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一章
(7)決意と彼女の秘密
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レクセルはアネモネの研究所の二階にある一室で目を覚ました。
「ここは……」
「良かった。目覚めたんですね」
銀髪のメイドメリッサがベッドの横で微笑んだ。
「俺は……どうしてここに?」
「覚えてないのですか?貴方はあの時、急に倒れてしまったのですよ。だから私達がここまで運んできたのです」
レクセルは記憶がフラッシュバックする。
ジェラルドと対面して、臂力の鎧を着装した。そこまでは覚えている。しかし、その後の記憶が一切思い出せない。
激しい憤怒。誰かの叫び声。あれはジェラルドのものだったか。またはアリスのものだったのだろうか。
「他の皆はどうしたんです?」
「まだ寝ていますよ。今はまだ深夜ですから」
窓の外を見ると確かに深夜だった。
「でも、アリスさんは起きています。貴方のことが心配でさっきまで看病してたんです。今はアネモネ様と一緒に何か話あってるようですが。噂をすればホラ」
「レクセル!」
ドアの方から声がした。
アリスが部屋に入ってくるなり、勢いよく抱きついてきた。
「大丈夫なの!?私心配したんだから!」
「俺は大丈夫だよ。心配かけてゴメン」
アリスは泣きじゃくっていた。
レクセルはその頭を撫でてやる。
「その様子だと大丈夫そうだな」
部屋のドアにアネモネが立っていた。
「私はこれにて」
メリッサが席を外した。
アネモネは言った。
「一時はどうなるかと思ったが、案外反動は大したことなさそうだ」
「何言ってるのアネモネ!レクセルは丸一日気を失ってたのよ!」
アネモネに抗議するアリス。
レクセルは疑念を口にした。
「教えて下さい。あの鎧を身に着けた後、どうなったんですか?決闘の顛末は?ジェラルドはどうして俺を殺さなかったんですか?」
「何も覚えてないんだな」
アネモネは淡々と告げる。アリスは顔を伏せた。
「決闘は君の勝ちだ。ジェラルドは君が殺した。」
レクセルに衝撃が走る。
「俺が……ジェラルドを殺した……!?」
レクセルにはにわかには信じられなかった。顔を手で覆った。
「記憶がないとは。自我を失ってしまうみたいだな。副作用としては十分強力だな」
「俺が……人を……!!」
取り乱すレクセル。
「レクセル……」
心配そうに手を握るアリス。
「落ち着くんだレクセル。あれは決闘だった。やらなければ君が殺されていた」
「でも……!俺は殺すつもりなんてなかった……!」
「結果的にそうなってしまっただけだ。君は悪くない」
「違う!俺が悪いんですよ!俺が弱かったから!あの鎧に頼ってしまった……!」
「レクセル!落ち着いて!」
アネモネに詰め寄るレクセルを止めるアリス。
「その様子だとあの鎧はもう着たくないのかい?」
「当たり前でしょう!あんな恐ろしいもの二度と使いたくありません!」
「本当にそれでいいのか……?」
「えっ……」
「君は騎士になりたいんだろう?そのためにはまず第一に強くならなければいけない。それなのに君はここで諦めてしまうのか?」
「それは……」
レクセルは何も言えなかった。
「アネモネ!これ以上レクセルを苦しめるのはやめて!」
アリスがアネモネに言いすがった。
「これは大事な問題だ。あの鎧を使うのか、使わないのか。私とレクセルがこれからもパートナーとしていられるかに関わる」
「ありがとうアリス……でも大丈夫」
レクセルはアリスの手を解くとアネモネを見据えた。
「必要とあらばあの鎧は使います。でも俺はあの鎧無しでも騎士になってみせる。」
「いい答えだ。私はこれからも君とはパートナーでいたい」
アネモネは満足そうに答えた。
「騎士を目指す君に朗報だ。少年が騎士ジェラルドを破ったことが王都でニュースになっている。一部の貴族や王宮も君に注目しているとか。まぁ私の鎧の力に依るところが大きいということは評注させてもらったがね」
「それは……そんなことが……」
「君は一躍有名人だ。騎士としてスカウトされることがあるかもしれないぞ」
「そうですか……」
素直に喜んでいいのか分からず複雑な表情を浮かべるレクセル。
「さて、そろそろ寝るとしようか」
アネモネは立ち上がり部屋から出ていった。
「レクセル……」
不安げに見つめてくるアリス。
「大丈夫だよ。アリス。俺は強くなる。強くなって、ティックスみたいな目に会う子は俺が守ってみせる」
「うん。私信じてる。」
アリスは笑顔で答えた。
「お休みなさい。アリス」
「お休みレクセル」
アリスは部屋から出ていき、部屋の明かりを消した。
◇◆◇◆
次の日、レクセルは妹のベルディに起こされた。
「もう、お兄、いつまで寝てるの!メリッサさんがお兄は大仕事をしたから十分休ませてやってって言ってたけど、いくらなんでも寝過ぎだよ!」
ベルディは決闘があった日からアネモネ邸に預けられていた。決闘があったことはベルディには口止めしていた。
「あーごめんなベルディ。昨日から色々ありすぎて疲れちゃったんだよ」
「私、先下行ってるからお兄も早く降りてきてね。メリッサさんが朝食できてるって」
「分かったよ……」
レクセルは着替えて下に降りた。
一階のダイニングにはベルディとアリスとメリッサ、アネモネが居た。
「おはようございますレクセル様」
「おはようございます」
「おはようレクセル。よく眠れたか?」
「はい……おかげで」
「よし……じゃあさっそく今日の予定について話したいのだが、その前に朝ごはんを食べようじゃないか」
テーブルには焼き立てのパンやスープ、卵料理などが並べられていた。
「食べながら聞いてくれ。もう少ししたらゴードンとジャック、ロゼッタが来る」
「昼まではレクセルはジャックと一緒に稽古してくれ。私が付呪した武具を使ってな」
「午後からはロゼッタと身体の検査だ。臂力の鎧を使う。あぁ、そんな顔をするな。臂力の鎧のプレートの一部を君の身体に貼り付けて身体への影響を測定する。ロゼッタの腕にも貼り付けて比較を行う」
「私はどうすればいいの?」
アリスが言った。
「アリスはゴードンについてくれ。彼は今日付呪の作業があるから手伝ってやってくれ」
マッチョの初老ことゴードンには、付呪する才能がある。彼にはアネモネの付呪した武具をコピーすることができた。その能力を買われてアネモネの研究室にいるのだが、彼は専らアネモネの発明した付呪を量産する仕事をしていた。
「分かりました」
レクセル達は食事を済ませた後、3人が到着するのを待った。
しばらくしてから3人は順番に到着した。
三者三様に挨拶する。
「おはよう諸君。今日も張り切っていこう」
ゴードンの挨拶である。
「おはようございます。そっかアリスとレクセルは泊まりだったんすね」
ジャックの挨拶。
「おはよう……みんな……」
ジャックと一緒に到着したロゼッタの挨拶。
「おう。相変わらず声が小さいなロゼッタ。大丈夫?具合が悪いなら休んでもいいんだよ?」
「大丈夫……心配しないでアネモネ……仕事はちゃんとするから……」
「無理はしないように。君は大事な被験者なんだから」
「うん……」
「さて、全員揃ったところでそろそろ仕事にとりかかるか」
ジャックがレクセルに手招きした。
「中庭に来いよ。俺と剣の稽古だ」
「よろしくお願いします」
ジャックの後について外に出た。
「まずは、この木刀だが……鋼鉄並の強度を誇るように付呪してある。これでやり合うぞ」
「はい」
「行くぞ」
ジャックが斬りかかってきた。
レクセルはそれを受け止める。
「まだまだこんなもんじゃないぞ!ソラァ!」
ジャックは次々と、斬撃を繰り出してくる。
レクセルは応戦するのにいっぱいいっぱいだった。
数十分後、レクセルは身体の、あちこちに生傷を、負っていた。
「くっ」
レクセルは息が上がっていた。
「おいおいもう終わりか?」
ジャックが煽ってくる。
「ちょっと、休憩を」
「仕方ないな」
ジャックは座り込んだ。
レクセルは息を整えて、ジャックの隣に座って汗を拭き取った。
「お前、まだまだだな」
ジャックはレクセルに単刀直入に言った。
「えぇ、まだ未熟者です」
「だが、お前の臂力の鎧を着たときの鬼神ぶりは凄かった」
「……」
表情が曇るレクセル。
「あれは俺の力じゃありません」
「いや、お前の力だよ。実は俺もあの鎧を着たことがあるんだよ。俺が着たのは試作版だったが……」
「でもあんな力は出せなかった。あんな戦いぶりは俺にはとてもできない」
「それは……」
「なぁレクセル。頼みがある」
「なんですか?」
「ロゼッタに何かあったら、お前が守ってくれないか?」
「えっ……」
唐突に、出てきたロゼッタというワードに戸惑うレクセル。
「それはどういう意味ですか?」
「いや。あいつは、自分の身を守ることを知らない。誰かのために自分が犠牲になるのを厭わない性格だ」
「心に留めておきます」
「ありがとう。じゃあ続きをやるぞ」
その後ジャックとの稽古は1時間続いた。
◇◆◇◆
正午過ぎ。研究室でレクセルはロゼッタと一緒に腕に鎧のプレートを貼りつけられていた。
アネモネが何かの装置で、その影響を、測定している。
「じゃあ、しばらくじっとしてて。私は席を外すから」
アネモネが出ていった。
ロゼッタと二人きりになるレクセル。
気まずくて何かを話しかけようとするも何も出てこない。
「ねぇレクセルさん」
ロゼッタの方から話しかけてきた。
「わたし、迷惑かけてばかりだけど、これからも仲良くしてくれる?」
「勿論ですよ。僕なんかで良ければいつでも」
「よかった……」
緊張の糸が切れたのか、ロゼッタは微笑んだ。
「ねぇレクセルさん」
「はい」
「レクセルさんって凄く強いですよね。私はこの前の戦いぶりを見てそう思いました。そしてレクセルさんは騎士を目指しているとか……」
「えぇ、そうですね」
「だったら私の騎士になりませんか?」
「へ?」
突然の告白に呆気に取られるレクセル。
「私の本名はルーラ・ヴァンラーレ・アルストロメリア・エルドヴィエ。エルドヴィエの次期女王候補の1人です。」
レクセル達の今いる国の名はカザド。エルドヴィエはカザドの南に位置する超大国だった。
「ここは……」
「良かった。目覚めたんですね」
銀髪のメイドメリッサがベッドの横で微笑んだ。
「俺は……どうしてここに?」
「覚えてないのですか?貴方はあの時、急に倒れてしまったのですよ。だから私達がここまで運んできたのです」
レクセルは記憶がフラッシュバックする。
ジェラルドと対面して、臂力の鎧を着装した。そこまでは覚えている。しかし、その後の記憶が一切思い出せない。
激しい憤怒。誰かの叫び声。あれはジェラルドのものだったか。またはアリスのものだったのだろうか。
「他の皆はどうしたんです?」
「まだ寝ていますよ。今はまだ深夜ですから」
窓の外を見ると確かに深夜だった。
「でも、アリスさんは起きています。貴方のことが心配でさっきまで看病してたんです。今はアネモネ様と一緒に何か話あってるようですが。噂をすればホラ」
「レクセル!」
ドアの方から声がした。
アリスが部屋に入ってくるなり、勢いよく抱きついてきた。
「大丈夫なの!?私心配したんだから!」
「俺は大丈夫だよ。心配かけてゴメン」
アリスは泣きじゃくっていた。
レクセルはその頭を撫でてやる。
「その様子だと大丈夫そうだな」
部屋のドアにアネモネが立っていた。
「私はこれにて」
メリッサが席を外した。
アネモネは言った。
「一時はどうなるかと思ったが、案外反動は大したことなさそうだ」
「何言ってるのアネモネ!レクセルは丸一日気を失ってたのよ!」
アネモネに抗議するアリス。
レクセルは疑念を口にした。
「教えて下さい。あの鎧を身に着けた後、どうなったんですか?決闘の顛末は?ジェラルドはどうして俺を殺さなかったんですか?」
「何も覚えてないんだな」
アネモネは淡々と告げる。アリスは顔を伏せた。
「決闘は君の勝ちだ。ジェラルドは君が殺した。」
レクセルに衝撃が走る。
「俺が……ジェラルドを殺した……!?」
レクセルにはにわかには信じられなかった。顔を手で覆った。
「記憶がないとは。自我を失ってしまうみたいだな。副作用としては十分強力だな」
「俺が……人を……!!」
取り乱すレクセル。
「レクセル……」
心配そうに手を握るアリス。
「落ち着くんだレクセル。あれは決闘だった。やらなければ君が殺されていた」
「でも……!俺は殺すつもりなんてなかった……!」
「結果的にそうなってしまっただけだ。君は悪くない」
「違う!俺が悪いんですよ!俺が弱かったから!あの鎧に頼ってしまった……!」
「レクセル!落ち着いて!」
アネモネに詰め寄るレクセルを止めるアリス。
「その様子だとあの鎧はもう着たくないのかい?」
「当たり前でしょう!あんな恐ろしいもの二度と使いたくありません!」
「本当にそれでいいのか……?」
「えっ……」
「君は騎士になりたいんだろう?そのためにはまず第一に強くならなければいけない。それなのに君はここで諦めてしまうのか?」
「それは……」
レクセルは何も言えなかった。
「アネモネ!これ以上レクセルを苦しめるのはやめて!」
アリスがアネモネに言いすがった。
「これは大事な問題だ。あの鎧を使うのか、使わないのか。私とレクセルがこれからもパートナーとしていられるかに関わる」
「ありがとうアリス……でも大丈夫」
レクセルはアリスの手を解くとアネモネを見据えた。
「必要とあらばあの鎧は使います。でも俺はあの鎧無しでも騎士になってみせる。」
「いい答えだ。私はこれからも君とはパートナーでいたい」
アネモネは満足そうに答えた。
「騎士を目指す君に朗報だ。少年が騎士ジェラルドを破ったことが王都でニュースになっている。一部の貴族や王宮も君に注目しているとか。まぁ私の鎧の力に依るところが大きいということは評注させてもらったがね」
「それは……そんなことが……」
「君は一躍有名人だ。騎士としてスカウトされることがあるかもしれないぞ」
「そうですか……」
素直に喜んでいいのか分からず複雑な表情を浮かべるレクセル。
「さて、そろそろ寝るとしようか」
アネモネは立ち上がり部屋から出ていった。
「レクセル……」
不安げに見つめてくるアリス。
「大丈夫だよ。アリス。俺は強くなる。強くなって、ティックスみたいな目に会う子は俺が守ってみせる」
「うん。私信じてる。」
アリスは笑顔で答えた。
「お休みなさい。アリス」
「お休みレクセル」
アリスは部屋から出ていき、部屋の明かりを消した。
◇◆◇◆
次の日、レクセルは妹のベルディに起こされた。
「もう、お兄、いつまで寝てるの!メリッサさんがお兄は大仕事をしたから十分休ませてやってって言ってたけど、いくらなんでも寝過ぎだよ!」
ベルディは決闘があった日からアネモネ邸に預けられていた。決闘があったことはベルディには口止めしていた。
「あーごめんなベルディ。昨日から色々ありすぎて疲れちゃったんだよ」
「私、先下行ってるからお兄も早く降りてきてね。メリッサさんが朝食できてるって」
「分かったよ……」
レクセルは着替えて下に降りた。
一階のダイニングにはベルディとアリスとメリッサ、アネモネが居た。
「おはようございますレクセル様」
「おはようございます」
「おはようレクセル。よく眠れたか?」
「はい……おかげで」
「よし……じゃあさっそく今日の予定について話したいのだが、その前に朝ごはんを食べようじゃないか」
テーブルには焼き立てのパンやスープ、卵料理などが並べられていた。
「食べながら聞いてくれ。もう少ししたらゴードンとジャック、ロゼッタが来る」
「昼まではレクセルはジャックと一緒に稽古してくれ。私が付呪した武具を使ってな」
「午後からはロゼッタと身体の検査だ。臂力の鎧を使う。あぁ、そんな顔をするな。臂力の鎧のプレートの一部を君の身体に貼り付けて身体への影響を測定する。ロゼッタの腕にも貼り付けて比較を行う」
「私はどうすればいいの?」
アリスが言った。
「アリスはゴードンについてくれ。彼は今日付呪の作業があるから手伝ってやってくれ」
マッチョの初老ことゴードンには、付呪する才能がある。彼にはアネモネの付呪した武具をコピーすることができた。その能力を買われてアネモネの研究室にいるのだが、彼は専らアネモネの発明した付呪を量産する仕事をしていた。
「分かりました」
レクセル達は食事を済ませた後、3人が到着するのを待った。
しばらくしてから3人は順番に到着した。
三者三様に挨拶する。
「おはよう諸君。今日も張り切っていこう」
ゴードンの挨拶である。
「おはようございます。そっかアリスとレクセルは泊まりだったんすね」
ジャックの挨拶。
「おはよう……みんな……」
ジャックと一緒に到着したロゼッタの挨拶。
「おう。相変わらず声が小さいなロゼッタ。大丈夫?具合が悪いなら休んでもいいんだよ?」
「大丈夫……心配しないでアネモネ……仕事はちゃんとするから……」
「無理はしないように。君は大事な被験者なんだから」
「うん……」
「さて、全員揃ったところでそろそろ仕事にとりかかるか」
ジャックがレクセルに手招きした。
「中庭に来いよ。俺と剣の稽古だ」
「よろしくお願いします」
ジャックの後について外に出た。
「まずは、この木刀だが……鋼鉄並の強度を誇るように付呪してある。これでやり合うぞ」
「はい」
「行くぞ」
ジャックが斬りかかってきた。
レクセルはそれを受け止める。
「まだまだこんなもんじゃないぞ!ソラァ!」
ジャックは次々と、斬撃を繰り出してくる。
レクセルは応戦するのにいっぱいいっぱいだった。
数十分後、レクセルは身体の、あちこちに生傷を、負っていた。
「くっ」
レクセルは息が上がっていた。
「おいおいもう終わりか?」
ジャックが煽ってくる。
「ちょっと、休憩を」
「仕方ないな」
ジャックは座り込んだ。
レクセルは息を整えて、ジャックの隣に座って汗を拭き取った。
「お前、まだまだだな」
ジャックはレクセルに単刀直入に言った。
「えぇ、まだ未熟者です」
「だが、お前の臂力の鎧を着たときの鬼神ぶりは凄かった」
「……」
表情が曇るレクセル。
「あれは俺の力じゃありません」
「いや、お前の力だよ。実は俺もあの鎧を着たことがあるんだよ。俺が着たのは試作版だったが……」
「でもあんな力は出せなかった。あんな戦いぶりは俺にはとてもできない」
「それは……」
「なぁレクセル。頼みがある」
「なんですか?」
「ロゼッタに何かあったら、お前が守ってくれないか?」
「えっ……」
唐突に、出てきたロゼッタというワードに戸惑うレクセル。
「それはどういう意味ですか?」
「いや。あいつは、自分の身を守ることを知らない。誰かのために自分が犠牲になるのを厭わない性格だ」
「心に留めておきます」
「ありがとう。じゃあ続きをやるぞ」
その後ジャックとの稽古は1時間続いた。
◇◆◇◆
正午過ぎ。研究室でレクセルはロゼッタと一緒に腕に鎧のプレートを貼りつけられていた。
アネモネが何かの装置で、その影響を、測定している。
「じゃあ、しばらくじっとしてて。私は席を外すから」
アネモネが出ていった。
ロゼッタと二人きりになるレクセル。
気まずくて何かを話しかけようとするも何も出てこない。
「ねぇレクセルさん」
ロゼッタの方から話しかけてきた。
「わたし、迷惑かけてばかりだけど、これからも仲良くしてくれる?」
「勿論ですよ。僕なんかで良ければいつでも」
「よかった……」
緊張の糸が切れたのか、ロゼッタは微笑んだ。
「ねぇレクセルさん」
「はい」
「レクセルさんって凄く強いですよね。私はこの前の戦いぶりを見てそう思いました。そしてレクセルさんは騎士を目指しているとか……」
「えぇ、そうですね」
「だったら私の騎士になりませんか?」
「へ?」
突然の告白に呆気に取られるレクセル。
「私の本名はルーラ・ヴァンラーレ・アルストロメリア・エルドヴィエ。エルドヴィエの次期女王候補の1人です。」
レクセル達の今いる国の名はカザド。エルドヴィエはカザドの南に位置する超大国だった。
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