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第六章
美少女コンテスト
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俺と龍翔はとにかく基本を大事にしてまずは突き、蹴り、サバキ、投げなどのフォームをきちんと覚えてもらうことから始めることにした。
今まではろくに基本もせぬままいきなり殴りあったり蹴りあったりしてたからな。
道場生同士での組手ではグローブを採用してできるだけ怪我が出ないようにした。脛あても採用し、打つ方も打たれる方もダメージが軽減できるようにした。
それに慣れてきて初めて武器術だ。剣や槍、弓の使い方などを基本からしっかり教えることにした。当然武器には工夫を凝らし、竹刀や袋つきの竹やりなど使うことにした。剣道でいう面や籠手、胴なども採用した。始めは戸惑っていた古参の道場生たちもこれなら怪我無く思いっきりやりあえるということで徐々に浸透してきた。
そして徐々に道場生が増えてきた。
「いやぁ、今まではとにかく実践的であれと方針を貫いてきたが、こういったやり方もあるんだなぁ。」
ゴートン先生が感嘆したように言う。
「ええ。僕たちのいた世界ではこういったやり方が普通なんです。素手素面では怪我人が絶えず道場もやっていけませんから。」
「まぁ面白いやり方だ。このやり方で続けて行ってくれ。」
・・・
そんなある日。Bクラスに行ってみるとクラスが沸き立っていた。
「おいおい、今年もやるんだってよ!」
「楽しみだなぁ?」
ダース達が話し合っている。
「なんの話だ?」
俺が話に入っていくと、
「ああ、ユージは二年の途中から入学してきたから知らないんだなぁ?この学校には美少女コンテストってのが毎年開催されてるんだよ!」
・・なんだその甘美な響きは。
「まったくバカバカしいですわ。」
レインが珍しく否定的だ。
「うむ。女性を皆の前で比較するなどと阿保らしい。」
フレンダが同調する。
「あら、何か面白そうなイベントじゃありませんこと?」
エリスが興味を持ったようだ。
「それでな、まずは学園の学生から投票で候補者が選ばれるんだよ。我がBクラスには美少女が多いから楽しみだぜ!」
ダースが待ちきれないというように言う。
「ちなみに去年は誰だったんだ?」
「去年はアイリスちゃんだな。まぁあの美貌に性格におまけに大貴族のご令嬢だろ?中々対抗できる女の子もいないんじゃないか?まぁ去年はアカネちゃんもいいところまでいったんだけどな。」
去年はアイリスだったのか。うーん。何か納得だ。
「私は気が進まないよ・・みんなと比べられるなんて、なんか自分が商品になったみたい。」
アイリスは乗り気じゃなさそうだな。
俺はこっそりと、
「ダース、そ・・それで水着審査とかあったりするのか?」
「ああ、さすがにそれはないんだよ。私服審査だな。まぁ水着審査は全男子学生の望みではあるんだけどな。」
そうなのか・・ちょっとがっかりだ。
するとアイリスが話に入ってきて
「ちょっとユージ君までなにかいやらしい事考えてるじゃないのかな?かな?」
「い・・いや、そんなことはないよ。」
「本当かなぁ・・?」
俺はアイリスの追及をかわすと席に着いた。
・・・
学園でいつものように皆で昼食を取っていると珍しくアカネが遅れてやってきた。プンプンしている。
「どうしたんだ?アカネ?」
「どうもこうもないわよ!またこの学校で美少女コンテストやるって言うから学園長に抗議してきたの!」
ああ、その話か。
「いつもこの時期になると開催されるんだけどね・・もうこんなバカなことはやめましょうって学園長に言ったの。そしたら『いやぁ~僕も楽しみにしてる大会だからねぇ』だってさ!あのスケベ学園長!」
話を聞く限り面白そうだが。まぁ男にとっては、だけど。
「まぁいいんじゃないか?アカネもアイリスも優勝候補だろう?」
「そういう問題じゃないわよ!」
「うーん美少女こんてすと・・僕も出てみたい」
アイズが興味をもったようだ。竜人族は羞恥心が少ないのかな?アイズは一部にファンがついてるからいいとこまでいくかもな。
さて、誰が候補者になるのかな?楽しみだ。
・・・
翌日からさっそく学生の間に投票箱が配られてきた。皆思い思いに名前を書いた紙を箱に入れていく。俺はアカネかアイリス悩んだが一応アカネの名前を書いておいた。
「よし!このクラスの投票は終わったな!それじゃ締め切るぞ!」
運営委員会の男子学生がそういう。みな(主に男子学生が)歓声をあげる。
席に戻るとアイリスがつんつんしてきた。
「ねぇユージ君誰に入れたの?」
「そ・・それは内緒だ。」
「アカネ?それとも私かなぁ?私だったら嬉しいのにな・・」
ごめんアイリス。今回はアカネに入れてしまった。
そしてすぐに投票の結果が出た。なんとBクラスからはアイリスを始め、レイン、フレンダ、エリス、サンダユウまでもが選ばれていた。さすがに美少女率ナンバーワンのクラスと言われているだけはあるな。
「ふぅ・・こういった場で目立つのは本意ではないのですが・・」
サンダユウがこぼしている。
「まぁたまにはこういった催しに参加するのも逆に身分を隠せていいと思うぞ?」
「そうですか・・まぁ致し方ないですね。学園に溶け込むのも任務のうちです。」
サンダユウは相変わらずだな。
そして美少女コンテストの日がやってきた。全校生徒が体育館に集められる。少女たちは思い思いの衣装に身を包み、壇上に上がっていた。
「おいおい。今年はレベルたけぇなぁ!」
ダースが興奮している。
「まぁ優勝候補はアイリスちゃんで間違いないだろうけど、今年はアカネちゃんをはじめ、エリスやアイズもいるからなぁ。面白い大会になりそうだ。」
大柄のポールが言う。
「いや、今回はレインもいいとことまでいくと思うぜ?なにせあの体だからなぁ?」
ハウストは自分が小柄なのにダイナマイトボディのレインに惹かれているようだ。
やがて少女たちが自己紹介をはじめる。
歓声があがる。
「フレンダ・ライムだ。得意なのは武術全般。まぁよろしく頼む。」
フレンダはいかにもフレンダらしい挨拶をした。
「レイン・コルトンですわ。皆さまよろしくお願いいたします。」
レインがにっこりと微笑む。会場から歓声があがる。服の上からでもわかるその体に主に男子学生が沸き立っている。
「サンダユウ・モモチです。得意なのは体術。」
サンダユウはあっさりとしたもんだ。目立ちたくないんだろう。サンダユウは決して豊満な体ではないがシノビとして鍛えられたその体は既に一部のファンがついている。
そこで一際大きな歓声があがった。
「アイリス・ローム・ヴァレンティです。得意なのはヒールかな?よろしくお願いします。」
「「「わぁぁぁぁ!」」」
「「「アイリスちゃーん」」」
「「「可愛い!」」」
男の歓声が大きくなる。さすが優勝候補だ。一際輝いている。アイリスは顔、スタイル、性格と全てにおいてバランスが高いからな。まぁ当然なんだろう。
「アカネ・ローゼンロール。得意魔法は炎魔法よ。」
アカネがあっさりと自己紹介をすます。あいかわらずどこか納得いかない顔をしている。
「うう・・そのクールなたたずまいがたまらん。」
「アカネちゃーん!」
「その美しいおみ足で、け‥蹴ってほしい」
おっとやっぱりアカネも人気高いな。一部変なのもいるが。
他の女性陣がスカートなど女性らしい服装に対し、アカネはショートパンツでボーイッシュな格好をしている。美しい足がショートパンツから覗いている。それもまた一部にはたまらないんだろう。
「あ・・あのハンナ・インディです・・。得意魔法は一応風魔法です・・」
なんとハンナ先輩もノミネートされていた。確かに見た目は守ってあげたくなるような美少女だが、こんな場に出てくるとは驚きだな。俺は実はハンナ先輩はスタイルも中々のものだと知っているが。隠れ巨乳というやつだな。
「僕はアイズ。得意なのは息吹。」
ここでアイズの登場だ。あっさりしたもんだな。しかし得意なのが息吹ってどうなんだ?
「アイズちゃーん!」
「俺を息吹で凍り付かせて!」
「その小さな姿が可愛い!」
アイズも一部でファンがいるな。見た目は小柄な美少女だからな。さんざんドラゴンの姿を見せているがそれでもいいのかな?
「エリスですわ。雷竜国の姫をしております。得意なのは雷ですわ。」
「エリスちゃーん!」
「青髪が美しい!」
「上品なお姫様のたたずまいがたまらん!」
おっとエリスも既にファンを掴んでいるようだな。
他にも一年次生や三年次生から自己紹介があった。
いずれも見目麗しい美少女たちが壇上に並んだ。
ここでロイド学園長がマイクを持って壇上に立つ。
「いやぁ、いずれも甲乙つけがたい美少女たちが揃いましたな!今年のコンテストはレベルが高い!」
ロイド学園長はほくほく顔だ。本当に楽しみにしていたんだな。
「さてここで決勝戦に行く少女たちを皆さんの投票で選んでもらいます!決勝に進めるのは四人!皆さま慎重に投票ください!」
学生達が思い思いに近くの投票箱に向かう。女生徒も結構楽しんでいるようだ。まぁお祭りだからな。
しばらくして、
「さぁここで決勝に進む四人が決まりました!まずはアイリス君!」
わぁぁぁぁ!歓声があがる。まぁ妥当なところだな。
「そしてアカネ君!」
対抗馬のアカネの名前が呼ばれる。アカネは相変わらず興味なさそうな顔で再び壇上にあがった。
「次にレイン君!」
おおーっと歓声があがる。レインも不思議ではないよな。美貌にあのスタイルだし。日本ならグラビア雑誌を飾っていそうな体つきをしているからな。
「そして新鋭、エリス君!」
また歓声があがる。まぁエリスは初日のアイズへの挑戦などがあったがそれ以外はお上品なお姫様だからな。アイズと違って背もあるし、スタイルもいい。
結局決勝に残ったのはみな二年次生ということになった。
「むーエリスに負けたのは悔しい。」
アイズが俺のそばに来て言った。
「まぁ、仕方ないんじゃないか?アイズは成長したらもっと綺麗になると思うよ。」
俺がフォローすると、
「うん。僕もっと頑張って綺麗になる!」
とフンスッと言う。頑張って綺麗になるものなのかなぁ?まぁ元はいいんだし、女性は化粧とかで変わるからな。
「やれやれ、やっと出番が終わりましたね。」
サンダユウが来て疲れたように言う。
「サンダユウも選ばれるなんてすごいじゃないか?この学園は美少女揃いなんだぞ?」
「私は任務以外には興味ありませんから。まぁくノ一としてこの顔と体が使えるのならそれにこしたことはありませんが。」
いかにもサンダユウらしいコメントだな。
壇上では様々な催しが行われていた。
アカネは炎魔法で的を燃やし尽くし、アイリスはヒールで医務室にいた病人を癒していた。エリスは雷の息吹で的を破壊している。
レインは何をするのだろうと思っていたが、特に何をするわけでもなく、今後のコルトン家の事業について語っていた。しかし語る姿が妙に色っぽく、またファンを増やしたようだ。
いよいよ決勝の開票だ。
「さあ、それではみなさんお待ちかねの優勝者の発表です!」
ダラララララララという太鼓の音が聞こえて発表になった。
「ことしの優勝者は・・・アカネ・ローゼンデール君!」
「「「おおおおおぉぉぉぉぉ!」」」
生徒から驚きと感嘆の声が上がる。俺もちょっとびっくりだ。
アカネはアピールらしいことを何も言ってなかったからな。
態度もつんけんしたものだったし。
「なんと今回は一票差という激しい戦いでした!それでは準優勝のアイリス君、一言どうぞ!」
「あの・・準優勝でも十分嬉しいです。皆さまこれからもよろしくお願いしますね?」
とアイリス独特のヒマワリのような笑顔で挨拶した。
「「「わぁぁぁぁ!」」」
「「「アイリスちゃん!これからも応援するからね!」」」
「「「これからも学園の女神は君だよ!」」」
アイリスは少し恥ずかしそうに壇上を去った。
「さあ、それではいよいよ優勝者のコメントです!アカネ君、どうぞ!」
「えぇと・・私はあまり乗り気じゃなかったんですけど・・応援してくれた皆さんありがとうございます。今後も精進いたします。」
と、アカネはちょっと照れ気味に挨拶をした。
精進って何を精進するんだろう?また街の不良を吹っ飛ばすのかな?
「「「アカネちゃーん!」」」
「「「いよいよアカネちゃんの時代だ!」」」
「「「アカネ様ぁ~」」」
なんか女性からの声援も飛んでるな。そうかアカネは女性票も多かったのか。
と、ここでふと気づいた。俺がアカネに入れた一票がアイリスに入れていたらアイリスが優勝していたんじゃないか!
俺は少し責任を感じつつも会場の喧騒を聞いていた。
でもまぁたまにはこういうイベントがあってもいいよな。
今まではろくに基本もせぬままいきなり殴りあったり蹴りあったりしてたからな。
道場生同士での組手ではグローブを採用してできるだけ怪我が出ないようにした。脛あても採用し、打つ方も打たれる方もダメージが軽減できるようにした。
それに慣れてきて初めて武器術だ。剣や槍、弓の使い方などを基本からしっかり教えることにした。当然武器には工夫を凝らし、竹刀や袋つきの竹やりなど使うことにした。剣道でいう面や籠手、胴なども採用した。始めは戸惑っていた古参の道場生たちもこれなら怪我無く思いっきりやりあえるということで徐々に浸透してきた。
そして徐々に道場生が増えてきた。
「いやぁ、今まではとにかく実践的であれと方針を貫いてきたが、こういったやり方もあるんだなぁ。」
ゴートン先生が感嘆したように言う。
「ええ。僕たちのいた世界ではこういったやり方が普通なんです。素手素面では怪我人が絶えず道場もやっていけませんから。」
「まぁ面白いやり方だ。このやり方で続けて行ってくれ。」
・・・
そんなある日。Bクラスに行ってみるとクラスが沸き立っていた。
「おいおい、今年もやるんだってよ!」
「楽しみだなぁ?」
ダース達が話し合っている。
「なんの話だ?」
俺が話に入っていくと、
「ああ、ユージは二年の途中から入学してきたから知らないんだなぁ?この学校には美少女コンテストってのが毎年開催されてるんだよ!」
・・なんだその甘美な響きは。
「まったくバカバカしいですわ。」
レインが珍しく否定的だ。
「うむ。女性を皆の前で比較するなどと阿保らしい。」
フレンダが同調する。
「あら、何か面白そうなイベントじゃありませんこと?」
エリスが興味を持ったようだ。
「それでな、まずは学園の学生から投票で候補者が選ばれるんだよ。我がBクラスには美少女が多いから楽しみだぜ!」
ダースが待ちきれないというように言う。
「ちなみに去年は誰だったんだ?」
「去年はアイリスちゃんだな。まぁあの美貌に性格におまけに大貴族のご令嬢だろ?中々対抗できる女の子もいないんじゃないか?まぁ去年はアカネちゃんもいいところまでいったんだけどな。」
去年はアイリスだったのか。うーん。何か納得だ。
「私は気が進まないよ・・みんなと比べられるなんて、なんか自分が商品になったみたい。」
アイリスは乗り気じゃなさそうだな。
俺はこっそりと、
「ダース、そ・・それで水着審査とかあったりするのか?」
「ああ、さすがにそれはないんだよ。私服審査だな。まぁ水着審査は全男子学生の望みではあるんだけどな。」
そうなのか・・ちょっとがっかりだ。
するとアイリスが話に入ってきて
「ちょっとユージ君までなにかいやらしい事考えてるじゃないのかな?かな?」
「い・・いや、そんなことはないよ。」
「本当かなぁ・・?」
俺はアイリスの追及をかわすと席に着いた。
・・・
学園でいつものように皆で昼食を取っていると珍しくアカネが遅れてやってきた。プンプンしている。
「どうしたんだ?アカネ?」
「どうもこうもないわよ!またこの学校で美少女コンテストやるって言うから学園長に抗議してきたの!」
ああ、その話か。
「いつもこの時期になると開催されるんだけどね・・もうこんなバカなことはやめましょうって学園長に言ったの。そしたら『いやぁ~僕も楽しみにしてる大会だからねぇ』だってさ!あのスケベ学園長!」
話を聞く限り面白そうだが。まぁ男にとっては、だけど。
「まぁいいんじゃないか?アカネもアイリスも優勝候補だろう?」
「そういう問題じゃないわよ!」
「うーん美少女こんてすと・・僕も出てみたい」
アイズが興味をもったようだ。竜人族は羞恥心が少ないのかな?アイズは一部にファンがついてるからいいとこまでいくかもな。
さて、誰が候補者になるのかな?楽しみだ。
・・・
翌日からさっそく学生の間に投票箱が配られてきた。皆思い思いに名前を書いた紙を箱に入れていく。俺はアカネかアイリス悩んだが一応アカネの名前を書いておいた。
「よし!このクラスの投票は終わったな!それじゃ締め切るぞ!」
運営委員会の男子学生がそういう。みな(主に男子学生が)歓声をあげる。
席に戻るとアイリスがつんつんしてきた。
「ねぇユージ君誰に入れたの?」
「そ・・それは内緒だ。」
「アカネ?それとも私かなぁ?私だったら嬉しいのにな・・」
ごめんアイリス。今回はアカネに入れてしまった。
そしてすぐに投票の結果が出た。なんとBクラスからはアイリスを始め、レイン、フレンダ、エリス、サンダユウまでもが選ばれていた。さすがに美少女率ナンバーワンのクラスと言われているだけはあるな。
「ふぅ・・こういった場で目立つのは本意ではないのですが・・」
サンダユウがこぼしている。
「まぁたまにはこういった催しに参加するのも逆に身分を隠せていいと思うぞ?」
「そうですか・・まぁ致し方ないですね。学園に溶け込むのも任務のうちです。」
サンダユウは相変わらずだな。
そして美少女コンテストの日がやってきた。全校生徒が体育館に集められる。少女たちは思い思いの衣装に身を包み、壇上に上がっていた。
「おいおい。今年はレベルたけぇなぁ!」
ダースが興奮している。
「まぁ優勝候補はアイリスちゃんで間違いないだろうけど、今年はアカネちゃんをはじめ、エリスやアイズもいるからなぁ。面白い大会になりそうだ。」
大柄のポールが言う。
「いや、今回はレインもいいとことまでいくと思うぜ?なにせあの体だからなぁ?」
ハウストは自分が小柄なのにダイナマイトボディのレインに惹かれているようだ。
やがて少女たちが自己紹介をはじめる。
歓声があがる。
「フレンダ・ライムだ。得意なのは武術全般。まぁよろしく頼む。」
フレンダはいかにもフレンダらしい挨拶をした。
「レイン・コルトンですわ。皆さまよろしくお願いいたします。」
レインがにっこりと微笑む。会場から歓声があがる。服の上からでもわかるその体に主に男子学生が沸き立っている。
「サンダユウ・モモチです。得意なのは体術。」
サンダユウはあっさりとしたもんだ。目立ちたくないんだろう。サンダユウは決して豊満な体ではないがシノビとして鍛えられたその体は既に一部のファンがついている。
そこで一際大きな歓声があがった。
「アイリス・ローム・ヴァレンティです。得意なのはヒールかな?よろしくお願いします。」
「「「わぁぁぁぁ!」」」
「「「アイリスちゃーん」」」
「「「可愛い!」」」
男の歓声が大きくなる。さすが優勝候補だ。一際輝いている。アイリスは顔、スタイル、性格と全てにおいてバランスが高いからな。まぁ当然なんだろう。
「アカネ・ローゼンロール。得意魔法は炎魔法よ。」
アカネがあっさりと自己紹介をすます。あいかわらずどこか納得いかない顔をしている。
「うう・・そのクールなたたずまいがたまらん。」
「アカネちゃーん!」
「その美しいおみ足で、け‥蹴ってほしい」
おっとやっぱりアカネも人気高いな。一部変なのもいるが。
他の女性陣がスカートなど女性らしい服装に対し、アカネはショートパンツでボーイッシュな格好をしている。美しい足がショートパンツから覗いている。それもまた一部にはたまらないんだろう。
「あ・・あのハンナ・インディです・・。得意魔法は一応風魔法です・・」
なんとハンナ先輩もノミネートされていた。確かに見た目は守ってあげたくなるような美少女だが、こんな場に出てくるとは驚きだな。俺は実はハンナ先輩はスタイルも中々のものだと知っているが。隠れ巨乳というやつだな。
「僕はアイズ。得意なのは息吹。」
ここでアイズの登場だ。あっさりしたもんだな。しかし得意なのが息吹ってどうなんだ?
「アイズちゃーん!」
「俺を息吹で凍り付かせて!」
「その小さな姿が可愛い!」
アイズも一部でファンがいるな。見た目は小柄な美少女だからな。さんざんドラゴンの姿を見せているがそれでもいいのかな?
「エリスですわ。雷竜国の姫をしております。得意なのは雷ですわ。」
「エリスちゃーん!」
「青髪が美しい!」
「上品なお姫様のたたずまいがたまらん!」
おっとエリスも既にファンを掴んでいるようだな。
他にも一年次生や三年次生から自己紹介があった。
いずれも見目麗しい美少女たちが壇上に並んだ。
ここでロイド学園長がマイクを持って壇上に立つ。
「いやぁ、いずれも甲乙つけがたい美少女たちが揃いましたな!今年のコンテストはレベルが高い!」
ロイド学園長はほくほく顔だ。本当に楽しみにしていたんだな。
「さてここで決勝戦に行く少女たちを皆さんの投票で選んでもらいます!決勝に進めるのは四人!皆さま慎重に投票ください!」
学生達が思い思いに近くの投票箱に向かう。女生徒も結構楽しんでいるようだ。まぁお祭りだからな。
しばらくして、
「さぁここで決勝に進む四人が決まりました!まずはアイリス君!」
わぁぁぁぁ!歓声があがる。まぁ妥当なところだな。
「そしてアカネ君!」
対抗馬のアカネの名前が呼ばれる。アカネは相変わらず興味なさそうな顔で再び壇上にあがった。
「次にレイン君!」
おおーっと歓声があがる。レインも不思議ではないよな。美貌にあのスタイルだし。日本ならグラビア雑誌を飾っていそうな体つきをしているからな。
「そして新鋭、エリス君!」
また歓声があがる。まぁエリスは初日のアイズへの挑戦などがあったがそれ以外はお上品なお姫様だからな。アイズと違って背もあるし、スタイルもいい。
結局決勝に残ったのはみな二年次生ということになった。
「むーエリスに負けたのは悔しい。」
アイズが俺のそばに来て言った。
「まぁ、仕方ないんじゃないか?アイズは成長したらもっと綺麗になると思うよ。」
俺がフォローすると、
「うん。僕もっと頑張って綺麗になる!」
とフンスッと言う。頑張って綺麗になるものなのかなぁ?まぁ元はいいんだし、女性は化粧とかで変わるからな。
「やれやれ、やっと出番が終わりましたね。」
サンダユウが来て疲れたように言う。
「サンダユウも選ばれるなんてすごいじゃないか?この学園は美少女揃いなんだぞ?」
「私は任務以外には興味ありませんから。まぁくノ一としてこの顔と体が使えるのならそれにこしたことはありませんが。」
いかにもサンダユウらしいコメントだな。
壇上では様々な催しが行われていた。
アカネは炎魔法で的を燃やし尽くし、アイリスはヒールで医務室にいた病人を癒していた。エリスは雷の息吹で的を破壊している。
レインは何をするのだろうと思っていたが、特に何をするわけでもなく、今後のコルトン家の事業について語っていた。しかし語る姿が妙に色っぽく、またファンを増やしたようだ。
いよいよ決勝の開票だ。
「さあ、それではみなさんお待ちかねの優勝者の発表です!」
ダラララララララという太鼓の音が聞こえて発表になった。
「ことしの優勝者は・・・アカネ・ローゼンデール君!」
「「「おおおおおぉぉぉぉぉ!」」」
生徒から驚きと感嘆の声が上がる。俺もちょっとびっくりだ。
アカネはアピールらしいことを何も言ってなかったからな。
態度もつんけんしたものだったし。
「なんと今回は一票差という激しい戦いでした!それでは準優勝のアイリス君、一言どうぞ!」
「あの・・準優勝でも十分嬉しいです。皆さまこれからもよろしくお願いしますね?」
とアイリス独特のヒマワリのような笑顔で挨拶した。
「「「わぁぁぁぁ!」」」
「「「アイリスちゃん!これからも応援するからね!」」」
「「「これからも学園の女神は君だよ!」」」
アイリスは少し恥ずかしそうに壇上を去った。
「さあ、それではいよいよ優勝者のコメントです!アカネ君、どうぞ!」
「えぇと・・私はあまり乗り気じゃなかったんですけど・・応援してくれた皆さんありがとうございます。今後も精進いたします。」
と、アカネはちょっと照れ気味に挨拶をした。
精進って何を精進するんだろう?また街の不良を吹っ飛ばすのかな?
「「「アカネちゃーん!」」」
「「「いよいよアカネちゃんの時代だ!」」」
「「「アカネ様ぁ~」」」
なんか女性からの声援も飛んでるな。そうかアカネは女性票も多かったのか。
と、ここでふと気づいた。俺がアカネに入れた一票がアイリスに入れていたらアイリスが優勝していたんじゃないか!
俺は少し責任を感じつつも会場の喧騒を聞いていた。
でもまぁたまにはこういうイベントがあってもいいよな。
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こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!===
ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。
でも別に最強なんて目指さない。
それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。
フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。
これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。
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