偽聖女の成り上がり〜姉が聖女に目覚めたため、家を追放されたが、後に強力な魔法が目覚めてしまいました〜

月詠ほたる

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02 新たな出会い

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朝八時...

「セナ、今日もよろしくね。昨日は回復ポーションだったから今日は違うのがいいなぁ」

なんて真面目な子なんだと常々思う。
彼女はポーションの調合を始めてからまだ三日だというのにもう回復ポーションを作れてしまう。

私は五日掛かったのに・・・・
はぁ、とため息を吐く。流石、薬屋の
孫だなぁ...


「セナ。状態異常耐性のポーションできたよ。こんな感じでいいかな?」

なんだと・・・・
私は肩をがっくり落とした。
そんな、僅か十五分足らずで... 

「ねぇ、レナ。私の指導っている?」

「もちろん。セナのおかげでここまで
出来ているだから...」

そんな師匠を見るような目で私をみないで...助けを求めるようにフランさんを見つめる。

「セナちゃん。買い物頼んでもいいかしら?」

「もちろんです。レナ。本当にごめんね。フランさんのお願いだから、ね?」

「しょうがないな...」

フランさん。ありがとう。心の中でそう感謝を述べると買い物に出かける。

相変わらず賑やかな場所だなぁ...外を歩きながらそうぼやく。
私は元だが公爵家の娘だったため買い物は新鮮味があって楽しい。


商業区につくとメモを取り出し、内容を確認する。まずは、肉屋からだな....

ドンッ

メモに気を取られていて前にいた人にぶつかってしまった。

「あぁ、すいませ・・・」

「あら、奇遇ね。私の妹さん。」

最悪だ。こんなところで姉様に会ってしまうとは。はやくこの場を逃れよう...

「あら、どこへ行くの?聖女である私の服に砂がついてしまったわ。どうしてくれましょう。」

彼女はわざと大きい声でそう言い、周囲の視線を引きつける。

この腐った性格はいつになったら治るのだろうと考えながら彼女の手を払った。
これが聖女だなんて世も末なんじゃないかと思ってしまう。

「なによ、あなた。私にたてつく気?」

「別にあなたは私の家族でもない他人です。なにができるんですか?脅しにもなってませんよ」

「ちっ...」

『聖魔法ー聖なる炎フレイムー』
「服ごとあなたを燃やしてあげる」

流石にそれはまずい...時間魔法は対魔法に関してはほとんど無力だ。
まずい・・・

『光魔法ー反魔法アンチマジックー』
メリダの炎が消えた・・・?
一体誰が?

「大丈夫ですか?」

「は、はい。ありがとうございます」

「ちっ...またあんたね。第三王子」

え、?ダイサンオウジ?
そういえば、この人。確かに王譲りの
白銀の髪をしている。しかも、改めて見るとすごく整った顔をしていた。

「メリダ様。いくら聖女とは言え、やり過ぎたことをされるとこちらでも手が負えないと王宮でも忠告していましたよね?」

「そんなの知らないわ。私はあなたみたいな王子と違って世界に一人しかいない聖女なのよ。」

そう言い捨てるとメリダは踵を返して、王宮に帰っていった。

「あ、あのありがとうございます」

「いえ、大丈夫ですよ。立てますか?」

彼が手を差し伸べてきた。

すいません、と言いながら彼に手を掴む。

彼は私の無事を確認すると
では、と言い去っていった。

私は彼の後ろ姿をぼーっと見ていた。
あれ・・・?私なにしに来たんだっけ?
とりあえず、家に帰るか... 

「ただいま」

「あれ、セナ。買い物はどうしたの?」

あ、しまった。私は買い物しに行ったんだった。無言で店を出て行き、買い物に戻る。

もう、私どうしたんだろ。さっきから
ぼうっとしてるよ...
えっーと。まずは肉屋からで・・・・

三十分ほどで買い物を終え、帰路につく。

今日はレナの稽古もサボっちゃったし
しっかり謝らないと...あれ、あの人は
まさか...前を歩いてくる人物に少し緊張する。

「あ、やっと見つけた」

「えっーと第三王子様。なにか用ですか?」

「ルークでいいよ。あ、これ君の髪飾りだよね?」

「あ。そうです、でもわざわさ...
ありがとうございます・・・ルーク様」

そう言うと私はつい、走り出してしまった。

どうしよ。どうしよ。王子のこと名前で呼んじゃったよ私・・・・
それにいきなり走り出すとか絶対変な娘だと思われてるって・・・・

それにしてもあの王子なに考えてんだろう。普通、いくら落とし物だったとしてもあそこまでするかなぁ・・・

その時、セナがこちらに走ってきた。

「帰りが遅いから心配したんだよ。なにかあったの?」

「いや、特には・・・」

しかし、先程のことを思い出してしまい
つい、顔が熱くなってしまった。

「絶対なにかあったでしょ?」

レナが疑いの眼差しを向けてくる。

「いや、なんでもない」

レナに変なこと言われたから、かえって
変に意識しちゃったじゃん・・・

帰り道になにをしゃべったのかも覚えていない。 

あぁ、今日はなんだか疲れる日だったなぁ、明日の分のポーションを作りながら
今日の出来事を延々とリピートしていた。

すると、レナがなにやらにやにやしながら私に詰め寄ってきた。

「なんの用よ...」

「恋..?」

「へぇっ?」

唐突の発言に変な声を出してしまった。
けど、まさかあの王子に恋なんか...
いや、ありえないよね。そうだ。きっとそう。今日は体調が悪かっただけだって...


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