ミルクティーな君へ。ひねくれ薄幸少女が幸せになるためには?

鐘ケ江 しのぶ

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帰る為に⑨

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 屋敷の中は、まさに中世の屋敷だ。山岸まどかの記憶、テレビの世界だけど。
 洗練された調度品に、飾られた花は輝いている。コクーン修道院の庭で咲いている小さな花ではない、大輪の花。そして、並ぶ、使用人達。
 本当に貴族なんだ。
 見上げる天井には、キラキラと輝くシャンデリア。

「ウィンティア」

 ぼんやりと周囲を見渡すと、父親が声がかけてきた。

「お前の専属のメイドだ。今回、新しく雇った」

 専属メイド?
 父親の後ろから、若い女性が出てきた。癖のある焦げ茶色の髪を三つ編みにしている。
 若い、違う、幼い、どうみても子供だ。中学生くらいの女の子だ。
 ウィンティアも十分子供だが、二十歳の山岸まどかにしたら子供だ。
 こちらの労働基準、どうなってるの?

「ナタリアと申します。どうぞよろしくお願いいたしますお嬢様」

 くすぐったい。くすぐったが、嫌ではない。それにローザ伯爵家使用人のはずなのに、拒否感はない。あの執事に比べて、明らかに安心できる。
 スカートを摘まんでお辞儀してくれる。
 彼女に対して、どのようにするか、ウィンティアに聞きたいが、殻に閉じ籠っている。無理強いはできない。

「貴女は、私の味方?」

 取り敢えず、彼女、ナタリアに聞いてみる。

「はい。私は、お嬢様の専属メイドです。我が身を盾とし、お守りいたします」

 ……………………なんだろ、格好いい。女の子なのに、子供なのに。
 スカートを掴んだままのナタリア。体勢きつくないかな? あ、私が何か言わないと、いけないのかな。
 彼女を信じるか、どうか。
 あ、僅かにだけど、震えてないかな?
 もしかしたら、私に拒絶されるのが、怖いのかな?
 この父親が雇ったかもしれないが、まだ子供の彼女は、大丈夫かな? 警戒だけは、しておこう。

「分かった、ナタリア」

 そう言うと、彼女、ナタリアの震えが止まる。さらに一度深く姿勢を低くして、頭を上げる。

「では、お荷物、お持ちします」

「重いよ」

「お任せください」

 重たいトランクをひょいと持ち上げる。力、あるね。
 
「お部屋にご案内します」

 私はマルカさんと一緒に階段を上がる。何か言いたげな生物上両親に振り替えるつもりはない。二階には廊下に絵画が飾られている。風景画に人物像。もしかしたら、ウィンティアの祖母、ティーナ夫人の肖像画があるかもしれない。いつか探そう。

「こちらのお部屋になります」

「屋根裏じゃないのね」

「? 私が伺っているのはこのお部屋です」

 不思議そうなナタリアは、鍵を出して、開ける。

「鍵は二つあります。一つはお嬢様と、マルカ夫人に」

 銀色の鍵を渡して、扉を押し空けた。
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