もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~

鐘ケ江 しのぶ

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再出発⑥

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 愛玩奴隷かあ、本当にこちらの人への価値観が合わないなあ。未だに鷹の目の皆さんを戦闘奴隷だって思ってないし。多分、向こうの世界でも、外国では今でも横行しているが、私は日本人感覚が抜けてないから受け入れられない。しかし、需要する側があれば、供給する側がいて、私が何をしたからと言ってなくなることはない。一応、ユリアレーナでは人身売買は禁止だし、奴隷に対しても相応に保護案がある。ただし、重犯罪奴隷にはほとんど適応されないって。
 なんだかなあ。
『ユイ、どうしたのです?』
「くうーん」
「がるぅ」
 心配してくれたビアンカと元気、コハクがすり寄ってくる。もふもふ。
「ちょっと考え事、大丈夫よ」
 どうせ、私がいくら考えても劇的な解決策なんて浮かばない。
「ユイさん」
 ホークさんまで心配してくれる。さっきはこれを心配してくれたんやね。自分で聞くって決めたんやから。服の下からちらりと見える奴隷の制約紋。
「大丈夫ですよ」
 ちょっと考えさせられただけ。
 私は結局何の役にも立たない。出来るのは寄付くらいだ。もう寒いから、身体を暖かくするものを。それもビアンカとルージュ達の稼ぎなんやけどなあ。ああ、自分が情けないなあ。はあ、とため息。
「ユイさん?」
 ホークさんがなにやら察知。
「あ、何でもないです」
 切り替えないと。
 出来るだけのことをしよう。
 とりあえず、一旦パーティーハウスに戻る。午後から晃太と騎士団と警備の寮に差し入れ持って行ってから、夕方にはシスター・アモルとの面会だ。
 パーティーハウスに戻り、花の歓迎のローリング。ぽちゃぽちゃ。なんね、さっきまでおったやん。ぽちゃぽちゃ。三人娘も来たので、もふもふ。
 お昼を済ませて、片付ける。子供達を心配していた母に、無事に修道院に移されたのを説明。
「そうね、まだ、誘拐された子供は分からんね」
「みたいね」
 父が鑑定したら一発で分かるのだけど、それをやると色々不味いからね。父の鑑定SSSも晃太のアイテムボックスと同様に知られたら不味いからね。でも、背に腹はかえられぬ。どうしたものか、と悩む。ホークさんにちらりと相談。
「あまりオススメはしませんよ」
「何でです?」
「誘拐されて届けが出されているなら、既に連絡がついているはずです。なんせ皆獣人の特徴がありますから、直ぐに分かるはずです」
 所謂失踪届けみたいのは役場に出す。そして、直ぐにギルドにも情報が回る。成人と子供の扱い方は違う。特に10未満の子供。成人は自分で出ていく可能性はあるが、子供はそうではない。拐われた可能性が高いため、情報は直ぐに管理して周辺ギルドや役場で共有される。ここはマーランにも近いから情報が来ている。
「あの商隊が出発時期を逆算したら、子供達が捕らわれていたのは、最低でも1ヶ月以上前です。いくら田舎の町でもそれだけあれば届けが出せます。それが出されていないのであれば。その程度の親って事です」
 うーん、ホークさんシビア。でも、自分の子供がいなくなったら、血の気がひかん? 直ぐに探し出さない? 
「もしかしたら、事情があって出せてないのなら、これから届けが出した時点で分かります。修道院で保護されていますから、簡単には出れませんが、安全です。なのでわざわざリュウタさんが、調べる必要はありませんよ。リュウタさんの鑑定力はあまり知られない方がいいですよ」
 ふう、と息をつくホークさん。
「俺が言うのもなんですが。少し、あの子供達には、時間は必要かなって思います。静かに考える時間が」
「確かにそうですね」
 特に親に売られたという子供には。
 もう、大丈夫なんだって、思えるようになってほしい。きっと時間がかかる。チュアンさんみたいに、前向きになってほしい。だけど、チュアンさんとは事情が違うから、同じようになるとは限らないけど。
「シスター・アモル達なら、きっと子供達を守ってくれますね」
「そうですね。俺もシスター・アモルは信じてますから」
 あら?
「ホークさん、シスター・アモルと面会しましたっけ?」
 何時、チュアンさんと私だけど。
 肩をすくませるホークさん。
「俺はチュアンを信じてますから、そのチュアンが全面の信頼を寄せているシスターです。だから、信じます」
 あ、そっか。チュアンさんはホークさんをいい友だと言った。そして、ホークさんもチュアンさんを信頼しているんや。なんや、素敵やな。
「そうですね、私も信じます」
 よし、そうしよう。信じて、任せよう。もし、何かしらシスター・アモル達、修道院の人達が手助けが必要だって時に、私が提供できるものを提供しよう。

 騎士団と警備の寮への差し入れは滞りなく終了。食堂を管理している女性陣の歓声があがる。お肉ですよ、お肉。ででん、でん、と出されたルーティのダンジョンの猪のお肉。そして最上階のウサギのお肉と骨も追加した。晃太がワイン樽も出す。それからセレクトショップダリアの御贈答のりんごと洋梨も100個ずつ出す。家族寮があるって聞いたので、ちょっと追加。お肉も追加、ちょっとね。
「こ、こんなにたくさん、いいんですかっ?」
 代表者の女性ギネカさんが、戸惑いながら嬉しい顔。
「はい、家族寮の皆さんにも配布してもらえませんか? お手数ですけど」
「ええっ、勿論です。ありがとうございますっ」
 ギネカさんが大喜び。その後ろで、今日はウサギのシチューよー、と気合いの入る女性陣。あははん、凄か。
 数日後、ギネカさんがわざわざお礼にパーティーハウスに来て、母が対応してくれた。お肉は大好評だったし、何より喜ばれたのはワイン。ワインって嗜まないから分からないけど、美味しかったと。1人1日グラス一杯と限定している。ぶーぶー、言われたそうだけど、ギネカさんが黙らせたって。騎士や警備の人達を黙らせるって。どうやって、とは聞かない。なんだか、母と同じ匂いしたからね。
 差し入れの後、チュアンさんと夕方からシスター・アモルとの面会だ。ニコニコと杖を突いて来てくれた。子供達の事は聞かない。だけど、寄付はする。私が出来ることはこれくらいや。予め寄付の話をしていて、いつもは10分なんだけど、30分の時間をもらっている。
「シスター・アモル。こちらを使ってください」
 と、私はマジックバッグから色々出す。毛布や新しい下着や服、靴も出す。それからお肉もね。こちらもりんごと洋梨もね。それから塩も。これは調味料としても使えるけど、保存食を作る時に使うんだって。薪もだして、と。他のシスターが運んでくれるが、なんせ重いからチュアンさんもお手伝いする。
「まあまあこんなにたくさん」
「はい、使ってください。あの、シスター・アモル」
「はい」
 私は改まる。
「もし、何かしら必要なものがあれば、私で揃えられるものがあればいつでも言ってください。私達は明後日から魔の森に入りますが、パーティーハウスにいる両親に言って頂けたら、出来るだけのことはしますので」
 その言葉に、シスター・アモルは戸惑う。
「これだけの寄付を頂いたのに、これ以上はさすがに受け取れません」
「シスター・アモル。これは私の自己満足で、偽善なんです。どうか受け取ってください。私には、これしか出来ませんから」
 少し考え込むシスター・アモルだけど、ふう、と息をついて笑顔を浮かべる。
「ありがとうございますミズサワ様。お気持ち、頂きます。私どもでどうにもならない時、ご助力を宜しくお願いします」
「はい。私の出来ることを」
 それから少しお話。魔境に設置した暖房器具の改良版を数台出来次第寄付したい事を伝える。これは隣の孤児院や、無料教室にも設置予定だ。燃料の魔石は、何だかんだと一杯あるからね。
「設置場所はお任せになりますが。ただ、小さな子供が誤って触らないように防護柵も作ってもらっていますので、すべて出来上がり次第に搬入したいのですが、物が重いもので、どちらに搬入したら宜しいですか? 私はその時いませんので、父が代わりにうかがいたいのですが」
「ああ、ありがとうございます。そうですね。面会の窓口で受付が出来るようにしましょう。お父様のお名前を伺っても?」
「リュウタ・ミズサワです」
「分かりました。搬入していただける時に、身分証をお持ちください」
「はい、分かりました」
 薪を両腕に抱えて運んでいたチュアンさんが、帰って来た。残りの時間はチュアンさんに使ってもらう。
「チュアン、気を付けるのですよ」
「はい、シスター・アモル」
「ミズサワ様とチュアンに、皆さんに始祖神様のご加護を」
「ありがとうございますシスター・アモル」
 私とチュアンさんは、シスター・アモルに見送られて応接室を出た。

 そして、出発の朝。
「気を付けるんよ」
「分かった」
 花を抱えた母に見送られてパーティーハウスを出る。
 少し早めに出たけど、すでに皆さん勢揃いしている。うーん、これだけの数の冒険者が並ぶと圧巻やね。慣れた仔達がぷりぷりとご挨拶に行く。
「おはようございます、お待たせしました」
「いえ、今集まったばかりなんですよ」
 と、ケルンさん。
「ミズサワ殿、配慮頂きありがとうございます」
 相変わらずアクション俳優みたいなフェリクスさんが、折り目正しく会釈する。
「いえいえ、講師、お疲れ様です」
 人気講師のフェリクスさん。もしかしたら、次のお願いもあったんやないかな?
 ユイちゃんとこちらに来たそうなアルスさんを、ファングさんとガリストさんががっちり掴んでいる。それから、シュタインさんと視線がかち合う。にこり、とされて、ドキリとするが、今はそんな場合ではない。
 ぞろぞろと城門を抜ける。
「皆さん、馬車に乗ってください」
 晃太がアイテムボックスから馬車を出して、ホークさんがノワールを繋ぐ。
 ぎゅうぎゅうのすし詰め状態の馬車は、わいわいと賑やか。
 私はホークさんと馭者台に座る。
「皆さん、出発でーす」
「「「「はーい」」」」
 ホークさんが手綱を操る。
 さあ、王冠山に向かって出発や。
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