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第三章
スキー
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「皆さん、スキーに行きませんこと?」
レインがある日そんなことを言った。
「スキー?ってこの前ユージが氷竜国に紹介したってやつか?」
ダースが興味深げに答える。
「ええ!そのスキーですわ!ようやく設備が整いましたの。コルトン家の財力とローム王国、氷竜国との総力を挙げた事業ですわ!」
「私は別に構わないが・・。いい鍛錬になりそうだしな。」
フレンダが言う。
「うんうん!ユージ君の話だと一大娯楽なんだって!楽しいかもね!」
アイリスが話に乗ってくる。
準備できたんだな。さすがコルトン家、仕事が早い。
結局、Bクラスからは、俺、アイリス、レイン、フレンダ、ダース、ポール、ハウストが参加することになった。
――――――――
食堂にてその話をすると。
「あら、私もやってみたいわ!」
アカネがさっそく食いついてきた。
「僕もやってみたい。地面滑るって新鮮。」
アイズもやる気のようだ。
「俺は魔王様への報告があるからな・・パスだ。」
キースが残念そうだ。
「まぁ、これからいくらでも行く機会はあるだろうけど、今回はコルトン家の全面支援で優雅に旅ができるみたいだぞ。」
「うんうん!みなで行こうよ!あ、キース君はまた今度ね?」
アイリスに改めて言われるとキースも残念そうだ。
アイリスのスキー姿可愛いだろうに。
「あ、そうそう。スキーの道具や服なんかは準備してくれるそうだ。俺たちは手ぶらでいけるらしい。」
「至れり尽くせりね。まぁまだスキーの道具なんて売ってないから借りるしかないけど。」
アカネが言う。
「まぁそのあたりも近いうちにコルトン家が取り仕切って売り始めるみたいだぞ。俺の国では、スキーの衣装って色々あって中々お洒落なんだ。」
「あら、そうなの?じゃあ自分で選んで買ってから行きたかったわ」
アカネが不満をもらす。
「まぁ、またそれは今度ってことで。今回は純粋にスキーを楽しもう。」
「いいわね!ユージ教えてくれるんでしょ?」
「いや・・俺はその・・教えられるような腕じゃない・・。」
「え?あなたの国の娯楽なんでしょ?なんでできないの?」
「俺はあまり外に出ないタチだったし・・その・・気鬱だからな。」
「そういえばそうだったわね。最近の戦いですっかり忘れてたわ。」
「じゃあみんなで上手くなればいいよ!楽しんでこよう?」
アイリスが朗らかに笑う。
そんなわけで俺たちはBクラスのメンバーにアカネ、アイズを加えて大人数でスキーに行くことになった。
――――――――
「なかなか乗りごごちがいいわね・・。」
氷竜族につられた客車に乗りながらアカネが感想をもらす。
「まぁ、空中だからな。地面を走る馬車とかと違うし。氷竜族の方も客商売ってことで気を使ってくれてるんだろう。」
「おいおい、大丈夫なのかよ!これ、落ちたら死ねるぜ!」
ダースは高いところが苦手なのか。
「ダース心配いらないよ。もう下は雪だよ。落ちても死ぬことはないだろ?」
大柄なポールがそう言ってダースを励ます。
「まぁ、落ちたら激突する前に飛び出せばいいさ!」
小柄なハウストはそんなことを言っている。
確かに敏捷なハウストならそんなこともできそうだな。
「我々は風魔法があるから大丈夫だな。」
いや、フレンダは体術で着地できそうだが。
「おほほ!皆さん心配し過ぎですわ!この客車は何重にも安全対策が取られたコルトン家自信の一品ですのよ!どうぞご安心くださいませ。」
レインが皆を安心させる。
「ねぇ・・そういえば私たち結構アイズの背中に乗ってるけど、あれって実は危ないよね?」
アイリスが思い出したように言う。
まぁ、戦闘中は必死でそれどころじゃなかったからな。
「皆心配しすぎよ!私たちはアイズの背中に乗って戦いまでしたんだからね!」
アカネがそんな妙な励まし方をする。
「そんなこといったってよう・・アカネちゃん」
ダースが情けない声を出す。
「僕はこっちの方が楽でいい。」
アイズはのんびりモードだ。
客車は氷竜族の体に幾重にも結ばれたロープで吊られている。
時折、風の影響か、揺れることがあるが馬車などに比べれな微々たるもんだ。
でも・・そういえば地球でも飛行機の事故率は最低と聞いたことがあるが。それでも飛ぶことを怖がる人がいるってのは、人間にとって空を飛ぶということは根源的な恐怖なのかもしれない。
――――――――
スキー場は予想以上に混雑していた。
あっという間に認知されたんだな。
さすがコルトン家の宣伝能力だ。
俺たちはいったん準備された宿にチェックインすると思い思いにくつろぎ始めた。
するとアイズが来て、
「ユージ。今使いの者が来て父上が会いたいと言ってる。」
と言って来た。
俺はアカネ、アイリス、アイズと共に王宮に出向いた。
王は待ち構えたように出迎えてくれた。
「ユージ殿!おかげでスキー事業も軌道にのりそうです!職にあぶれていたものたちも今は楽し気に働いています。ありがとうございました!」
「いやいや、それは僕だけの功績じゃないですよ。ローム王国やコルトン家の助けもあってこそです。」
「はは!いや、その通りですな。特にコルトン家の皆さまには、どう事業を立ち上げるか、また運営してゆくか教えていただきました。」
「それは何よりです。それでお体の具合はいかがですか?」
「アイリス殿のおかげでもうすっかり良くなりました。もう今から戦いにでもいけそうですわい!」
なんか元気すぎるような気もするが、これが王の本来の姿なのだろう。
「父上。無理はしないで。」
アイズが少し心配そうに言う。
「大丈夫だ!アイズよ!お主はユージ殿たちをしっかり守って勉強にも励むのだぞ!」
「うん。僕守る。それでベンキョーも頑張ってる。」
「アイズは本当に物覚えが早くて、もしかすると新学期早々クラスがあがるかもしれません。」
アカネが補足する。
「おお!そうですか!皆に遅れないようについていくのだぞ!」
「うん。大丈夫。父上。僕頭いいみたい。」
アイズがフンスッと答える。
確かにこの前の試験勉強でも出来が良かったしな・・
「ともあれ、お礼を申し上げます。この度はごゆるりとお過ごしくださせませい。」
王が朗らかに笑った。
王の病気も治って経済も回り始めた。
全てが良い方向に行きはじめたな。
これも『剣に選ばれものは弱きものを救い正義を行う』というホーンテッドの存在に応えているのだろうか。
――――――――
俺たちは王宮を辞すると早速皆とスキー場にいってみた。
リフトのようなものはないが代わりに氷竜族が運んでくれているようだ。
スキー場は俺の発案だが、氷竜族の力がなければなりたたないよな。
俺たちはレンタルのスキー板やスキー用の衣服を借りると簡単な講習を受けた。
「初めはハの字にして速度を押さえて滑ってみてください。慣れてきたら両足をそろえてスピードを上げていくことができます。」
俺たちは早速滑り始めた。
俺はこれでもかボーゲンだ。
スキー板をハの字にして上から恐る恐る降りてくる。
「ユージ君、それいいね。私も怖いからスピード押さえて滑ろうかな?」
アイリスが俺の真似をしてボーゲンで滑り始める。
アイズは運動神経がいいのか、すぐにパラレルで滑り始めた。さすが氷竜だな。
「ん。これ簡単。空飛ぶのに比べたら大したことない。」
その横でアカネが雪煙をあ上げながら滑走していく。
おいおい。もう覚えたのか?
「ユージ何やってるのよ。経験者なんでしょう?」
そう言われても・・怖いものは怖い。
そのそばではおっかなびっくりだがダースたちもパラレルで滑り始めた。
「ん・・まだ怖えがなんとかなりそうだな。」
「いや、これはコツを覚えたらいけるよ。楽しい。」
俊敏なハウストは呑み込みが早いようだ。
大柄のポールはいまだボーゲンもままならずあちこちで雪だるまになっている。
その隣を、レインとフレンダが滑り降りていく。
おいおい、俺の立場がないな・・唯一の経験者なのに。
「アカネちゃん、ちょっと俺に教えてくれないか?」
ここぞとばかりにダースがアカネにアプローチしている。
普通、スキーでのロマンスは男が女に教えるところから始まるんだが。
「仕方ないわね。滑れない人、こっちに集まりなさい。」
アカネ先生の授業が始まった。
「いい、膝を柔らかく使って体のバランスを保つの。方向転換は体重移動でできるみたいね。ほらやってみなさい。」
皆思い思いにアカネの教え通り滑ってみる。
だが言われてすぐにできれば苦労はしない。
しかしなんとアイリスが足をそろえて滑り始めた。
「うんうん。アカネの言う通りにしたらだんだんできようになってきたよ?」
「おいおい、アイリス・・。俺の立場がないんだけど・・。」
「うふふ・・。ユージ君が怖がり過ぎかもね?もう少し体重をかけてみたら?あと怖がらずに足をそろえてみたら意外といけるよ?」
俺は言われたとおりに体重をかけてみると・・今度は後方に盛大に転んでしまった。冷たい。
「ユージ!地面と垂直にするのよ。ほらこんな感じ。」
アカネが見事なターンを決めて俺の前に雪煙を上げて停止する。
しかし・・なんでもできる奴だなぁ・・アカネは。
「お?俺もなんか滑れるようになってきたぜ?」
ダースが徐々に足を揃えて滑り始める。
「こんな感じか?」
ポールまで・・。
やばい。滑れないのは俺だけになりそうだ。
「お客様。お客様ならあのこぶの滑走路も滑れるかもしれません。」
なんとアカネはコブのはげしいモーグルらしき滑走路で滑り始めた。
「あら、こっちの方が面白いわね。」
あちこちのコブを見事な技術で次々に滑り降りていく。
半端ない運動神経だな。知ってたけど。
「ほら、ユージもやってみたら?面白いわよ?」
アカネが無理なことを言う。
「いや、俺は初心者コースで十分だ。アカネは上級者コースで滑っていてくれ。」
「そう?簡単なのに。」
それはアカネだからだよ。
皆慣れてくると徐々に傾斜のきつい上級コースに移り始めた。
「あら、これは楽しいですわね!ユージさんの故郷で流行っていたのもうなずけますわ」
レインがそんなことを言いながら見事なターンを決める。
「ふむふむ。結局は体幹操作だな。武術に通じるものがあるな。」
フレンダも早速こつを掴んだようだ。
なぜうちのクラスの女子は皆運動神経がいいんだろう?
ハッと後ろを振り向くと今度はアカネがモーグルでこぶからジャンプをしていた。
もうなんでもありだな・・。
「これ楽しいわ!なんか色々やりたくなっちゃう!」
アカネが満面の笑み。
まぁ楽しんでくれたらいいんだけどね。
俺はちょぼちょぼとボーゲンと少しだけパラレルの真似事をしながら、初心者コースの傾斜の緩いコースで一人滑っていた。
「ユージ君。なぜ君は武術はできるのに滑れないんだ?コツは同じだろう?」
フレンダが傍に来て言う。
「いや、足に何かくっついてるとなんかダメなんだよ。あと転ぶの怖いし・・。」
「?君はそんなこと比べ物にならないくらい修羅場をくぐってきているだろう?」
「いや、修羅場って・・それほどじゃない。とにかく、戦いとは別なんだよ・・。」
周りを見るとダース、ポール、ハウストの3人組も中級車コースで滑り始めワイワイと楽し気にやっている。
残されたのは俺だけ初級者コース。
アイリスが気遣って声をかけてくれる。
「ユージ君、大丈夫だよ?だんだんうまくなってきてるよ!」
アイリスは優しいなぁ・・。
「ああ、ありがとう。でも気を使わないでくれ。アイリスもどんどん上級コースに行ってくれて構わないから。」
「大丈夫だよ!私もまだ上級は怖いし・・ユージ君のそばにいるよ?」
なんか泣けそうだ。唯一の経験者なんだけどな・・。
俺はもう半ばヤケクソで足を揃えて滑り始めた・・
転ぶ・・滑る・・転ぶ・・
やがて・・
お?すこし・・揃って来たかもしれない・・。
「あらユージ?ちょっと上達したんじゃない?」
モーグルコースから滑降してきたアカネが言う。
「うーん、ちょっと転びまくったら恐怖心がなくなってきたみたいだ。」
「私はなんで転ぶのかわからないけど・・。まぁ、その調子で頑張ってね!」
というとまた上級コース、それもモーグルコースへ戻っていった。
ここではリフトの代わりに氷竜族がそれぞれのコースの開始地点まで運んでくれる。
一気に何十人も運べるから、ある意味、地球のリフトより効率がいいかもしれない。
そんな感じで初日は過ぎていった。
――――――――
宿にて。
「さすがコルトン家の宿だなぁ?豪華だぜ!」
ダースがそんな感想をもらす。
確かに・・エントランスも豪華だし、ちらっと見た部屋も中々ゴージャズだ。
温泉までついてるらしい。
まぁ温泉といっても魔石で温めただけで効能などはないだろうが、それでも皆は大喜びだった。
俺たちはスキーで疲れた体で食事を取った。
うん。さすが。うまい。肉中心だが肉汁があふれ出るような柔らかい肉に、ジューシーなソースがかけられている。これは・・なんらかのワインを使ったものだろうか?そんなものがここにあるとは思えないんだけど。
「このソースは発酵したサケから作ったらしいわよ。」
レインがそんな説明をしてくれた。
なるほど。日本の影響を受けてるならそんなことも可能なのか。
とにかく上手い。俺たちはあっという間に平らげてしまった。
食事の後は温泉だ。
ダースがそわそわしている。
「どうした?ダース?」
「おいおい・・こんな機会めったにないぜ?美少女揃いの我がクラスにアカネちゃんまでいるんだぜ?」
うん。正直惹かれる。
「いや、やっぱまずいだろう?見つかったらただじゃすまないぞ。」
「それを行くのが男ってもんだろ?」
うーん・・悩んだがとりあえず俺も温泉には同行することにした。
レインがある日そんなことを言った。
「スキー?ってこの前ユージが氷竜国に紹介したってやつか?」
ダースが興味深げに答える。
「ええ!そのスキーですわ!ようやく設備が整いましたの。コルトン家の財力とローム王国、氷竜国との総力を挙げた事業ですわ!」
「私は別に構わないが・・。いい鍛錬になりそうだしな。」
フレンダが言う。
「うんうん!ユージ君の話だと一大娯楽なんだって!楽しいかもね!」
アイリスが話に乗ってくる。
準備できたんだな。さすがコルトン家、仕事が早い。
結局、Bクラスからは、俺、アイリス、レイン、フレンダ、ダース、ポール、ハウストが参加することになった。
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食堂にてその話をすると。
「あら、私もやってみたいわ!」
アカネがさっそく食いついてきた。
「僕もやってみたい。地面滑るって新鮮。」
アイズもやる気のようだ。
「俺は魔王様への報告があるからな・・パスだ。」
キースが残念そうだ。
「まぁ、これからいくらでも行く機会はあるだろうけど、今回はコルトン家の全面支援で優雅に旅ができるみたいだぞ。」
「うんうん!みなで行こうよ!あ、キース君はまた今度ね?」
アイリスに改めて言われるとキースも残念そうだ。
アイリスのスキー姿可愛いだろうに。
「あ、そうそう。スキーの道具や服なんかは準備してくれるそうだ。俺たちは手ぶらでいけるらしい。」
「至れり尽くせりね。まぁまだスキーの道具なんて売ってないから借りるしかないけど。」
アカネが言う。
「まぁそのあたりも近いうちにコルトン家が取り仕切って売り始めるみたいだぞ。俺の国では、スキーの衣装って色々あって中々お洒落なんだ。」
「あら、そうなの?じゃあ自分で選んで買ってから行きたかったわ」
アカネが不満をもらす。
「まぁ、またそれは今度ってことで。今回は純粋にスキーを楽しもう。」
「いいわね!ユージ教えてくれるんでしょ?」
「いや・・俺はその・・教えられるような腕じゃない・・。」
「え?あなたの国の娯楽なんでしょ?なんでできないの?」
「俺はあまり外に出ないタチだったし・・その・・気鬱だからな。」
「そういえばそうだったわね。最近の戦いですっかり忘れてたわ。」
「じゃあみんなで上手くなればいいよ!楽しんでこよう?」
アイリスが朗らかに笑う。
そんなわけで俺たちはBクラスのメンバーにアカネ、アイズを加えて大人数でスキーに行くことになった。
――――――――
「なかなか乗りごごちがいいわね・・。」
氷竜族につられた客車に乗りながらアカネが感想をもらす。
「まぁ、空中だからな。地面を走る馬車とかと違うし。氷竜族の方も客商売ってことで気を使ってくれてるんだろう。」
「おいおい、大丈夫なのかよ!これ、落ちたら死ねるぜ!」
ダースは高いところが苦手なのか。
「ダース心配いらないよ。もう下は雪だよ。落ちても死ぬことはないだろ?」
大柄なポールがそう言ってダースを励ます。
「まぁ、落ちたら激突する前に飛び出せばいいさ!」
小柄なハウストはそんなことを言っている。
確かに敏捷なハウストならそんなこともできそうだな。
「我々は風魔法があるから大丈夫だな。」
いや、フレンダは体術で着地できそうだが。
「おほほ!皆さん心配し過ぎですわ!この客車は何重にも安全対策が取られたコルトン家自信の一品ですのよ!どうぞご安心くださいませ。」
レインが皆を安心させる。
「ねぇ・・そういえば私たち結構アイズの背中に乗ってるけど、あれって実は危ないよね?」
アイリスが思い出したように言う。
まぁ、戦闘中は必死でそれどころじゃなかったからな。
「皆心配しすぎよ!私たちはアイズの背中に乗って戦いまでしたんだからね!」
アカネがそんな妙な励まし方をする。
「そんなこといったってよう・・アカネちゃん」
ダースが情けない声を出す。
「僕はこっちの方が楽でいい。」
アイズはのんびりモードだ。
客車は氷竜族の体に幾重にも結ばれたロープで吊られている。
時折、風の影響か、揺れることがあるが馬車などに比べれな微々たるもんだ。
でも・・そういえば地球でも飛行機の事故率は最低と聞いたことがあるが。それでも飛ぶことを怖がる人がいるってのは、人間にとって空を飛ぶということは根源的な恐怖なのかもしれない。
――――――――
スキー場は予想以上に混雑していた。
あっという間に認知されたんだな。
さすがコルトン家の宣伝能力だ。
俺たちはいったん準備された宿にチェックインすると思い思いにくつろぎ始めた。
するとアイズが来て、
「ユージ。今使いの者が来て父上が会いたいと言ってる。」
と言って来た。
俺はアカネ、アイリス、アイズと共に王宮に出向いた。
王は待ち構えたように出迎えてくれた。
「ユージ殿!おかげでスキー事業も軌道にのりそうです!職にあぶれていたものたちも今は楽し気に働いています。ありがとうございました!」
「いやいや、それは僕だけの功績じゃないですよ。ローム王国やコルトン家の助けもあってこそです。」
「はは!いや、その通りですな。特にコルトン家の皆さまには、どう事業を立ち上げるか、また運営してゆくか教えていただきました。」
「それは何よりです。それでお体の具合はいかがですか?」
「アイリス殿のおかげでもうすっかり良くなりました。もう今から戦いにでもいけそうですわい!」
なんか元気すぎるような気もするが、これが王の本来の姿なのだろう。
「父上。無理はしないで。」
アイズが少し心配そうに言う。
「大丈夫だ!アイズよ!お主はユージ殿たちをしっかり守って勉強にも励むのだぞ!」
「うん。僕守る。それでベンキョーも頑張ってる。」
「アイズは本当に物覚えが早くて、もしかすると新学期早々クラスがあがるかもしれません。」
アカネが補足する。
「おお!そうですか!皆に遅れないようについていくのだぞ!」
「うん。大丈夫。父上。僕頭いいみたい。」
アイズがフンスッと答える。
確かにこの前の試験勉強でも出来が良かったしな・・
「ともあれ、お礼を申し上げます。この度はごゆるりとお過ごしくださせませい。」
王が朗らかに笑った。
王の病気も治って経済も回り始めた。
全てが良い方向に行きはじめたな。
これも『剣に選ばれものは弱きものを救い正義を行う』というホーンテッドの存在に応えているのだろうか。
――――――――
俺たちは王宮を辞すると早速皆とスキー場にいってみた。
リフトのようなものはないが代わりに氷竜族が運んでくれているようだ。
スキー場は俺の発案だが、氷竜族の力がなければなりたたないよな。
俺たちはレンタルのスキー板やスキー用の衣服を借りると簡単な講習を受けた。
「初めはハの字にして速度を押さえて滑ってみてください。慣れてきたら両足をそろえてスピードを上げていくことができます。」
俺たちは早速滑り始めた。
俺はこれでもかボーゲンだ。
スキー板をハの字にして上から恐る恐る降りてくる。
「ユージ君、それいいね。私も怖いからスピード押さえて滑ろうかな?」
アイリスが俺の真似をしてボーゲンで滑り始める。
アイズは運動神経がいいのか、すぐにパラレルで滑り始めた。さすが氷竜だな。
「ん。これ簡単。空飛ぶのに比べたら大したことない。」
その横でアカネが雪煙をあ上げながら滑走していく。
おいおい。もう覚えたのか?
「ユージ何やってるのよ。経験者なんでしょう?」
そう言われても・・怖いものは怖い。
そのそばではおっかなびっくりだがダースたちもパラレルで滑り始めた。
「ん・・まだ怖えがなんとかなりそうだな。」
「いや、これはコツを覚えたらいけるよ。楽しい。」
俊敏なハウストは呑み込みが早いようだ。
大柄のポールはいまだボーゲンもままならずあちこちで雪だるまになっている。
その隣を、レインとフレンダが滑り降りていく。
おいおい、俺の立場がないな・・唯一の経験者なのに。
「アカネちゃん、ちょっと俺に教えてくれないか?」
ここぞとばかりにダースがアカネにアプローチしている。
普通、スキーでのロマンスは男が女に教えるところから始まるんだが。
「仕方ないわね。滑れない人、こっちに集まりなさい。」
アカネ先生の授業が始まった。
「いい、膝を柔らかく使って体のバランスを保つの。方向転換は体重移動でできるみたいね。ほらやってみなさい。」
皆思い思いにアカネの教え通り滑ってみる。
だが言われてすぐにできれば苦労はしない。
しかしなんとアイリスが足をそろえて滑り始めた。
「うんうん。アカネの言う通りにしたらだんだんできようになってきたよ?」
「おいおい、アイリス・・。俺の立場がないんだけど・・。」
「うふふ・・。ユージ君が怖がり過ぎかもね?もう少し体重をかけてみたら?あと怖がらずに足をそろえてみたら意外といけるよ?」
俺は言われたとおりに体重をかけてみると・・今度は後方に盛大に転んでしまった。冷たい。
「ユージ!地面と垂直にするのよ。ほらこんな感じ。」
アカネが見事なターンを決めて俺の前に雪煙を上げて停止する。
しかし・・なんでもできる奴だなぁ・・アカネは。
「お?俺もなんか滑れるようになってきたぜ?」
ダースが徐々に足を揃えて滑り始める。
「こんな感じか?」
ポールまで・・。
やばい。滑れないのは俺だけになりそうだ。
「お客様。お客様ならあのこぶの滑走路も滑れるかもしれません。」
なんとアカネはコブのはげしいモーグルらしき滑走路で滑り始めた。
「あら、こっちの方が面白いわね。」
あちこちのコブを見事な技術で次々に滑り降りていく。
半端ない運動神経だな。知ってたけど。
「ほら、ユージもやってみたら?面白いわよ?」
アカネが無理なことを言う。
「いや、俺は初心者コースで十分だ。アカネは上級者コースで滑っていてくれ。」
「そう?簡単なのに。」
それはアカネだからだよ。
皆慣れてくると徐々に傾斜のきつい上級コースに移り始めた。
「あら、これは楽しいですわね!ユージさんの故郷で流行っていたのもうなずけますわ」
レインがそんなことを言いながら見事なターンを決める。
「ふむふむ。結局は体幹操作だな。武術に通じるものがあるな。」
フレンダも早速こつを掴んだようだ。
なぜうちのクラスの女子は皆運動神経がいいんだろう?
ハッと後ろを振り向くと今度はアカネがモーグルでこぶからジャンプをしていた。
もうなんでもありだな・・。
「これ楽しいわ!なんか色々やりたくなっちゃう!」
アカネが満面の笑み。
まぁ楽しんでくれたらいいんだけどね。
俺はちょぼちょぼとボーゲンと少しだけパラレルの真似事をしながら、初心者コースの傾斜の緩いコースで一人滑っていた。
「ユージ君。なぜ君は武術はできるのに滑れないんだ?コツは同じだろう?」
フレンダが傍に来て言う。
「いや、足に何かくっついてるとなんかダメなんだよ。あと転ぶの怖いし・・。」
「?君はそんなこと比べ物にならないくらい修羅場をくぐってきているだろう?」
「いや、修羅場って・・それほどじゃない。とにかく、戦いとは別なんだよ・・。」
周りを見るとダース、ポール、ハウストの3人組も中級車コースで滑り始めワイワイと楽し気にやっている。
残されたのは俺だけ初級者コース。
アイリスが気遣って声をかけてくれる。
「ユージ君、大丈夫だよ?だんだんうまくなってきてるよ!」
アイリスは優しいなぁ・・。
「ああ、ありがとう。でも気を使わないでくれ。アイリスもどんどん上級コースに行ってくれて構わないから。」
「大丈夫だよ!私もまだ上級は怖いし・・ユージ君のそばにいるよ?」
なんか泣けそうだ。唯一の経験者なんだけどな・・。
俺はもう半ばヤケクソで足を揃えて滑り始めた・・
転ぶ・・滑る・・転ぶ・・
やがて・・
お?すこし・・揃って来たかもしれない・・。
「あらユージ?ちょっと上達したんじゃない?」
モーグルコースから滑降してきたアカネが言う。
「うーん、ちょっと転びまくったら恐怖心がなくなってきたみたいだ。」
「私はなんで転ぶのかわからないけど・・。まぁ、その調子で頑張ってね!」
というとまた上級コース、それもモーグルコースへ戻っていった。
ここではリフトの代わりに氷竜族がそれぞれのコースの開始地点まで運んでくれる。
一気に何十人も運べるから、ある意味、地球のリフトより効率がいいかもしれない。
そんな感じで初日は過ぎていった。
――――――――
宿にて。
「さすがコルトン家の宿だなぁ?豪華だぜ!」
ダースがそんな感想をもらす。
確かに・・エントランスも豪華だし、ちらっと見た部屋も中々ゴージャズだ。
温泉までついてるらしい。
まぁ温泉といっても魔石で温めただけで効能などはないだろうが、それでも皆は大喜びだった。
俺たちはスキーで疲れた体で食事を取った。
うん。さすが。うまい。肉中心だが肉汁があふれ出るような柔らかい肉に、ジューシーなソースがかけられている。これは・・なんらかのワインを使ったものだろうか?そんなものがここにあるとは思えないんだけど。
「このソースは発酵したサケから作ったらしいわよ。」
レインがそんな説明をしてくれた。
なるほど。日本の影響を受けてるならそんなことも可能なのか。
とにかく上手い。俺たちはあっという間に平らげてしまった。
食事の後は温泉だ。
ダースがそわそわしている。
「どうした?ダース?」
「おいおい・・こんな機会めったにないぜ?美少女揃いの我がクラスにアカネちゃんまでいるんだぜ?」
うん。正直惹かれる。
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うーん・・悩んだがとりあえず俺も温泉には同行することにした。
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事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
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この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
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そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
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最強無敗の少年は影を従え全てを制す
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不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
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