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第三章
スキー場その後
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「ユージ!ユージ!もういつもこうなんだから・・」
アカネが心配そうに俺を抱きかかえる。
しかし、今回は雷閃でダメージを受けた傷が大きく、立ち上がれない。
全身に火傷を負っていた。
「ユージ君、ちょっと待ってね!ヒール!」
アイリスのヒールで体が癒されるが、動けない。
「アカネもアイズも傷受けてるじゃない!みんなまとめて治すよ!エリア・ヒール!」
今回は俺たち全員が負傷者になってしまった。
特に俺は何度も攻撃を喰らってしまったせいか簡単に治りそうもない。
「悪い・・アイリス・・ちょっと休ませてくれ・・。」
それだけ言うと・・俺は気を失った。
その後は皆で戦後処理に当たった。
残敵の掃討はほぼ終わっていたが、スキー場の施設がいささかダメージを受け、氷竜族を始め皆も修復の手伝いにあたった。
俺は宿でしばらくアイリスのヒールを受け続け、なんとか立ち上れるようになった。
「ユージ君、王様が来てるよ!」
アイリスが教えてくれる。
「ああ、通してくれ。」
包帯だらけの体じゃ失礼かなとも思ったが、そんなこと言ってられないだろう。
「ユージ殿。前回に続き、今回もまことにありがとうございました。深く御礼を申し上げます。」
「いやいや、今回も仲間のおかげですよ。」
「そうは言っても・・今回はユージ殿の傷が一番深いですぞ。この度は氷竜族に伝わる秘薬を持ってまいりました。通常、凍傷に使うものですが火傷にも効くはずです。」
「助かります。使わせていただきます。」
「今後は警備をより厳重にいたしましょう。では長話もなんですから私はこれで。傷が癒えたら是非王宮までお越しくだされ。」
「わかりました。心配をおかけして申し訳ございません。」
王は微笑むと立ち去っていった。
「ユージ君、私をかばってこんなことに・・もう私は自分の無力が情けないよ・・。」
アイリスが涙を浮かべながら氷竜族の薬を塗ってくれる。
「あ、いた!いたた!アイリス、もう少し優しく塗ってくれ!」
「ご・・ごめん。これでも優しく塗っているつもりなんだけど。」
「まったく・・戦いのあとはいつもこうね、あなたは。」
アカネがやってきた。
「それでそう?具合は?」
「ああ、アイリスのおかげでだいぶ良くなった。もう立ち上がれるんだが何せ体中が痛くて。」
アカネは薬を塗っているアイリスを見ると、
「アイリス、あなたも休んでいないでしょう?私が代わるわ。」
と薬をアイリスから受け取った。
「うん。じゃあちょっと休ませてもらうね?ユージ君、また来るからね?」
アイリスは自室にさがっていった。
「本当に仕方ないことだとはいえ、あなたは、まったくもう・・でもアイリスを守ってくれてありがとう・・。」
ふと見るとアカネの目にも涙が浮かんでいた。
「アカネ・・」
「大丈夫よ。」
アカネは涙をぬぐうと。
「今回は私も無力さを思い知らされたわ。もっと修練して皆を守れるようになってみせる!」
いや、今回もほぼアカネとアイズが敵を倒してくれたんだが。
「ユージ、具合はどう?」
アイズがやってきた。
「ああ、心配かけたな。アイズも今回は大活躍だったな。」
「うん。ヒューリックの氷槍を見てからずっと練習してた。息吹だけじゃ足りないと思ってたから。」
今回のアイズの氷槍《アイシクル・ランス》はフットベアーのみならず、ダークエルフも蹂躙した。今回の殊勲者はアイズかもしれない。
「しかし・・毎回戦いのあとは俺こんな感じだなぁ。何とかしたいんだけど。」
「今回はアイリスをかばってのケガでしょう?仕方ないわよ。」
とアカネが優しく薬を塗ってくれる。
なんかドキドキする。
しかし、あの時はとっさに体が動いたからな・・。
アイリスが無事でよかった。
Bクラスの皆は先に帰ることになった。
――――――――
俺は数日静養するとだいぶ良くなったので、一人で王宮へでかけた。
「おう、ユージ殿!もうお体はよろしいので?」
「はい、おかげさまでだいぶ良くなりました。」
「前回の反乱軍鎮圧に加え、この度の功績・・もはやどうお礼をすればよいのかわかりませんな・・。」
「いえいえ。僕は今回の事業の発案者ですから。スキー場が復活して良かったです。」
来るときにちらっとみたがスキー場はもとの喧騒を取り戻しているようだった。
「おかげさまで、ですな。今後は一般人の氷竜族だけでなく兵士も配置することにいたしました。」
「それが良いでしょう。ここは氷竜国、ローム王国、そしてコルトン家の絆の証ですから。」
「ふむ・・前回は氷竜の指輪を差し上げたが、今回は何を差し上げたらよいものやら・・」
「いや、何もいりません。今回、敵のテイマーは僕たちの敵でもありましたから。」
「むう・・重ね重ね取り逃がしたのは悔しいですな・・。」
「今回、赤竜の一匹が指示も聞かずにテイマーを連れ去っていきました。あの一匹は特別に見えましたが・・」
「ふむ・・それはテイムされたものではなく、長い時を一緒に過ごしたドラゴンでしょう。主人の危機に自分の意志で動いたのでしょうな。」
なるほど。忠誠心が他の魔獣とは違うというわけか。
「おう!そうだ!今回の報酬ですが、名誉騎士の位を授けましょう!」
名誉騎士?
「名誉騎士とは騎士ではないものが武功を上げた時に授けされるものです。ギルドランクに影響いたします。これは各国で共有されているので今後活動されるときにお役に立つでしょう。」
なるほど。それは助かるな。
「本来はもっとユージ殿には報いたいのですがなにせ我が国は貧乏でして・・」
「ありがとうございます。騎士の叙勲だけで十分です。助かります。」
今後、ギルドで活動するときに役にたってくれるだろう。
「では引き続き、アイズのことをよろしくお願いいたします。あれはいつまでも子供でして・・」
「いやいや。今回はアイズも大活躍してくれました。氷槍という技でダークエルフを掃討してくれましたし。」
「なんと!氷槍!確かヒューリックの得意技だったはず・・。」
「ええ。それを自分で習得したようです。学園での勉強も進んでいるようですし、アイズは才能があります。」
「そうですか・・いや、それが聞けただけでも良かった・・。アイズも成長しているんですな・・」
「ええ。間違いなく。僕たちのパーティーには欠かせない存在ですよ。」
「ユージ殿。ありがとうございます。引き続き、アイズを教えてやってくだされ・・。」
「僕にできることがあるかはわかりませんが・・これからもアイズと共にありたいと思います。」
「それだけで十分です。ではよろしくお願い申す。」
「かしこまりました。」
俺はそこで王の前を辞した。
――――――――
「ユージ、王様との面会はどうだった?」
アカネが聞いてきた。
「ああ、名誉騎士っていう位をもらったよ。まだ実はよくわかってないんだけど。」
「すごいじゃない!それは兵士以外の一般市民が武功を挙げた時に与えられるものよ!滅多に授けられるものじゃないわ!」
貴重なものなのか。ギルドランクに影響するだけだと思った。
「まぁ、俺としてはギルドランクに影響する方がありがたいんだけど。」
「そっちも考慮されるはずよ。でも考えてみたらユージの武功を考えたら当然かもね。」
アカネはなんだか嬉しそうだ。
「すごいね!ユージ君!今までの功が認められたんだね!」
アイリスも喜んでくれた。
「うーん、まだ実感はないんだけど。とりあえずスキー場が存続できるみたいで良かったよ。」
「スキー場は大丈夫。僕警備の兵士に聞いてきた。」
アイズが答える。
アイズは氷竜族に慕われてるみたいだしな。気楽に聞きにいったんだろう。
「それは良かった。今回は危うく共同事業を潰されるところだったからな。まったく『蒼狼の会』も嫌なところをついてくるな。」
「今後も『蒼狼の会』との戦いはあるでしょうね・・私もより力をつけるわ!」
アカネが気合を入れている。
「私ももっと魔法の練習するよ!守ってもらってばかりじゃだめだもん!今回はユージ君に迷惑かけちゃったし。」
アイリスも同調する。
「僕ももっと強くなる。どうすればいいのかわからないけど。」
とりあえずアイズも同調した。
「アイズは今のままでも十分だと思うぞ?とりあえず今度の学期で上のクラスに上がれるといいな。お父さんも喜ぶだろう?」
「うん。僕ベンキョーも頑張る!」
みなとりあえず決意を新たにしたな。
俺もより磨きをかけよう。
――――――――
俺たちは氷竜族の客車で帰ることになった。
アイズに乗っても良かったのだが、一応危険と言うことで氷竜族に吊られて帰ることにしたのだ。
「僕はこっちの方が楽でいい。」
アイズは楽しそうだ。
自分で飛ぶのとは違った楽しさがあるんだろう。来るときも楽そうだったし。
「それにしても・・テイマーは厄介ね。」
アカネが思い出したように言う。
「ああ。常に魔獣やドラゴンを従えているからな。今回はダークエルフまで連れていた。まずはテイマー自身に近づくことが一苦労だ。」
「何とか捕らえられないものかしら・・」
「今回はその直前までいけたんだけどな。忠誠心の高いドラゴンに邪魔されてしまった。」
「忠誠心?テイムされたドラゴンにそんなものがあるの?」
「ああ、どうやら長い時を共に過ごしたドラゴンみたいなんだ。主人の危機を見て素早く守りに入ったんだろう。」
「うーん、本当になかなかうまくいかないわね・・」
「だが、今度こそ、とらえて見せる。あいつは『蒼狼の会』の幹部らしいからな。」
「そうね・・末端はいくらでも捕らえられてるけど、中々中枢にはたどり着けないものね。」
「ああ。『蒼狼の会』の全容の一端でも知るためにあのテイマーは必要な奴だ。」
「まぁでも無理しないでよ?今回も相当傷は深かったんだから・・。」
アカネが心配そうに顔を覗き込む。
「ああ、気を付けるけど・・戦いの最中にそうも言ってられないからな。」
「本当、あなたって戦いのときは別人よね。スキー場で転んでた人と一致しないわ。」
といってアカネは笑った。
「まぁ、そっちが素なんだ。戦闘中は・・たまたまだ。」
すると、治療で疲れていたアイリスが起きてきた。
「うん・・?ユージ君、アカネ?ああ、ここはもう帰りの中なんだね・・寝ぼけちゃったよ。」
「アイリス、もう何も心配いらない。ゆっくり休んでくれ。」
「うん。じゃあそうさせてもらうね・・。すぅ・・」
アイリスは俺の隣に座っていたため、やがて顔が肩にもたれてきた。
うーん、役得だけど、アカネの目が痛い。
「ま、まぁとりあえずは王国に帰ったら報告だ。今回は色々あったからな。」
俺はそういうと話を打ち切り、傷だらけの体を横たえた。
アカネが心配そうに俺を抱きかかえる。
しかし、今回は雷閃でダメージを受けた傷が大きく、立ち上がれない。
全身に火傷を負っていた。
「ユージ君、ちょっと待ってね!ヒール!」
アイリスのヒールで体が癒されるが、動けない。
「アカネもアイズも傷受けてるじゃない!みんなまとめて治すよ!エリア・ヒール!」
今回は俺たち全員が負傷者になってしまった。
特に俺は何度も攻撃を喰らってしまったせいか簡単に治りそうもない。
「悪い・・アイリス・・ちょっと休ませてくれ・・。」
それだけ言うと・・俺は気を失った。
その後は皆で戦後処理に当たった。
残敵の掃討はほぼ終わっていたが、スキー場の施設がいささかダメージを受け、氷竜族を始め皆も修復の手伝いにあたった。
俺は宿でしばらくアイリスのヒールを受け続け、なんとか立ち上れるようになった。
「ユージ君、王様が来てるよ!」
アイリスが教えてくれる。
「ああ、通してくれ。」
包帯だらけの体じゃ失礼かなとも思ったが、そんなこと言ってられないだろう。
「ユージ殿。前回に続き、今回もまことにありがとうございました。深く御礼を申し上げます。」
「いやいや、今回も仲間のおかげですよ。」
「そうは言っても・・今回はユージ殿の傷が一番深いですぞ。この度は氷竜族に伝わる秘薬を持ってまいりました。通常、凍傷に使うものですが火傷にも効くはずです。」
「助かります。使わせていただきます。」
「今後は警備をより厳重にいたしましょう。では長話もなんですから私はこれで。傷が癒えたら是非王宮までお越しくだされ。」
「わかりました。心配をおかけして申し訳ございません。」
王は微笑むと立ち去っていった。
「ユージ君、私をかばってこんなことに・・もう私は自分の無力が情けないよ・・。」
アイリスが涙を浮かべながら氷竜族の薬を塗ってくれる。
「あ、いた!いたた!アイリス、もう少し優しく塗ってくれ!」
「ご・・ごめん。これでも優しく塗っているつもりなんだけど。」
「まったく・・戦いのあとはいつもこうね、あなたは。」
アカネがやってきた。
「それでそう?具合は?」
「ああ、アイリスのおかげでだいぶ良くなった。もう立ち上がれるんだが何せ体中が痛くて。」
アカネは薬を塗っているアイリスを見ると、
「アイリス、あなたも休んでいないでしょう?私が代わるわ。」
と薬をアイリスから受け取った。
「うん。じゃあちょっと休ませてもらうね?ユージ君、また来るからね?」
アイリスは自室にさがっていった。
「本当に仕方ないことだとはいえ、あなたは、まったくもう・・でもアイリスを守ってくれてありがとう・・。」
ふと見るとアカネの目にも涙が浮かんでいた。
「アカネ・・」
「大丈夫よ。」
アカネは涙をぬぐうと。
「今回は私も無力さを思い知らされたわ。もっと修練して皆を守れるようになってみせる!」
いや、今回もほぼアカネとアイズが敵を倒してくれたんだが。
「ユージ、具合はどう?」
アイズがやってきた。
「ああ、心配かけたな。アイズも今回は大活躍だったな。」
「うん。ヒューリックの氷槍を見てからずっと練習してた。息吹だけじゃ足りないと思ってたから。」
今回のアイズの氷槍《アイシクル・ランス》はフットベアーのみならず、ダークエルフも蹂躙した。今回の殊勲者はアイズかもしれない。
「しかし・・毎回戦いのあとは俺こんな感じだなぁ。何とかしたいんだけど。」
「今回はアイリスをかばってのケガでしょう?仕方ないわよ。」
とアカネが優しく薬を塗ってくれる。
なんかドキドキする。
しかし、あの時はとっさに体が動いたからな・・。
アイリスが無事でよかった。
Bクラスの皆は先に帰ることになった。
――――――――
俺は数日静養するとだいぶ良くなったので、一人で王宮へでかけた。
「おう、ユージ殿!もうお体はよろしいので?」
「はい、おかげさまでだいぶ良くなりました。」
「前回の反乱軍鎮圧に加え、この度の功績・・もはやどうお礼をすればよいのかわかりませんな・・。」
「いえいえ。僕は今回の事業の発案者ですから。スキー場が復活して良かったです。」
来るときにちらっとみたがスキー場はもとの喧騒を取り戻しているようだった。
「おかげさまで、ですな。今後は一般人の氷竜族だけでなく兵士も配置することにいたしました。」
「それが良いでしょう。ここは氷竜国、ローム王国、そしてコルトン家の絆の証ですから。」
「ふむ・・前回は氷竜の指輪を差し上げたが、今回は何を差し上げたらよいものやら・・」
「いや、何もいりません。今回、敵のテイマーは僕たちの敵でもありましたから。」
「むう・・重ね重ね取り逃がしたのは悔しいですな・・。」
「今回、赤竜の一匹が指示も聞かずにテイマーを連れ去っていきました。あの一匹は特別に見えましたが・・」
「ふむ・・それはテイムされたものではなく、長い時を一緒に過ごしたドラゴンでしょう。主人の危機に自分の意志で動いたのでしょうな。」
なるほど。忠誠心が他の魔獣とは違うというわけか。
「おう!そうだ!今回の報酬ですが、名誉騎士の位を授けましょう!」
名誉騎士?
「名誉騎士とは騎士ではないものが武功を上げた時に授けされるものです。ギルドランクに影響いたします。これは各国で共有されているので今後活動されるときにお役に立つでしょう。」
なるほど。それは助かるな。
「本来はもっとユージ殿には報いたいのですがなにせ我が国は貧乏でして・・」
「ありがとうございます。騎士の叙勲だけで十分です。助かります。」
今後、ギルドで活動するときに役にたってくれるだろう。
「では引き続き、アイズのことをよろしくお願いいたします。あれはいつまでも子供でして・・」
「いやいや。今回はアイズも大活躍してくれました。氷槍という技でダークエルフを掃討してくれましたし。」
「なんと!氷槍!確かヒューリックの得意技だったはず・・。」
「ええ。それを自分で習得したようです。学園での勉強も進んでいるようですし、アイズは才能があります。」
「そうですか・・いや、それが聞けただけでも良かった・・。アイズも成長しているんですな・・」
「ええ。間違いなく。僕たちのパーティーには欠かせない存在ですよ。」
「ユージ殿。ありがとうございます。引き続き、アイズを教えてやってくだされ・・。」
「僕にできることがあるかはわかりませんが・・これからもアイズと共にありたいと思います。」
「それだけで十分です。ではよろしくお願い申す。」
「かしこまりました。」
俺はそこで王の前を辞した。
――――――――
「ユージ、王様との面会はどうだった?」
アカネが聞いてきた。
「ああ、名誉騎士っていう位をもらったよ。まだ実はよくわかってないんだけど。」
「すごいじゃない!それは兵士以外の一般市民が武功を挙げた時に与えられるものよ!滅多に授けられるものじゃないわ!」
貴重なものなのか。ギルドランクに影響するだけだと思った。
「まぁ、俺としてはギルドランクに影響する方がありがたいんだけど。」
「そっちも考慮されるはずよ。でも考えてみたらユージの武功を考えたら当然かもね。」
アカネはなんだか嬉しそうだ。
「すごいね!ユージ君!今までの功が認められたんだね!」
アイリスも喜んでくれた。
「うーん、まだ実感はないんだけど。とりあえずスキー場が存続できるみたいで良かったよ。」
「スキー場は大丈夫。僕警備の兵士に聞いてきた。」
アイズが答える。
アイズは氷竜族に慕われてるみたいだしな。気楽に聞きにいったんだろう。
「それは良かった。今回は危うく共同事業を潰されるところだったからな。まったく『蒼狼の会』も嫌なところをついてくるな。」
「今後も『蒼狼の会』との戦いはあるでしょうね・・私もより力をつけるわ!」
アカネが気合を入れている。
「私ももっと魔法の練習するよ!守ってもらってばかりじゃだめだもん!今回はユージ君に迷惑かけちゃったし。」
アイリスも同調する。
「僕ももっと強くなる。どうすればいいのかわからないけど。」
とりあえずアイズも同調した。
「アイズは今のままでも十分だと思うぞ?とりあえず今度の学期で上のクラスに上がれるといいな。お父さんも喜ぶだろう?」
「うん。僕ベンキョーも頑張る!」
みなとりあえず決意を新たにしたな。
俺もより磨きをかけよう。
――――――――
俺たちは氷竜族の客車で帰ることになった。
アイズに乗っても良かったのだが、一応危険と言うことで氷竜族に吊られて帰ることにしたのだ。
「僕はこっちの方が楽でいい。」
アイズは楽しそうだ。
自分で飛ぶのとは違った楽しさがあるんだろう。来るときも楽そうだったし。
「それにしても・・テイマーは厄介ね。」
アカネが思い出したように言う。
「ああ。常に魔獣やドラゴンを従えているからな。今回はダークエルフまで連れていた。まずはテイマー自身に近づくことが一苦労だ。」
「何とか捕らえられないものかしら・・」
「今回はその直前までいけたんだけどな。忠誠心の高いドラゴンに邪魔されてしまった。」
「忠誠心?テイムされたドラゴンにそんなものがあるの?」
「ああ、どうやら長い時を共に過ごしたドラゴンみたいなんだ。主人の危機を見て素早く守りに入ったんだろう。」
「うーん、本当になかなかうまくいかないわね・・」
「だが、今度こそ、とらえて見せる。あいつは『蒼狼の会』の幹部らしいからな。」
「そうね・・末端はいくらでも捕らえられてるけど、中々中枢にはたどり着けないものね。」
「ああ。『蒼狼の会』の全容の一端でも知るためにあのテイマーは必要な奴だ。」
「まぁでも無理しないでよ?今回も相当傷は深かったんだから・・。」
アカネが心配そうに顔を覗き込む。
「ああ、気を付けるけど・・戦いの最中にそうも言ってられないからな。」
「本当、あなたって戦いのときは別人よね。スキー場で転んでた人と一致しないわ。」
といってアカネは笑った。
「まぁ、そっちが素なんだ。戦闘中は・・たまたまだ。」
すると、治療で疲れていたアイリスが起きてきた。
「うん・・?ユージ君、アカネ?ああ、ここはもう帰りの中なんだね・・寝ぼけちゃったよ。」
「アイリス、もう何も心配いらない。ゆっくり休んでくれ。」
「うん。じゃあそうさせてもらうね・・。すぅ・・」
アイリスは俺の隣に座っていたため、やがて顔が肩にもたれてきた。
うーん、役得だけど、アカネの目が痛い。
「ま、まぁとりあえずは王国に帰ったら報告だ。今回は色々あったからな。」
俺はそういうと話を打ち切り、傷だらけの体を横たえた。
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