エトランゼ・シュヴァル

hikumamikan

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娘の恋。

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田植えも終わり一際暑さも増した頃。
娘の様子がおかしい。
察するにあれは恋だな。
「まっ待て未だ早い」
あちゃー、声に出てたか。
夫に聞かれた様だ。
「そんな事言ってたら私みたいに行き遅れちゃうぞ」
「行き遅れたから俺はお前と夫婦に成れた」
「まあ実際は再婚だけどね。わたしゃ後家だから」
「それでもお前に会えた」
もう、顔が真っ赤になるわ。

「ゴホン、兎に角ほっとく事」
「もし相手が悪い奴だったら」
「その時は・・・神罰(アヤカゼ)が当たる」
「・・・いきなり妊娠したら」
「おめでたい」
「・・・ダメだダメだあー」
「駄目なのはあなたね」
「冒険者って意外と結ばれ難いよ」
「何でそう言えるんだ」
「だって普通下位クラスはまともな収入とは言い難いし、中クラスでも怪我や病気に死ぬ事も多い。現に私は後家に成ったよ。Aクラス以上でも死ぬ事有るんだよ。Aクラス以上は強い魔法が使えてもだよ。だからそんな安定性の無い冒険者と結婚したい女性は少ないよ」
「だけどお前は冒険者と結婚した」
「その為彼は国の兵士に成った。安定性を得る為に、だけど戦争になって直ぐに死んじゃった。私のせいだよ」
私の頬を留め無く流れるモノを見て、慌てた夫は抱き寄せて、「すまないそんなつもりじゃなかった。それにお前のせいじゃ無い。お前のせいじゃ無いんだ。皆人は運命を持ってるお前のせいじゃ無い」
夫は髪を撫でたり、キスをしたり。
色々愛撫してくれる。
ハグして背中を軽く何度も叩いて慰めてくれる。
「私はずっとずっと彼の重しを抱えて生きて来たんだ」
「すまない。俺の気遣いが足りなくてついあんな事を言っちまった。人の気持ちを少しも考えて無かった」
「ごめんね。あなたには関係無いのに」
「いや関係有る。常に夫婦は協力関係だから、考えが足りなかった。すまん」
暫く抱きあっていたら・・・娘に見られた。

「真っ昼間から何やってんの。あ~あ、うちも彼氏欲しいわ」
「・・・・・」
夫は何も言えなかった。
そんな夫を私は上目遣いで、うふっと笑った。

その日の夜は想像に難くないアツイ夜に成ったよ、うん。


差し足、摺り足、忍び足。
「お母さんちっとも忍んで無いから」
「何で分かったの?」
「・・・フウ~、アヤカゼが居たら分かるでしょうが」
「あっ・・・」
「あっじゃ無いわよ。何後付けてんの」
「えっ・・・」
「あっでもえっでも無いでしょ。私に男がいないか見てるわよね」
「そっそれはぁ~」
「はい、口籠ってばれましたとさ。変な口出ししないでよ。未だ全然片想いなんだから」
「相手の事を聞いても良い?」
「う~ん、良いけど何も進展して無いからね」

娘の好きな人は先輩冒険者だったが、色々転々とする放浪癖が有って、何処かへ行ってしまい娘の恋は終わった。
結構町を移る冒険者は多い。
私なんか国を変えてる。

まあその内次の恋が見つかるだろう。

¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤

私はリョウ。
母が涼しい香りで(スズカ)って言うの。
で涼しいの別の読み方にリョウってのが有って、それから付けた名前みたい。
私には母の母国語は解らないな。
この前失恋と言うか自然消滅の片想いを体験したばかりでなんだけど、商人の護衛の時に同じ歳の息子さんとちょっぴり仲良くなったのよ。

それでね今度また往復5日ばかりの町へ護衛として同行するの。
メンバーは例のアーネスとトリーそして私。
カヅラカタって町は初めて行くなあ。
どんな所かわくわくしてる。
何でも芸術の町らしく、美術館や劇場があり華やかな町らしいの。
国立華劇団の本拠地とかでファッションの最先端でも有るらしいわ。

でも本当に心が踊ってるのは、息子さんとのデートかな、誘われちゃってもう心臓が飛び出そうに成ったわ。
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