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9話
缶詰最終日 トラブル【2】
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えーと、森山君の“そう思ってますよ”発言は私を恋人だと思っているって事?昨日、私たちの関係が進展するような出来事があったって事?
頭の中がぐるぐるする。どうして昨日の事を覚えてないんだろう。森山君が桃ゼリーを買って来てくれた事は何となく覚えてるのに。
あ、そういえば夏目さんが来た。
「森山君、昨日、夏目さん来たよね?」
夏目さんの名前を聞いた途端、森山君がつまらなそうな顔をした。
なぜその反応?夏目さんとも何かあったとか?
「夏目さんの事は覚えてるんですね」
森山君が隣に座って長い足を組んだ。
「何となくだけど。桃ゼリーを頂いたなって」
「夏目さんがくれた桃ゼリーは俺が全部食べておきましたから」
ぜ、全部食べた?信じられない。私がもらった物なのに。
「なんで勝手な事をするの」
「そんなにいらないでしょ。俺だって買って来たんですから」
「ゼリーは日持ちするから取っておけるでしょ」
「食いしん坊発言ですね」
「だって夏目さんがくれたんだよ。コンビニのやつでも夏目さんが買って来てくれたってだけでありがたいの」
夏目さんは私の憧れの存在だって知ってるくせに、なんて意地悪なんだろう。看病してもらった事はありがたいけど、酷い。
「森山君のバカ」
「はぁ?」
森山君が呆れたような表情をして、私が悪いみたい感じで見てくる。人の物を食べといて何その態度。ますますムカつく。
「勝手に食べといて謝罪の言葉とかないの?」
「ないです。悪いと思ってませんから。それより俺の前でよく夏目さんの話ができますね」
「どういう意味よ」
「知りません」
森山君がベッドから立ち上がって、そのままドアの方に向かった。
「逃げるの?」
立ち上がって森山君に駆け寄った。
「話はまだ途中でしょ」
ドアの前で森山君が立ち止まる。
その後ろ姿が何だかデジャヴ。昨日、同じような事があったような……。急に胸が苦しいような、締め付けられるような感じがする。
それに、森山君の背中が何だか愛しくて抱きつきたくなる。腹を立てているはずなのにそう思うのはなんで?
「会社に行くんです。朝一で打ち合わせがあるので」
振り向いた森山君が面倒くさそうにこっちを見下ろした。森山君と目が合った瞬間、ドキドキしてくる。
「もう行っちゃうの?」
小さな声でそう言うと森山君が口の端をわずかにあげた。
「ズルいな、その言い方」
「何がズルいのよ?」
「寂しそうに言われたら出掛けられませんよ」
森山君の右手が頬を包むように触れ、優しく撫でてくれる。
手の感触が心地いい。もっと触れて欲しい。もっと森山君と一緒にいたい。
どうしちゃったんだろう。今日の私。森山君を恋人のように感じてる。昨日の事がまだ思い出せてないのに。
「昨日の事、知りたいの。森山君がこうやって恋人みたいに扱ってくれるのは、やっぱり何かあったんだよね?」
視線を向けると、形のいい唇が穏やかに微笑んだ。
「帰って来たら教えてあげます」
額にチュッとキスをして、森山君は行ってしまった。
おでこが熱いし、胸がキュンキュンしてる。昨日、何があったんだろう。
とりあえず朝ご飯を食べようと部屋の冷蔵庫を開くとコンビニの袋が目についた。
「これって、夏目さんが持って来たやつ……」
袋を開くと桃ゼリーが三つ入ってる。やっぱり夏目さんがくれたやつだ。
全部食べちゃったって言ったくせに、あるじゃない。
なんですぐバレるような嘘ついたんだろう。
森山君が全然わかんない。
もしかして嫉妬?
そう思ったら顔がにやける。森山君が嫉妬してくれたなんて。
オフィスで一緒に仕事をしていた時の森山君はいつも冷静で、嫉妬なんてするようには見えなかったな。
可愛い所もあるんだな。
コンビニの袋の隣には違う種類の桃ゼリーが一個ある。
こっちは森山君が買って来てくれたやつだ。
昨夜、森山君と一つずつ食べた事を何となく思い出した。
ベッドに並んで座りながら夜中に食べたんだ。
夜中……森山君と一緒にいたんだ。
もしかして森山君、一晩中ここにいた?
まさか、体の関係を持ったとか。
いや、それはない。さすがにわかる。それに森山君は体調壊してる私にそういう事を強要するような人じゃない。
不安で眠れなかったから、眠るまでそばにいてくれたんだ。
“安心して下さい”
“大丈夫ですよ。俺がいますから”
そう言ってくれたのをぼんやり思い出した。
とっても安心する声だった。
ほんの10分前に会ったばかりなのに、もう森山君に会いたい。
会社に行ってみようかな。
頭の中がぐるぐるする。どうして昨日の事を覚えてないんだろう。森山君が桃ゼリーを買って来てくれた事は何となく覚えてるのに。
あ、そういえば夏目さんが来た。
「森山君、昨日、夏目さん来たよね?」
夏目さんの名前を聞いた途端、森山君がつまらなそうな顔をした。
なぜその反応?夏目さんとも何かあったとか?
「夏目さんの事は覚えてるんですね」
森山君が隣に座って長い足を組んだ。
「何となくだけど。桃ゼリーを頂いたなって」
「夏目さんがくれた桃ゼリーは俺が全部食べておきましたから」
ぜ、全部食べた?信じられない。私がもらった物なのに。
「なんで勝手な事をするの」
「そんなにいらないでしょ。俺だって買って来たんですから」
「ゼリーは日持ちするから取っておけるでしょ」
「食いしん坊発言ですね」
「だって夏目さんがくれたんだよ。コンビニのやつでも夏目さんが買って来てくれたってだけでありがたいの」
夏目さんは私の憧れの存在だって知ってるくせに、なんて意地悪なんだろう。看病してもらった事はありがたいけど、酷い。
「森山君のバカ」
「はぁ?」
森山君が呆れたような表情をして、私が悪いみたい感じで見てくる。人の物を食べといて何その態度。ますますムカつく。
「勝手に食べといて謝罪の言葉とかないの?」
「ないです。悪いと思ってませんから。それより俺の前でよく夏目さんの話ができますね」
「どういう意味よ」
「知りません」
森山君がベッドから立ち上がって、そのままドアの方に向かった。
「逃げるの?」
立ち上がって森山君に駆け寄った。
「話はまだ途中でしょ」
ドアの前で森山君が立ち止まる。
その後ろ姿が何だかデジャヴ。昨日、同じような事があったような……。急に胸が苦しいような、締め付けられるような感じがする。
それに、森山君の背中が何だか愛しくて抱きつきたくなる。腹を立てているはずなのにそう思うのはなんで?
「会社に行くんです。朝一で打ち合わせがあるので」
振り向いた森山君が面倒くさそうにこっちを見下ろした。森山君と目が合った瞬間、ドキドキしてくる。
「もう行っちゃうの?」
小さな声でそう言うと森山君が口の端をわずかにあげた。
「ズルいな、その言い方」
「何がズルいのよ?」
「寂しそうに言われたら出掛けられませんよ」
森山君の右手が頬を包むように触れ、優しく撫でてくれる。
手の感触が心地いい。もっと触れて欲しい。もっと森山君と一緒にいたい。
どうしちゃったんだろう。今日の私。森山君を恋人のように感じてる。昨日の事がまだ思い出せてないのに。
「昨日の事、知りたいの。森山君がこうやって恋人みたいに扱ってくれるのは、やっぱり何かあったんだよね?」
視線を向けると、形のいい唇が穏やかに微笑んだ。
「帰って来たら教えてあげます」
額にチュッとキスをして、森山君は行ってしまった。
おでこが熱いし、胸がキュンキュンしてる。昨日、何があったんだろう。
とりあえず朝ご飯を食べようと部屋の冷蔵庫を開くとコンビニの袋が目についた。
「これって、夏目さんが持って来たやつ……」
袋を開くと桃ゼリーが三つ入ってる。やっぱり夏目さんがくれたやつだ。
全部食べちゃったって言ったくせに、あるじゃない。
なんですぐバレるような嘘ついたんだろう。
森山君が全然わかんない。
もしかして嫉妬?
そう思ったら顔がにやける。森山君が嫉妬してくれたなんて。
オフィスで一緒に仕事をしていた時の森山君はいつも冷静で、嫉妬なんてするようには見えなかったな。
可愛い所もあるんだな。
コンビニの袋の隣には違う種類の桃ゼリーが一個ある。
こっちは森山君が買って来てくれたやつだ。
昨夜、森山君と一つずつ食べた事を何となく思い出した。
ベッドに並んで座りながら夜中に食べたんだ。
夜中……森山君と一緒にいたんだ。
もしかして森山君、一晩中ここにいた?
まさか、体の関係を持ったとか。
いや、それはない。さすがにわかる。それに森山君は体調壊してる私にそういう事を強要するような人じゃない。
不安で眠れなかったから、眠るまでそばにいてくれたんだ。
“安心して下さい”
“大丈夫ですよ。俺がいますから”
そう言ってくれたのをぼんやり思い出した。
とっても安心する声だった。
ほんの10分前に会ったばかりなのに、もう森山君に会いたい。
会社に行ってみようかな。
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