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危険分子
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「ズドォオオオオーーーン!!」と
空を揺るがすかのような爆音と煙が上がるのを、紅蛍の甲板では静寂に沈む警備団員たちが呆然と見つめていた。
『今の見たか…?』
『飛竜が一騎…消滅した…?』
『何だよ、あれ…。
逃げる飛竜を追ってるぞ…』
次々と飛竜を墜としていく紅蛍のミサイル攻撃を、立ち尽くしたまま夢見心地で眺めている団員たちを掻き分けて進むエリーは、歯を喰いしばり駆け出した。
『こんなの…間違ってる…!!』
エリーは階段を降り廊下を走り、最初に案内された部屋へと飛び込んだ。
団員たちは皆、甲板へと上がっている為、エリー以外は誰もいない。
『ベニボタルさん!』
《何でしょうエリー》
すぐさま返事の声がして、正面のモニターに紅蛍が姿を現した。
『こんなこと、もうやめてください!』
《こんなこととは、
今、私が行っている攻撃行動のことでしょうか?
だとしたら、やめる理由が見当たりません。
レッドゾーンに飛竜が確認されている以上、攻撃を停止するわけにはいかないのです》
『レッドゾーン…って、アナタがやっているのは、一方的なルールを押し付けた虐殺行為です!!』
《そもそも、一方的なルールを押し付けない虐殺行為などありません。
そして、貴女が私の行為をどう解釈するのかに関係なく、私は私が考えうる最善の措置をとり続けるだけです》
『これが、こんな手段が最善な措置なわけがありません!!
今すぐ…今すぐやめてください!!
お願いだから…っ!!』
泣き声に近い声をあげるエリーを、液晶画面の少女は変わらぬ微笑を浮かべて見つめている。
《その提案を却下します。
その提案を却下します》
紅蛍の無感情な声が部屋に響き渡る。
《発射した4発の艦対空ミサイル、全弾命中。
発射した4発の艦対空ミサイル、全弾命中。
依然として2騎の飛竜兵がレッドゾーン内に留まっている模様。
これより、2騎に対して25㎜機関砲による対空砲火を開始します。
2騎に対して25㎜機関砲による対空砲火を開始します》
スピーカーから淡々と発せられる言葉に、エリーは怒りに震えた。
『この…悪魔め…!』
そう呟き目を見開いたエリーは、側にあった椅子を両手で持ち振り上げた。
そして、モニターの方へとゆっくりと歩き始める。
《予め申し上げておきますが、このモニターを破壊しても、攻撃は止まりません。
それでも貴女は、貴女のルールを押し付ける為に、私を損壊させるつもりですか?』
紅蛍のその言葉に、エリーは足を止めた。
『エリー!何をやってる!!』
背後から刺さってきたグレンダの怒鳴り声に、エリーは驚いて椅子を床に落とした。
『団長…どうしてここに…?』
エリーは怯えた表情でグレンダへと振り返る。
『先ほど、甲板でベニボタル殿からここに来るように言われた。
エリー、お前に危害を加えられる可能性が予想される…とな』
グレンダの後ろから、他の団員たち数名が部屋に入ってきてエリーをとり囲んだ。
『ベニボタルさんに言われて…?
私を…どうするつもりですか…?』
後退りをするエリーの体に、幾つもの手が伸びてくる。
『待ってください団長!!
皆…!こんなの絶対おかしい…!
どうして私が…私がぁーーー!!』
床へとうつ伏せに倒されたエリーは、必死でもがきながら金切り声で叫んだ。
取り押さえる団員たちも、こんな様子のエリーを初めて目にして戸惑っている。
グレンダが寂し気な瞳でエリーを見下ろして告げた。
『ベニボタル殿が、お前を危険分子だと判断した。
よって、エリー…我々はお前を暫く拘束することにする』
空を揺るがすかのような爆音と煙が上がるのを、紅蛍の甲板では静寂に沈む警備団員たちが呆然と見つめていた。
『今の見たか…?』
『飛竜が一騎…消滅した…?』
『何だよ、あれ…。
逃げる飛竜を追ってるぞ…』
次々と飛竜を墜としていく紅蛍のミサイル攻撃を、立ち尽くしたまま夢見心地で眺めている団員たちを掻き分けて進むエリーは、歯を喰いしばり駆け出した。
『こんなの…間違ってる…!!』
エリーは階段を降り廊下を走り、最初に案内された部屋へと飛び込んだ。
団員たちは皆、甲板へと上がっている為、エリー以外は誰もいない。
『ベニボタルさん!』
《何でしょうエリー》
すぐさま返事の声がして、正面のモニターに紅蛍が姿を現した。
『こんなこと、もうやめてください!』
《こんなこととは、
今、私が行っている攻撃行動のことでしょうか?
だとしたら、やめる理由が見当たりません。
レッドゾーンに飛竜が確認されている以上、攻撃を停止するわけにはいかないのです》
『レッドゾーン…って、アナタがやっているのは、一方的なルールを押し付けた虐殺行為です!!』
《そもそも、一方的なルールを押し付けない虐殺行為などありません。
そして、貴女が私の行為をどう解釈するのかに関係なく、私は私が考えうる最善の措置をとり続けるだけです》
『これが、こんな手段が最善な措置なわけがありません!!
今すぐ…今すぐやめてください!!
お願いだから…っ!!』
泣き声に近い声をあげるエリーを、液晶画面の少女は変わらぬ微笑を浮かべて見つめている。
《その提案を却下します。
その提案を却下します》
紅蛍の無感情な声が部屋に響き渡る。
《発射した4発の艦対空ミサイル、全弾命中。
発射した4発の艦対空ミサイル、全弾命中。
依然として2騎の飛竜兵がレッドゾーン内に留まっている模様。
これより、2騎に対して25㎜機関砲による対空砲火を開始します。
2騎に対して25㎜機関砲による対空砲火を開始します》
スピーカーから淡々と発せられる言葉に、エリーは怒りに震えた。
『この…悪魔め…!』
そう呟き目を見開いたエリーは、側にあった椅子を両手で持ち振り上げた。
そして、モニターの方へとゆっくりと歩き始める。
《予め申し上げておきますが、このモニターを破壊しても、攻撃は止まりません。
それでも貴女は、貴女のルールを押し付ける為に、私を損壊させるつもりですか?』
紅蛍のその言葉に、エリーは足を止めた。
『エリー!何をやってる!!』
背後から刺さってきたグレンダの怒鳴り声に、エリーは驚いて椅子を床に落とした。
『団長…どうしてここに…?』
エリーは怯えた表情でグレンダへと振り返る。
『先ほど、甲板でベニボタル殿からここに来るように言われた。
エリー、お前に危害を加えられる可能性が予想される…とな』
グレンダの後ろから、他の団員たち数名が部屋に入ってきてエリーをとり囲んだ。
『ベニボタルさんに言われて…?
私を…どうするつもりですか…?』
後退りをするエリーの体に、幾つもの手が伸びてくる。
『待ってください団長!!
皆…!こんなの絶対おかしい…!
どうして私が…私がぁーーー!!』
床へとうつ伏せに倒されたエリーは、必死でもがきながら金切り声で叫んだ。
取り押さえる団員たちも、こんな様子のエリーを初めて目にして戸惑っている。
グレンダが寂し気な瞳でエリーを見下ろして告げた。
『ベニボタル殿が、お前を危険分子だと判断した。
よって、エリー…我々はお前を暫く拘束することにする』
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