190 / 338
舞台は整う①
しおりを挟む
アンジェリカ様のルルディ王国貴族間のパワーバランスについての抗議は終わる。
頭パンクしそう。
今日は上位貴族、公爵、侯爵、辺境伯についてだけど、ほとんど正室派だった。やっぱり外交や国内の公務をきちんとこなすエリザベス妃殿下を押すわな。モニカ妃殿下は、父親があの先代シルヴァスタ国王というメリットとエリザベス妃殿下より先に男児を生んだ事しかないから。
ただ、いくつもの情報操作や箝口令により、判断材料がないのが、伯爵以下の家だそうだ。男爵、子爵、伯爵ね。でも半数は中立派で、これは次の王太子が誰になるかで動くようだ。下手に先走ると、もしモニカ妃殿下とロナウド殿下の立場が悪くなったら、自分の家にも火の粉が降りかかるから慎重になってる。
圧倒的に正室派だ。
「疲れたでしょう、さ、お菓子を召し上がれ」
と、アンジェリカ様がクッキーのお皿を示してくれるのでポリポリ。
「もうすぐお母様もお戻りになるわ」
セシリア・ウーヴァ女公爵はもともと本日は、親しい方のお茶会にご招待されて、午後からお出かけしている。
「それから貴女の事を話すわ」
「私?」
「そうよ。貴女のお姉さんの事よ」
「キャサリンですか」
モニカ妃殿下が強烈で忘れてた。
お茶とお菓子を頂いて、お手洗いもかりて、待つとセシリア・ウーヴァ女公爵が帰って来た。お洒落で品のあるなレースがあしらわれたワンピース姿で現れた。
「お帰りなさいませ、お母様」
「戻りました。ローザ夫人、ウィンティア嬢お待たせしたわね」
「「いいえ」」
セシリア・ウーヴァ女公爵は一人掛けのソファーに座る。
ちら、とアンジェリカ様に目配せすると、目で返事あり。
「では、今からキャサリン・ローザに対する話をしましょう」
ちら、と生物学上の母親を見ると、無表情だ。
「しばらくキャサリン・ローザは好きにさせます。今後の事を考えて、ローザ夫人よろしくて?」
「はい。キャサリンがデビュタントを済ませた時に話はしています」
なにそれ?
「デビュタントを終えた後、主人はあることをキャサリンに制約させたのよ。あの子の物欲は凄まじいでしょう? 貴女がコクーン修道院に再び保護された後はまだ、デビュタント前許せる範囲だったのだけど。主人は予感がしていたのよ。だから、誓約書を作った」
それは、年間キャサリンに使用することが許される額を提示した誓約書。もちろん、日常品や学費、文房具。たまにお友達とカフェに行くだけの毎月のお小遣いは別。また、どうしても必要なもの、例えばお友達へのお祝いの品や、あまりないが急に呼ばれたお茶会で、手持ちの衣装に+する小物とかは申請し、通ればよし。そしてワンシーズン使用する、お茶会と夜会の数着の衣装は、母親監修で準備される。なので、キャサリンが個人的なお買い物できる額だ。
もし、オーバーしたら、学園卒業後にローザ伯爵に返却なんだって。
「セーレ商会を継ぐと、キャサリンは口によくしていたわ。なら、きちんとした金銭管理が出来るようにと、主人は考えたの。だけど」
「うまく行ってないわけですね」
ため息をもらす生物学上の母親。
「年間予算を二週間で使いきったの」
どんだけ?
「ローザ夫人、よろしいかしら?」
黙って聞いていたセシリア・ウーヴァ女公爵が声を出す。
「はい。公爵閣下」
「その予算オーバーして購入したものと、予算内で購入したものそしてローザ伯爵家が準備した必要なものは分けてあるかしら?」
「はい、公爵閣下。領収書や購入日時は全てファイリングしてあります。その日同行したメイドやフットマンにも日誌を書かせています」
一応彼らはキャサリンに予算が、と匂わせているが、あれは聞きやしない。
「よろしい。それは続けてちょうだい。いずれ証拠として必要になるわ。それまでローザ伯爵のお財布が痛いでしょうが」
「問題ございません。それで揺らぐローザ伯爵ではありません」
生物学上の母親の答えに、セシリア・ウーヴァ女公爵は満足そうだ。
頭パンクしそう。
今日は上位貴族、公爵、侯爵、辺境伯についてだけど、ほとんど正室派だった。やっぱり外交や国内の公務をきちんとこなすエリザベス妃殿下を押すわな。モニカ妃殿下は、父親があの先代シルヴァスタ国王というメリットとエリザベス妃殿下より先に男児を生んだ事しかないから。
ただ、いくつもの情報操作や箝口令により、判断材料がないのが、伯爵以下の家だそうだ。男爵、子爵、伯爵ね。でも半数は中立派で、これは次の王太子が誰になるかで動くようだ。下手に先走ると、もしモニカ妃殿下とロナウド殿下の立場が悪くなったら、自分の家にも火の粉が降りかかるから慎重になってる。
圧倒的に正室派だ。
「疲れたでしょう、さ、お菓子を召し上がれ」
と、アンジェリカ様がクッキーのお皿を示してくれるのでポリポリ。
「もうすぐお母様もお戻りになるわ」
セシリア・ウーヴァ女公爵はもともと本日は、親しい方のお茶会にご招待されて、午後からお出かけしている。
「それから貴女の事を話すわ」
「私?」
「そうよ。貴女のお姉さんの事よ」
「キャサリンですか」
モニカ妃殿下が強烈で忘れてた。
お茶とお菓子を頂いて、お手洗いもかりて、待つとセシリア・ウーヴァ女公爵が帰って来た。お洒落で品のあるなレースがあしらわれたワンピース姿で現れた。
「お帰りなさいませ、お母様」
「戻りました。ローザ夫人、ウィンティア嬢お待たせしたわね」
「「いいえ」」
セシリア・ウーヴァ女公爵は一人掛けのソファーに座る。
ちら、とアンジェリカ様に目配せすると、目で返事あり。
「では、今からキャサリン・ローザに対する話をしましょう」
ちら、と生物学上の母親を見ると、無表情だ。
「しばらくキャサリン・ローザは好きにさせます。今後の事を考えて、ローザ夫人よろしくて?」
「はい。キャサリンがデビュタントを済ませた時に話はしています」
なにそれ?
「デビュタントを終えた後、主人はあることをキャサリンに制約させたのよ。あの子の物欲は凄まじいでしょう? 貴女がコクーン修道院に再び保護された後はまだ、デビュタント前許せる範囲だったのだけど。主人は予感がしていたのよ。だから、誓約書を作った」
それは、年間キャサリンに使用することが許される額を提示した誓約書。もちろん、日常品や学費、文房具。たまにお友達とカフェに行くだけの毎月のお小遣いは別。また、どうしても必要なもの、例えばお友達へのお祝いの品や、あまりないが急に呼ばれたお茶会で、手持ちの衣装に+する小物とかは申請し、通ればよし。そしてワンシーズン使用する、お茶会と夜会の数着の衣装は、母親監修で準備される。なので、キャサリンが個人的なお買い物できる額だ。
もし、オーバーしたら、学園卒業後にローザ伯爵に返却なんだって。
「セーレ商会を継ぐと、キャサリンは口によくしていたわ。なら、きちんとした金銭管理が出来るようにと、主人は考えたの。だけど」
「うまく行ってないわけですね」
ため息をもらす生物学上の母親。
「年間予算を二週間で使いきったの」
どんだけ?
「ローザ夫人、よろしいかしら?」
黙って聞いていたセシリア・ウーヴァ女公爵が声を出す。
「はい。公爵閣下」
「その予算オーバーして購入したものと、予算内で購入したものそしてローザ伯爵家が準備した必要なものは分けてあるかしら?」
「はい、公爵閣下。領収書や購入日時は全てファイリングしてあります。その日同行したメイドやフットマンにも日誌を書かせています」
一応彼らはキャサリンに予算が、と匂わせているが、あれは聞きやしない。
「よろしい。それは続けてちょうだい。いずれ証拠として必要になるわ。それまでローザ伯爵のお財布が痛いでしょうが」
「問題ございません。それで揺らぐローザ伯爵ではありません」
生物学上の母親の答えに、セシリア・ウーヴァ女公爵は満足そうだ。
111
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
偽聖女として私を処刑したこの世界を救おうと思うはずがなくて
奏千歌
恋愛
【とある大陸の話①:月と星の大陸】
※ヒロインがアンハッピーエンドです。
痛めつけられた足がもつれて、前には進まない。
爪を剥がされた足に、力など入るはずもなく、その足取りは重い。
執行官は、苛立たしげに私の首に繋がれた縄を引いた。
だから前のめりに倒れても、後ろ手に拘束されているから、手で庇うこともできずに、処刑台の床板に顔を打ち付けるだけだ。
ドッと、群衆が笑い声を上げ、それが地鳴りのように響いていた。
広場を埋め尽くす、人。
ギラギラとした視線をこちらに向けて、惨たらしく殺される私を待ち望んでいる。
この中には、誰も、私の死を嘆く者はいない。
そして、高みの見物を決め込むかのような、貴族達。
わずかに視線を上に向けると、城のテラスから私を見下ろす王太子。
国王夫妻もいるけど、王太子の隣には、王太子妃となったあの人はいない。
今日は、二人の婚姻の日だったはず。
婚姻の禍を祓う為に、私の処刑が今日になったと聞かされた。
王太子と彼女の最も幸せな日が、私が死ぬ日であり、この大陸に破滅が決定づけられる日だ。
『ごめんなさい』
歓声をあげたはずの群衆の声が掻き消え、誰かの声が聞こえた気がした。
無機質で無感情な斧が無慈悲に振り下ろされ、私の首が落とされた時、大きく地面が揺れた。
私を断罪するのが神のお告げですって?なら、本人を呼んでみましょうか
あーもんど
恋愛
聖女のオリアナが神に祈りを捧げている最中、ある女性が現れ、こう言う。
「貴方には、これから裁きを受けてもらうわ!」
突然の宣言に驚きつつも、オリアナはワケを聞く。
すると、出てくるのはただの言い掛かりに過ぎない言い分ばかり。
オリアナは何とか理解してもらおうとするものの、相手は聞く耳持たずで……?
最終的には「神のお告げよ!」とまで言われ、さすがのオリアナも反抗を決意!
「私を断罪するのが神のお告げですって?なら、本人を呼んでみましょうか」
さて、聖女オリアナを怒らせた彼らの末路は?
◆小説家になろう様でも掲載中◆
→短編形式で投稿したため、こちらなら一気に最後まで読めます
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる