エトランゼ・シュヴァル

hikumamikan

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この隙に。

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私がエルブルスの東の平原で、敵のルースン皇帝の首を剣に刺して凱旋して3ヶ月。
ついにベオス火山が噴火した。

あの私がこの世界の片隅に送られた側の火山だ。
もちろん私の名前は(すず)では無く、スズカだ。そしてここは慶国でも無いし、友に祥瓊なんていない。
『何の話だ?』

それはさて置き、『置くんかい!』公爵にと元エルブルス領を与えると、フェーブル国のオル・フェー国王が五月蝿いので、(今はルースン国を併合してホーリック国と成ってる)私は国外逃亡した。


鉱山村での護衛も一緒にしたバトランに付いて来てと言いたかったけど、言えなかった。
今ばらすとあの後バトランとは数度肌を合わせ夜を共にした。
やっとポートの想いを薄れさせてくれた男だった。
妊娠したら違ったかも知れない。
何せバトランには親兄弟が多くいたから言えなかった。

爵位を貰ったらバトランとも結婚出来なかったに違い無い。

何せ縛られるのは嫌。
家庭にじゃ無くて国にだけど。

そんな訳で私は今、あの火山から馬で1ヶ月くらいのシアマド国の僻地、ラシアン川の畔パーソと言う町に住んでる。
この辺りは水が豊富で稲作もしている。
川には魚や蟹それに川海老なんかも沢山いるから、鰻もいるんだなこれが。
水質も良くお酒も作っている。
ドブロクも有ってかなり甘い。
「・・・何?、醤油にドブロク入れて煮詰めてんの」
私は借家の庭先で煎餅をかじりドブロクを呑んでいたが、この甘さならと醤油に入れて煮詰めてみたのだ。
「う~ん、砂糖無くてもいけるんじゃないかしら」
「何が?」
先程から聞いて来るのは、この家の大家の息子で庭先の田んぼを管理しているシーダさんだ。
気さくな人で良く話をする。
「えっ、ええー!」
私が古いまな板に鰻の頭を五寸釘で打ち付けたからびっくりしてた。
シャアーっと腹を割き内蔵を捨てる。
肝吸いなんて作れないから。
水で良く洗い串に刺して七輪の様な物に網の上から乗せた。
醤油ダレをぬると。
「おお、旨そうな匂いだねえ」
「もう一寸待って下さいね」
「えっ僕にもくれるの」
「 もう目が訴えてるじゃ無いですか」
「あはは、ばれたか」
「その為に二匹さばいたんじゃないの」
「いやあ申し訳ない」
「ちゃんと食べてね」


鰻丼を一口食べたシーダさんは実家へ走って行った。
えっ、そこまで?。
お父さんやお母さん姉妹に兄弟が皆来た。
・・・多分鰻丼の作り方だよね。

前の国でも一部の食堂かレストランだけだ、鰻丼を提供するのは。
砂糖が高いし、かなり糖度の高いお酒が少い。
麦芽糖に砂糖を少し足して使っているとか。

だけどこの地のお米のドブロクは20度でもってかなり甘いのだ。
だからお菓子とか使われている。
それは布でろ過して煮詰めてアルコールを飛ばして使う。

この後割りと流行ってしまった。
お祝いの席とかに出されたり、お祭りの屋台とかで見かけた。

こちらの国では新人冒険者としてギルド登録している。
身元確認は少し緩い。
知名な高位冒険者は別として、冒険者とは手に職が無くその日暮らしの、土工の様な認識と思って貰ってよい。
新人は何でも屋だ。
仕事を選べないペーペーである。
なので私も三十路だが溝さらいからゴミ集め、もちろん薬草採取に低級魔物討伐何でもござれだ。

ただ一つ違っていたのはお嬢様は露店商だったのです。
『誰がお嬢様よ、おばさまでしょ』
「あんたねえ馬は人の3倍くらい年齢が行くのよ。私と同じ歳じゃない。それにすぐに私を追い越すわよ」
アヤカゼの相手どうしょうかな?。
「ねえアヤカゼ貴女のパートナーどうしょうか?」
『ん、番の相手か』
「まあそうゆう事」
『時々隠れてやってるよ。受精して無いけど』
「・・・いつの間に?」
『前世だと2月から7月の間だけど、こっちの気候のせいか割りと頻繁に発情するんだよね。時折走るの遅いの有るじゃんあれフケなんだよね』
「・・・いつも速過ぎて分かんなかったわよ!」


まあいっか・・・そのうち子馬出来るよね。
そうすると私一人で魔物狩りしないとあかんやん。
『突発の接近戦だけ気を付けてね』
「そうだね」
『パーティー組むとか』
「私今殆ど初心者扱いだから無理でしょ。それにせいぜい薬草採取だから大丈夫だよ」
『スズカに何か有ったらシーダが泣くからなあ』
「・・・何でそうなるの?」


『あんたねえ、もうおぼこじゃ無いんだから。それとも彼の気持ちに気付かないとか言うわけ。それともバトランが迎えに来るのを待ってるのかな?』
「ばっ馬鹿な、そんなわけ無いでしょ。もう終わった事よ」
『だったらあの人でも良いでしょうが。おそらくは御両親もそれを望んでおられる。長男じゃ無いからこの田んぼだけだけど、貴女にあのスキルが有るから生活には困らない』
「そんなだからっていきなりは、はしたないでしょ」
『ポート君とは結構いきなりやったと思うわよ』
「なっ!、なんて事を」
『スズカは猪タイプって昔から知ってるんだから。たまたま少し男運が無かったけど、これと決めたらもう一直線。さっさと子供作りなさい』
「・・・・・」
私はその日は早くにふて寝した。


夢の中で誰かが囁く。

『善き縁じゃ。死ぬまで添い遂げるじゃろう。さっさと仕留めとけ』


「・・・外の空気でも吸うか」
「あれスズカさん」
「へっ、シーダさん?。何で」
「夜ににわか雨有ったんですよ。結構降ったから水路が詰まって無いか気になって。月も有るから見回りしてました」
確かに地面がかなりぬかるんでて、私のズボンの裾は草についた雫で濡れていた。
「あースズカさん、オヤジがすいません」
「えっ何の事ですか?」
「実は親父はギルドの酒場で酔い潰れて、ギルドの職員のヒソヒソ話を聞いた様なんです。スズカさんには犯罪歴は無いけど、元々他国の上位冒険者だった事。王族か高位貴族との間で一悶着有って国を出たらしいとかって」
「あー、全部ばれてたのにあの受付の人。知ってて新人冒険者登録してくれたんだ。一悶着じゃ無くて爵位を押し付けられそうに成ったから、公爵とか息が詰まりそうで、好きな人とも自由に夫婦に成れないし。貴族に成るのが嫌だったんですよ」
「だったら僕の・・・」
「焦り過ぎて嫌われるから黙りましたか?」
「あっ、・・・すいません」
「それならこうしましょう」
私は彼にくみしいて口づけをした。

大分長く静かに口を合わせていたら。

彼の手が私の胸や太股を撫でた。

私が自ら縁側の板の間に倒れ込むと、腕を引いてたせいで彼が私に覆い被さった。

そこからはもう好きあった男女なモノだから、最後までいった。


8日後にささやかな祝言をした夜に、例のあれからの言葉が降りた。
『おお、着床したではないか』
「はあ?」
『いやだからシーダの子が出来る』
「えっ分かるの?」
『わしを誰だと思っておる』
「いちおう神様」
『ほれ、7日前の夜子種を受けたじゃろう』
「変態!」
『・・・お前な、あんなもん犬猫の交尾と一緒じゃ』
「失礼な!」
『人間も他の動物もわし等からしたら、只の生殖行為で有って、アメーバーが増えるのと変わらん』
「ひどっ!」
『まあそんなもんで、良かったのう。子供欲しかったじゃろう。おそらくは丈夫に育つ女の子じゃ』
「女の子なの」
『まあな2年後には男の子が出来ると出ておるし、更に2年後には2人目の男の子が出来るぞい』
「3人?」
『歳を考えたら上々。めでたい事じゃ』
「そっそうね」
内心は凄く嬉しくてもう踊り出しそうだった。
踊れないけどね。


『ふむ継承したか』
「何?」
『後々の楽しみで良かろうぞ』
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