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学園生活スタート⑦
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「それがどうして罰なんですか?」
つっけんどんに聞くと、生物学上の両親はため息。
「あの子の物欲が異常なのは、知っているでしょう」
と、生物学上の母親。
知ってるよ。ウィンティアが最大の被害者だ。キャサリンにしてはサイズアウトしているドレスや靴や帽子、ぬいぐるみや部屋の調度品、おやつに食事、挙げ句の果てには部屋まで。
「あの子はあちこちにお茶会に誘われて、セーレ商会の商品を上手いこと宣伝してくるのよ。それのご褒美としてドレスや装飾品を作ったわ」
セーレ商会の売上貢献か。
それで期間限定商品が人気に火が着いたらしい。
「前兆はなかった訳ではないわ。でも、デビュタント前まではあそこまではなかったの」
デビュタント前のお茶会には、保護者同伴。つまり両親のどちらか、もしくは成人した兄弟、その家でもしっかりした立場にある使用人、親戚が着いていく。キャサリンがデビュタント前のお茶会は、今とは違ってかなり数が少なかったそうで。
しかもあまり爵位の高くない家のお茶会しか出なかった。見た目お人形さんのキャサリンは、どこでも可愛いって言われたそうで、満足していたが。
起点となったのは、デビュタント後の一人参加のお茶会だった。同時にセーレ商会は、期間限定商品の開発に成功。
それまでの同伴出席したお茶会では、ほとんど同年代の少女がいなかったのが、様変わり。美しく自分を飾り付けた少女達を見たんだろう。
「何を張り合っているのか、同じドレスでお茶会には出たくない、誰かに同じドレスで出ている所をみられるなんて恥ずかしいって、それはもう、はあ」
ため息。ずいぶん何か籠ったため息。
キャサリンはそれはまるで悲劇のヒロインのように訴えた。それはシンクにこびりついた汚れのように。
本来、毎回お茶会の為に毎回ドレスなんて仕立てない。それぞれのシーズンに数着作り、小物を変えたり、襟のレースを付けたり外したり、ショールやストールしたりして、着回すのが貴族夫人の嗜みで、普通なんだって。毎回仕立てるのは、まさに成金のすることだそうだ。仕立てるにしても、少しよく作れば次に娘や別の姉妹に譲れるから、厳選して作るそうだ。
説明しても、あのキャサリンが聞くわけない。
あまりにも訴えるので、根負け。
で、条件として、セーレ商会の商品をお茶会で新しい顧客を掴んできたら、次のお茶会、がちのお茶会では新しいドレスを仕立てる、と。
「キャサリンは実際にそれをやってのけた。期間限定商品の知名度が上がり、今に至る。だが、今回に様なトラブルがなかった訳ではない」
生物学上の父親がため息。
「上級貴族、伯爵でも上位以上の貴族には、キャサリンはあまり好まれない。それでも呼ばれるんだ」
それはつまり。
「手土産目的で、呼んでいるって事ですか?」
「そうだ。この期間限定商品の発売時期しか、そう言った貴族から呼ばれないのを、キャサリンは理解していない。それでも呼ばれる、ひっきりなしに。正直お断りするのも大変で」
はあ、とため息。
「今、キャサリンは何かに出席するには、ドレスを仕立てると言う図式が当然に出来上がっている。自尊心と目立つのを好み、物欲が深いキャサリンに、新しいドレスを仕立てないのは、きついはず。何を言っても反省しないしから、とりあえずこれにした」
なんだか、ちょっと老け込んだ生物学上の父親。
私もため息が移る。あれの頭の中身は一体どうなってんだろう? すっかすかなんじゃない?
「で、ウィンティア、お前のガーデンパーティーのドレスなんだが」
「レンタルしますので」
おさがり文化があるとしても、あのキャサリンに通じない。もし、キャサリンのサイズアウトしたドレスを渡されたら、また、捕られたとか言いそうだしね。
「いや、それがな。ウィンティアにドレスを譲りたいと言う令嬢がいて」
は? 誰? 私はあまり交遊関係広くない。
「覚えているかい? アンジェリカ・ウーヴァ公爵令嬢を」
「はい」
まさか。
「そのアンジェリカ嬢が、お前に是非にと、な」
「で、でも、あんまり交友関係でもないのに」
「私も一度はそう断ったのだが、それでもと言われて、実は後三十分でいらっしゃるんだ」
「はいぃっ?」
つっけんどんに聞くと、生物学上の両親はため息。
「あの子の物欲が異常なのは、知っているでしょう」
と、生物学上の母親。
知ってるよ。ウィンティアが最大の被害者だ。キャサリンにしてはサイズアウトしているドレスや靴や帽子、ぬいぐるみや部屋の調度品、おやつに食事、挙げ句の果てには部屋まで。
「あの子はあちこちにお茶会に誘われて、セーレ商会の商品を上手いこと宣伝してくるのよ。それのご褒美としてドレスや装飾品を作ったわ」
セーレ商会の売上貢献か。
それで期間限定商品が人気に火が着いたらしい。
「前兆はなかった訳ではないわ。でも、デビュタント前まではあそこまではなかったの」
デビュタント前のお茶会には、保護者同伴。つまり両親のどちらか、もしくは成人した兄弟、その家でもしっかりした立場にある使用人、親戚が着いていく。キャサリンがデビュタント前のお茶会は、今とは違ってかなり数が少なかったそうで。
しかもあまり爵位の高くない家のお茶会しか出なかった。見た目お人形さんのキャサリンは、どこでも可愛いって言われたそうで、満足していたが。
起点となったのは、デビュタント後の一人参加のお茶会だった。同時にセーレ商会は、期間限定商品の開発に成功。
それまでの同伴出席したお茶会では、ほとんど同年代の少女がいなかったのが、様変わり。美しく自分を飾り付けた少女達を見たんだろう。
「何を張り合っているのか、同じドレスでお茶会には出たくない、誰かに同じドレスで出ている所をみられるなんて恥ずかしいって、それはもう、はあ」
ため息。ずいぶん何か籠ったため息。
キャサリンはそれはまるで悲劇のヒロインのように訴えた。それはシンクにこびりついた汚れのように。
本来、毎回お茶会の為に毎回ドレスなんて仕立てない。それぞれのシーズンに数着作り、小物を変えたり、襟のレースを付けたり外したり、ショールやストールしたりして、着回すのが貴族夫人の嗜みで、普通なんだって。毎回仕立てるのは、まさに成金のすることだそうだ。仕立てるにしても、少しよく作れば次に娘や別の姉妹に譲れるから、厳選して作るそうだ。
説明しても、あのキャサリンが聞くわけない。
あまりにも訴えるので、根負け。
で、条件として、セーレ商会の商品をお茶会で新しい顧客を掴んできたら、次のお茶会、がちのお茶会では新しいドレスを仕立てる、と。
「キャサリンは実際にそれをやってのけた。期間限定商品の知名度が上がり、今に至る。だが、今回に様なトラブルがなかった訳ではない」
生物学上の父親がため息。
「上級貴族、伯爵でも上位以上の貴族には、キャサリンはあまり好まれない。それでも呼ばれるんだ」
それはつまり。
「手土産目的で、呼んでいるって事ですか?」
「そうだ。この期間限定商品の発売時期しか、そう言った貴族から呼ばれないのを、キャサリンは理解していない。それでも呼ばれる、ひっきりなしに。正直お断りするのも大変で」
はあ、とため息。
「今、キャサリンは何かに出席するには、ドレスを仕立てると言う図式が当然に出来上がっている。自尊心と目立つのを好み、物欲が深いキャサリンに、新しいドレスを仕立てないのは、きついはず。何を言っても反省しないしから、とりあえずこれにした」
なんだか、ちょっと老け込んだ生物学上の父親。
私もため息が移る。あれの頭の中身は一体どうなってんだろう? すっかすかなんじゃない?
「で、ウィンティア、お前のガーデンパーティーのドレスなんだが」
「レンタルしますので」
おさがり文化があるとしても、あのキャサリンに通じない。もし、キャサリンのサイズアウトしたドレスを渡されたら、また、捕られたとか言いそうだしね。
「いや、それがな。ウィンティアにドレスを譲りたいと言う令嬢がいて」
は? 誰? 私はあまり交遊関係広くない。
「覚えているかい? アンジェリカ・ウーヴァ公爵令嬢を」
「はい」
まさか。
「そのアンジェリカ嬢が、お前に是非にと、な」
「で、でも、あんまり交友関係でもないのに」
「私も一度はそう断ったのだが、それでもと言われて、実は後三十分でいらっしゃるんだ」
「はいぃっ?」
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