【完結】黄金の騎士は丘の上の猫を拾う

かほなみり

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シグナル


(今日はこれでお終いかな)

 夜も更け、窓から見下ろす王都の街並みに明かりが灯る。先ほどまでパラパラと来ていた客足も途絶えた。キャンはエプロンを外すとふう、とため息を吐いてカウンターの椅子に腰掛けた。
 ユーレクには子爵令嬢を送ったあの日から会っていない。
 キャンはいつものように市へ買い出しに行き、料理を作り時々やって来る客へ料理を提供し、変わりない日々を過ごす。ユーレクと出会う前は当たり前だった日常だ。
 それがなぜ、こんなにも淋しく感じるようになってしまったのだろう。

(自由って何だろう)

 特に何かに縛られているつもりはない。だが、コーイチは何が言いたかったのか。
 いくら考えても分からない疑問を頭を振って追い出すと、店の片隅を自分の場所にしてすうすうと寝息を立てる子猫の頭を一撫でした。そろそろ店仕舞いをしようと立ち上がると、ふと外から複数の人の気配を感じた。

(三人……四人)

 客が来るには少し遅い時間だ。馴染みの客の気配でもない。何となく嫌な予感がして、キャンは素早く子猫を抱えてカウンターの内側へ移動する。
 それと同時に店の扉がカラン、と音を立てた。

「あ~、やっぱり君だったか」

 扉を開けた人物は、キャンを見るなり下卑た笑いを溢した。甘ったるい臭いが店内に広がり、キャンは思わず顔を顰める。

(この匂い、街であった人だ)

 キャンはぞわりと鳥肌が立った。

「……本日は閉店しました」
「外の札は開店になってたけど?」

 キャンが震える声で対応すると、後から入って来た男がヘラヘラと笑いながら扉を閉める。
 心臓がドクドクと激しく脈打つ。
 怖い。
 理由は分からないが、キャンはこの男たちを怖いと感じた。

「も、もう閉店です。お帰りください」
「か~わい、震えてる?」

 男たちが店内にずかずかと入ってくると、子猫がふーっと威嚇した。


 ――キャン、何かあったら森にお逃げ

 それはまるで本能のように、コーイチの言葉が脳裏によみがえる。
 キャンは子猫を抱えたまま、カウンターからキッチンを抜けようと踵を返した。

「おっと、どこ行くの」

 裏口から出ようとキッチンを抜けようとすると背後にいた男に行く手を塞がれる。

(いつの間に!)

 いつもは人の気配に気が付かないなんてないのに、この甘ったるい臭いが邪魔をする。勘がうまく働かないのだ。
 逃げようとするキャンの腕を掴み、男は顔を寄せた。その呼気は酒の臭いがしてキャンは顔を顰めた。咄嗟に抱いていた子猫を逃がす。


「ねえ、君は獣人?」

 後ろから近付いて来た男がそう言うと、キャンの頭の布と眼鏡をはぎ取った。

「や、やめて!」

 キャンが身を捩って逃げようと藻掻くが男の力には敵わない。

「正解! すげえ、本当に獣人だった!」
「おい、しかも猫獣人じゃねえの?」
「マジかよ、猫獣人ってアッチの具合がすげえいいんだってよ!」

 ゲラゲラと笑う男達に恐怖を感じバタバタと暴れるが、びくともしない。この甘ったるい臭いが気持ち悪い。男はキャンを押し倒すとその身体に跨り腕を押さえつけた。

「大人しくしろって、大丈夫、気持ちよくなるから」
「おい、早くあの薬出せよ」
「ほらほら、獣人専用の薬だ、これで気持ちよくなるぞ!」

 男が懐から小瓶を取り出す。赤い液体の入ったそれはどろりと明かりを跳ね返し、キャンの目には毒にしか映らない。瓶の蓋がされていてもその甘ったるい臭いは強烈に漂ってくる。

「おい、顔を抑えろ」

 顔を必死に動かし抵抗するが、男に顎を押さえられ全く敵わない。
 キャンの口元に蓋をとった瓶を近付けてくるのを、歯を食いしばって抵抗した。

「くそ、飲めって!」

 焦れた一人がキャンの頬を激しく打つ。チカチカと目の前が点滅した所に無理矢理口の中に液体を流し込まれた。
 咽せて吐き出すともう一度ぶたれ、今度は口の中に指を突っ込まれて隙間から赤い液体を流し込まれた。咽せて吐き返しながら、それでも喉を液体が通っていく感覚で身体が震えた。

(熱い)

 喉を通っていく液体が火傷しそうなほど熱い。咳き込み身を捩るキャンの上に跨っていた男が、キャンのブラウスに手を掛け破り捨てた。

「すげえ、いい身体してる」
「顔だってかなり上玉だぞ」
「殴ったくせに何言ってんだよ」

 男達の声が遠くに聞こえ、視界がグルグルと回っている。身体を弄る手が気持ち悪いのに動けない。

 ――森に逃げるんだよ

 キャンが大人しくなった事をいいことに、男達がキャンの服を脱がせにかかった。押さえつけていた手が緩み、キャンの身体に跨っていた男が腰を浮かせた瞬間、男の顔目掛けて子猫が飛び掛かり爪で顔を引っ掻いた。

「ぐわっ!」

 男は飛び上がり、顔に張り付く子猫を叩き落とした。

「くそっ!」
「ははは! 何やってんだよ」

 男達の気が逸れた瞬間、キャンは上に跨っている男の股間を思いっ切り蹴り上げた。

「!」

 男は強烈な一撃を喰らうと身体を丸めて身悶えた。キャンはその身体の下から素早く這い出すと、床にぐったりとしている子猫を拾い上げ猛然と裏口から外へ飛び出した。

「馬鹿野郎、何してんだ! 追え!」

 側にいた男達が慌てて立ち上がりキャンを追う。

「あれでも獣人だぞ、外に出られたら厄介だ!」
「大丈夫だ、そのうち動けなくなる」

 店の前で見張っていた男も合流し、男達は店の裏に聳える木々に向けて灯りを翳した。

「…っクソッ! あのガキ、ただじゃおかねえ!」

 キャンの強烈な蹴りを喰らった男が青筋を立てて裏口から出て来た。

「薬が効いてそんなに動けないはずだ。探し出せ!」

 キャンは全神経を解放して周囲の気配を察知しようと集中した。視界がクリアになり夜の森でもはっきりと見える。だが、頭がガンガンと痛み、鼓動が耳元でドクドクと煩い。呼吸も苦しく、息を潜めたいのにどうしても荒くなる。
 胸に抱く子猫の息が弱まっているのを感じる。キャンは急いで木の上に登り身を潜めた。

(どうしよう、どうしよう……どうしたら……)

 このまま木の上にいればやり過ごせるだろうか。でもその後、どうしたらいいのかキャンには分からない。男達に無理矢理飲まされた薬で思考が奪われていく。

(冷静に……大丈夫、落ち着いて)

 荒くなる息を抑えるため、膝に顔を埋めた。

(怖い……怖い、コーイチ、助けて……!)

 浮かぶ涙がスカートに吸い込まれていく。アミアが選んでくれた服。

 ――森に逃げたら、打ち上げるんだ。必ず助けが来るから

 いつだったかコーイチが言っていた。木に登って合図を送るように、と。

(……打ち上げる……)

 キャンは顔を上げると周囲を見回した。息が苦しく身体が震えるが、このままでは駄目だと自分を奮い立たせる。

(早くこの子をお医者様に診てもらわないと)

 抱いていた子猫をそっと木の又に寝かせ、キャンは森を見渡した。一際大きな木の股の部分に、何かが括り付けられているのを見付けた。
 キャンはこちらにじわじわと近付いてくる男達の気配を捉えながら、素早く木を降りるとその大きな木に向かって走り出した。

「いたぞ!」

 背後で男の声が上がる。
 振り返らず大きな木に向かって走る。思うように身体が動かないが、男達よりは身体能力が高い。男達を引き離し、キャンは大きな木に一気に登った。

「くそ! 誰だよ動けなくなるって言ったのは!」
「薬が少なかったんだ、効くのに時間がかかってる」

 二階の屋根よりも高い位置まで木を登ると、震える手で固定された箱の蓋を開ける。
 密閉された箱の中には、ワインを入れるような紙で出来た筒状のものが入っていた。

(これ……見たことある。ウェイさんが教えてくれた花火だ)

 ドクドクと煩い心臓はキャンを焦らせる。手が震え上手く動かす事が出来ない。手に持っていた箱の蓋が落ちて地面でバラバラになった。

(打ち上げろって、言ってた。ウェイさんが火を付けて打ち上げてた……)

 キャンはガンガンと痛む頭で必死に考える。ポケットに手を入れ中身を取ろうとするが、震える手がうまく動かせない。パラパラと何かが落ちて行く。

(落ち着いて……落ち着くの、大丈夫)

 深呼吸をしても息が苦しい。それでも懸命にキャンはスカートのポケットからマッチを取り出した。

「おい! いたぞ、早く引き摺り下ろせ!」
「登れる奴はいないのか!」

 筒を確認すると導火線がついている。その導火線にマッチを擦って火を付けようとするが、手が震えて上手くいかない。パラパラとマッチが何本か落ちていった。

(早く早く、早く)

 いつも調理台のコンロに火を付けるのに使っているが、こんなに難しかった事はない。
 ドン、と木が揺れた。男がイライラしたのか木を蹴っている。だが、太く大きな木は枝を少し揺らしただけだ。

 シュッ、と音を立て火が付いても震えてそのまま落としてしまう。

「おい! 何してる!」
(大丈夫、火が付いた、落ち着いて)

 もう一度マッチを擦り火を付けると、ゆっくりと導火線に近付けた。また木が揺れる。
 だが今度こそ、キャンは導火線に火を付けた。
 導火線はジジッと音を立て筒に吸い込まれていく。

 ドオオオンッ

 煙を上げ、筒から大きく打ち上げられた花火は、王都の丘の上から斜めに打ち上げられ大きな大輪をひとつ、夜空に咲かせた。金色の光の粒ががパラパラと静かに王都の夜空に消えて行く。

(やった……!)
「クソガキ!」

 下でキャンを見上げていた男は怒鳴り声を上げると、キャンが下に落とした木の箱の破片を掴み投げつけた。男が投げた木片はキャンの肩に激しく当たり、キャンは身体のバランスを崩し落下した。
 
「馬鹿! 死んだらどうすんだよ!」
「知るか!」
「獣人は売ったら高いんだ、傷付けんじゃねえぞ」
「おい、生きてるぞ!」

 駆け寄った男が地面で蹲るキャンの髪を鷲掴み顔を上げさせた。

「この!」

 キャンに蹴りを喰らった男が激しく頬をぶつ。
 キャンは意識が朦朧として、痛みもよくわからなかった。

(助けが来るって、言ってた)

 髪を掴まれそのままズルズルと店に引き摺られて行く。男達は順番を決めるのに揉めているようだが、キャンにはもう状況が理解できなかった。

(助け……誰か、誰か)

 ポロポロと溢れる涙が声にならない声となって溢れた。

(助けて……)

 ユーレク。
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