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拘束はダメ※

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 具合が悪くなったから部屋を取りたいと、アデルは私を横抱きにしたままレストランが併設されていたホテルの部屋を取った。
 もちろん、その間は恥ずかしすぎて顔を上げなかった。
 上げられるわけがないわ! 私だってバレてないで欲しい! でも他の女性だともっと問題だわ! どうすべきだったの⁉
 部屋に入るとすぐ、扉の前であっという間にアデルに抱き締められ、飲み込むような口付けをされる。アデルの荒い息遣いに体の芯が痺れるような感覚が走り、立っているのもつらい。

「んあ、ぁっ、……ふ」
「カタリーナ気持ちいい? 蕩けてるね、か~わい」

 いつの間にか脱がされたドレスは音を立てて足元に落ち、アデルのマントも腰の剣も、ガチャガチャと床に落ちていく。二人で貪るように口付けを交わしながらアデルに抱き上げられ、居室から続く寝室のベッドまで移動した。

 背中に柔らかな、少しひんやりとしたシーツの感触があり目を開けて見上げると、騎士の隊服を着たままのアデルと目が合った。

「綺麗だよ、カタリーナ」

 少し低い声で囁くアデルは、いつもの柔らかで軽薄な彼とは違う。少しだけ息を荒くしたその様子が、私の身体の奥をまた震わせた。
 もう一度覆い被さってくる彼の胸を押し返す。押し返せないけど。

「ま、まって」
「ここまで来てそれは無理」
「そ、そうじゃなくて!」
「お風呂も駄目だよ。後で一緒に入ればいいから」
「一緒⁉」
「そうだよ。きっと一人じゃ無理だから」
「どういう意味⁉」
「うん、あとで分かるよ」
「あのでも私やっぱり……」
「しーっ」

 アデルは人差し指で私の口をそっと押えた。黙って見上げると、アデルはふっと笑い人差し指をくっとまげて唇を割り入るように口内に差し込んだ。

「んっ、んあ」
「いい子だね、カタリーナ。……しゃぶって?」

 アデルの指がグイっと深く入り込み、私の舌を押さえた。指先で舌を擦られ、思わずその指に舌先を絡める。無意識に指をちゅうっと吸い上げると身体の中心がまたぎゅっと熱くなった。

「上手だよ」

 アデルは指を抜くと、私を見下ろしながら唾液でぬれた指を舐め取った。
 
「どうしてほしい? 隊服」
「ど、どうって」
「着たままがいい? それとも脱ぐ?」
「そ、そんなの分からないわ!」
「うーん、まだ意地っ張りだねえ。可愛いけど、こういう時にはもっと素直になって欲しいな」
「あ、アデル⁉ 待って、ちょっと……」
「試してみようね」
 
 アデルはそう言うと、隊服のベルトをシュッと抜きさり私の両手首を拘束した。

「わあ、細いからすぐに抜けそうだな」
「あ、アデルっ! やめてちょうだい、いやよ!」
「大丈夫、気持ちよくなるだけだから」
「こ、これ取って!」
「ん、あとでね」

 アデルの手が背中に回り、あっという間にコルセットを緩めた。メグより早いわ!
 コルセットを身体から取り去ると、後ろ手に投げ捨てる。離れた場所からばさりと床に落ちる音がした。

「凄くきれいだよ、カタリーナ」

 アデルはしばらく触れることなく、じっと私の身体に視線を這わせ、ゆっくりとわき腹から腰を撫でた。そのくすぐったい刺激に身体が跳ねる。
 アデルの視線や指先の動き、熱い吐息に身体中が熱を持って暴れている。どうしよう、どうしたらいいの⁉ これを鎮めるにはどうしたらいいの!

「細い腰……どうしてコルセットなんかするのかなぁ。胸もこんなに……」
「んぁ⁉」

 ふわり、とアデルの指が胸に沈んだ。

「真っ白で柔らかくて、ほんのりピンク色」

 大きく回すように胸をこねやわやわと揉みしだかれる。その刺激に加え、体を起こしてじっと様子を見ているアデルの視線が堪らなく恥ずかしい。むずむずと身体に刺激が走り、どうしたらいいのか分からない。
 じわりと、視界が歪んだ。しずくが零れるのはすぐだった。

「え、カタリーナ⁉」

 アデルが慌てて覆い被さり私の頭を撫でた。

「ごめんね、泣くほど嫌だった?」
「ち、ちが……っ」

 拘束されたままの両手で顔を隠す。

「これ、外して……お願い……」
「わかった、すぐ……」

 うぐうぐと鳴き声が漏れるのを聞いて、アデルはグッと息をのみ、すぐに手首を拘束していたベルトを外した。
 私は顔を隠していた両手を伸ばし、思いっきりアデルの首にしがみ付いて引き寄せた。
 
「カタリーナ?」
「もうやだぁ。隊服着たままなんてヤダ」
「やだ? じゃあ脱ぐ?」
「脱がないで」
「うん?」
「こうやってくっついてるから、たくさん触って」
「ん、んん?」
「離れないで! お腹がムズムズして変なの! もうヤダ、なんとかして!」

 アデルの首にしがみ付いて必死にそう叫ぶと、アデルが大いに体を揺らした。ぐうっと喉を鳴らしている。

「なにそれ……俺をどうしたいのカタリーナ」
「あ、貴方こそ私をどうしたいの」
「……俺に夢中にさせたいよ?」
「もうなってるからぁ!」

 そう叫ぶとガチッと音がしたようにアデルが固まった。そしてすぐにぎゅうっと強く抱き締められる。

「アデル、アデル!」

 しがみ付いて名前を呼ぶと、アデルが深く口付けする。あっという間に唾液が口端から零れ、口を離すと互いの唇が銀色の糸でつながった。

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