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出撃の丘
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『おい、お前ら早くしろ~。
飛竜どもがお待ちかねだぞー!』
ダンイルの呼び声が響く離着陸場には、既に12頭の飛竜が並んでいた。
『対竜槍は装着したか?』
大きな弓を背負ったラッジストがナンシーを連れて現れた。
その背後には他の飛竜騎士たちの姿もある。
『おう。使わねぇことを前提にな』
軍用飛竜は、両翼の付け根に対竜槍発射装置を装着させるのが基本だ。
一頭で2発の対竜槍を発射でき、陸海空いずれの戦闘においても重宝されるドラゴンだ。
『しっかしラッジスト…。お前も相変わらず重武装だな。
ただの迷子探しだろ?』
ダンイルがラッジストを見て苦笑いを浮かべる。
飛竜の最大の武器は、その速さにある。
翼を広げ滑空し、一気に作戦を遂行するのが飛竜隊だ。
それ故、飛竜騎士には比較的に体の軽い女性が選ばれるわけだが、ラッジストは背が高く体格も良い。
しかしラッジストは、不利にしか見えないこのハンデを逆手にとり、さらに騎士自ら弓で武装するという荒業に打って出たのだ。
『飛竜同士の空中戦だけは、ラッジストちゃんとはやりたくないな~』
ナンシーがニヤニヤしながらラッジストを見る。
『ふん、よく言う。
ナンシー…お前との練習試合は14戦12敗と、圧倒的に俺が負け越しているんだからな』
ラッジストは素っ気なくそう言うと、飛竜へと乗り込んだ。
『あ、拗ねた!
ラッジストちゃん可愛い~』
ナンシーは子供みたいにはしゃぎながら、自分の飛竜へと飛び乗る。
それに倣うように次々と飛竜騎士たちが乗り込み、12騎のドラゴンたちの離陸準備が整った。
『気をつけて行けよ!』
ダンイルはそう言うと、離陸の合図である赤い旗を掲げる。
それと同時に12騎は一斉に翼を広げ大地を蹴る。
一瞬のうちに遥か大空に羽ばたいた飛竜たちに、ダンイルは満足そうに親指を突き立てたのだった。
優しい風が青草を揺らす丘の上、クフィールは空の彼方へと遠ざかって行く飛竜たちを黙って見つめていた。
側には石の墓碑が二つ。
クフィールは視線を落とし、その墓碑の前にしゃがみ込んだ。
『お前の母親も、夫が飛び立つのをよくここから見送っていたもんだ』
ダンイルの声にクフィールが顔を上げる。
基地の裏手にある海を一望できるこの丘で、クフィールとダンイルはよく二人で酒を酌み交わしていた。
『心配性なのは、母親譲りか?』
ダンイルが持参した酒瓶をクフィールへと放りながら笑う。
『ラッジストは…あの子は、この島が嫌いみたい』
クフィールが酒瓶を受け取り、寂しげに空を仰ぎ見ると再び柔らかい風がその白い頬に紅い髪をはわせた。
『アイツは許せないんだろうな。
飛竜乗るのも剣を振るのも天才的な姉に、どんなに努力しても追いつけない自分の不甲斐なさを…。
あんなに憧れた飛竜軍本隊への入隊を、アッサリ蹴っちまう姉に憧れてしまう自分の弱さをな…』
ダンイルはそう言うと、クフィールの隣に立ち酒をグィッとあおった。
『よし、今夜は飲み明かすぞ』
『あら、もちろんそのつもりよ。
覚悟しなさいね』
立ち上がったクフィールは、手に持つ酒瓶をダンイルの瓶に静かにかさねたのだった。
飛竜どもがお待ちかねだぞー!』
ダンイルの呼び声が響く離着陸場には、既に12頭の飛竜が並んでいた。
『対竜槍は装着したか?』
大きな弓を背負ったラッジストがナンシーを連れて現れた。
その背後には他の飛竜騎士たちの姿もある。
『おう。使わねぇことを前提にな』
軍用飛竜は、両翼の付け根に対竜槍発射装置を装着させるのが基本だ。
一頭で2発の対竜槍を発射でき、陸海空いずれの戦闘においても重宝されるドラゴンだ。
『しっかしラッジスト…。お前も相変わらず重武装だな。
ただの迷子探しだろ?』
ダンイルがラッジストを見て苦笑いを浮かべる。
飛竜の最大の武器は、その速さにある。
翼を広げ滑空し、一気に作戦を遂行するのが飛竜隊だ。
それ故、飛竜騎士には比較的に体の軽い女性が選ばれるわけだが、ラッジストは背が高く体格も良い。
しかしラッジストは、不利にしか見えないこのハンデを逆手にとり、さらに騎士自ら弓で武装するという荒業に打って出たのだ。
『飛竜同士の空中戦だけは、ラッジストちゃんとはやりたくないな~』
ナンシーがニヤニヤしながらラッジストを見る。
『ふん、よく言う。
ナンシー…お前との練習試合は14戦12敗と、圧倒的に俺が負け越しているんだからな』
ラッジストは素っ気なくそう言うと、飛竜へと乗り込んだ。
『あ、拗ねた!
ラッジストちゃん可愛い~』
ナンシーは子供みたいにはしゃぎながら、自分の飛竜へと飛び乗る。
それに倣うように次々と飛竜騎士たちが乗り込み、12騎のドラゴンたちの離陸準備が整った。
『気をつけて行けよ!』
ダンイルはそう言うと、離陸の合図である赤い旗を掲げる。
それと同時に12騎は一斉に翼を広げ大地を蹴る。
一瞬のうちに遥か大空に羽ばたいた飛竜たちに、ダンイルは満足そうに親指を突き立てたのだった。
優しい風が青草を揺らす丘の上、クフィールは空の彼方へと遠ざかって行く飛竜たちを黙って見つめていた。
側には石の墓碑が二つ。
クフィールは視線を落とし、その墓碑の前にしゃがみ込んだ。
『お前の母親も、夫が飛び立つのをよくここから見送っていたもんだ』
ダンイルの声にクフィールが顔を上げる。
基地の裏手にある海を一望できるこの丘で、クフィールとダンイルはよく二人で酒を酌み交わしていた。
『心配性なのは、母親譲りか?』
ダンイルが持参した酒瓶をクフィールへと放りながら笑う。
『ラッジストは…あの子は、この島が嫌いみたい』
クフィールが酒瓶を受け取り、寂しげに空を仰ぎ見ると再び柔らかい風がその白い頬に紅い髪をはわせた。
『アイツは許せないんだろうな。
飛竜乗るのも剣を振るのも天才的な姉に、どんなに努力しても追いつけない自分の不甲斐なさを…。
あんなに憧れた飛竜軍本隊への入隊を、アッサリ蹴っちまう姉に憧れてしまう自分の弱さをな…』
ダンイルはそう言うと、クフィールの隣に立ち酒をグィッとあおった。
『よし、今夜は飲み明かすぞ』
『あら、もちろんそのつもりよ。
覚悟しなさいね』
立ち上がったクフィールは、手に持つ酒瓶をダンイルの瓶に静かにかさねたのだった。
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