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敵国
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『飛竜隊とは空飛ぶドラゴンを兵士が操縦している部隊だ。
一騎につき対竜槍という飛び道具を2発装備している。
この海域なら、シーナ帝国軍タワン飛竜隊と見て間違いないだろう』
グレンダは紅蛍が佇む液晶画面に向かって状況把握に必要な部分の説明をしている。
『タワン飛竜隊!?
それって、あのクフィールの部隊ってことですか!?』
エリーの言葉にグレンダが頷くと、周りがざわついた。
《その対竜槍という兵器の射程距離を、大体で良いので教えてくれませんか?》
『対竜槍の大きさによって変わるが、飛竜が装備しているものは、およそ200m程度だ』
紅蛍の質問にグレンダは即座に答える。
シャーハン国は世界唯一の非竜保有国だが、国防を担う警備団長であるグレンダは、各国の竜軍のスペックを頭に叩き込んでいる。
《理解しました。
因みに、シーナ帝国はアナタたちシャーハン国警備団にとって、敵国ですか?》
紅蛍のその質問に、部屋は一気に静まり返った。
圧倒的な竜軍力で周辺小国を威嚇しては好き勝手にやっているシーナ帝国の横暴ぶりは、海を隔てた隣国でもあるシャーハン国にとっても脅威の存在であった。
『敵国…ではないですよね…?
脅されることはあっても、攻撃されたことがあるわけじゃないし…』
エリーが後ろから小声でゴニョゴニョ言ってるが、グレンダは真っ直ぐに紅蛍を見つめたままだ。
『仮想敵国、ではある。
だが、我が国には竜大国と戦争できるような軍事力はない。
よって、度重なる挑発を受けても、ただの挑発だと願い信じ込み、ひたすら堪え忍んでいる状態だ』
『団長!?
何を言ってっ…!
た、確かにシーナ帝国は脅威ではありますが、我が国と普通に国交もありますし仮想とはいえ、敵国はあまりにも言い過ぎでは…』
エリーが慌てて前に出て、グレンダと紅蛍の間に割って入る。
『我らの船を沈めたあのドラゴンは、シーナ帝国海竜軍のものだと俺は考えている。
そうでもなければ、あの数の飛竜が飛ぶわけがない』
『そんな…!何の為にっ…』
エリーが食い下がろうとした途端、他の団員たちから声が上がる。
『そうだ…シーナに違いねぇ!』
『アイツらは、我が物顔で他国の領海や領空にすらドラゴン浮かべてくるような野蛮な国なんだ!』
『グレンダ団長!!
このベニボタル様に頼んで、飛竜を撃墜してもらいましょうよ!』
それはまさに、警備団員たちのいままで溜まりに溜まっていた鬱憤が破裂し拡散したかのような状況だった。
『ちょっと皆さん落ち着いてください!
撃墜だなんてそんな…、あの水竜だってまだシーナ帝国のものとも決まってはいないのに…
団長は…団長は、シーナ帝国と戦争をしたいんですか…?』
『ベニボタル殿、この船は空の敵にも攻撃ができるのだろう?』
グレンダは、エリーを通り越した先の紅蛍へと声をかける。
《当然、可能です。
レーダーで捕捉している12騎は全て、射程圏内に入っています》
『ベニボタルさん!待ってください!!』
エリーが振り返り叫ぶが、紅蛍は構わず続ける。
《グレンダ、エリー。
この世界で私が起こす行動は、私以外に制御できません。
すなわち、この12騎を私が攻撃するか否かの決定権は、私以外の存在には無いのです》
その言葉に、艦内は再び静寂に沈んだのだった。
一騎につき対竜槍という飛び道具を2発装備している。
この海域なら、シーナ帝国軍タワン飛竜隊と見て間違いないだろう』
グレンダは紅蛍が佇む液晶画面に向かって状況把握に必要な部分の説明をしている。
『タワン飛竜隊!?
それって、あのクフィールの部隊ってことですか!?』
エリーの言葉にグレンダが頷くと、周りがざわついた。
《その対竜槍という兵器の射程距離を、大体で良いので教えてくれませんか?》
『対竜槍の大きさによって変わるが、飛竜が装備しているものは、およそ200m程度だ』
紅蛍の質問にグレンダは即座に答える。
シャーハン国は世界唯一の非竜保有国だが、国防を担う警備団長であるグレンダは、各国の竜軍のスペックを頭に叩き込んでいる。
《理解しました。
因みに、シーナ帝国はアナタたちシャーハン国警備団にとって、敵国ですか?》
紅蛍のその質問に、部屋は一気に静まり返った。
圧倒的な竜軍力で周辺小国を威嚇しては好き勝手にやっているシーナ帝国の横暴ぶりは、海を隔てた隣国でもあるシャーハン国にとっても脅威の存在であった。
『敵国…ではないですよね…?
脅されることはあっても、攻撃されたことがあるわけじゃないし…』
エリーが後ろから小声でゴニョゴニョ言ってるが、グレンダは真っ直ぐに紅蛍を見つめたままだ。
『仮想敵国、ではある。
だが、我が国には竜大国と戦争できるような軍事力はない。
よって、度重なる挑発を受けても、ただの挑発だと願い信じ込み、ひたすら堪え忍んでいる状態だ』
『団長!?
何を言ってっ…!
た、確かにシーナ帝国は脅威ではありますが、我が国と普通に国交もありますし仮想とはいえ、敵国はあまりにも言い過ぎでは…』
エリーが慌てて前に出て、グレンダと紅蛍の間に割って入る。
『我らの船を沈めたあのドラゴンは、シーナ帝国海竜軍のものだと俺は考えている。
そうでもなければ、あの数の飛竜が飛ぶわけがない』
『そんな…!何の為にっ…』
エリーが食い下がろうとした途端、他の団員たちから声が上がる。
『そうだ…シーナに違いねぇ!』
『アイツらは、我が物顔で他国の領海や領空にすらドラゴン浮かべてくるような野蛮な国なんだ!』
『グレンダ団長!!
このベニボタル様に頼んで、飛竜を撃墜してもらいましょうよ!』
それはまさに、警備団員たちのいままで溜まりに溜まっていた鬱憤が破裂し拡散したかのような状況だった。
『ちょっと皆さん落ち着いてください!
撃墜だなんてそんな…、あの水竜だってまだシーナ帝国のものとも決まってはいないのに…
団長は…団長は、シーナ帝国と戦争をしたいんですか…?』
『ベニボタル殿、この船は空の敵にも攻撃ができるのだろう?』
グレンダは、エリーを通り越した先の紅蛍へと声をかける。
《当然、可能です。
レーダーで捕捉している12騎は全て、射程圏内に入っています》
『ベニボタルさん!待ってください!!』
エリーが振り返り叫ぶが、紅蛍は構わず続ける。
《グレンダ、エリー。
この世界で私が起こす行動は、私以外に制御できません。
すなわち、この12騎を私が攻撃するか否かの決定権は、私以外の存在には無いのです》
その言葉に、艦内は再び静寂に沈んだのだった。
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