無職メンヘラ男が異世界でなりあがります

ヒゲオヤジ

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第三章

温泉、そして・・

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温泉にて。

「アカネさん、本当に肌綺麗ですわね?」
レインがアカネの裸を見て言う。

「レインの体には負けるわよ・・まったくどうしたらそんなに育つの?」

「おほほ・・家の食事のおかげかしら?」

「でもフレンダちゃんも締まったいい体してるよ?」
アイリスが言う。

「私は武術で鍛えているからな。女性的な起伏には富んでいない。」

「大丈夫だよ。出てるとこは出てるし。むしろ色っぽいかも。」

「アイリスこそ、いい体じゃないか。出るところと締まっているところがきちんとしていて女性らしい体をしている。私が男だったらたまらないな。」

「僕全然ない。出てる方がいいの?」
アイズがそんな疑問を呈す。

「アイズはそのままで可愛いからいいんだよ?そのうち大きくなるかもしれないしね?」
アイリスがフォローしている。

・・俺たちはそんな会話を隣の男湯で聞いていた。

「おいおい、レインの体すげーってよ?」
ポールが興奮している。

「俺は意外とフレンダの体に惹かれるな・・鍛え抜かれた体・・うう・・見てみたい!」
ハウストが言う。

「おいおい、お前ら何言ってんだ!ここはやっぱりアカネちゃんだろう?」
ダースが勢いよく断言する。
一番危険だぞ。見つかったら。多分。

「しかしアイリスの体も見てみて―なぁ・・学園の女神の体・・うう。たまらん!」
ポールが言う。
いつもよりテンション高いな。

「おお!アイリスもいいな!制服の上からでもわかる胸の形に締まった腰・・俺も見てえぜ!」
ダースがちょっと浮気する。女性の裸の前にはいつもアカネ一筋のダースも揺れ動くようだ。

「とにかくこの板壁を越えたら全部見れるんだ。なんとか超えられねぇかなぁ・・」
ハウストが高い壁を見て言う。

多分風魔法ならいけると思うぞ?

でも言ったら後々怖いので黙っておこう。

「おお、これみろよ?なんか木板の隙間に小さな穴があるぜ?」
目ざといハウストがそんなものを見つけてきた。

「おお!良くやったな!ハウスト!これで美神たちの姿がおがめるぜ・・」
ダースはもう興奮しまくっている。

「まずは俺だ!レインの体をおがませろ!」
大柄なポールが皆を押しのけて覗こうとする。

「おい・・やっぱり後がこわすぎるぞ・・やめといた方がいいんじゃないか?」
俺は恐る恐るそう忠告してみるが。

「馬鹿野郎!ユージ!こんな機会はもう二度とないかも知れないんだぜ!」
ダースが噛みついてきた。

・・多分ばれたら一生アカネとはうまく行かないぞ。

「とにかく俺は行く!順番だ!」
ポールが穴に顔を近づける。

「何言ってんだ!俺が見つけたんだぞ!俺が先だ!」
ハウストも引き下がらない。
小柄ながら気が強いな。

「ここで争っても始まらねぇ!まずは順番だ!」
ダースがリーダーシップを発揮する。

「お、他にも穴があるぜ?これなら一緒に覗けるんじゃないか?」
ハウストは本当に目ざといな。

「よしよくやった!ハウスト!じゃあ一緒に行くぜ!」
結局ダースが先頭切って穴に向かう。

・・・

・・そして。

「あちちちち!」

ダースたちが目を押さえて転げまわっていた。

「馬鹿ね。あんたたちの考えてることなんてお見通しよ!」

どうやらアカネの炎で目をやられたようだ。

「あはは・・アカネ、お手柔らかにね?」
アイリスが心配そうに言う。

「あんたたちはしばらく火傷で苦しみなさい!アイリス、ヒールしちゃダメよ?」

「うーん・・仕方ないね。皆少し我慢してね?」

・・やっぱり参加しなくて良かった。

「ちょっとユージ!いるんでしょう?まさかあなたも覗きに参加してないでしょうね?」

「いや、俺はダースたちを見てただけだ。」

「ユージといえども容赦しないからね!」

「わかったよ・・。」
少し見たかったけど。

とりあえず、転げまわるダースたちをよそに俺はゆっくり風呂につかることにした。

――――――――

温泉後。

アイリスはやっぱり放っておけなかったらしく、ダースたちにヒールをかけてあげていた。

「もう!アイリスってば!放っておけばいいのよ!」

「うーん・・でもかわいそうだよ?男の子はこういうもんだって聞いたことあるし・・?」
といって苦笑いするアイリス。

やっぱりアイリスは優しいな。

俺は風呂上がりの体を浴衣らしき服に包み涼んでいた。
こんなところにも信長様の影響があるのだろうか?

風呂上がりの体に風が心地よい。
もっとも長い間風に吹かれていると寒気にやられそうな感じだけど。
なにせ氷竜の国だし。

「ユージちょっとこっち見てみてよ!」
アカネに呼ばれて行ってみる。

「おお・・ダイヤモンドダストだ・・。また見れたな。」

「ダイヤモンドダスト?」

「ああ、一定以上温度が下がると水蒸気・・空気の中の水が凍ってこういう現象が見れるんだ。」

「へぇ・・ユージの国でも見れるの?」

「いや、俺のいたところは比較的温暖だったからなぁ・・ローム王国ほどじゃないけど。あ、でも国の北までいけば見られるかもな。」

「本当、ユージの国って興味深いわ。」

「いつかアカネを連れていきたいよ。」

「ふふ、いいわよ。ついていってあげる。」

浴衣姿のアカネはいつもとは違った趣で美しかった。

「それでどう?このユカタ?だっけ?ユージの国にあったんでしょう?」

「ああ、俺の国では温泉宿だと大体置いてあるな。」

「どう?似合う?」

「ああ、綺麗だよ。いつものアカネと違って和風だ。」

「ワフーって何?」

「ああ、俺の国の日本の美を和風って言うんだ。もっとも俺の国には緋色の髪の女の子はいないけどな。」

「私が行ったら目立っちゃうわね。」

「アカネは緋色の髪が良く似合ってるから人気出ると思うなぁ・・。」

「ふふ、ありがとう。」

本当に人気でそうだ。別に俺がどうこうできるわけじゃないけど。

「・・で。和風美人の私はどう?」

「ああ、見惚れるよ。」

「・・ホント、ユージって普段はボケっとしてるのにそういうことはしれっと言うのね?」

「正直なんだ。そのおかげで苦労してきたけど。」

「ふふ、でもありがとう。」

そんな会話をしながら俺たちは楽しい時間をすごしていた。

ダースすまん。

――――――――

翌日。

俺たちは再度スキーに挑戦していた。

最も、俺意外は皆大体滑れるようになっていたので、挑戦してるのは俺だけだったけど。

「ユージ君、だいぶ滑れるようになってきたね?」
アイリスが傍にきて言う。

「うーん、でもまだおっかなびっくりだよ。」

「大丈夫だよ。だんだん形になってきてるからね?」

「ありがとうアイリス。もう俺のことは放っておいて上級に行ってくれていいよ?」

「うん。まだ私も少し怖いけど・・じゃあ少し上に行ってみるね?」
アイリスはそういうと氷竜のゴンドラに乗って上に向かっていった。

さて、俺はもう少し初級コースで練習だな・・

「ユージ君。まだ初級コースなのか?」
上から颯爽と滑ってきたフレンダにそう声をかけられた。

「ああ、もう少しで中級くらいには行けそうなんだが・・中々足揃えて滑るのが怖くて・・。」

「ふふ。道場とは大違いだな。」

「武術とはやっぱり違うよ。なんかどこまでも滑り落ちていくような怖さがある。」

「いや、そう変わらないと思うぞ?要は心身のバランスだからな?」

「そうは言ってもなぁ・・」

「ところでここのスキー場はユージの知っているものと比べてどうなんだ?」

「ああ、よくできてると思うよ。氷竜族の皆さんが運んでいるのは違う点だけど・・雪質もいいし、いいスキー場だと思う。」

「そうか。ならばこれからも繁盛しそうだな。」

「あら、それは何よりですわ。ユージさん他に気づいたことはなくて?」
レインが来て聞いてきた。

「うーん・・そうは言ってもなぁ・・。俺もそんなに経験あるわけじゃないし・・。宿も良くできてるし・・。あ、氷竜王には言ったんだけど、スノーボードっていうのがあってそれも流行るかもしれないな。」

「すのうぼうど?それはどういうものですの?」

俺は簡単にスノーボードについてレインに説明した。

「あら、それは面白そうですわね。今度父上に話してみようかしら。」

「ああ、そうそう。スキーの衣装なんだけど、もっとカラフルにしたほうがいいかもしれない。俺の国ではスキーウェアって言ってそれだけで大きな事業になってるんだ。」

「わかりましたわ!スキーウェアですね!」
レインはいつも家の事業のことを考えているなぁ・・・さすがコルトン家の令嬢だ。
もっとも誘拐されたときのしょげたレインよりこっちの方が全然いいけど。

「あとは・・そうだなぁ・・ジャンプ台とか色々あるけど、結局まとめると滑るところの形を色々変えるといいかもしれない。」

「スキーでジャンプ?それも面白そうですわね?」

「ああ、俺の国ではそれだけで大きな競技大会が開かれるくらいなんだ。」

「それも参考にさせていただきますわ!ユージさんありがとうございます!」

お役に立てたのなら何よりだ。

「ユージ!あなたまだこんなところにいるの?」
アカネが颯爽と滑り降りてきた。

「ユージ。僕もう滑れるようになった。教えてあげる。」
アイズは元々氷竜だから飲み込みが早いだろう。

「そうだな・・アカネはもう上級者すぎるからアイズに教えてもらおうか。」

「うん。僕教える。」
アイズがフンスッと気合を入れる。

そして・・

「ユージ、それ違う。なんかユージ体が後ろに傾いてる。」

「そうは言ってもな・・ついつい後ろに行っちゃうんだよ。転んだとき怖いだろう?」

「前に体重かけたほうが滑りやすい。僕ベンキョーした。」

上手い人はそうなんだよなぁ・・。

でも初心者はついつい後ろにバランスを取り過ぎてスピードが出すぎちゃったりコントロールが効かなくなる。

しばらくアイズに教えてもらっていると、周囲の人々がざわざわし始めた。

何かあったのか?

「熊の魔獣だ!フットベアーが出たぞ!」

!!

「アイズ!すぐに皆をここへ連れてきてくれ!」

「わかった!」
アイズは人間体のまま翼だけ出すと皆のもとへ飛んでいった。

俺は係の人に聞きに行く。

「熊の魔獣が出たんですか?何匹ですか?」

「何匹どころじゃないよ!百匹くらいの規模だ!」

これはやばいな・・もしかして!

やがて皆が集まってきた。

ダースは剣士、ポールは弓使い、ハウストはナイフ使いだが、皆武器は持ってきていない。
フレンダも剣を使えるが持ってはいない。

「ユージ、熊の魔獣だって?」
ダースがせき込んで聞いてくる。

「ああ、百匹規模だそうだ。もしかすると・・他にも魔獣が来ている可能性がある。」

「どういうことだ?」

「今はまだわからない。少し様子を見てみないと。」
俺はそういうと、

「アカネ、アイズ、アイリスは俺と来てくれ!」

「わかったわ!」「わかった。」「うん、わかったよ!」
アカネ、アイズ、アイリスが答える。

「皆は他のお客さんの守りと避難誘導を頼む!」

「あ、ああ、わかったぜ!ユージ!クマの魔獣は皮が厚い!切りつけるより突きだ!」
それだけ言うと、ダースたちが他のお客さんのところに向かう。

「そんな・・せっかくのスキー場ですのに・・」
レインが悲しそうに言う。

「レイン、これは自然現象じゃないかもしれない。レインも皆と一緒に避難してくれ!レインに何かあったらせっかくの氷竜族の事業が台無しだ!」

「え、ええ。わかりましたわ!」

さて、行くか!
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