異世界勇者は天使召喚士

序章

プロローグ２

「ん？　ここは……」


俺が目を覚ますと、そこは白いを基準とした部屋だった。
周りを見ると、白いテーブルに白い椅子が対に二つがあり、そこにはある。


ここは以前転生する前に来たことがある……確か──。


「勇者、よく来ましたね。会うのは十六年ぶりでしょうか？」


俺は懐かしい声の方向を見てみるとそこには白い部屋とは対の黒目黒髪の少女がすぐそばに立っていた。


「久しぶりだな、アルトル」

「ええ、久々に顔を見れて嬉しいのですよ」


アルトルは俺に向かって微笑み掛けると、椅子に向かって指を指し俺を椅子にまで誘導した。
唐突だが、ここは神と転生者や異世界召喚される者等とが話す場所だ。
前に俺が来たのは十六年前、俺が世界に転生する前にここに来た事が有りアルトルとはその時に知り合った。


「ところでここに何か用でしょうか？」

「いや、用は無かったんだが……何と言うかだな、死んだよ」


俺がそう言うとアルトルは目を見開いた。
そりゃ、目の前でいきなり死んだとか言われれば驚くだろうが、神相手に驚かれるとは思わなかった。


「そうですか……その口ぶりからして魔王を倒せたんですね？」

「ああ、倒したよ。まあ相打ちになったけど」


俺がそういうとアルトルは少し考え込み、すぐに俺へと視線を戻した。


「あの世界で過ごした十六年は貴方にとってどうでしたか？ 楽しかったですか？ それとも辛く苦しい物でしたか？」

「いいや、異世界での生活は確かに辛い事もあったし、正直言うと自殺しよう思った事も多々あったさ……だけど、俺には使命があり、共に戦ってくれた仲間がいた。今思えば幸せだったよ」


俺がそう言うと、アルトルは微笑みながら頷き、虚空へと手を伸ばし一冊の本を取り出した。
これは前回でこの空間に来た時に聞いたが、世界を見る本と言って、様々な世界の中でこれから危険な事が起きようとしている世界が載っているらしい。


「本来、貴方は再びこちらに来るはずの無かった人間です。ですが、それでも来たということはこの私さえ分からない運命というものがあるのでしょう。なので問います……貴方はもう一度世界を救う気はありますか？」

「ああ、例え同じ世界でなくとも俺は世界を救ってみせるよ」


俺がそういうとアルトルは本に手をかざした。
その瞬間、本の文字が光りだしその中へと俺の体が足から光の粒となって消えてゆく。


「勇者ノエルよ。貴方には感謝していますよ……」

「ああ、こちらこそ」


この時の俺はまだ知らなかった……まさか俺にあんな事が起こっていたのを……。