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伯爵家での生活⑧
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吐くってきつい。
結局、ローザ伯爵家でウィンティアが口にできて、問題ないのは、ナタリアのお茶だけだった。食事はナタリアが配膳してが、ダメだった。
このままなら、ウィンティアの体をもたない。
試しにマルカさんと近くの出店が並んでいるマルシェに行った。そこでパニーニみたいなのを買って、公園で食べたら問題はなかった。私も心底安心。
それから食事は毎日このマルシェで買って食べる事にした。
あれからもキャサリンはきゃんきゃんうるさい。無視無視。やっぱりノックもなくやって来た。メイドが止めてるのにね。ナタリアとマルカさんがいない時に狙って来た。
「いけませんっ、キャサリンお嬢様っ」
「いいじゃない、姉妹なんだし、ねっ」
何が、ねっ。
私はガン無視。
本当に失礼なやつだね。親しき仲にも礼儀ありって、言葉、知らないんだね。私が無反応なのに、勝手に部屋を漁ってる。ここ、ウィンティアの部屋よ。姉妹とはいえ、失礼過ぎよこいつ。みどりお姉ちゃんなら絶対しない、こんなの見たら、しかりつけるよ。
「このジュエリーボックス、シンプルだけど、いい色ねっ」
勝手に机のジュエリーボックス触ってる。
やっぱりこいつ、頭打ってるよ。人の勝手に触ってる。きっと、どっか鋭い角で打ってるよ。
私はガン無視。
結局、ジュエリーボックスを触ってると、金切り声を上げた生物学上の母親がキャサリンを回収したが、後から後からむかっ腹が立った。
ウィンティアのもやがかかった記憶が呼び起こされる。
ぬいぐるみや靴、帽子に、キャサリンにしてはサイズアウトしているドレス、何から何まで取り上げた。出された食事さえ、黙って食べられない状況だった。やれ、あっちが綺麗だとか、肉が大きいだとかだ、飾られた花が綺麗だとか。
それも口に要求するだけで、取り上げるのは全部メイドの役割と来たもんだ。
言えば何とかしてくれるって、潜在的に理解していたはずだ。
二十歳の私には、ああ、うるさいだけど、当時の幼いウィンティアに自衛手段はなく、泣いて抵抗しても無駄に終わっていた。
また、やる気だよあいつ。
私はジュエリーボックスを持ち、追いかける。
廊下でキャサリンを叱っている所だった。
「キャサリンッ、いい加減にしなさいっ。勝手に人の部屋に入るのがどれだけ失礼か分からないのっ」
やっぱりこっちでもマナー違反なんだ。
側で縮こまっているのは、止めていたメイドだ。キャサリンは、きょとん、としている。いや、叱られてるのあんたよ。
「あら、姉が妹の部屋にいただけですわ」
まったく悪びれることはない。
「……………部屋に入る許可はあったの?」
「許可? 何故? 妹の部屋に入るのに?」
最近まで妹はいないって言って、私の存在すら知らなかった癖に。
そこそこの歳になったら、部屋に入るなから声かけるくらいの気遣いしない? それにジュエリーボックス勝手に触っていた、あれは以前なら、メイドに奪ってこいの合図だった。忘れたの? つい、四年前くらいの話よ。キャサリンは既に十歳を過ぎていた。あれだけ派手にわがまま言ってたくせに覚えてないの? あ、あの時からこんなんだった気がする。
こいつ大事な礼儀の根本が分かってないんだ。
「まだ、姉妹との関係も築いてないのに?」
おや、正論。
ため息をつく生物学上の母親。
だが、記憶に鮮やかにあるのは、あの感謝祭で、ウィンティアからたった一つのお菓子の為に、扇で叩いたくせに。
「あら、ウィンティア、どうしたの?」
こちらの存在に気が付いたようで、ちょっとおどおど。あ、いま、思い出した、あの縮こまっているメイドは、ウィンティアからキャサリンが望むままに奪っていったメイドだ。頂いた小さなクッキーですら奪っていった。
私がちらりと見ると、更に縮こまっている。
ふんっ、散々小さなウィンティアを泣かせたくせに。
私はもっていたジュエリーボックスを振りかざす。
ガシャンッ
そのまま一気に床に叩きつける。
ジュエリーボックスの細い足が折れて、転がっていく。
このジュエリーボックスに罪はないけど、分かっているけど、きっとまた奪われる。なら、そうなる前に。
「まあっ、ウィンティアッ、ものに当たるなんてはしたないわよっ」
「お前が言うな」
散々やらかして来てるのを知らないとでも? 私も知ってるのに、当人が覚えてないなんて、どんな頭してるの本当に。どこの角に頭打ったの。
「まあっ、お母様っ、この子っ」
怖いっ、て顔で、母親にしがみつく。
「黙りなさいキャサリン。ウィンティア、どうしたの? 何故?」
「くれてやるわよ、こいつが勝手に部屋に入って奪って行く前に」
ふんっ。
縮こまっていたメイドは更に小さくなってる。
生物学上母親は目を見開き、固まっている。ふんっ。
私はふんっ、と背中を向けて、部屋に戻った。
キャサリンがきゃんきゃん煩いから、しっかりドアを閉めた。
結局、ローザ伯爵家でウィンティアが口にできて、問題ないのは、ナタリアのお茶だけだった。食事はナタリアが配膳してが、ダメだった。
このままなら、ウィンティアの体をもたない。
試しにマルカさんと近くの出店が並んでいるマルシェに行った。そこでパニーニみたいなのを買って、公園で食べたら問題はなかった。私も心底安心。
それから食事は毎日このマルシェで買って食べる事にした。
あれからもキャサリンはきゃんきゃんうるさい。無視無視。やっぱりノックもなくやって来た。メイドが止めてるのにね。ナタリアとマルカさんがいない時に狙って来た。
「いけませんっ、キャサリンお嬢様っ」
「いいじゃない、姉妹なんだし、ねっ」
何が、ねっ。
私はガン無視。
本当に失礼なやつだね。親しき仲にも礼儀ありって、言葉、知らないんだね。私が無反応なのに、勝手に部屋を漁ってる。ここ、ウィンティアの部屋よ。姉妹とはいえ、失礼過ぎよこいつ。みどりお姉ちゃんなら絶対しない、こんなの見たら、しかりつけるよ。
「このジュエリーボックス、シンプルだけど、いい色ねっ」
勝手に机のジュエリーボックス触ってる。
やっぱりこいつ、頭打ってるよ。人の勝手に触ってる。きっと、どっか鋭い角で打ってるよ。
私はガン無視。
結局、ジュエリーボックスを触ってると、金切り声を上げた生物学上の母親がキャサリンを回収したが、後から後からむかっ腹が立った。
ウィンティアのもやがかかった記憶が呼び起こされる。
ぬいぐるみや靴、帽子に、キャサリンにしてはサイズアウトしているドレス、何から何まで取り上げた。出された食事さえ、黙って食べられない状況だった。やれ、あっちが綺麗だとか、肉が大きいだとかだ、飾られた花が綺麗だとか。
それも口に要求するだけで、取り上げるのは全部メイドの役割と来たもんだ。
言えば何とかしてくれるって、潜在的に理解していたはずだ。
二十歳の私には、ああ、うるさいだけど、当時の幼いウィンティアに自衛手段はなく、泣いて抵抗しても無駄に終わっていた。
また、やる気だよあいつ。
私はジュエリーボックスを持ち、追いかける。
廊下でキャサリンを叱っている所だった。
「キャサリンッ、いい加減にしなさいっ。勝手に人の部屋に入るのがどれだけ失礼か分からないのっ」
やっぱりこっちでもマナー違反なんだ。
側で縮こまっているのは、止めていたメイドだ。キャサリンは、きょとん、としている。いや、叱られてるのあんたよ。
「あら、姉が妹の部屋にいただけですわ」
まったく悪びれることはない。
「……………部屋に入る許可はあったの?」
「許可? 何故? 妹の部屋に入るのに?」
最近まで妹はいないって言って、私の存在すら知らなかった癖に。
そこそこの歳になったら、部屋に入るなから声かけるくらいの気遣いしない? それにジュエリーボックス勝手に触っていた、あれは以前なら、メイドに奪ってこいの合図だった。忘れたの? つい、四年前くらいの話よ。キャサリンは既に十歳を過ぎていた。あれだけ派手にわがまま言ってたくせに覚えてないの? あ、あの時からこんなんだった気がする。
こいつ大事な礼儀の根本が分かってないんだ。
「まだ、姉妹との関係も築いてないのに?」
おや、正論。
ため息をつく生物学上の母親。
だが、記憶に鮮やかにあるのは、あの感謝祭で、ウィンティアからたった一つのお菓子の為に、扇で叩いたくせに。
「あら、ウィンティア、どうしたの?」
こちらの存在に気が付いたようで、ちょっとおどおど。あ、いま、思い出した、あの縮こまっているメイドは、ウィンティアからキャサリンが望むままに奪っていったメイドだ。頂いた小さなクッキーですら奪っていった。
私がちらりと見ると、更に縮こまっている。
ふんっ、散々小さなウィンティアを泣かせたくせに。
私はもっていたジュエリーボックスを振りかざす。
ガシャンッ
そのまま一気に床に叩きつける。
ジュエリーボックスの細い足が折れて、転がっていく。
このジュエリーボックスに罪はないけど、分かっているけど、きっとまた奪われる。なら、そうなる前に。
「まあっ、ウィンティアッ、ものに当たるなんてはしたないわよっ」
「お前が言うな」
散々やらかして来てるのを知らないとでも? 私も知ってるのに、当人が覚えてないなんて、どんな頭してるの本当に。どこの角に頭打ったの。
「まあっ、お母様っ、この子っ」
怖いっ、て顔で、母親にしがみつく。
「黙りなさいキャサリン。ウィンティア、どうしたの? 何故?」
「くれてやるわよ、こいつが勝手に部屋に入って奪って行く前に」
ふんっ。
縮こまっていたメイドは更に小さくなってる。
生物学上母親は目を見開き、固まっている。ふんっ。
私はふんっ、と背中を向けて、部屋に戻った。
キャサリンがきゃんきゃん煩いから、しっかりドアを閉めた。
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