓や骨折は綺麗になっとる。後は自然治癒に任せたがよかろう」
でも、まだ、少し腫れてるし。
「優衣、傷は身体だけやない」
その一言で、私はエリクサーを運ぶ手を止める。
そうや、身体の傷だけやない。
「こん子には辛いかもしれんが」
傷と一緒に、向き合わんといかんのや。
心の傷に。
考え方次第や。このまま綺麗に治しても構わないかもしれんが、父の言う自然治癒に任せた方がいいって言うのには、理由があるはず。
「これ以上はこん子の体力は厳しかろう。どうやらちょっと特異体質みたいやし。まだ、衰弱があるけど、しっかり栄養管理されたら、よくなる。きっと、よくなる」
父は優しく繰り返す。なら、そうしよう。
「分かった」
私は、そっと男の子の顔を覗き込む。ぼんやりと、私を見ているアクアマリンの目。
「もう、大丈夫やからね。なんも心配いらんけん、ゆっくり、休み」
アクアマリンの目に、うっすらと、涙が浮かんで閉じると、つー、と一筋流れ落ちる。男の子は、まるで私に身体を預けるように頭を寄せてきた。私は両手を使って優しく、身体に響かないように抱き締める。
ああ、良かったあ。良かったあ。
「ありがとうございます、ありがとうございます」
ありがとうございます、雨の女神様。
それからバタバタだ。
結局、男の子はチュアンさんが運んでくれた。いくら細くても私では無理だし。
馬車の外では、治療の間に色々行われていたようだ。この子供達はどうなるんやろ?
私は男の子を抱えたチュアンさんに張り付く。
ラソノさんが慌ただしく駆けてきた。
「ミズサワ様っ、その子が最後ですか?」
「はい、14人揃っていれば。ラソノさん、この子達はどうなります?」
「まずはギルドの治療院で対応します。まずはそれからです。その少年も預かります」
「あ、お願いします。ゆっくり、ゆっくり運んでください」
「勿論」
男の子は治療院の人達が、丁寧に担架に乗せて運んでいった。
さて、次。
木箱が次々に開けられて、中身を書類で確認している。聞くと、違法奴隷を積んでいただけあって、十分に他の荷も疑わしいものだって。それはお任せしよう。
で、ぐるぐる巻きのこん人達はどうするかな? 子供達をあんな目に合わせて、知りません、じゃあ、通らない。
「待ってくれっ。俺たちはなにも聞かされていないっ」
必死に護衛の人達が叫ぶ。本当に必死な形相や。
「おそらくあん人達では、中に子供達がおったの知らんやったんやないかな」
「そうかもね。ビアンカとルージュですら、はっきり分からないような阻害系魔法かけられていたし」
あくまで、そうかなって、思う。
見ていると、リーダー格らしき男性が重々しく口を開く。
「知らなかったとは言え、違法奴隷を乗せていた馬車護衛をしたんだ。咎は受けないといかんだろう」
「そんなっ、リーダーっ」
悲鳴をあげる護衛の皆さん。なんやろう、鷹の目の皆さんにダブってきた。
「ねえルージュ」
ルージュは黒い触手を解除し、商人達を警備の人達に、ぽいっ。
『どうしたのユイ?』
「あん人達はさ、子供達がいるの、本当に知らんかったんかね?」
『そうね、もう一度、あいつらに話をさせてくれる? 判断するわ』
「分かった」
私は手荒に縛られた護衛の皆さんの元に。ホークさんとチュアンさんが私に張り付く。
「あの、皆さん」
「はぁ………」
見上げる目には絶望が浮かんでいる。
「確認ですが。本当に知らなかったんですか?」
聞くも、意気消沈して、閉口する。だが、リーダー格だけが、言葉を絞り出す。
「俺たち、何もしらない。ただ、アスラ王国とユリアレーナ王国の大事な架け橋になる荷の護衛だから、と」
ルージュをちらり。
『嘘ではないわね』
そうね。なんや、本当に鷹の目の皆さんと、同じ被害者やん。
「警備の方」
「はいっ、テイマー様っ」
きりっ、と返事をしたのはまだ若そうな警備の男性。
「その護衛の人達は、荷の事は知らされていなかったはずです。それを踏まえて、対応してください」
「えっ」
さー、と周りから音が消える。
「いやっ、しかしっ。彼らは数日間ですね…………」
確かにそうかもしれないが、ルージュが偽りを言うわけないし。
「彼らは知らされていなかったはずです」
「し、しかし、その証拠は?」
「うちのルージュが、この人達の言葉には嘘はないと。私は、ルージュを信じていますので」
再び、音が消える。
そして、ざわざわ、ざわざわ。
「ほ、本当に? 本当に知らなかったのか?」
警備の人がリーダー格に確認すると、リーダー格は重い口を開く。
「はい。知らされていませんでした」
「う、うーん。とりあえず、来てもらって、話を聞こう。テイマー様、失礼します」
さっきはかなり手荒にされていたが、拘束された護衛の人達は、ゆっくり歩いて連れていかれた。
ふいに、「そんなっ、リーダーっ」と叫んだ男性が振り返る。
「あのっ、ありがとうございますっ、信じてくれてっ」
「ほら、歩け」
もう一度、男性はありがとうございますと叫ぶ。
「ユイさん、どうして?」
そうホークさんが聞く。
「だって、まるでホークさん達を見ているような気がして。ほおっておけんかったんです」
「そうですか」
それを聞いて、ホークさんは静かに微笑んでいる。
色々バタバタだったけど、ラソノさんから帰宅オッケーもらい、やっとパーティーハウスへ。
ケルンさん達に挨拶して帰り付くと、どっと疲れが出てしまった。
だけど、それを表す耳、右がひどく損傷している。古いキズではない、赤く膿を持っている。そして元の顔が分からないくらい、腫れ上がり、左の瞼は目を覆うほどに腫れ上がっている。微かに見えた口内も、歯が欠けている。服もぼろぼろ、あちこちぼろぼろ。
倒れた身体を私は抱き止める。細い、折れるように細い。先程の子供達と同じような強烈な臭いが鼻を付く。
ひどくない? どうみても中学生くらいの子が、何で、こんな目に?
「ここで治療します」
ケルンさんはすぐさま魔法を開始、チュアンさんもだ。
きっと助かる、良かった、ああ、良かった。
だけど、一向によくなる気配がない。顔は腫れたままだ。
すう、とケルンさんが魔法を止める。
え? 何で?
「ミズサワ殿、この子は、もう治療魔法に反応出来ないようです」
…………………………え? え? え? 何で? 何で?
罰の悪そうなケルンさんの顔が、視界の中で歪む。まだ、私の腕の中で、この子は息をしているのに?
まだ、生きてるよ、この子。
まだ、生きているんよ。必死に息をしているのに。
私は咄嗟にアイテムボックスからエリクサーを取り出す。口で蓋を開けて、まず、いきなり口に突っ込めず、手のキズにかけてみたが、うんともすんとも言わない。
ああ、どうしよう、どうしようっ。
「神様」
私は子供を抱き締める。
「神様、神様」
視界が歪み、目から、溢れる。
「神様、神様、この子を助けてください。魔法やポーションが効くくらいまででいいです」
涙が、腫れ上がった顔に落ちる。
まだ、生きようとしているこの子は、何か悪いことしたんやろうか? こんなに顔が腫れ上がる程になるまでな目に合わないといけんことがあったんやろうか? まだ、どうみても中学生くらいなのに。
日本でも、こちらでも、まだ庇護下にある子供なのに。
「神様、この子を助けてください」
ふわあっ、と魔力が流れ出す。
あ、これは、『神への祈り』が発動したんやっ。
キラキラ、キラキラ……………
光輝く雨が、馬車内で降り注ぐ。
今だけ、私の力を授けましょう
ああ、雨の女神様の声や。
ありがとうございます。
私は少しでも金色の雨が当たるように、身体を動かす。
金色の雨は、子供の身体に染み込んでいく。
千切れたような耳の傷口が、赤みが取れ、膿が消えていく。腫れていた顔が、僅かだが生々しさが消えていく。
光の雨が止まる。
これで、そのエリクサーも効くわ
ありがとうございます。
確かに呼吸がしっかりし始めている。そして強烈だった臭いもましになってる。
私はエリクサーを心配そうに見ていたチュアンさんに渡す。次に取り出したのは、以前使用したスポイト。
ちゅっ、と吸い上げて、慎重に口の隙間に差し込む。ゆっくり、ゆっくり、エリクサーを入れていく。
噎せないか、注意しながら、ゆっくり、ゆっくり。
私はしっかり細い肩を抱き、ゆっくり、ゆっくり、繰り返す。
「ユイさん、代わります」
「大丈夫です、チュアンさん、そろそろ魔法が効くんやないですかね」
「試してみます」
チュアンさんが治療魔法を開始、ケルンさんもだ。
エリクサーと併用した為か、顔立ちがはっきりしてくる。おおっ、なかなか男前っ。白っぽい髪もキラキラやし、睫も長い。耳も綺麗に再生している。
ピクッ、と睫が動く。
「あっ」
瞼が上がる。うわあ、宝石みたい、アクアマリンみたいや。アルスさんとちょっと違うけど、キラキラや。
顔の腫れがほとんど引いて、耳も完全に再生している。
「優衣」
そっと名前を呼ばれる。馬車の入り口を見ると、父が入ってきた。入り口にはホークさんとエドワルドさんが立ち、外からの視線を遮断している。
「危機は脱しとるよ。身体の内臓や骨折は綺麗になっとる。後は自然治癒に任せたがよかろう」
でも、まだ、少し腫れてるし。
「優衣、傷は身体だけやない」
その一言で、私はエリクサーを運ぶ手を止める。
そうや、身体の傷だけやない。
「こん子には辛いかもしれんが」
傷と一緒に、向き合わんといかんのや。
心の傷に。
考え方次第や。このまま綺麗に治しても構わないかもしれんが、父の言う自然治癒に任せた方がいいって言うのには、理由があるはず。
「これ以上はこん子の体力は厳しかろう。どうやらちょっと特異体質みたいやし。まだ、衰弱があるけど、しっかり栄養管理されたら、よくなる。きっと、よくなる」
父は優しく繰り返す。なら、そうしよう。
「分かった」
私は、そっと男の子の顔を覗き込む。ぼんやりと、私を見ているアクアマリンの目。
「もう、大丈夫やからね。なんも心配いらんけん、ゆっくり、休み」
アクアマリンの目に、うっすらと、涙が浮かんで閉じると、つー、と一筋流れ落ちる。男の子は、まるで私に身体を預けるように頭を寄せてきた。私は両手を使って優しく、身体に響かないように抱き締める。
ああ、良かったあ。良かったあ。
「ありがとうございます、ありがとうございます」
ありがとうございます、雨の女神様。
それからバタバタだ。
結局、男の子はチュアンさんが運んでくれた。いくら細くても私では無理だし。
馬車の外では、治療の間に色々行われていたようだ。この子供達はどうなるんやろ?
私は男の子を抱えたチュアンさんに張り付く。
ラソノさんが慌ただしく駆けてきた。
「ミズサワ様っ、その子が最後ですか?」
「はい、14人揃っていれば。ラソノさん、この子達はどうなります?」
「まずはギルドの治療院で対応します。まずはそれからです。その少年も預かります」
「あ、お願いします。ゆっくり、ゆっくり運んでください」
「勿論」
男の子は治療院の人達が、丁寧に担架に乗せて運んでいった。
さて、次。
木箱が次々に開けられて、中身を書類で確認している。聞くと、違法奴隷を積んでいただけあって、十分に他の荷も疑わしいものだって。それはお任せしよう。
で、ぐるぐる巻きのこん人達はどうするかな? 子供達をあんな目に合わせて、知りません、じゃあ、通らない。
「待ってくれっ。俺たちはなにも聞かされていないっ」
必死に護衛の人達が叫ぶ。本当に必死な形相や。
「おそらくあん人達では、中に子供達がおったの知らんやったんやないかな」
「そうかもね。ビアンカとルージュですら、はっきり分からないような阻害系魔法かけられていたし」
あくまで、そうかなって、思う。
見ていると、リーダー格らしき男性が重々しく口を開く。
「知らなかったとは言え、違法奴隷を乗せていた馬車護衛をしたんだ。咎は受けないといかんだろう」
「そんなっ、リーダーっ」
悲鳴をあげる護衛の皆さん。なんやろう、鷹の目の皆さんにダブってきた。
「ねえルージュ」
ルージュは黒い触手を解除し、商人達を警備の人達に、ぽいっ。
『どうしたのユイ?』
「あん人達はさ、子供達がいるの、本当に知らんかったんかね?」
『そうね、もう一度、あいつらに話をさせてくれる? 判断するわ』
「分かった」
私は手荒に縛られた護衛の皆さんの元に。ホークさんとチュアンさんが私に張り付く。
「あの、皆さん」
「はぁ………」
見上げる目には絶望が浮かんでいる。
「確認ですが。本当に知らなかったんですか?」
聞くも、意気消沈して、閉口する。だが、リーダー格だけが、言葉を絞り出す。
「俺たち、何もしらない。ただ、アスラ王国とユリアレーナ王国の大事な架け橋になる荷の護衛だから、と」
ルージュをちらり。
『嘘ではないわね』
そうね。なんや、本当に鷹の目の皆さんと、同じ被害者やん。
「警備の方」
「はいっ、テイマー様っ」
きりっ、と返事をしたのはまだ若そうな警備の男性。
「その護衛の人達は、荷の事は知らされていなかったはずです。それを踏まえて、対応してください」
「えっ」
さー、と周りから音が消える。
「いやっ、しかしっ。彼らは数日間ですね…………」
確かにそうかもしれないが、ルージュが偽りを言うわけないし。
「彼らは知らされていなかったはずです」
「し、しかし、その証拠は?」
「うちのルージュが、この人達の言葉には嘘はないと。私は、ルージュを信じていますので」
再び、音が消える。
そして、ざわざわ、ざわざわ。
「ほ、本当に? 本当に知らなかったのか?」
警備の人がリーダー格に確認すると、リーダー格は重い口を開く。
「はい。知らされていませんでした」
「う、うーん。とりあえず、来てもらって、話を聞こう。テイマー様、失礼します」
さっきはかなり手荒にされていたが、拘束された護衛の人達は、ゆっくり歩いて連れていかれた。
ふいに、「そんなっ、リーダーっ」と叫んだ男性が振り返る。
「あのっ、ありがとうございますっ、信じてくれてっ」
「ほら、歩け」
もう一度、男性はありがとうございますと叫ぶ。
「ユイさん、どうして?」
そうホークさんが聞く。
「だって、まるでホークさん達を見ているような気がして。ほおっておけんかったんです」
「そうですか」
それを聞いて、ホークさんは静かに微笑んでいる。
色々バタバタだったけど、ラソノさんから帰宅オッケーもらい、やっとパーティーハウスへ。
ケルンさん達に挨拶して帰り付くと、どっと疲れが出てしまった。
感想 867
あなたにおすすめの小説
「今日限りで君を解雇する」――20年仕えた地味なメイドですが、料理も手紙も暗殺者対策も私がやっていました
「エナメル。今日限りで君を解雇する」
20年仕えた屋敷をクビになった、地味なエルフのメイド・エナメル。
だが、晩餐会の料理も、侯爵への手紙も、調度品の手配も、屋敷を狙う暗殺者の処理も――すべて彼女が陰で支えていたものだった。
エナメルが去ったあと、屋敷は少しずつ綻び始める。
一方の本人は、そんなことも知らず。
「さて。次はどこで雇っていただきましょう」
地味で目立たないベテランメイド・エナメルの、新しい奉公先探しが始まる。
※本作は『メイドのエナメルは今日も静かにお仕えします』シリーズの第1作です。本作単体でもお楽しみいただけます。
異世界転移した僕と彼のスキルは「貯金箱」と「犬」だったので即追放。でもこれが意外と強かった
高校の英語の授業中、勇者召喚で僕たちクラスメイト7名は異世界にやって来た。
目的は魔王討伐では無くて、高難易度ダンジョンの封印?!
でも僕ユイトのスキルは「貯金箱」、エイジは「犬」。
役立たず認定で、二人とも城を追放されてしまった。
のんびり暮らそうとしたけどそうもいかなくなって。
僕たちは奇妙なスキルを駆使して異世界で生き延びる。
緩~いファンタージ物語です。のんびりと書いていきます。
本文はなるべく簡潔に、サクサク進むようにしています。
暇つぶしに読んでいただいて、楽しんでくださると嬉しいです。
なろう様にも投稿。
捨てられた幼女ですが、公爵家に拾われたら家族みんなの愛が重すぎました
幼い頃に母親に捨てられ、孤児院で暮らしていた少女リリア。
「役に立たなければ、また捨てられる」
そう思い、いつも“いい子”でいようとしていた彼女は、ある日、公爵家の馬車を助けたことをきっかけに屋敷へ招かれる。
そこで待っていたのは、娘に甘すぎる公爵夫妻に、妹を構いたがるレオン、そしてリリアを甘やかしたい使用人たち。
戸惑いながらも、少しずつ公爵家に居場所を見つけていくリリア。やがて夫妻から「私たちの娘になってほしい」と告げられて――。
これは、捨てられないために“いい子”でいようとしていた少女が、重すぎるほどの愛情に包まれ、本当の家族を見つけていく物語。
初夜のあとに愛する人がいると言われたので祝福で身体の時間を一日戻しました
夫婦となって初めて迎えた夜、セレンティアは夫リオールから「俺には、愛する人がいる」と告げられる。
彼が初夜を済ませた理由は、三年後に白い結婚として婚姻無効を申し立てられないようにするためだった。
けれどリオールは知らなかった。セレンティアの祝福《一日回帰》が、自分自身の身体にも使えることを。
セレンティアは自分の身体の時間を一日前へ戻し、三年間、侯爵家の妻として務めを果たすことを決める。
夫に愛されるためではない。三年後、白い結婚としてこの家を出ていくために。
番の証が出ないと捨てられたので、神様に確かめてもらいます
「番の証が出ぬからだ」
和平のために獣人国へ嫁いで四年。獣王ガイウス様との儀式は三度、三度とも証は出ませんでした。「人間の娘では神は認めぬ」——そう言われて、離宮へ。
雨漏りの下で眠り、井戸をさらい、畑を耕して。泣かなかったのは強いからではありません。獣人には、匂いでわかってしまうから。
嫁ぐ前に三年かけて読み込んだ婚姻法典。その第四章に、こうありました。
『既に誓いを結びたる者が、重ねて他者と誓いを立てんとする時、神は後の誓いを認めず』
——証が出なかったのは、わたしが人間だからではない。
長老会に申し立てたのは、解釈の確認だけ。わたしは悪くない、とは一言も書きませんでした。
遡誓の儀で神殿に浮かんだのは、六年前の秋の「成立」と、わたしの三度の「不成立(重複)」でした。
飛べないと捨てられたので、竜ごと出て行きます
「お前は竜に乗れもしない、ただの妻だろう」
竜騎士団長の夫はそう言って、飛べる従騎士の娘を選びましたわ。
ええ、わたくしは飛べません。十二年、地上におりました。
夜明け前に三十一頭の寝息を数え、歯を磨き、爪の砂を取り、冬に毛布を掛け、契約を編んで。——この国でただひとりの「調律者」として。
竜は、人を乗せない生き物ですのよ。竜自身が「乗せてもいい」と決めない限り。そして竜が誰の言葉で頷いてきたか、あの方は十二年、一度もお考えにならなかった。
離縁されて、わたくしは竜舎を出ました。
三日後から、竜は一頭も飛ばなくなりましたの。
怒っているのではありませんのよ。竜は報復をしませんもの。ただ——寂しいのです。
そして来月は、三年に一度の、契約更新日ですわ。
土下座する王妃の座などいらないので、冒険者に転職します。
「私が愛しているのはエルナ。君だけだ」
エルナは自分の夫でありハーメルン王国の国王であるカメルを愛していた。
彼がどれほど自分より隣国の聖女を優先しようとも。
結婚して二年が経っても初夜を迎えたことがなかろうとも。
しかし。
「エルナ。君に失望した。聖女を陥れていじめるとはな。罪を認め、ひざまずいて謝罪するように」
一年に一度の建国記念宴会であり結婚記念日に、カメルはすべての貴族や外国の使節団が見ている前で、エルナに身に覚えのない罪を認めろと断罪した。
愛が壊れるのは一瞬。
だからこそ、エルナはその場でひざまずいた。頭を地面にこすりつけて謝罪した。
「聖女を陰謀にかけた大罪人エルナは、この時間をもって王妃の座から退き、平民となりますことをお許しください。聖女様とどうかお幸せに」
*ゆるい設定です。不快に思われる方はブラウザバックをお願いします。
婚約破棄を受け入れた瞬間、王太子殿下が青ざめました
王都でもっとも華やかな春の夜会。その中央で、王太子エドワードは冷ややかな目を婚約者へ向けていた。
「リリアーナ・フォン・アルベルト公爵令嬢。君との婚約を、ここで破棄する」
会場が一瞬で静まり返る。
リリアーナは淡い金髪を揺らし、静かに王太子を見つめ返した。
「理由を、お聞きしてもよろしいでしょうか」
「理由など明白だ。君は嫉妬深く、心が狭い。それに比べ、私は真実の愛を見つけた」
そう言ってエドワードが隣へ引き寄せたのは、男爵令嬢のセシリアだった。