無職メンヘラ男が異世界でなりあがります

ヒゲオヤジ

文字の大きさ
36 / 72
第三章

帰国、そして

しおりを挟む
俺は帰国して早速信長様に拝謁を申し出た。

直接アイズに王宮まで送ってもらい、王宮でおろしてもらったのだ。

始め、衛士たちはドラゴンが降り立ってきたことで騒いでいたが、俺たちの顔を見ると見知ったものがいたようで混乱はすぐに収まった。

「おう、お主は・・拝謁か?」

「はい。ご老公にお話が。」

「よし、通れ。」

衛士ともすっかり顔なじみになった。

俺は信長様の部屋の前で待つとやがて声がかかった。

「入れ」

声に従って入室する。

「信長様にはご機嫌うるわしゅう・・」

「よい。儂がそのような挨拶を面倒がるのは知っておるだろう?それとも氷竜の国で礼儀でも学んできおったか?」
信長様はそう言って笑う。

「此度のことはサンダユウから聞いておる。良くやってくれた。」

「はい。今回も仲間に助けられました。特に、戦闘のみでなく、治療にアイリスが大活躍でした。」

「ふむ。聞いている。ヴァレンティ家の息女だな。ヒールに優れた才を持つというが・・。」

「はい。この度はそのヒールのおかげで王の心臓の血栓を取り除くことができました。」

「ゲカシュジュツという奴じゃの。やりおるな。おかげで氷竜国も安定が戻ったであろう。」

「はい、今後は王が再び施政に戻るかと思われます。」

そこで信長様はフッと笑った。

「それで・・?今回は報告だけではないのであろう?」

さすが信長様だ。情報網が半端ないな。

「おっしゃる通りです。この度は氷竜国の新たな産業について進言させていただきたく。」

俺はそこでスキーについて説明した。

・・・

「ふむ・・スキーとな。転移者からも聞いたことはないものじゃな。」

「娯楽産業なので今まで進言がなかったのでしょう。為政者に進言するものでもありませんから。」

「しかし、お主は面白いことを考えるのう・・そうか・・産業復興に娯楽産業をのう・・。」

「これは私の世界では既に一大産業となっています。成功事例もあることですし、是非ご協力を考慮いたきたく、お願い申し上げます。」

「ふむ・・こちらにとっても利のある話であるな。よし、いいだろう。氷竜族との繋がりも強化されるのは悪いことではない。」

「はっ。これを機に氷竜族の力を頼りにできることもあるかと思います。」

「フッ。なかなか良いことをいうではないか。良かろう。初期投資については全面的に協力しよう。」

「ありがとうございます!」

信長様は戦争だけでなく楽市楽座など経済にも通じていた方だ。経済センスも尋常ではない。
ちなみに、5大軍団を自由自在に操ったその知能指数は150は下らないと言われている。理解が早いのも当然だろう。

「して、今回の報酬じゃが、金もそうじゃが、領地も考えておる。ローゼンデールはその方が喜ぶであろう。」

「ありがとうございます!私は領地はいりませんが、ローゼンデール家には領地をお願いいたします。今回の戦いでは大部分がローゼンデールのものが活躍しておりましたので。」

「ふむ。お主は欲がないのう。わかった。そのようにいたそう。4人であったのう。褒賞は10万ベルムじゃ。お主が分配するがいい。」

「かしこまりました。ありがとうございます。」

――――――――

翌日。

俺はアカネ、アイリス、アイズに昨日の信長さまのことを話した。

「今回もお金に領地ね・・ありがたい話だわ・・。」
アカネが感慨深げだ。

「お金については、今回は1万俺、あとは3万ずつ皆で分けてくれ。」

「ちょっと!そういうわけにはいかないわよ!とどめ刺したのはユージなんだから!」
アカネがむくれて言う。

「いや、俺はとどめ刺しただけだ。今回は戦闘はアカネ、アイズ、治療はアイリスだったから・・」

「指揮を執ったのはあなたでしょう?前みたいに平等でいいわよ。じゃないと受け取れないわ!」
アカネも譲る気はなさそうだ。

仕方ない。

「わかった。じゃあ、前の通り2万5千ベルムずつ皆で分けよう。」

「それが一番だよ。」
アイリスも笑う。

「ん。僕も満足。」
アイズも言う。一応姫だが貧乏留学生なので嬉しいようだ。

――――――――

Bクラスにて

「おいおい、またドラゴン倒しちまったってなぁ?今度は複数かぁ?」
ダースが早速からんできた。

「まぁ・・今回は少し活躍できたかな・・。でもほとんどアカネとアイズのおかげだけど。」

「おお、さすが俺の女神だぜ!」
ダースは相変わらずアカネがお気に入りらしい。

「それで、今度はおいくらいただきましたの?」
レインが聞いてきた。

「ああ、今回は2万5千ベルムだ。またコルトン家に預けるからよろしく。」

「ふふ、承りましたわ。それにしてもどんどん武功を上げるのですね?」

「うーん・・実感ないけど。そうなのかなぁ?」

「そうですわよ!普通中等部の生徒がドラゴンなんて倒せませんわ!」

まぁ、そうかもしれない。仲間にも恵まれてるけど。

「でも自分的には今回氷竜族とローム王国の繋ぎができたことが嬉しいんだ。これで氷竜族が経済的に発展したら、皆のためになるしな。」

「ふふ、その、スキー・・でしたか?私もやってみたいですわ!」

「ああ、楽しいと思うよ。みな普段修練してるからすぐに滑れるようになるんじゃないかな?」

「ああ、そうそう。私考えたのですけど、コルトン家も一つその事業に加えていただいてよろしいかしら?」

「そりゃ、構わないし、多分、氷竜族もローム王国も助かると思うけど。いいのか?」

「それは、事業のためですもの!お金の匂いのするものは逃しませんわ!」
とレインは笑った。

コルトン家が入ってくれれば事業の成功率もあがりそうだな。

「わかった。じゃあご家族に話しておいてくれるかな?」

「かしこまりましたわ!お任せくださいませ!」

ありがたい話だ。

「ユージ君。活躍だったようだな。」
フレンダがそう言って近くに来た。
相変わらず、道場でも教室でも凛々しいな。

「まぁ、皆のおかげだよ。そうそう、今回は重力魔法が早速役に立ったよ。」

「それは父上もお喜びになるだろう。教えがいがあるというものだ。」

「うん。ライム道場で学んだことは全部今回生きたよ。」

「父上もユージ君は筋がいいと言っていたからな。・・おっとこれは言わない方が良かったか。」
といってポニーテールを揺らして失笑する。

俺が筋がいい?嬉しいけどそんなこと言われたの初めてだ。

「まぁ、今回はアイリスも大活躍だったからな。アイリスも褒めてやってくれよ。」

「わ・・私は何もしてないよ。ただ治療しただけだよ!」

「治療といっても心臓から血栓を取り除いたんだろう?それは俺のいた世界じゃたいそうな技術だよ。」

「心臓を治療したのか?すげーな!アイリスちゃん!」
ダースが感心している。

やっぱりこの世界でも心臓の治療は難しいんだな。

「そのうち、ヒーラーとして、この国に名を轟かせることになるかもしれませんわね。うふふ。」
レインがそう言って笑う。

金持ちでも病気やケガはどうしようもないからな。ヒーラーや医者に頼るなら腕の確かな人物を欲しがるのは当然だろう。

「うーん・・我が道場でも怪我人が絶えないからな・・。ヒーラーがいてくれるとありがたいのだが・・」
フレンダがそんなことをブツブツ言っている。

「あ、怪我人が出たらすぐに駆け付けるよ!いつでも言ってね?」
とアイリスが微笑む。

「それは本当にありがたい。道場では毎日のように怪我人が出ているからな。」
そういうとフレンダは笑った。

――――――――

ライム道場にて

「今回は重力魔法が早速役に立ちました。」
俺がそうお礼を言うと、

「ふむ。役に立ったのならなによりだ。だが、まだまだ修行の道は遠いぞ。」
とゴートン先生にたしなめられた。

「ふふ、でも今回は氷竜を倒したのですよ?大したものです。」
とフレンダが言ってくれた。

「うん。以前は目を突くのが精いっぱいだったんだけど、今回は目も含め逆鱗でとどめをさしたり、ドラゴンを仕留めることができた。」

「しかし、未だ長期の戦闘は苦手だろう?精進するがいい。」
とゴートン先生に言われた。

「はい。どうぞよろしくお願いします。」

また、稽古の日々が始まった。

そして・・そんな時、学園で事件が起きた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」 気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。 しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。 「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。 だが……一人きりになったとき、俺は気づく。 唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。 出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。 雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。 これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。 裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか―― 運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。 毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります! 期間限定で10時と17時と21時も投稿予定 ※表紙のイラストはAIによるイメージです

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。 交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。 そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。 その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。 だが、それが不幸の始まりだった。 世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。 彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。 さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。 金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。 面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。 本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~

専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。 ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。

軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います

こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!=== ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。 でも別に最強なんて目指さない。 それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。 フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。 これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。

処理中です...