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未来の一つ⑩

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 公園デートからしばらくして、私はグレン伯爵家向かう。今日はあのギリギリご婦人、キスティ・グレン伯爵夫人にお呼ばれだ。
 ナタリアが選んでくれた濃紺のワンピースはカチッとしたデザインで、襟と裾は白い生地を使い、首もとにはリボンがある。きっちり髪を上げて貰う。おもたせはティアラ・シリーズの石鹸、シャンプー、コンディショナーだ。かわいい藤の籠にリボンを飾っている。
 同行するのは、ナタリアとバトレルさん。ヴァレリー達は庭師のおじいさんが面倒みてくれるって。
 朝からあのうるさいキャサリンがいないが、ずいぶんめかし込んで出掛けたらしい。

 嫌な予感。

「おそらくグレン伯爵家に向かっているかと」

 冷静なバトレルさん。

「えっ、なんで知ってて止めなかったんですか?」

「彼女の評判を落とすためですよ。正式な招待状もなくグレン伯爵夫人が屋敷に招き入れるわけがありません」

「でも、キャサリンが言い訳したら」

 例えば、私が急病で行けなくなったとか。ゲームでは、ウィンティアに来たお茶会の誘いは、ローザ伯爵夫妻が勝手にキャサリンに代わりに行くように指示していた。
 ウィンティアは内気だとかなんとか言って。
 私の心配を、バトレルさんは首を横に振る。

「今回、ウーヴァ公爵を経由されての招待です。公爵様はグレン伯爵に了承の旨と共に、ある可能性を示唆しています」

「可能性?」

「もし、当日ウィンティア嬢の都合が悪くなれば、断りの使者を立てること。代理人が出席はしないこと。そして同行するにも同一人物が行く事をお伝えしてます」

「それって誰です?」

「私です。私はキスティ夫人に覚えられていますから。どちらにしても、私がいなければ屋敷には入れませんし、キスティ夫人にも会えません」

「それでもグレン伯爵にご迷惑をおかけします」

 それにおそらくキャサリンは、私のあることないこと言いふらしそうだけど。

「ご心配にはおよびませんよ。あのグレン伯爵夫人がキャサリンの口車に乗ることはありせん」

 なら、大丈夫かな?
 うーん、心配。
 しばらくして、グレン伯爵家に到着。
 赤茶色の屋根のお屋敷だ。
 
「お嬢様」

 そっとナタリアが耳打ち。
 窓から覗くと、馬車が一台停まっていた。ローザ伯爵家の紋章が入った馬車。因みに私達が乗っているのはウーヴァ公爵家の馬車。
 で、玄関先にいたよ、やっぱりいたよ。

「ですからっ、本日は妹の代わりに参りましたのっ。あの子は今日体調を崩していて、私が代わりに参りましたのっ」

 ああ、やっぱりいたよ。
 存在事態が迷惑マナー違反女、キャサリンが。
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