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第86話 息子のスキル。
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山岳狼の大繁殖の他にはそこそこに魔物の出没は有ったが、大きな討伐隊を組む事は無かった。
とは言え夫のノマシは遠征が頻繁で余り家には帰れなかった。
デージーも細々した討伐でワイバーンやキュプロプスから冒険者を助けていた。
そして一年半近くが過ぎた。
今日は前世の方の記憶では1月1日。
そう元旦だ。
当然此方の世界でも節目なので御祝いする。
そしてそして、今日は我が愛しの息子ライルの5歳の誕生日なのだ、のだ。
教会に行くとデージーの時とは違う神官だった。
若い・・・新米神官かな?。
「新米の神官さんかなあ」
「こっこら、デージー!」
「デージー失礼だよ」
「あはは、本当の事ですからよろしいですよ」
「やっぱり新米さんなんですね」
「おいレイナ!」
「あっごめんなさい」
「こんな御祝いの日ですからね、こぞって皆さんお休みを頂いております」
「神官さんもこんな日に合わせて仕込むなよって感じだよね」
「「デデデ、デージー!!」」
新米神官さんは下を向いてプルプル震えている。
思い切り笑いを堪えているのが解る。
「おほん。では祭壇の方へ」
私達家族4人は神官さんに促され祭壇の方へ向かう。
祭壇の奥の中央には一段高くなった所が有り、円形状に小さな舞台の様に成っており、その壁には一体の神像が有るが、これは施しの神と言われている。
私は知っているのだが、この神は実は創造神付きの書記官。
したがって十柱神とは違うが、この世界では十柱に加えられている。
なので地方によっては11柱に成る所も有る。
そこで神官が短い祝詞を唱えると、神像に向かい舞台の中央に立つライルの体が光る。
すると神官の前に有る石造りの立派な楽譜台に填められた白い石板に、神が書いたスキルが浮かぶのだ。
因みに私達夫婦は拡大の事はライルには言っていない。
デージーかナディールさんもしくは牧場のお嫁さんが喋ったかには触れていない。
全ては運命と割り切っている。
「(山を歩く人)ですね」
「「「山家かよ~!」」」
ライルがビクッとして私達の方を振り向いた。
神官さんも同時に振り向いた。
「「「山家復活だな」」」
私達3人の声が見事にハモる。
「多分猟師とか山に関する仕事のスキルでしょうね」
神官さんはそう言って私達家族を送り出してくれた。
家に帰ると皆がライルを取り囲んで部屋の中に座っている光景に成る。
ライルは訳が解らずキョロキョロ。
「ライルちゃ~んスキル見せて貰って良いかなあ」
「ライル見せて欲しい」
「ライルお姉ちゃんにも見せて」
3人とも鑑定が使えるので興味深々だ。
「いっいいよ」
3人は待ってましたとばかりに鑑定を始めた。
名前 ライル
種族 ヒト族
年齢 5歳
神託スキル 山を歩く人
(スキル内容・・・ 山を歩く為の魔法全属性及びあらゆる魔物の回避と討伐の仕方。味方に成る魔物のティム方法。水脈と水質及び水飲み場の在り処認識。あらゆる鉱物の鉱脈の察知及び危険鉱物の察知そしてこれ等の採掘方法。水と鉱脈そして希少物発見に必要な大魔法の使い方。山歩きにおいての身体能力強化と身体保護の為の結界及び休息に必要なあらゆる魔法の使い方。山々の移動に必要な亜空間魔法全般。大地・山・水・時・火・空気・薬その他の神の加護及び創造神の加護。尚これ等は海嶺をも対象とするので、海の中や底も問題なく歩けるし、獲物も採取可能。)
魔法 全般
称号 山守・役行者
「「「なんじゃこりゃああああああ~」」」
まさに(なんじゃこりゃあ~)なスキル。
5歳にあるまじきチート能力だった。
行く事が出来ないのは宇宙ぐらいかも。
3人は暫く固まったまま動けなかった。
ライルはどうも薬草採取と称して山に入っている様だ。
まあ、多分、おそらくは大丈夫だとは思いたいが、先週はオーク3体がアイテム袋に入ってたし・・・。
5歳なんだよ、心配するに決まってるよ。
今日は体力・魔力回復に、総合的体内異常回復ポーションが、各10本入ってた。
錬金術師かよ~。
明日はきっと色んな宝石が入ってるかもなと思ったら、ミスリルと金銀銅にアダマンタイトの鉱石が入ってた。
はい5歳で大金持ち確定です。
翌日・・・1個、いっこだけどね・・・何で黒真珠なんて入ってんだよお~。
しかもこれ瀬戸貝じゃね~か。
マジで海の底歩いてんじゃん。
しかも朝出て昼に帰って来たんだよこいつ。
はい瀬戸貝美味しく頂きました。
主人は凄く喜んでた。
まあ脳の記憶の持ち主は広島の人だから・・・って、喜んでんじゃね~よ。
どうせならギザミも取って来いよ。
「「ギザミの煮付けええよなあ~」」
「「ギザミってなあに?」」
子供達よギザミはなあ・・・、ベラトキュウセンノセトウチチホウノヨビナダヨ。
「明日は薬草採取に行くよ。ギルドで不足してるみたいだし」
「えっ、最近は魔物そんなに出て無いよね」
「ああレイナは知らないか。近頃薬草とかの生育が悪いみたいでな、麦も撮れ高が心配されてる」
「それじゃあ山の空いてる所で薩摩芋でも植えてた方が良いかしら」
「そうだね、念の為にギルドにも相談しておくよ」
「そう言えばお母さん今年は山脈の雪が多いね」
「うん去年より寒い」
「冷夏に成るのかな?」
「気になるから対策は必要ね」
一家4人で感じる程に春は遅かった。
とは言え夫のノマシは遠征が頻繁で余り家には帰れなかった。
デージーも細々した討伐でワイバーンやキュプロプスから冒険者を助けていた。
そして一年半近くが過ぎた。
今日は前世の方の記憶では1月1日。
そう元旦だ。
当然此方の世界でも節目なので御祝いする。
そしてそして、今日は我が愛しの息子ライルの5歳の誕生日なのだ、のだ。
教会に行くとデージーの時とは違う神官だった。
若い・・・新米神官かな?。
「新米の神官さんかなあ」
「こっこら、デージー!」
「デージー失礼だよ」
「あはは、本当の事ですからよろしいですよ」
「やっぱり新米さんなんですね」
「おいレイナ!」
「あっごめんなさい」
「こんな御祝いの日ですからね、こぞって皆さんお休みを頂いております」
「神官さんもこんな日に合わせて仕込むなよって感じだよね」
「「デデデ、デージー!!」」
新米神官さんは下を向いてプルプル震えている。
思い切り笑いを堪えているのが解る。
「おほん。では祭壇の方へ」
私達家族4人は神官さんに促され祭壇の方へ向かう。
祭壇の奥の中央には一段高くなった所が有り、円形状に小さな舞台の様に成っており、その壁には一体の神像が有るが、これは施しの神と言われている。
私は知っているのだが、この神は実は創造神付きの書記官。
したがって十柱神とは違うが、この世界では十柱に加えられている。
なので地方によっては11柱に成る所も有る。
そこで神官が短い祝詞を唱えると、神像に向かい舞台の中央に立つライルの体が光る。
すると神官の前に有る石造りの立派な楽譜台に填められた白い石板に、神が書いたスキルが浮かぶのだ。
因みに私達夫婦は拡大の事はライルには言っていない。
デージーかナディールさんもしくは牧場のお嫁さんが喋ったかには触れていない。
全ては運命と割り切っている。
「(山を歩く人)ですね」
「「「山家かよ~!」」」
ライルがビクッとして私達の方を振り向いた。
神官さんも同時に振り向いた。
「「「山家復活だな」」」
私達3人の声が見事にハモる。
「多分猟師とか山に関する仕事のスキルでしょうね」
神官さんはそう言って私達家族を送り出してくれた。
家に帰ると皆がライルを取り囲んで部屋の中に座っている光景に成る。
ライルは訳が解らずキョロキョロ。
「ライルちゃ~んスキル見せて貰って良いかなあ」
「ライル見せて欲しい」
「ライルお姉ちゃんにも見せて」
3人とも鑑定が使えるので興味深々だ。
「いっいいよ」
3人は待ってましたとばかりに鑑定を始めた。
名前 ライル
種族 ヒト族
年齢 5歳
神託スキル 山を歩く人
(スキル内容・・・ 山を歩く為の魔法全属性及びあらゆる魔物の回避と討伐の仕方。味方に成る魔物のティム方法。水脈と水質及び水飲み場の在り処認識。あらゆる鉱物の鉱脈の察知及び危険鉱物の察知そしてこれ等の採掘方法。水と鉱脈そして希少物発見に必要な大魔法の使い方。山歩きにおいての身体能力強化と身体保護の為の結界及び休息に必要なあらゆる魔法の使い方。山々の移動に必要な亜空間魔法全般。大地・山・水・時・火・空気・薬その他の神の加護及び創造神の加護。尚これ等は海嶺をも対象とするので、海の中や底も問題なく歩けるし、獲物も採取可能。)
魔法 全般
称号 山守・役行者
「「「なんじゃこりゃああああああ~」」」
まさに(なんじゃこりゃあ~)なスキル。
5歳にあるまじきチート能力だった。
行く事が出来ないのは宇宙ぐらいかも。
3人は暫く固まったまま動けなかった。
ライルはどうも薬草採取と称して山に入っている様だ。
まあ、多分、おそらくは大丈夫だとは思いたいが、先週はオーク3体がアイテム袋に入ってたし・・・。
5歳なんだよ、心配するに決まってるよ。
今日は体力・魔力回復に、総合的体内異常回復ポーションが、各10本入ってた。
錬金術師かよ~。
明日はきっと色んな宝石が入ってるかもなと思ったら、ミスリルと金銀銅にアダマンタイトの鉱石が入ってた。
はい5歳で大金持ち確定です。
翌日・・・1個、いっこだけどね・・・何で黒真珠なんて入ってんだよお~。
しかもこれ瀬戸貝じゃね~か。
マジで海の底歩いてんじゃん。
しかも朝出て昼に帰って来たんだよこいつ。
はい瀬戸貝美味しく頂きました。
主人は凄く喜んでた。
まあ脳の記憶の持ち主は広島の人だから・・・って、喜んでんじゃね~よ。
どうせならギザミも取って来いよ。
「「ギザミの煮付けええよなあ~」」
「「ギザミってなあに?」」
子供達よギザミはなあ・・・、ベラトキュウセンノセトウチチホウノヨビナダヨ。
「明日は薬草採取に行くよ。ギルドで不足してるみたいだし」
「えっ、最近は魔物そんなに出て無いよね」
「ああレイナは知らないか。近頃薬草とかの生育が悪いみたいでな、麦も撮れ高が心配されてる」
「それじゃあ山の空いてる所で薩摩芋でも植えてた方が良いかしら」
「そうだね、念の為にギルドにも相談しておくよ」
「そう言えばお母さん今年は山脈の雪が多いね」
「うん去年より寒い」
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