Al戦艦と異世界ドラゴン

やるふ

文字の大きさ
12 / 53

敵国

しおりを挟む
『飛竜隊とは空飛ぶドラゴンを兵士が操縦している部隊だ。
一騎につき対竜槍という飛び道具を2発装備している。
この海域なら、シーナ帝国軍タワン飛竜隊と見て間違いないだろう』

グレンダは紅蛍が佇む液晶画面に向かって状況把握に必要な部分の説明をしている。

『タワン飛竜隊!?
それって、あのクフィールの部隊ってことですか!?』

エリーの言葉にグレンダが頷くと、周りがざわついた。

《その対竜槍という兵器の射程距離を、大体で良いので教えてくれませんか?》

『対竜槍の大きさによって変わるが、飛竜が装備しているものは、およそ200m程度だ』

紅蛍の質問にグレンダは即座に答える。

シャーハン国は世界唯一の非竜保有国だが、国防を担う警備団長であるグレンダは、各国の竜軍のスペックを頭に叩き込んでいる。  

《理解しました。
因みに、シーナ帝国はアナタたちシャーハン国警備団にとって、敵国ですか?》

紅蛍のその質問に、部屋は一気に静まり返った。

圧倒的な竜軍力で周辺小国を威嚇しては好き勝手にやっているシーナ帝国の横暴ぶりは、海を隔てた隣国でもあるシャーハン国にとっても脅威の存在であった。

『敵国…ではないですよね…?
脅されることはあっても、攻撃されたことがあるわけじゃないし…』

エリーが後ろから小声でゴニョゴニョ言ってるが、グレンダは真っ直ぐに紅蛍を見つめたままだ。

『仮想敵国、ではある。
だが、我が国には竜大国と戦争できるような軍事力はない。
よって、度重なる挑発を受けても、ただの挑発だと願い信じ込み、ひたすら堪え忍んでいる状態だ』

『団長!?
何を言ってっ…!
た、確かにシーナ帝国は脅威ではありますが、我が国と普通に国交もありますし仮想とはいえ、敵国はあまりにも言い過ぎでは…』

エリーが慌てて前に出て、グレンダと紅蛍の間に割って入る。

『我らの船を沈めたあのドラゴンは、シーナ帝国海竜軍のものだと俺は考えている。
そうでもなければ、あの数の飛竜が飛ぶわけがない』

『そんな…!何の為にっ…』

エリーが食い下がろうとした途端、他の団員たちから声が上がる。

『そうだ…シーナに違いねぇ!』

『アイツらは、我が物顔で他国の領海や領空にすらドラゴン浮かべてくるような野蛮な国なんだ!』

『グレンダ団長!!
このベニボタル様に頼んで、飛竜を撃墜してもらいましょうよ!』

それはまさに、警備団員たちのいままで溜まりに溜まっていた鬱憤が破裂し拡散したかのような状況だった。

『ちょっと皆さん落ち着いてください!
撃墜だなんてそんな…、あの水竜だってまだシーナ帝国のものとも決まってはいないのに…
団長は…団長は、シーナ帝国と戦争をしたいんですか…?』

『ベニボタル殿、この船は空の敵にも攻撃ができるのだろう?』

グレンダは、エリーを通り越した先の紅蛍へと声をかける。

《当然、可能です。
レーダーで捕捉している12騎は全て、射程圏内に入っています》

『ベニボタルさん!待ってください!!』

エリーが振り返り叫ぶが、紅蛍は構わず続ける。

《グレンダ、エリー。
この世界で私が起こす行動は、私以外に制御できません。
すなわち、この12騎を私が攻撃するか否かの決定権は、私以外の存在には無いのです》

その言葉に、艦内は再び静寂に沈んだのだった。

   
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

王様の恥かきっ娘

青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。 本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。 孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます 物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります これもショートショートで書く予定です。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました

斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。 白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。 その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。 それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。 やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり―― 白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。 身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

追放された『ただの浄化係』、実は国中の魔石を満たしていた精霊姫でした〜今さら戻れと言われても、隣国のイケメン皇帝が離してくれません〜

ハリネズミの肉球
ファンタジー
「おい、城の噴水が止まったぞ!?」 「街の井戸も空っぽです!」 無能な王太子による身勝手な婚約破棄。 そして不毛の砂漠が広がる隣国への追放。だが、愚かな奴らは知らなかった。主人公・ルリアが国境を越えた瞬間、祖国中の「水の魔石」がただの石ころに変わることを! ルリアは、触れるだけで無尽蔵に水魔力を作り出す『水精霊の愛し子』。 追放先の干ばつに苦しむ隣国で、彼女がその力を使えば……不毛の土地が瞬く間に黄金のオアシスへ大進化!? 優しいイケメン皇帝に溺愛されながら、ルリアは隣国を世界一の繁栄国家へと導いていく。 一方、水が完全に枯渇し大パニックに陥る祖国。 「ルリアを連れ戻せ!」と焦る王太子に待っていたのは、かつて見下していた隣国からの圧倒的な経済・水源制裁だった——! 今、最高にスカッとする大逆転劇が幕を開ける! ※本作品は、人工知能の生成する文章の力をお借りしつつも、最終的な仕上げにあたっては著者自身の手により丁寧な加筆・修正を施した作品です。

処理中です...