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ドラゴンの死体
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『いぇ~い!!』
海面スレスレを高速で飛ぶドラゴンに跨がるナンシーが、楽しそうに声を上げている。
『こらぁ!!隊列を乱すなナンシー!!』
上からラッジストが怒鳴り声を投げているが聞こえるはずもなく、ナンシーは一気に上空へと上昇した。
『あれは…クフィール隊長が帝都での模擬戦で見せたスゴ技…。
相変わらず、ナンシーさんはクフィール隊長の真似が上手いんだな…』
ラッジストの斜め後方で感心した様子で呟いているのは、半年前に飛竜隊に入隊したばかりの女飛竜騎士、*グリペン*だ。
新米飛竜騎士は誰もが最初、このタワン島に配属させられるのがシーナ帝国飛竜軍の決まりだ。
『む…?あれは…』
海面に目を凝らしていたラッジストの視界に、ソレは入ってきた。
波間に帯状の赤い筋を伸ばした先にポッカリと浮かんでいる1つの塊。
『ドラゴン…』
それが捜索中の水竜だとグリペンもすぐに分かった。
『見てみるね~』
ナンシーは飛竜を下降させ水竜の死体へと近づくと、ゆっくりと着地させた。
ラッジストは、手と指で周りの騎士たちに指示を出すと、ナンシーのもとへと向かう。
グリペンは指示通り、前方の偵察に飛んだ。
『どうだ?何にやられたと思う?』
ナンシーが水竜の表皮にナイフを突き立ていると、近くで飛竜をホバリングさせながらラッジストが訊いてきた。
『う~ん、ちょっと待ってね~』
ナンシーはナイフを器用に使い、ドラゴンの肉に埋もれた何かを抉り出した。
『何だ?』
それは見たこともない形をした金属の塊だった。
『これを体に幾つも撃ち込まれて死んじゃったみたい~』
ナンシーはその金属の塊をラッジストの手に放ると、水竜の傷だらけの背中を見渡した。
『こんなものをどうやって、ドラゴンの硬い表皮に…』
『まずは、そんなものをどうやって作ったのか…だよね~』
その金属の塊は明らかに、この時代の技術では到底精製できない人工物だった。
『グリペンが戻って来たようだな』
もの凄い速さでこちらに向かってくる飛竜の姿に、ラッジストの胸に嫌な予感がはしる。
『ラッジストさん!!
船です!!見たこともない巨大な船が、この先に…!!』
ラッジストの隣りまでやって来たグリペンが大声で伝える。
『巨大な船…?
1隻か?水竜に引かせているのか?』
『巨大な船は1隻ですが、近くには半壊して沈みかけの船が1隻だけで水竜に牽引させている様子はありません!』
『うむ。この水竜を殺ったのはその船の可能性が高いな。向かうぞ』
ラッジストがそう言うが、ナンシーはどこか不満げだ。
『相手は、シーナ海竜軍のドラゴンを倒す程の武器を持ってるんだから、一旦タワンに戻るってのもアリかもよ~?』
ナンシーの提案にラッジストは考え込むように、指を顎に添える。
脳裏には出発前に言われた姉クフィールの言葉が過っていた。
『無闇な戦闘行為は絶対にダメ…』
海面スレスレを高速で飛ぶドラゴンに跨がるナンシーが、楽しそうに声を上げている。
『こらぁ!!隊列を乱すなナンシー!!』
上からラッジストが怒鳴り声を投げているが聞こえるはずもなく、ナンシーは一気に上空へと上昇した。
『あれは…クフィール隊長が帝都での模擬戦で見せたスゴ技…。
相変わらず、ナンシーさんはクフィール隊長の真似が上手いんだな…』
ラッジストの斜め後方で感心した様子で呟いているのは、半年前に飛竜隊に入隊したばかりの女飛竜騎士、*グリペン*だ。
新米飛竜騎士は誰もが最初、このタワン島に配属させられるのがシーナ帝国飛竜軍の決まりだ。
『む…?あれは…』
海面に目を凝らしていたラッジストの視界に、ソレは入ってきた。
波間に帯状の赤い筋を伸ばした先にポッカリと浮かんでいる1つの塊。
『ドラゴン…』
それが捜索中の水竜だとグリペンもすぐに分かった。
『見てみるね~』
ナンシーは飛竜を下降させ水竜の死体へと近づくと、ゆっくりと着地させた。
ラッジストは、手と指で周りの騎士たちに指示を出すと、ナンシーのもとへと向かう。
グリペンは指示通り、前方の偵察に飛んだ。
『どうだ?何にやられたと思う?』
ナンシーが水竜の表皮にナイフを突き立ていると、近くで飛竜をホバリングさせながらラッジストが訊いてきた。
『う~ん、ちょっと待ってね~』
ナンシーはナイフを器用に使い、ドラゴンの肉に埋もれた何かを抉り出した。
『何だ?』
それは見たこともない形をした金属の塊だった。
『これを体に幾つも撃ち込まれて死んじゃったみたい~』
ナンシーはその金属の塊をラッジストの手に放ると、水竜の傷だらけの背中を見渡した。
『こんなものをどうやって、ドラゴンの硬い表皮に…』
『まずは、そんなものをどうやって作ったのか…だよね~』
その金属の塊は明らかに、この時代の技術では到底精製できない人工物だった。
『グリペンが戻って来たようだな』
もの凄い速さでこちらに向かってくる飛竜の姿に、ラッジストの胸に嫌な予感がはしる。
『ラッジストさん!!
船です!!見たこともない巨大な船が、この先に…!!』
ラッジストの隣りまでやって来たグリペンが大声で伝える。
『巨大な船…?
1隻か?水竜に引かせているのか?』
『巨大な船は1隻ですが、近くには半壊して沈みかけの船が1隻だけで水竜に牽引させている様子はありません!』
『うむ。この水竜を殺ったのはその船の可能性が高いな。向かうぞ』
ラッジストがそう言うが、ナンシーはどこか不満げだ。
『相手は、シーナ海竜軍のドラゴンを倒す程の武器を持ってるんだから、一旦タワンに戻るってのもアリかもよ~?』
ナンシーの提案にラッジストは考え込むように、指を顎に添える。
脳裏には出発前に言われた姉クフィールの言葉が過っていた。
『無闇な戦闘行為は絶対にダメ…』
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