ミルクティーな君へ。ひねくれ薄幸少女が幸せになるためには?

鐘ケ江 しのぶ

文字の大きさ
164 / 338

ウーヴァ公爵の事情⑥

しおりを挟む
「レオナルドはね、やっとうちに来て、年相応に笑うようになってきた時に、レオンハルト殿下の影武者になることを義務つけられた。それがレオナルドには己を殺すには充分だったわ。だけど、あの子はそれを全て受け入れたの。お兄様の教育の影響もあったのでしょう。王家になにかあれば、盾になるのが我ら公爵の役目。お兄様もそれを叩き込まれて育ち、ウーヴァ公爵から離れ、平民として生まれたレオナルドにもそうした。お兄様の子育ては、それしか知らなかったから」

 セシリア・ウーヴァ女公爵は思い出すように話す。

「レオナルドはまた死んだ魚のような目をしたわ。だけど、ある日変化が訪れた、貴女よ、ウィンティア嬢」

「私?」

「そうよ。貴女が関わるとレオナルドは息を吹き返すのよ。生きた人間になるの。私はお兄様を近くで見てきて、先代ウーヴァ公爵の教育に間違いがあったと思っているわ、それに気がつかなかったお兄様にもね。ただ、最後に病に伏したお兄様がやっと気がついて、私にレオナルドを託してくれた。もう十年よ、私はあの子がかわいいの。だから、レオナルドに変化をもたらした貴女との婚約を結んだのよ」

 一息付く。

「今回の貴女が行方不明になったことで、レオナルドは再び殻に閉じ籠っているわ。レオンハルト殿下の影武者として使い捨てにすると叩き込まれていた頃のように。諦めているの生きることに。レオンハルト殿下は次の年度で、留学されるのに合わせて、当然レオナルドも随行します」

 あ、それ聞いた。
 レオンハルト殿下は飛び級して卒業して、シルヴァスタ王国の大学に留学するって。その大学には帝王学の権威がいて、その受講生になるって。

「レオンハルト殿下の暗殺の機会は十中八九、シルヴァスタ王国でしょう。そうなれば、レオナルドは文字通り盾になるわ。今のレオナルドは抵抗もせず盾になるでしょう。私はそれをどうしても避けたい。だけど、私達が何を言っても響かない。レオナルドに、生きて帰って来たいとそう思わせる事が出きるのは貴女だけよ。レオナルドに渇をいれてちょうだい」

 いや、簡単に言うけど、難しくない? レオナルド・キーファーの事情なんて知らなかったけど、そこそこ闇を抱えてそうで、私が言ったくらいてなんとかなる?

「あの子が生きて貴女の元に戻りたい、そう思えたなら、私にとって変えがたい価値ある事よ。ウィンティア嬢、貴女にしかできないことよ」

「うまくいく自信が…………」

「我ウーヴァ公爵の後見だけではなくてよ。弁護士や必要経費、ザーデク姉弟の護衛、証人達の確保、裁判後のキリール・ザーデクの名誉回復の手回し、全てうちが負担するわ」

 断れないやつっ。
 ええいっ、一度腹を括ったんだっ。
 ナタリア達の為だっ。

「分かりました、やりますっ」

 どうするかは、後で考えよ。
 私の返事で満足したセシリア・ウーヴァ女公爵。

「さ、次は貴女よ」

「はい?」

「こちらは事情を話したわ、貴女も吐きなさい」

「何を?」 

「レオナルドとの婚約に怯えていた本当の理由よ」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→

AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」 ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。 お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。 しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。 そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。 お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。

不貞の末路《完結》

アーエル
恋愛
不思議です 公爵家で婚約者がいる男に侍る女たち 公爵家だったら不貞にならないとお思いですか?

魔法のせいだから許して?

ましろ
恋愛
リーゼロッテの婚約者であるジークハルト王子の突然の心変わり。嫌悪を顕にした眼差し、口を開けば暴言、身に覚えの無い出来事までリーゼのせいにされる。リーゼは学園で孤立し、ジークハルトは美しい女性の手を取り愛おしそうに見つめながら愛を囁く。 どうしてこんなことに?それでもきっと今だけ……そう、自分に言い聞かせて耐えた。でも、そろそろ一年。もう終わらせたい、そう思っていたある日、リーゼは殿下に罵倒され頬を張られ怪我をした。 ──もう無理。王妃様に頼み、なんとか婚約解消することができた。 しかしその後、彼の心変わりは魅了魔法のせいだと分かり…… 魔法のせいなら許せる? 基本ご都合主義。ゆるゆる設定です。

年に一度の旦那様

五十嵐
恋愛
愛人が二人もいるノアへ嫁いだレイチェルは、領地の外れにある小さな邸に追いやられるも幸せな毎日を過ごしていた。ところが、それがそろそろ夫であるノアの思惑で潰えようとして… しかし、ぞんざいな扱いをしてきたノアと夫婦になることを避けたいレイチェルは執事であるロイの力を借りてそれを回避しようと…

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

お姉様優先な我が家は、このままでは破産です

編端みどり
恋愛
我が家では、なんでも姉が優先。 経費を全て公開しないといけない国で良かったわ。なんとか体裁を保てる予算をわたくしにも回して貰える。 だけどお姉様、どうしてそんな地雷男を選ぶんですか?! 結婚前から愛人ですって?!  愛人の予算もうちが出すのよ?! わかってる?! このままでは更にわたくしの予算は減ってしまうわ。そもそも愛人5人いる男と同居なんて無理! 姉の結婚までにこの家から逃げたい! 相談した親友にセッティングされた辺境伯とのお見合いは、理想の殿方との出会いだった。

手放してみたら、けっこう平気でした。

朝山みどり
恋愛
エリザ・シスレーは伯爵家の後継として、勉強、父の手伝いと努力していた。父の親戚の婚約者との仲も良好で、結婚する日を楽しみしていた。 そんなある日、父が急死してしまう。エリザは学院をやめて、領主の仕事に専念した。 だが、領主として努力するエリザを家族は理解してくれない。彼女は家族のなかで孤立していく。

処理中です...